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ノックオンテイル観測実験に対するプラズマ温度変化の診断法

重水素プラズマにおいて、核弾性散乱によるノックオンテイル形成を促進するために行 われる軽水素ビーム入射等によって計測領域のプラズマ温度が上昇する可能性がある。こ れは、提案されている線及び中性子生成核反応を利用するノックオンテイル観測法 [42、

48、49]で計測される反応率に影響を与える恐れがある。本章では、D + t → 4He + n反応ま

たは6Li + t → 8Li* + p反応による中性子、線の同時計測を行うことにより、温度変化の影

響を考慮に入れてノックオンテイルを観測するための方法を提案する。提案する方法は、重 水素プラズマで発生するトリトンの速度分布関数の特性を利用したものであり、ノックオ ンテイル観測実験に対する有効性について議論する。

4-1 ビーム入射によるプラズマ温度変化の懸念

核燃焼プラズマにおけるノックオンテイル形成過程は、プラズマの維持やプラズマ診断 [66]等を介して、核融合炉の運転に対して重大な影響を及ぼす場合があり、核融合炉の開発 にあたり、その特性を理論的・実験的に理解しておくことは重要である。ノックオンテイル はバルク成分に比べ、高エネルギー領域に形成される非Maxwell成分であるため、高エネ ルギー領域で大きな断面積を持つ核反応の反応率変化や粒子の放出スペクトルの歪みを捉 えることでノックオンテイルを観測する方法が考えられてきた。H. Matsuura等が提案した ノックオンテイル観測実験[42、48、49]は、重水素プラズマにおいて、核弾性散乱を発生さ せやすい軽水素ビームを入射することによって重陽子速度分布関数上にノックオンテイル を形成させ、6Li+d反応やDD反応によって発生する線や中性子の発生量変化を捉える方法 である。Fig. 4-1(a)に、二温度Maxwell分布モデルでノックオンテイルを含めた重陽子速度 分布関数を模擬した場合に対し、 (1-5)、(1-8)、(1-9)式の反応率をテイル温度の関数として 示す。テイル温度Ttailが上昇するに従い、6Li+d反応は急激に、DD反応は緩やかに反応率 が上昇していることが分かる。この変化量を捉えることで、ノックオンテイル形成を観測す ることが想定されている。プラズマ温度が低いほどノックオンテイル形成が顕著になるこ とから、ノックオンテイル観測実験に対するプラズマ温度は、2~4 keV程度が想定されてい る。しかし、低いエネルギーのプラズマに高エネルギーの軽水素ビーム入射を行うことでノ ックオンテイルを形成するため、ノックオンテイル形成だけではなくプラズマ温度の上昇 によっても反応率の変化が生じうる。Fig. 4-1(b)は横軸にプラズマ温度を取った場合の反応 率変化を示している。ノックオンテイルが形成された場合の反応率変化を実線、ノックオン テイルが形成されていないときの反応率変化を点線で表している。ノックオンテイルが形 成されている場合は、ノックオンテイル成分による反応率が支配的であるため、反応率はバ ルク温度に影響されない。しかし、ノックオンテイルが形成されていない場合は、バルク温 度上昇に比例して反応率が上昇する。ノックオンテイル観測実験では軽水素ビームを入射 するため、ノックオンテイルの形成だけでなくバルク温度が上昇することは十分に考えら

63

れる。ノックオンテイル観測実験においては、ノックオンテイル形成による反応率変化とバ ルク温度上昇による反応率変化を識別する必要がある。核融合装置にはイオン温度を対象 とする計測方法として荷電交換分光(CXRS)などがあるが、ノックオンテイル観測実験に有 利とされる低密度や、高周波加熱プラズマでの利用は難しいとされている[67]。加えて、ノ ックオンテイル観測実験で識別すべきプラズマ温度は、利用が検討されている核反応(D(d, n)3He、T(d, n)4He、6Li(t, p)8Li反応)が生じる局所的な領域で捉えることが望ましい。本 研究では、重水素プラズマに 6Li を添加した場合に発生する(1-7)、(1-11)式で発生する中性 子または線の反応率変化を捉えることで、局所的なバルク温度の変化を捉える可能性があ る方法を提案する。

