. ・o. 一 願・ ■ ■ ・● ・
B通知票には、「ノートに字を書くとき、視線をそこに集中して軽く手が 動く。線や形の模写などもうまくなった。」と書かれている。
一116一
第2節 充実期
1.中学校1年生
中学校に入学してからは、アメリカの学校にいた時期を除き、親の判断で他の訓 練プログラムが完全にできなくても「書くこと」に特別の力を入れることになる。
その結果、五十音が完全に書けるようになったり、書く文字の大きさがだんだん小 さくなり、書き華客のノートのますに納まるようになっていった。そして、10月 のある日、練習の最後に「今の自分の気持を書いてごらん」と母に言われて、「ね むたいな」と書いた。このことについて親は、「自分の気持を完全に一人で表現で きたということは、Yのr書く』という作業の歴史の中で1つのエポックと言える だろう」と書いている。またこの時期の進歩の様子について通知票に次のような記 述がある。「2学期におどろくべき進歩がみられた文字、これは毎日毎日の継続、
反復のたまものだと思われる。1つの事を完成させるのに、健常児の何十倍、何百 倍の努力が必要とされるのに、本当に根気よく頑張る姿は見事です」。
この時期の進歩の様子を月別に以下の表にあらわしてみた(表7−2)。また、
図7−2は、本地の中1のときに書いた手紙の一部である。
豆.中学校2年生
本児は、母親以外の人の前、とくに自分の能力を疑っている人の前では書ける字 も書けないという状態が長い間続いたが、この時期になると両親や担任以外の人の 前でも書けるようになうた。このことについて親は、「ここまでくるのに8年半か かった」と感慨深く述べている。文字の大きさもさらに小さくなり、1行が18ま すのノートが使えるようになっている。両親の知人に手紙文も書いた。また、学校 での漢字にふりがなをつけるテストのプリントの一部に、答を書けるまでに成長し た。図7−3は中2のときの手紙の一部である。
以下の表で、月別に発達のあとを追ってみることにする(表7−3)。
一117一
III.中学校3年生以降
これまで主としてシャープペンシルで書いていたが、それは芯の太さが一定だと いうことと、鉛筆なら芯がなくなったらそのことばかり気にするからであった。し かしこの時期になると、鉛筆にしても何ら問題はなくなった。また、この時期のあ る時から、母親の実家の祖母に毎日絵はがきを書くようになった。このことについ て親はこう記している、「日記を書かない日はあっても、はがきを書かない日はな いというくらい1日も欠かさず書いてきた。最初の頃は、『今日はくんれんをしま
した』ぐらいだったが、だんだん長くなって、『今日はくんれんをしましたが、と てもさむい1日でした。福岡はどうですか。』などと書いている。宛名は、名前の 他は親が書いている」。
月別に見た発達の過程は、以下の表の通りである(表7−4)。図7−4は中3 のときの手紙であり、図7−5−1〜10は文字が小さなわくに収まるまでの経過
を表わしたものである。
表7−2 中学校1年生の書字能力
月
内 容
担任の先生の前で自分の苗字を書く(それまで親以外の人の前では書け
9
なかった)。
①毎日五十音を書かせている。これは何の困難もなく比較的小さく速く ・ 層 ・ ● ・ ● ・● ■ 冒■ ■ ロ■ … . o ・ ・ . . 甲 ■ 署
■ 響 ・ ● ■ ■ ・ ● 曽 噛 陰 o ■ ■ 曹 曹 ・ ● ・ 圃 ・ 冒 ■ ■ , ■ ■ 冒 ■
曹ッるようになった。完全にマスターした文字などの場合は、右手を机 , o● 噸 鰯 ■ ■ . 璽畢画 噛 ■ .o . . ■ . 璽■ . ■ ■ . ■ ■ ■ 9, 0 0 願 卿 鱒.電 . 甲 . 量 顧 − 噸 一
の上につけて書くようになった。
賢 9唇 卿 − .■ 畢。 昌 ■ . 9・ ■ 噛 冒 ・ . ● 響. . . .
Aこれまでは、本児か母が口で言ったものを書いていたが、目の前の紙
10
9■● ■ 喀・・● .. ・ 噂 ・ ・ ●
ニいうやり方をしてうまくいった。 o 噸 圃 . ・ ■ ・ 卿③1ヵ月前にはとても苦労していた、1行が8ますのノートの1ますに ・ ・ .
