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1%もあることが理解できる。この事実は、ミク ロな建物(棟)レベルでの縮小政策では、市が策定する計画通りに遂行できてい

第 5 章 :ライプツィヒ・グリューノウ団地の事例研究

ずに撤去されたものも全体の 34. 1%もあることが理解できる。この事実は、ミク ロな建物(棟)レベルでの縮小政策では、市が策定する計画通りに遂行できてい

ないことを示唆している。

  この計画されて撤去された建物と計画されずに撤去された建物の特徴を、以下、

比較する。

  表

5-11

はゾーニングを比較したものである。これより、第一期で計画されて撤 去されたものと、計画されずに撤去されたものも「リストラ地区」が多く、一部

「現状維持地区」もあるが、違いはほとんどない。

表 5-11  撤去された建物の計画の有無とゾーニングとの関係(棟数) 

    第一期では計画されず  第一期で計画 

リストラ地区  11  24 

現状維持地区  3  3 

修繕地区  0  0 

  表

5-12

は空き家率を比較したものであるが、第一期で計画されて撤去されたも のの方が若干、空き家率が高いものが多いが、それほどの差ではない。

表 5-12  撤去された建物の計画の有無と空き家率との関係(棟数) 

空き家率  第一期では計画されず  第一期で計画 

20%以下  8  14 

20%-30%  2  3 

30%以上  4  10 

  表

5-13

は修繕状況を比較したものであるが、第一期で計画されて撤去されたも のは、部分改修のものが若干、多いが、これもそれほどの違いはみられない。

表 5-13  撤去された建物の計画の有無と修繕率との関係(棟数) 

修繕状況 第一期では計画されず 第一期で計画

改修無し

13 23

部分改修

1 4

  これらの比較結果からも、計画されて撤去されたものと、計画されずに撤去さ れたものとに大きな違いはみられなかった。これから考察されることは、第一期

の撤去計画を策定した後、量的に撤去戸数を増やす必要性が生じたため、類似し た条件を有していた、撤去が計画されていなかった建物を撤去したということで ある。実際、ライプツィヒの市役所での担当職員への取材調査でも、「第一期はと りあえず数を減らすために建物を撤去した」と回答していたxxvi。第一期の撤去政 策では、空き家率が高く、修繕状況が「改修無し」で、またマクロ的な側面から は「リストラ地区」と指定されていた建物を優先的に撤去することにしたが、そ れでは量的に不十分であったために、類似した条件の建物を撤去することが行わ れたと考えられる。

3

)第二期以降の撤去の実際

  実際の現地での踏査結果を踏まえて、第二期に計画されて撤去されたもの、第 二期に計画されなかったにも関わらず撤去されたものを図

5-35

に示した。

 

図 5-35  第二期以降に撤去された建物 

(出所:ライプツィヒ市の資料に加え、著者による現地調査にもとづく)

第二期で計画・撤去された建物 第一期で撤去された建物

第二期で計画されず撤去された建物 2015年7月に現存する建物

C-3 C-5

C-4 C-6

C-1 C-2 C-7

C-8 C-9

C-10 C-11

C-12 C-13

C-14

C-15

C-17 C-18 C-19

C-20

C-21

B-19

B-17 B-18

B-20

B-21 B-1 

B-3

B-4 B-5 B-6

B-2

B-7 B-8 B-9

B-10

B-11 B-13B-12 B-14

B-15 B-16 C-16

① 第二期に計画されて撤去されたもの

  第二期に計画されて撤去された建物の目録を表

5-14

に示す。これらの建物は全 部で

21

団地(30棟)ほどある。ほとんどが「撤去候補のベルト地帯」に含まれ るが、一棟だけが地区

4

に含まれる。

表 5-14  第二期に計画されて撤去された建物 

建物番号 地区 棟数 階数 空き家率(%) 修繕状況 会社

B-1 W7 2 5 >50 unsaniert VLWG

B-2 W7 1 9 20-30 teilsaniert LWB

B-3 W7 2 11 20-30 teilsaniert LWB

B-4 W7 2 11 30-40 teilsaniert LWB

B-5 W7 2 11 20-30 teilsaniert LWB

B-6 W7 1 11 20-30 teilsaniert LWB

B-7 W8 2 11 10-20 unsaniert WG Lipsia

B-8 W8 1 11 10-20 unsaniert WG Lipsia

B-9 W8 3 6 10-20 unsaniert BGL

B-10 W8 2 6 20-30 unsaniert BGL

B-11 W8 1 6 10-20 unsaniert BGL

B-12 W8 1 6 10-20 unsaniert BGL

B-13 W8 2 6 20-30 unsaniert BGL

B-14 W8 1 6 20-30 unsaniert BGL

B-15 W8 1 6 30-40 unsaniert WG Unitas

B-16 W8 1 6 30-40 unsaniert WG Unitas

B-17 W5-1 1 6 30-40 unsaniert WG Transport B-18 W5-1 1 6 20-30 unsaniert WG Transport