100 10

4

10

6

10

8

10

10

10

12

0 20 40 60 80

Rea ct io n r at e [ m

-3

s

-1

]

T

tail

[keV]

D(d,n)

3

He

T

bulk

=2 keV

6

Li(d,n)

7

Be

6

Li(d,p)

7

Li (a)

10

-2

10

0

10

2

10

4

10

6

10

8

10

10

10

12

0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5

Re ac ti o n r at e [ m

-3

s

-1

]

T

bulk

[keV]

D(d,n)

3

He

6

Li(d,n )

7

Be

6

Li(d,p )

7

Li

T

tail

=90 keV

(b)

with knock-on tail without knock-on tail

Fig. 4-1 (a)テイル温度と(b)バルク温度に対するD(d,n)3He、6Li(d,p)7Li、6Li(d,n)7Be反応率

64

ノックオンテイル観測実験において、核反応を利用してバルク温度による反応率変化と ノックオンテイル形成による反応率変化を識別するためには、核反応が、①ノックオンテイ ル形成に影響されないこと、②バルク温度の変化に敏感であることが必要となる。重水素プ ラズマに軽水素ビームを入射する観測実験では、重陽子速度分布関数上にノックオンテイ ルが形成されると同時に、D(d, p)T反応によって1.01 MeVのトリトンが生成される。重水 素プラズマはトリチウムの燃料装荷が行われないことに加え、トリトンの生成エネルギー が大きいため、トリトンの速度分布関数上にburnup(非Maxwell)成分を形成する。D(t, n)4He 反応(6Li(t, p)8Li反応)は重陽子(6Li)のバルク成分とトリトンのburnup成分が反応 の大部分を占める。そのためプラズマの温度変化に敏感で重陽子速度分布関数上のノック オンテイルに影響されにくい反応となり、温度影響診断への利用が可能となる(2-7-4 節参 照)。

ノックオンテイル観測実験に対するプラズマ温度変化の影響を診断するためには、ノッ クオンテイル観測に利用する6Li+d 反応やDD反応が生じる計測領域でのプラズマ温度を 捉える必要がある。これに対して、D(t, n)4He反応はD(d, n)3He反応と同様に中性子が発 生し、6Li(t, p)8Li反応は6Li(d, p)7Li反応や6Li(d, n)7Be反応と同様に線が発生するた め、計測領域をピンポイントに、かつ同時計測することが可能となる。また、D(t, n)4He反

応や6Li(t, p)8Li反応はそれぞれ中性子と線によって反応率を得る反応であるため、ノッ

クオンテイル観測実験で用いられる計測器を利用することができる。

4-2 二温度Maxwell分布モデルを利用したアプローチ

二温度 Maxwell 分布モデルは、重陽子イオンのバルク成分とノックオン成分をそれぞれ

温度・数密度の異なるMaxwell 分布で表したものである(2-2-3 節参照)。ビームやプラズマ 条件に左右されず、それぞれのパラメータを変化させることが可能であり、プラズマの温度 変化の影響に着目して評価することができる。「プラズマ温度 Tbulk=1.95 keV、テイル温度 Ttail=90 keV、重陽子密度nD=1×1019m-3、ノックオンテイル成分の密度割合=2.0×10-2%」

は、「重陽子密度nD=1×1019m-3、電子温度Te=2 keV、粒子閉じ込め時間p=4 sの重水素プ ラズマにビームエネルギーENBI=1 MeV、加熱入力PNBI=33 MW(粒子個数2.57×1017 m-3s

-1)の軽水素ビームを入射」した時のBFPモデルで得た重陽子速度分布関数と同等である。

この章では、提案する方法に対するノックオンテイル形成とバルク温度の影響と有効性を 示すことが目的であるため、ノックオンテイルが形成された重陽子速度分布関数を二温度

