第 3 章 パワー半導体デバイスプロセス
3.5 メサエッチング時のドライエッチングダメージ低減
3.5.2 ドライエッチングダメージのアニールによる回復
前述の通り、3層マスク構造ではメサ側面へのダメージを低減することは出来 ない。そこで、ドライエッチングダメージのアニールによる回復を試みた [72]。図3.11にアニールによるダメージ回復プロセスフローを示す。まず図 3.7に示した3層マスク構造メサ形成プロセスを用いてメサを形成した(図 3.11(a))。
次にNiを除去して全面にスパッタリング法でSiNを形成した(図3.11
(b))。
次にレジストマスクでp-GaN表面上のSiNとSiO2、SOGをHFを用いてエ ッチング除去した(図3.11(c))。続いてダメージ回復を兼ねたMg活性化ア ニールを行った。アニール条件は850℃ 30分(N2中)である。メサ形成によ
りp-GaN層やn-GaN層の側面が露出した状態でアニールを行うと、そこから
GaやNの抜けが発生しやすく特性劣化の原因となり得る。そこでアニール時 のメサ側面保護のためSiN膜を形成した。また、全面がSiNで覆われている 状態でアニールを行うと、p-GaN層表面からHの抜けが発生しにくいためMg の活性化が妨げられる恐れがある。そこでp-GaN上のSiN表面はエッチング
を行いp-GaN層表面を露出させた。以降は図3.4に示したプロセスと同様に
行った。
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また本研究ではp電極端からメサ端までの距離がどのように特性に影響を与 えるかも評価するため、図3.12に示すようにp電極端からメサ端までの距離 を5~100μmまで変化させた素子も作製した。図3.13に試作を行った試料の 層構造を示す。p-nダイオードの電極径は60μmである。
図3.14に耐圧のp電極端-メサ端距離依存性を示す。p電極端-メサ端距離の 変化による特性の変化は見られなかった。p-nダイオードの逆方向電圧印加時 の破壊は、最も電界が集中するメサ端で起こることが多い。メサ端部分にダメ ージを受けたp-nダイオードは、p電極端からの距離に関わらず、一定の電圧 印加時にメサ端で破壊が発生すると考えられる。本試料では、ばらつきはある ものの、回復アニールによって耐圧の向上がみられた。破壊箇所がメサ端が中 心である事に相違はないが、その部分のダメージがアニールにより回復したこ とで耐圧が向上したものと思われる [73]。
図3.15にオン抵抗のp電極端-メサ端距離依存性を示す。回復アニール有の試 料でオン抵抗の低下が見られた。しかし本試作では、回復アニール無の試料は メサエッチングの際に3層マスク構造を用いていない。回復アニール有の試料 は3層マスク構造を用いているため、本試作における評価結果のオン抵抗の差 は回復アニールの効果と3層マスク構造の効果の切り分けをすることが困難で ある。また、耐圧同様オン抵抗に関してもp電極端-メサ端距離の変化による特 性の変化は見られなかった。p-GaN層はn-GaN層に比べ膜厚が薄いため、 p-GaN層の横方向の抵抗は比較的高くなり、p-GaN層内での横方向の電流の拡 がりは小さくなると思われる [74]。そのためメサ端付近ではp-GaN層に電流 はほとんど流れず、本研究で検討を行ったp電極端-メサ端距離の範囲内では距 離依存性が観測できなかったと考えられる。p電極端-メサ端距離5μm以下で 評価を行う必要がある。
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