B-19 W4 1 9 30-40 teilsaniert LWB

B-20 W7 1 9 >50 unsaniert WG Transport

B-21 W7 1 9 >50 unsaniert WG Transport

(出所:ライプツィヒ市資料)

  これより、棟ベースでみると

70%が改修無しではあるが、 30%は部分改修のも

のが含まれている。ただし、部分改修のものはすべて

LWB

である。表

5-14

の中 には空き家率が

20%以下の建物がある。これらは WG Lipsia

BGL

が所有して いる。階数も

11

階と

9

階だけでなく、6階建てや

5

階建てのものも撤去されて いる。

② 第二期に計画されず、結果として撤去されたもの

  第二期に計画されず、しかし撤去された建物の目録を表

5-15

に示す。

表 5-15  第二期に計画されず、しかし撤去された建物 

建物

番号  地区  棟数  階数 

空き家率

(%)  修繕状況  会社 

C-1 W4 1 9 30-40 teilsaniert LWB C-2 W4 1 9 30-40 teilsaniert LWB C-3 W4 1 9 30-40 teilsaniert LWB C-4 W5.1 1 6 40-50 teilsaniert LWB C-5 W5.1 1 6 40-50 teilsaniert LWB C-6 W5.1 1 6 20-30 teilsaniert LWB C-7 W5.2 1 6 20-30 teilsaniert LWB C-8 W5.2 1 6 20-30 teilsaniert LWB C-9 W5.2 1 6 20-30 teilsaniert LWB C-10 W5.2 2 6 30-40 teilsaniert LWB C-11 W5.2 2 6 20-30 teilsaniert Pro Leipzig

C-12 W7 1 5 20-30 unsaniert VLWG

C-13 W7 2 5 20-30 unsaniert VLWG

C-14 W7 2 5 30-40 unsaniert VLWG

C-15 W7 1 30-40 teilsaniert LWB

C-16 W8 1 6 40-50 teilsaniert LWB C-17 W8 1 6 20-30 vollsaniert BGL

C-18 W8 1 6 40-50 unsaniert Sonstige Eigentümer C-19 W8 1 6 40-50 unsaniert Sonstige Eigentümer C-20 W8 2 6 40-50 unsaniert Sonstige Eigentümer C-21 W8 1 6 30-40 unsaniert WG Unitas

(出所:ライプツィヒ市資料)

  これより、市の住宅会社(LWB)を除くと、一棟を除いて部分改修のものはな く、「改修無し」のものが

11

17

を除いて占めている。一方で

LWB

の所有する 住宅でこの期間に撤去されたものはすべて「部分改修」をしている。

2004

年の時 点で、既に

LWB

が所有する住宅で「改修無し」のものは、撤去されるなどして 皆無である。撤去の優先順位としては、「改修無し」が「部分改修」を上回るのが 妥当である。ただし、住宅会社は市の都市計画発展コンセプトの縮小政策に必ず しも従う必要はない。そのような状況下、市の住宅会社である

LWB

がある程度、

建物の撤去に協力して、住宅市場の調整に動いたという背景が推察される。LWB

が所有する建物

6,7,8,9

などは空き家率も

30%以下なので、相対的にそれほ

ど悪くはないが、結果的に撤去されている。地区

8

のトラムの南側には、空き家

率が

40%〜50%で、「改修無し」の VLWG

が所有している建物がある。この建物

は現在でも撤去されていない。そして、後述するが撤去による住宅市場の適正化、

そして人口の回復に伴い、現在、住宅が供給過多の状況は大きく改善されたこと もあり、ライプツィヒ市は

2015

年にグリューノウの建物のこれ以上の撤去を禁 止することにした。撤去すべき条件を有していた建物を撤去せずに、より維持す べき建物を撤去したことで市場が適正化されたとすれば、これは、旧東ドイツの 撤去事業の

1

つの問題点であると考えられる。

  これらに加えて興味深いのは建物 17であり、これは「完全改修」をしており、

空き家率も

30%以下で特に問題が見当たらない。ただ、周辺の建物も WG Lipsia

が所有しており、この建物を穿孔するかのように撤去をすると展望が広がり(写 真

5−8

参照)、残った建物の生活環境が向上する。「肉を切らせて骨を切る」的 な考えがあったことが推察される。

写真 5-8  建物 17 が撤去された跡地 

5−4  グリューノウ団地の撤去事業の成果と課題

(1)