Maxwell分布モデルで模擬した際の再現性は議論しない。二温度Maxwell分布モデルが重

陽子速度分布関数を模擬する再現性については次の第5章で議論を行う。

4-3 ノックオンテイル形成がD(d, n)3He、D(t, n)4He及び6Li(t, p)8Li反応率に及ぼす影響 この節では4-1節に記述した、提案する核反応(D(t, n)4He反応や6Li(t, p)8Li反応)の 反応率係数が、①ノックオンテイル形成に影響されないことについて評価を行う。プラズマ

65

温度(バルク温度)を固定して、ノックオンテイル成分を表すMaxwell分布の温度(Ttail)をパ ラメータとして変化させ、D(t, n)4He及び6Li(t, p)8Li反応率を調べる。プラズマ条件はプ ラズマ温度Tbulk=1.95 keV、重陽子密度nD=1×1019m-3、粒子閉じ込め時間p=4 s、ノック オンテイル成分の密度割合=2.0×10-2%とする。Fig. 4-2(a)にTtail=1.95、10、50、90 keV のノックオンテイルが形成した場合の重陽子速度分布関数を示す。テイル温度をパラメー タに取ることでノックオンテイルがエネルギーに対して成長した場合の影響を比較する。

これらの速度分布関数を元に、FP方程式を用いて得られたトリトンの速度分布関数をFig.

4-2(b)に示す。重陽子速度分布関数上に高エネルギー成分が形成されることで、D(d, n)3He

反応の反応率の上昇が生じる。トリトンの発生エネルギーは1.01 MeVから変化することは ないため、トリトンの速度分布関数は密度が変化するのみで形状はほぼ変化しないことが 分かる。Fig. 4-3はこの時のD(d, n)3He、T(d, n)4He、6Li(t, p)8Li反応の反応率である。

Ttail の上昇に伴い徐々にそれぞれの反応率が同様に上昇していることが分かる。これは、

Fig. 4-2(b)にあるようにノックオンテイルの形成がトリトンの発生率に影響を及ぼすもの であり、トリトンの速度分布関数の形状がほぼ変わらないことに由来している。また、

D(d,n)3He反応がT(d, n)4He、6Li(t, p)8Li反応と同じ挙動を示す理由は、Fig. 1-5にある ように、D(d, n)3H反応とD(d, p)T反応の反応断面積がほぼ一致しているためである。

107 108 109 1010 1011 1012

100 101 102 103 104

(b)

90 keV 50 keV

10 keV

Ttail=1.95 keV(Maxwellian)

(4v/m t)f t[m-3 keV-1 ]

Triton energy [keV]

1010 1012 1014 1016 1018

100 101 102 103 104

(4v/m d)f d[m-3 keV-1 ]

Deuteron energy [keV]

Ttail=1.95 keV(Maxwellian)

90 keV 10 keV

50 keV

nd=1×1019m-3

p=4 sec

= 0.0002

(a)

Fig. 4-2 (a) 二温度Maxwell分布モデルによる重陽子速度分布関数と

(b) Fokker–Planck 方程式から得られたトリトン速度分布関数(Tbulk = 2 keV固定).

66

10

3

10

5

10

7

10

9

10

11

10

13

0 20 40 60 80

Re ac tion r at e [ m

-3

s

-1

]

T

tail

[keV]

D(d,n)

3

He

T(d,n)

4

He

6

Li(t,p)

8

Li

T

bulk

=2 keV (a)

Fig. 4-3 テイル温度に対する反応率(Tbulk = 2 keV固定)

4-4 プラズマ(バルク)温度がD(d, n)3He、D(t, n)4He及び6Li(t, p)8Li反応率へ及ぼす影響 本節では4-1節に記述した②プラズマ(バルク)温度の変化への感度に対する評価を行う。

4-3節の議論と同様に、ノックオンテイル形成の影響を除くため、テイル温度Ttailは固定し て、プラズマ温度(Tbulk)をパラメータとして変化させる。プラズマ条件はプラズマ温度 Ttail=90 keV、重陽子密度nD=1×1019m-3、粒子閉じ込め時間p=4 s、ノックオンテイル成分 の密度割合=2.0×10-2%である。Fig. 4-4(a)はTbulk=2、4 keVに対してノックオンテイル が形成された重陽子速度分布関数を示している。ここでは比較のためにノックオンテイル が形成されていない重陽子速度分布関数(Maxwell分布)も示している。Fig. 4-4(a)の重陽子 速度分布関数から FP 方程式を用いて得られたトリトンの速度分布関数を Fig. 4-4(b)に示 す。プラズマ温度が上昇することでD(d, p)T反応の反応率が上昇していることが分かる。