1字を書き入れるということが簡単にできている。
類に続く
一118一
①五十音の他に、あいさつの言葉や片仮名の練習を始めた。
・●・.■■■ ■・■■ 胃 ●●●●9. . ■ A教科書の物語「トロッコ」の書き写しを始める。1つの文章を書くの●・.■.■鱒喝.・.■r.● O●● o.■r■ 喧●−−
に気の遠くなるほど時間がカ・かるが、どこまで書き続けられるか挑戦し。■■●●■■曜●⇔■■●巳昌。.●●■周。層幽零・署.■■■鱒.・o■圃 ■o・oo・..駒9■..願。鰯・慮唱9層・
トみる。16日後、書く量:を少し増やさせようと、母親が読み上げてど ρ..
11
層■冨巳■ . 冒.. 卿・.o.o.… . o■どん書かせると、サッサと書き進めて行くことができた。文字を反射,… . 犀■・ooo曹■層■ ●■画「..,噛… ●o・・Iに思い浮かべて書くということについては、かなり能力が育ってきて
髄■■■ ■,■ロ■ ■,■●噸■●■ ●毯 .口囲■ ■o噂● ・●.
「るのだなということが分かった。 18日後に、約5000字の「トロッ コ」を書き終えたので、家族で胴上をした。
①年賀状をスラスラという感じで書いた。 ■ ●● ● 一己噛璽画●・
②一茶の俳句を書く練習を始めた。
■ ■ ● ■昌■■量胃 ■ ■ ■ ●● ●●9 冒●一 卿9一.卿 OQ●●.噛 ・曹.■ ■.q■9■ .o
B1行が・12ますのノートを使う。 圃●■ .●ρ■ ■■ ■ ■o■ ●幽幽.・
12
,層 . 冒9・● ・ ● ,C教科書の「土に還る」を書きあげ、「オオカミは害獣か」を写し始め
曽層,・..・・■■●■曜・9■■■・●ロ,■・層.噛●層ロ■o■.昌昌噸 ,
驕B ■顧・■, .■ .・噂鱒 ●,ρ.・
⑤担任に提出する「発見ノート」を遂に一人で書く。日付、天気と「今 ■幽冒■ロ■o,■■■噂尊■●幽●●・■■■■■辱●曹oρo噛■匿層■●■■■幽幽.・−・・. ..o・ ■■ 96噛・. 8・畠■の■
・冒。,璽。璽噌・・陰. .量.. 願。■
冝A2組と体育をした。」など3っの文を書いた。
①母親だけでなく、父親の前でも書けるようになった。
1
・・齢・・9噸 噸 胃。.o曹・.Aシャープペンシルだけでなく、鉛筆やボールペンでも書けるようにな ■ 願■弓 ● ●●層 ■ 冒9■ ■ o●■ ■,o暉 り■●●■ ■■ 卿 墨噂■■ ●●. ■ ■耳唇。曜凸凹 ,■唖●●8巳尊■■●量■9閂 r■●■ ●■●■9・■・■.鴨oo鱒ρ●巳.r o●■■●. ■.噂● ■●o●9・oつた。
①書くときに、口ばかりが先行して字をとばすという問題が出てきた。圃●曜■■o● ■ ■■ oo■o●●■ ■闇 ■ ■ ■山山 贈讐鴨■9■ ■ の ,r■●ロ■ ■ ■鱒砂。■■■ ■ 囎曽●■.■一 r噂。■ .●■● ●■胃■■噂 ■ ■噛曹■ ●■■ 一 , 冒 ■賜●● ●噛曽● ρ●.
D「わたしは」と書く時、「た」までしか書いていないのに口では「し」 ■ .
3
と言ってしまい、字では「し」をとばして「は」を書く。願吻●魍●巳● ■go■ ●.●暉 o剛■ 9 ●●■ ρ.■■卿 o●●●魎 卿・ 印。■● ●■ ■ oの■ ●■●■■卿 ■■ , .響
.卿璽■●冒・ . 目口■一 ● ● ● ■卿曝■顧■● ● 弓層■昌●昌9
アとによって、書くことでも、音読することでも、促音便、拗音がほぼ
.,瞬■ ■一■ 噂 の曜,■ ■9鴨 ■咽喩● 幽巳■ o 胃昌■噌■●● ●● ■幽 ・o.
揄 でき、「え」と「へ」の使い分けもきちんとできるようになった。
一119一
表7−3 中学校2年生の書字能力
月 内 容
①母親→父親→担任の先生についで、入り込みのS先生とも字を書ける ■ ● ■ ■ 匿. ■ ■ 「 ■ 嘗 ・ . o・ 噂 ● . ■ ■ ■ o● . , ■ . ■ 噂 層 ■ ■ ■ .ρ. .魎 .