撤去事業のまとめ

  これまで、グリューノウ団地の撤去事業を「第一期で計画されて撤去」「第一期 で計画されなかったが、第二期までに撤去」(表

5-10

参照)「第二期で計画されて 撤去」(表

5-14

参照)「第二期で計画されなかったが撤去」(表

5-15

参照)との

4

つに分類した。これらの特徴をまとめたものが表

5-16

である。

  グリューノウ団地では、これまで

96

棟の建物が撤去された。第一期計画で撤 去されたのが

41

棟、第二期で撤去されたのが

55

棟である。また、計画されて撤 去されたものが

57

棟、特に公表された計画がなく撤去されたものが

39

棟ある。

表 5-16  撤去計画との関係性による撤去建物の分類 

  撤去計画との 位置づけ

合計 棟数

改修状況 空き家率 改修

無し 部分 改修

完全 改修

20%以 下

20%〜

30%

30%

以上 第一期で計画されて撤去 27 23 4 0 14 3 10 第一期で計画されなかっ

たが、第二期までに撤去 14 13 1 0 8 2 4 第二期で計画されて撤去 30 21 9 0 7 12 11 第二期で計画されなかっ

たが撤去 25 9 15 1 1 9 15

(出所:ライプツィヒ市の資料をもとに筆者作成)

  以下、これまで得られたデータによって、撤去計画との関連性による撤去建物 の属性に違いがあるかを分析する。

① 改修状況

  改修状況と撤去された建物の「撤去計画との位置づけ」による違いがあるかの 有意差検定(カイ二乗検定)を行った。「第一期」と「第二期」(表

5-17)そして

「計画されて撤去」と「計画されていなくて撤去」(表

5-18)を独立変数として、

改修状況を従属変数とした。

  その結果、第一期と第二期とでは改修状況に有意差(p<0.005)がみられた。

第二期は第一期に比べてはるかに多くの「部分改修」の建物の撤去を行っている。

  また、「計画されて撤去」と「計画されていなくて撤去」とでは、改修状況に有 意差(p<0.05)をみることはできなかった。計画ありきの撤去と計画なしの撤去 においては、後者の方が「部分改修」が多いという傾向はあるが、カイ二乗検定 で有意差がみられるほどの違いではない。

表 5-17  第一期と第二期における撤去した建物の改修率 

    改修無し  部分改修  完全改修 

第一期  36  5  0 

第二期  30  24  1 

表 5-18  撤去計画の有無と撤去した建物の改修率 

    改修無し  部分改修  完全改修 

計画あり  44  13  0 

計画なし  22  16  1 

② 空き家率

  改修状況と同様に、空き家率についても「撤去計画との位置づけ」による違い

があるかの有意差検定(カイ二乗検定)を行った。「第一期」と「第二期」

(表 5-19)

そして「計画されて撤去」と「計画されていなくて撤去」(表

5.20)を独立変数

として、空き家率を

3

段階に分けたものを従属変数とした。

  その結果、第一期と第二期とでは空き家率に有意差(p<0.005)がみられた。

第一期は第二期に比べてはるかに「20%以下」の空き家の建物の撤去を行ってい る。ただ、これは第一期と第二期とを比べると、全般的に第二期の空き家率が向 上しているので、一概に撤去する建物の選別の考え方に違いがあるとは断定しに くい。

  また、「計画されて撤去」と「計画されていなくて撤去」とでは、空き家率の高 低によって有意差(p<0.05)をみることはできなかった。計画ありきの撤去と計 画なしの撤去においては、後者の方が「空き家率」が多いという傾向はあるが、

カイ二乗検定で有意差がみられるほどの違いではない。

表 5-19  第一期・第二期と撤去した建物の空き家率      20%以下  20%ー30%  30%  以上 

第一期  22  5  14 

第二期  8  21  26 

表 5-20  撤去計画の有無と撤去した建物の空き家率      20%以下  20%ー30%  30%  以上 

計画あり  21  15  21 

計画なし  9  11  19 

③ 階数

  第一期に撤去した建物のすべての階数のデータが入手できなかったため、二期 においてのみ、「計画あり」と「計画無し」で撤去した建物の階数による違いがあ るかの有意差分析を行った。その結果、階数による違いによる有意差(p<0.05)

がみられた。

11

階などの高い建物は「計画あり」で撤去する傾向があるのに対し て、「計画なし」では

5

階建て、6階建てといった比較的低い建物でも撤去する傾 向にあることがうかがえる。「計画あり」の場合は、高い建物を撤去したがる傾向 があることが推察される。

表 5-21  第二期における撤去計画の有無と撤去建物の階数 

(出所:ライプツィヒ市のデータを筆者が集計)