また、プラズマ温度の上昇はトリトンのバルク成分の温度の上昇に直結して影響されるた め、バルク成分とノックオンテイル成分のバランスが変化し、トリトンの速度分布関数の形 状変化が生じる。ノックオンテイルを固定してバルク温度を変化させた場合の反応率をFig.

4-5に示す。実線はTtail=90 keVのノックオンテイルが形成されている場合、点線はノック オンテイル形成がない場合を表す。D(d, n)3He、T(d, n)4He、6Li(t, p)8Li反応の反応率が それぞれ同様の増加を示す理由は Fig. 4-3 の場合と同様で、トリトンの増加に伴い反応率 が上昇するためである。また、ノックオンテイルの有無を比較した時(実線と点線の比較)、

バルク温度が低い場合に広がる差は、バルク温度が小さい場合にノックオンテイル成分が 反応に占める寄与が大きくなるためである。

67 109

1011 1013 1015 1017 1019

100 101 102 103 104

(4v/m d)f d[m-3 keV-1 ]

Deuteron energy [keV]

Tbulk = 2 keV Tbulk = 4 keV

nd=1×1019m-3

p=4 sec

= 0.02%

Tbulk = 4 keV Ttail = 90 keV

Tbulk = 2 keV Ttail = 90 keV

(a)

105 106 107 108 109 1010 1011 1012 1013

100 101 102 103 104

(4v/m t)f t[m-3 keV-1 ]

Triton energy [keV]

Tbulk = 4 keV Ttail = 90 keV

Tbulk = 2 keV Ttail = 90 keV

Tbulk = 2 keV Tbulk = 4 keV

(b)

Fig. 4-4 (a) 二温度Maxwell分布モデルによる重陽子速度分布関数と

(b) Fokker–Planck 方程式から得られたトリトン速度分布関数(Ttail = 90 keV固定)

Fig. 4-5 バルク温度に対する反応率

(T

tail

= 90 keV 固定)

10

0

10

2

10

4

10

6

10

8

10

10

10

12

1 2 3 4

Re ac ti o n r at e [ m

-3

s

-1

]

T

bulk

[keV]

D(d,n)

3

He

T(d,n)

4

He

6

Li(t,p)

8

Li

T

tail

=90 keV

with knock-on tail

without knock-on tail

68

4-5 プラズマ温度診断へのD(t, n)4He及び 6Li(t, p)8Liの利用

4-3節からノックオンテイル形成によってD(t, n)4He反応や6Li(t, p)8Li反応が受ける影 響はトリトン生成率の変化によるものであることが示された。D(t, n)4He 反応や 6Li(t, p)8Li反応からノックオンテイルの影響を取り除く手段としてD(d, n)3He反応の反応率で 比を取る。これは、トリトン生成反応のD(d, p)T反応がD(d, n)3He反応とほぼ同等の反応 断面積を持ち、さらにD(d, n)3He反応は中性子発生反応であり、反応率の計測が可能であ るためである。D(t, n)4He反応の反応率をD(d, n)3He反応の反応率で比を取った場合の値

