第 6 章 :ホイヤスヴェルダの事例研究
⑪ ノイシュタット・センター
ノイシュタット・センターは、住宅地区ではなく商業施設を中心とした都市機能 が集積された地区であったが、その後の住宅需要の高まりによって、一部、高層住 宅を建設した。それらの高層住宅、特にラウジッツ・センターの周辺につくられた ものが撤去され、東側の跡地に関してはランドスケープ・デザインが施され、アメ ニティ性の高いオープン・スペースが創出されている。北側の跡地はまだ何も手が つけられていない。
写真 6-9 撤去跡地につくられたオープン・スペース
現存する建物 2005 年時点で撤去 された建物 2005 年〜2012 年の間 で撤去された建物
2012 年〜2015 年の間 で撤去された建物
写真 6-10 ラウジッツ・センターの北側の建物を撤去した跡地
図 6-22 ノイシュタット・センターの撤去状況
(4)撤去事業の特徴
ホイヤスヴェルダにおける撤去事業の空間的特徴としては、マクロ面とミクロ面 とで大きく分けられる。マクロ面では中心(核:Kern)を維持するために、周縁部 から撤退というものであり、都心から最も離れている第
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地区は住宅に関しては ほぼ完全に撤去している。第10
地区に次いで都心に対して周縁部にある第9
地区、第
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地区も相当数、撤去しており、今後も撤去はこの地区を中心に進んでいくであ ろう。周縁部においても、建物ごとに空き家率も異なれば、人々の人気も異なって いた。しかし、それらの違いを無視して、「ヨーロッパ都市」型のコンパクト・シ ティという望ましい都市構造の形成を意図して、ざっくりと周縁部を撤去するとい現存する建物 2005 年時点で撤去 された建物 2005 年〜2012 年の間 で撤去された建物
2012 年〜2015 年の間 で撤去された建物
う考えをマクロ面では採ることになったのであるxviii。
ミクロ面での特徴としては次のものがあることがフィールド・ワークから観察で きる。
① 間伐をするように住宅が集中している場所の、住宅を撤去する
② 大通り沿いの建物を撤去することで、展望を確保する
③ 撤去後は植栽などのランドスケープ・デザインを施している場合が多い これらについて、詳述する。
① この考えは、住戸密度の低減をすることで住環境を改善させる、という意図が ある。1999 年に発表された「都市デザインコンセプト」において、建物の撤去条 件として「撤去したことで生じる空地が現状を改善できるか否か」ということが挙 げられていたが、それを意識してか、コートヤードの中に設置された建物を間引き されるように撤去される傾向がみられた。これは、第
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地区(図6-14)などが典型
であるが、コートヤードの中につくられたような建物を撤去しても、コートヤード の空間構造は変わらず、ただ内部空間が広くなるだけである。また、この場合は、残された棟においては、より開かれた展望を確保することができる。さらには、需 要に応じて、これらを駐車場とすることも可能である。旧東ドイツ時代は、自動車 の所有率は低かったので、建設当時は駐車場の需要は少なかったが、現在は多くな っている。これら増えた駐車場需要に対応するためにも、これらのコートヤードは 有益である。
② この考えは、大通り沿いの建物を完全撤去することと、大通り沿いに巨大な建 物が連続して林立している単調な道路景観を壊すという
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つのアプローチに反映さ れている。前者は、エーリッヒ・ヴァイナート通りなどが典型だが、道路沿いの建 物をほぼ完全に撤去し、道路からの展望を確保している事例である。後者は、第5
地区などが典型だが、単調な建物が続く道路景観を壊すために、建物を1
つおきに 撤去することで景観の分節化を図っている。これは、中心部の大通りでみられる撤 去方法である。③ ホイヤスヴェルダでは、撤去跡地を積極的に森へと還元しようとする動きがみ られる。これは荒れ地にまかせたアイゼンヒュッテンシュタットなどとは異なるア プローチであるし、マクロ面での撤去地区を経費削減のために放置しているコット ブスなどとも異なる。第
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地区では植樹され、立派な森へと変容しつつあるし、第7
地区では畑として耕されている痕跡もみられる。6−3 ホイヤスヴェルダの成果と課題
(1) ホイヤスヴェルダの成果
ホイヤスヴェルダは極めてトップダウンで縮小政策を展開してきた都市である。
第
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章で整理したアイゼンヒュッテンシュタット市と類似点が多いが、ほとんど更 地につくられたアイゼンヒュッテンシュタット市と違い、ホイヤスヴェルダはアル トシュタットという核が旧東ドイツ以前から存在した。そのため、どんなに縮小し ても、この村の規模は維持できるという考えを人々は有している。無理矢理、無か ら都市のアイデンティティをつくらなくてはいけないという切迫感のようなものが、アルトシュタットが存在するホイヤスヴェルダには強く感じられない。この点 はアイゼンヒュッテンシュタットと比べた時のホイヤスヴェルダの強みであると 考えられる。このアルトシュタットを精神的なコアとして位置づけ、都市計画的な コアはアルトシュタットとノイシュタット・センターとを結ぶ軸として定める。柔 軟で戦略的な都市計画であると考えられる。
以下、これらの戦略の成果を検証する。