2. オーバーパック周辺に設置されたベントナイトの密度測定
2.3.2 予備試験内容
試験装置を図 2-2に示す.外乱の影響を最小限にするために恒温槽内での試験とした.熱伝 導率の計測対象となるベントナイト材料は,クニミネ工業製のクニゲルV1を(平均含水比8.8%)
を使用し,狭隘部を想定した直径10.1 cm,長さ30 cmの円柱容器に(図 2-3),平均密度1.33 Mg/m3で充填した.この乾燥密度は,均一に充填できる最小乾燥密度ベントナイトであり,空 気相が多いため熱伝導率が低く内部温度が早く高温になりやすい.そのため,最高温度になる までの時間が最も速いため,一定温度以下で試験を実施する場合の最大温度条件として利用で
きる.また予備試験では,使用するベントナイト材料での温度上昇特性を調査する目的のため 多点計測する必要がないことから,計測精度が高い白金抵抗温度センサを使用し外部境界とベ ントナイト材料中心部に設置した.また加熱体は,図 2-3右に示す直径4 mmのケーブルをベ ントナイト材料中心部に設置し利用した.なお,この加熱体はこの後実施する模擬試験で使用 するものと同様であり,中心のステンレス鋼管に光ファイバを設置して温度計測するケーブル である.加熱装置は直流電源装置を用い,仕様を表 2-2に示す.
図 2-2 予備試験模式図(恒温槽内での試験)
図 2-3 予備試験用ベントナイト充填容器
Bentonite Sample Platinum resistance thermometer sensor
DC power supply Thermostat chambers
Logger
300
101
PVC pipe
DC power supply Heating wire
Bentonite
Platinum resistance thermometer sensor
DC power supply
300mm
101mm
図 2-4 加熱用ケーブル断面図
表 2-2 加熱用DC電源装置仕様
Type Manufacture/Model Specification
DC power supply Takasago corporate /ZX-800LA
・Rated output Voltage : DC 0~80V
・Rated output Current : 0~80A
・Maximum output Voltage : 800W
(1) 加熱条件設定試験
図 2-3のベントナイト入り容器を利用し加熱条件を設定するための試験を実施した.加熱は,
4,6,8,10,20 W/mの5種類としベントナイト内の温度上昇率を計測した.計測時の周辺環
境温度としては,一般的なトンネル内の作業環境を考慮し,炉内 20 ℃に設定.加熱は1時間 実施した.
(2) 加熱計測時間の設定
図 2-3のベントナイト入り容器を利用し,外部環境や容器の違いによる影響を受けないよう に,加熱したベントナイトの外部に到達するまでの計測を実施した.
(3) 外乱に対する影響評価
供試体周辺温度の外乱に対する影響評価として,トンネル坑内における温度計測試験期間中 の温度変化を想定する.評価手法として,恒温槽雰囲気温度の急激な変化を生じさせ,その際 の供試体温度(外装部,中心部)を計測する.そして供試体温度(外装部,中心部)の変化が 最大時の時にベントナイト内のヒーティング試験開始し,最も影響が少ない加熱条件や解析す るデータ範囲を決定する.
温度外乱の温度変化は,実際のトンネル内での平均温度を20 ℃と想定し,試験中の1 時間 の変化を調整できる温度として±5 ℃の変化とした.また最大外乱とは,その周辺環境温度変 化と供試体内の温度差(外装部と中心部)が一番大きくなった時とした.この条件でヒーティ
Outer sheath Copper wires Stainless steel wires Stainless tube
Heating Wire
Stainless steel tube
ング試験を行い,温度変化がない条件と比べて影響の出にくい条件を最適加熱条件とする.
狭隘部を模擬した土槽での計測
ここでは,実際に PEM 周辺の狭隘部を模擬した土槽を利用し,その中に充填したベントナ イト材料の充填状況を,アクティブヒーティングと光ファイバ計測による OFDR 計測による 試験により確認した.