をFig. 4-6(a)に示す。赤線はTtail=90 keVに固定してTbulkに対してパラメータを振った場

合で、Fig. 4-4の条件に対応している。青線はTbulk=2 keVに固定してTtailに対してパラメ ータを振った場合であり、Fig. 4-2の条件に対応している。実線はノックオンテイルが形成 される場合、点線は形成されない場合である。青線はノックオンテイル形成に対して比率が ほぼ一定であるのに対して、赤線はバルク温度に対して敏感に変化する。これは、ノックオ ンテイルに依存せず、バルク温度の変化に顕著であることを示す。また、ノックオンテイル が形成される場合と形成されない場合の差(Fig. 4-6(a)の実線と点線の差)をFig. 4-6(b)に示 す。赤線の場合はバルク温度が低いときに差が拡がる。これはFig. 4-5の実線と点線の差が 生じる理由と同じであり、バルク温度が低い場合のノックオンテイル成分が寄与する反応 の割合が増加するためである。青線の場合は、バルク温度が高くなるに従い実線と点線の差 が拡がる。これは、トリトンの生成分の補正をD(d, n)3He反応の反応率を用いて行ってい るためであり、D(d, n)3He反応とD(d, p)T反応の反応断面積差が表れている。しかし、い ずれの差もバルク温度の変化量と比較して無視できる程度である。

Fig. 4-6と同様に、6Li(t, p)8Li反応の反応率をD(d, n)3He反応の反応率で比を取った場 合とその実線と点線の差をそれぞれFig. 4-7(a)、(b)に示す。これらの傾向は、Fig. 4-6とほ ぼ一致し、D(t, n)4He反応と6Li(t, p)8Li反応の反応率差による違いがあるのみである。

D(t, n)4He反応と6Li(t, p)8Li反応はD(d, n)3He反応と反応率の比を取ることで①ノック オンテイル形成に影響されず②プラズマ温度(バルク温度)変化に敏感であることが示され た。D(t, n)4He反応と6Li(t, p)8Li反応の反応率に対してD(d, n)3He反応の反応率で比を 取った時、ノックオンテイル形成が影響を与えない理由は、トリトンのburnup成分と重陽 子のバルク成分が反応の大部分を占めているためであるが、これはノックオンテイルがバ ルクに比べて十分小さいため成り立っている。ノックオンテイルの絶対量、すなわちノック オンテイル成分の密度割合が増加した場合、Fig. 4-6(b)、Fig. 4-7(b)に示すようなノックオ ンテイルが形成される場合と形成されない場合の差は拡がる。例えば、ノックオンテイル成 分の密度割合=1%とした時を考える。ノックオンテイル成分の密度割合=0.02%でTbulk=2

keV、Ttail=90 keV 時のノックオンテイルが形成される場合と形成されない場合の差は

7.45%に収まる。一方、ノックオンテイル成分の密度割合=1%とした時のノックオンテイ ルが形成される場合と形成されない場合の差は10.1%に収まる。

69

0 0 1 2 3 4 5

0 20 40 60 80 100

T

bulk

[keV]

T

tail

[keV]

to D (d , n )

3

H e rea cti o n r ate [ x 10

-2

]

(a)

T

bulk

=2 keV(const.) T

tail

=90 keV(const.)

R a ti o o f T (d ,n )

4

H e R ea cti o n r ate with knock-on tail without knock-on tail 2

1

0 2 4 6 8 10 12 14

0 1 2 3 4 5

0 20 40 60 80 100

T

bulk

[keV]

T

tail

[keV]

d iff ere n ce b etw ee n wit h a n d wit h o u t k n o ck -o n tai l[% ]

T

tail

=90keV (const.)

T

bulk

=2 keV (const.) (b)

Fig. 4-6 (a) D(d, n)3He反応に対するT(d, n)4He反応の反応率比と (b) そのノックオンテイルが形成された場合とされない場合との差

70

0 0 1 2 3 4 5

0 20 40 60 80 100

to D( d , n )

3

He r e ac ti o n r ate [ x 10

-7

]

T bulk [keV]

T

tail

[keV]

(a)

T

bulk

=2 keV(const.) T

tail

=90 keV(const.)

with knock-on tail without knock-on tail

R a ti o o f

6

L i( t, p  )

8

L i R ea cti o n r ate 4

3

1 2

0 2 4 6 8 10 12 14

0 1 2 3 4 5

0 20 40 60 80 100

d iff ere n ce b et w ee n w it h a n d w it h o u t kn o ck -on t ai l[ % ]

T

tail

[keV]

T

bulk

[keV]

T

tail

=90 keV(const.)

