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3. オーバーパック周辺環境変化とその腐食特性

3.4.2 粒径別腐食モデル実証試験

ベントナイトを粒径別にするため,粒径10 mm 以下のクニミネ工業製クニゲル GXを使用 した.設定含水比に関しては,地層処分後に岩盤からの地下水により含水比が上昇した状態を

想定し21%とした.この含水比であれば表 3-6で示したように,飽和度100%以下となり水分

が分離されない状態で,3.3 示した結果のように腐食速度が速い条件となる.

分級方法は,JIS Z 8801-1 に規定する金属製ふるいを用いて,礫の部類で中礫となる粒径

4.75 ~ 9.50 mm,同じく礫の部類で祖礫となる2.00 ~ 4.75 mm,砂の分類で租砂分類であ

る0.85 ~ 2.00 mm,同じく砂の分類での中砂以下である0.00 ~ 0.85 mm,に分け,最終的

に4 種類の粒径サイズ別ベントナイトを作製した(図 3-15)18).内径30 mmの容器中心にオ ーバーパックを模擬したφ1 mm×45 mmの鋼線(JIS SWRS82A)を配置し,その鋼線周辺

に高さ 45 mm まで,粒状ベントナイトを充填した.充填効率向上のため,超音波振動発生装

置(アズワン/AS-38A 42kHz)で振動(8分間)を与え密充填させた. 図 3-16に試験前の 作製した供試体を示す.

図 3-15 粒径別ベントナイト試料写真

4.75 ~ 9.00mm 2.00 ~ 4.75mm

0.85 ~ 2.00mm 0.00 ~ 0.85mm

図 3-16 粒径別ベントナイト中における炭素鋼鋼線の各種試験用供試体写真

(分極測定用)

(2) 電気化学特性試験

炭素鋼腐食の状態を確認する手法として,電気化学的特性値を測定する方法がある.本研究 ではその中で利用されている分極測定と EIS 測定の 2 種類を用いて,各粒径サイズ別のベン トナイトにおける炭素鋼腐食速度の関係を調べた.

(i) 分極測定法による試験方法

実施した分極測定法は,3.3 で述べたベントナイト含水比の違いによる腐食試験と同じく,

供試体中の鋼線を作用電極(WE)とし,対極には白金電極(CE),参照電極(RE)には飽和 銀塩化銀電極(SSE)を用い,ポテンショスタット(北斗電工製/HZ-7000)に接続して計測 した.分極測定の測定条件は,3.3 同様にスキャン速度を1 mV/s,測定範囲を自然電位より±

250 mVに設定し測定を行った.図 3-17に分極測定試験模式図を示す.

図 3-17 分極測定試験模式図(再掲)

(ii) EIS測定試験による試験方法

EIS測定法は電気化学系の研究において,界面で起こる反応の性質を理解するために使用さ れる有効な測定手法であり,電位または電流の正弦波を印加することで得られる測定系の線形 応答解析測定である19).その特徴を利用して,ベントナイトと炭素鋼の界面の腐食状態をコン デンサーと抵抗から成る電気回路の等価回路モデルとして考える.ポテンショスタットを用い て,微小な交流信号を印加してその応答信号から電気回路としてのインピーダンスを測定する.

実験系を図 3-18に示す.鋼線(JIS G3502 SWRS82A)を各粒径のベントナイト内に2 本設 置し,ポテンショスタットへ接続した.なおポテンショスタットには北斗電工製/HZ-7000を 用いた.3.3 で示した含水比の試験と同様に関数発生器により開始周波数 20 kHz(高周波数 側),終了周波数1 mHz(低周波数側)の周波数を与えて変化させた.変調電位は通常は,10 mV 程度以下として電極反応を線形近似することで測定を行う.理由としては,一般の電極反 応において,電位と電流の関係は本質的には非線形であるが,入力信号が微小な場合は線形と して考えられるからである 20),21).しかしながら,鋼線との境界接点が限られる試験の場合は,

インピーダンスの絶対値が数 100 kΩに近い高インピーダンスになると予想され,電流が僅か しか流れなくインピーダンスの測定誤差が大きくなることから22),変調電位50 mVとした.

図 3-18 EIS測定試験模式図

3.4.3 試験結果