ようになった。 ■ ■ , 一 噂 o噸 ・ 層 ■ 層 ■ ■ ■ ρ 零 . . ,
5
②初めて社会の時間にノートを書いた。文字を書く列は乱れているが、
■ ■噂 噸 ■. ・■ ・.■ 9 ●●層ρ,.■ 一■■o,■9■
u2、やまとちょうていはいつごろせいりつしたか」と書いた。
①教科書の「うずら」を1行が15ますのノートに書き写していたが、曽 ,冒■騨の噂 ■ ■噂●●昌■ ■● ■・o ■ ●,●●●■..■ ■■ 一吻● 脚■.■■ ..■ 圃50●噛 .■■●■● ● 唱 ●. ・
?ニ1枚になったところ、初めて終末努力を見せて最後まで書いた。. 昂■ ■ のゆ ● .● . 鰯 ■ , … . ■ , . ■ 辱 ● , . 噛 ● ・ ・ ■ ■ . ■ ・. ■ ・. 冒 , ■ ●■ 璽 ,耳 . .
②平仮名を漢字になおす際、まとめて読めないと漢字で書けないというG■● ● ■ ■ , ● 曝 噂 曹噌 ■ 噛 冨冒 . 冒 ■ 噂 6● ■ 曹 ● 暉 ■噂 胃 ● ● ・ ■ . ● ■ o ● o ・ ■ ■ 一 鱒 ■ ■ . ● 9 ■ o■ ● ● 層● . 璽印 .
6
問題点が出てきた。 ■ 層■ . ■ 昂昌 ■
③社会の小テストで、「長安」「太宰府」の読みがなが書けて10点も
. ロ■ 昂 o .. ■ ・ ロ。 ■ 昌 . 噌
轤、。
7 両親の知人Tさんにあてた手紙文を書く。
①社会科の宿題プリントのふりがなをつけた。77題のうちほとんどを.●. 巳 . ρ. , o ・ ● ・ ■ 曽9 曙 . o ● . .曽 ・
9 自分で読み、声に出したあと、平仮名で書いた。声を出さずに目でみて
・塵 ,昌欄.・・●畠
曹ュことはできない。
甲.冒 ■ 卿 9・ ・ 9 . ● ■ の ■ ■ ■ 胃 ■昂 弓 ■
A横書きになると、どうしても一段か二段ずれて書いてしまう。
10
いう表情を見せた。11
練習用のノートを1行が15ますのものから18ますのものに変えた。12
教科書の「友よ」を書き終えて、「晩夏」(井上靖)を書き始める。こ辱O●■●,・ .■., ■ ●●● ●■量.Q■讐● O●− ●.重鱒O ●囎■ ..
れは字が小さいので、別紙に赤マジックで大きく書いた本にした。
①冬休み中に集中的にカタカナを書く練習をした。●.賜謄.ψ・・..甲.・o・略・●■■o..・傅・胃■.・.聖唱噌■■■■ ロの。響■■
A母親が読むのを書きとるというのをやめ、自分で一節を読んで書くと
1
いう練習をした。層●■o卿り. ・o・・●・.■ . ..囎・...o.・ ■■ .・・.,■ .・腫「oo■③問題点として、日記を書くとき、母親が少しそばを離れているともう
喝 ・●■岬 ■「・ ・66● 圃■ ・. ・ ●.o■ .■り甲
mートから目が離れてしまい、ほとんど書けない。
次頁に続く
一120一
2
3
①65日間かかって、教科書の「晩夏」を書き終える。
②「あ」から「お」まで2文字を組み合わせた単語を、黙って見て書く 練習をした。初めは、例えば「あ」をとばして「さ」や「き」だけを書 いたりしていたが、慣れるとできるようになった。
③目で見て書く練習として、漢字を見てそれを平仮名で書く練習をした が、漢字のまま書いてしまった。また、ふりがなを縦に「けん」と書く べきところを「んけ」と逆に書いた。
①2文字を終って、3文字の書き写しに移ったが、母親の「よくみて」
という回数は増えたものの、驚くほどスムーズに、無言で書き写してい った。しかし、時々真中の文字を抜かすので注意をする。
②一段上に行き、書き終った語句を隠さないことにしたが、それではそ ちらの字も目に入るらしく難しいことになった。
表7−4 中学校3年生の書字能力
月
4
7
11
1
内
容
4文字の漢字入りの単語を書いている。時々5文字の平仮名の単語を混 ぜているが、これは難しい。
今までとちがい、母親が本を読みそれをどんどん書くという形をとって いる。今までの自分で読み取り書くというのは、両方とも遅くなるから である。
日記を横書きで書かせようとすると、すぐ縦書きのようになった。
①書ける漢字の数を調べたところ、小1の76のうち67は完全に書け
ることが分かった。
②アルファベットの活字体大文字を書く練習を始める。横から腕をコン トロールしながらようやくなんとか形をなす段階である。線の入ってい ないノートではかなり完全な形をとれることが分かった。
③初めての横書きの日記帳が終る。最初の頃と比べると、文字がはるか に小さくなってきた。
一121一
類に続く
り臼