T

bulk

=2 keV(const.) (b)

Fig. 4-7 (a) D(d, n)3He反応に対する6Li(t, p)8Li反応の反応率比と (b) そのノックオンテイルが形成された場合とされない場合との差

71

4-6 T(d, n)4He、6Li(t, p)8Li反応を利用したノックオンテイル観測実験手順

この節では、ノックオンテイル観測実験において、温度変化を考慮した実験手法の手順を 示す。提案されているノックオンテイル観測法は、D(d, n)3He 反応で発生する中性子、

6Li(d,p)7Li、6Li(d, n)7Be反応によって発生する線が、重陽子速度分布関数上に形成され

るノックオンテイル形成によって反応率に変化することを利用する。重水素プラズマにお いて、重陽子速度分布関数上にノックオンテイルを形成する際に高エネルギーの軽水素ビ ームを入射するため、プラズマ温度が上昇する可能性がある。D(d, n)3He、6Li(d, p)7Li、

6Li(d, n)7Be 反応の反応率はそれぞれプラズマ温度が上昇するに従い増加するため、ノッ

クオンテイル形成とプラズマ温度変化の影響を識別する必要がある。そこで、ノックオンテ イル形成に影響されず、バルク温度に対して敏感であるD(t, n)4He反応、6Li(t,p)8Li反応 を利用したノックオンテイル形成とプラズマ温度上昇を識別する方法を示す。

本研究で提案するノックオンテイル観測実験では、まず、ノックオンテイルがない場合に 対して関連する核反応の反応率(実験では計測率)とバルク温度の関係を求める。関連する核 反応の計測率とバルク温度を関係づけることで、計測器の精度や設置位置による幾何形状 の影響を除くことができる。次にT(d, n)4He、6Li(t, p)8Li反応のいずれかをD(d, n)3He反 応の反応率で比を取り、核反応の反応率とバルク温度の関係から予測される D(d, n)3He、

6Li(d, p)7Li、6Li(d, n)7Be 反応の反応率と実験で得られる D(d, n)3He、6Li(d, p)7Li、

6Li(d,n)7Be 反応の反応率を比較する。実験で得られる D(d, n)3He、6Li(d, p)7Li、

6Li(d,n)7Be反応の反応率が予測される反応率より高い場合、それはノックオンテイル形成

がもたらした影響であると判断することができる。一方、実験で得られる D(d, n)3He、

6Li(d,p)7Li、6Li(d, n)7Be 反応の反応率と予測される反応率が一致した場合は、ノックオ

ンテイルが形成されていないことを意味する。バルク温度Tbulk=1 keV、テイル温度Ttail=90 keVの時、本手法を用いて得られるバルク温度はTbulk=0.92 keVである。バルク温度Tbulk=1

keV、0.92 keVで、ノックオンテイルが形成されない時のDD反応の反応率はそれぞれ4.7

×109m-3s-1、2.9×109m-3s-1だが、バルク温度Tbulk=0.92 keVの時にTteil= 0.96 keV、=1%

のわずかなノックオンテイル形成によっても4.6×109m-3s-1の反応率が得られるため、誤差 は無視できる範囲であるといえる。

Fig. 4-8はT(d, n)4He反応とD(d, n)3He反応を利用した場合の手順を示している。Fig.

4-8 の上段に T(d, n)4He 反応の反応率を D(d, n)3He 反応の反応率で比を取った場合の値

(Fig. 4-6(a)の赤線に相当)、Fig. 4-8の下段にD(d, n)3He反応のバルク温度に対する反応率

を示す。重陽子速度分布関数上にノックオンテイルが形成されていない場合、D(d, n)3He反 応の反応率はFig. 4-8の下段中の赤線上の値となる。ノックオンテイルが形成された場合、

赤線値以上の反応率(灰色部の領域)となる。

Fig. 4-8と同様に、Fig. 4-9は6Li(t, p)8Li、D(d, n)3He、6Li(d, p)7Li反応を利用した場 合のノックオンテイル観測実験手順を示す。この場合も Fig. 4-8 と同様の手順でノックオ ンテイル形成を診断することができる。

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