(1) 使用光ファイバケーブル
温度計測は,シングルモードの光ファイバケーブルを予備試験で使用した鋼線入り保護管(図 2-6)の中に挿入し使用した.加熱は加熱用直流電源装置を用い,光ファイバ保護管の鋼線部分 に直接接続して加熱させた.温度計測ユニットには,高精度分解能をもつOFDR方式を利用し
たFBI-Gaugeセンシングシステム(㈱富士テクニカルリサーチ)6)を使用する.
図 2-5 鋼線入り光ファイバ保護管断面図
図 2-6 FBI-Guageセンシングシステム
Outer sheath
Copper wires
Stainless steel wires
Stainless tube
Fiber-optic cable
Stainless steel tube
狭隘部を幅10 cmと仮定し,断面10.5 cm×10.5 cm,計測対象の長さ2 mの土槽(以下,
計測対象区間)を用意した.2 mの土槽の中には異なるベントナイト密度になるよう充填し,
断面中央部には供試体の全長に加熱体も含む図 2-6左図の光ファイバケーブルを設置した.図 2-7 に計測概要図を示す.本研究では新しい手法として,予め設定したベントナイト密度
(1.35~1.52 Mg/m3)に充填したレファレンス供試体を温度計測ラインに接続した.レファレ ンスと2 mの計測対象区間の温度上昇率を同時に求めることにより,計測対象区間の未知のベ ントナイト充填状況を定量的に評価する.また充填方法による品質の違いを確認し理解すると ともに,得られる各点の乾燥密度値の精度を高めることを目的として,図 2-8に示すようにレ ファレンス供試体を光ファイバケーブルに平行に圧密した平行型と,90°異なる方向で圧密し た垂直型の2種類を用意した.室内は,外気温度の影響がないように,閉鎖された温度調整が 可能な空間で実施し,設定温度は前述の条件と同じ20 ℃で実施した.
図 2-7 密度計測試験容器と計測装置配置図 Iced water
FBI- Gauge PC
1.47Mg/m3 1.37Mg/m31.35Mg/m3
1.42Mg/m3
1.35Mg/m31.37Mg/m31.42Mg/m3
1.47Mg/m31.52Mg/m3
Reference Measuring object
Parallel type Vertical type
図 2-8 レファレンス供試体内のベントナイト充填状況説明図
(2) 加熱方法
加熱方法は,上述の予備試験で得られた最適条件を採用する.図 2-9が加熱時の光ファイバ 長さ方向の温度分布を示したモニタ画面である.加熱用の電線ケーブルの接続区間が外側にあ り,その周辺の熱たまりにより外部各土槽の両端の温度がベントナイト中央部より上昇してい る.そのことから,この部分は本来の温度上昇率とは異なるため,この両端区間は計測対象外 とした.計測対象の土槽では 4区間を設定し,その中心部の 5 cm区間,レファレンス供試体 では中心部の 5 cm区間の範囲を計測間隔10分で割った 5 点の平均温度から,温度上昇率を 算出した(図 2-10~図 2-11).計測対象の土槽では,計測結果と比較するために,計測後に小 型シンウォールサンプラー(φ30 mm)を用いて計測対象部の乾燥密度を得ることとした.
30cm
(a) Parallel type of compacted bentonite
(b) Vertical type of compacted bentonite
図 2-9 各ベントナイト充填容器内の温度上昇状況図
図 2-10 ベントナイト土槽内の温度計測位置図 Measureing
object
Reference (Parallel)
Reference (Vertical) 1.351.37
1.471.42
1.351.37 1.421.47
1.52
Length of Optical fiber cable
Measurement temperature
2000mm
225mm 50mm 450mm 50mm 450mm 50mm 450mm 50mm 225mm
Fiber-opticcable
Measurement
Area Measurement
Area Measurement
Area Measurement
Area
105mm
φ4mm
105mm
(b) Cross section view (a) Side view
図 2-11 レファレンス供試体の温度計測位置図
試験結果
2.5.1 予備試験結果