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5-1長期戦略の位置づけ

➢ 連邦政府の気候保護計画2050は、パリ協定に基づく国家気候保護目標を達成する ためのプロセスに関し、エネルギー供給、建築物や交通機関、産業や経済並びに農 業及び林業の各分野の内容について情報提供するものである。

Der Klimaschutzplan 2050 der Bundesregierung soll für den Prozess zum Erreichen der nationalen Klimaschutzziele im Einklang mit dem Übereinkommen von Paris inhaltliche Orientierung geben: In der Energieversorgung, im Gebäude- und Verkehrsbereich, in Industrie und Wirtschaft sowie in der Land- und Forstwirtschaft12.

➢ 気候保護計画2050は、固定的な手段ではなく、温室効果ガスニュートラルな国民 経済に至る過程における方向性を示すものである。この計画は、技術的、公共的、

政治的、社会的、経済的発展及び変化、並びに新たな科学的成果を実現するため、

定期的にパリ条約に基づき適応させる。

Der Klimaschutzplan 2050 ist kein starres Instrument, sondern weist die Richtung auf dem Weg zu einer treibhausgasneutralen Volkswirtschaft. Er wird in Einklang mit dem Übereinkommen von Paris in regelmäßigen Abständen angepasst werden, um auf technische, gesellschaftliche, politische, soziale und ökonomische Entwicklungen und Veränderungen sowie neue wissenschaftliche Ergebnisse zu reagieren13.

5-2排出削減目標(部門別、位置づけ)

 基準年排出量:1246百万t-CO₂

 目標水準(2020年 2005年比40%減):748百万t-CO₂

 目標水準(2030年 2005年比55%減):561百万t-CO₂

 目標水準(2050年 2005年比80%減):249百万t-CO₂

12 Klimaschutzplan 2050 P.3

13 Klimaschutzplan 2050 P.7

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図 5-1 部門別温室効果ガス排出量の推移

出所:実績値は欧州環境庁(EEA)、2020年、2030年、2050年の目標水準は2005年実績に基づく試算値

図 5-2温室効果ガス別排出量の推移

出所:実績値は欧州環境庁(EEA)、2020年、2030年、2050年の目標水準は2005年実績に基づく試算値

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長期戦略に示された2030 年の部門別の削減目標は以下の通り。上記のEEA の実績値と は、部門の定義が異なる。また、2050年の部門別削減目標は示されていない。

表 5-1 部門別排出削減目標 活動分野 1990

(Mt-CO₂)

2014

(Mt-CO₂)

2030

(Mt-CO₂)

2030

(1990比)

エネルギー産業 466 358 175-183 62-61 %

建物 209 119 70-72 67-66 %

輸送 163 160 95-98 42-40 %

工業 283 181 140-143 51-49 %

農業 88 72 58-61 34-31 %

小計 1209 890 538-557 56-54 %

その他 39 12 5 87 %

合計 1248 902 543-562 56-55 %

出所:Klimaschutzplan 2050, P.26

5-3想定される産業・エネルギー需給構造、対策、技術

 エネルギー産業(建築物、輸送及び工業の各セクターとのカップリング)

 再生可能エネルギーの拡大

 「電力2030」(Strom 2030):再生可能エネルギー電力への転換を、経済全体及び

経営にとってコスト効率的に計画するための包括的な協議

 効率化の可能性を徹底的に活用し、再生可能エネルギー(例えば太陽熱や地熱から の熱)を直接的に使用することによるセクターカップリングの進展

 再生可能エネルギーの拡大のための国が定めた現在の既存の手数料、負担金及び 税金の形式を取るエネルギー価格の構成要素を再検討

 再生可能エネルギー技術やネットワーク、ストレージ、セクターカップリング技術

(特に Power-to-Gas 及び Power-to-Liquid)、そしてエネルギー効率向上のため の技術や措置といった諸分野への研究助成

 「成長、構造変化及び地域開発」委員会

 ETSの強化

 建築物(2050年に実質的に気候ニュートラルな建築物ストックを保有する)

 実質的に気候ニュートラルな建築物ストックに関する計画

 新築

 実質的に気候ニュートラルである新築基準を中期的に達成するため、

2021年から適用されるゼロエネルギー建築物基準を段階的に進展させる。

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 遅くとも2030年までに建築物のエネルギー基準を、今日助成されている

「高効率住宅55」の基準を大幅に下回る数値へと、更に段階的に進展さ せていく

 既存

 既存の建築物のエネルギー要件は、段階的に2030年までに、経済的な方 法で再開発し、2050年までに実質的に気候ニュートラルな建築物ストッ クに関する要件を満たすように改修する。

 建材のLCA評価を通じた持続可能な建築

 空間秩序モデル計画(MORO)及び住宅都市開発実験(ExWoSt)などにおいて、

空間・都市開発分野での実用・応用研究活動を更に強化する

 低炭素熱供給システムの構築を可能にする費用対効果の高い革新的な技術の研究、

開発及び市場導入を促進することによる地区内でのセクターカップリングと熱供 給・電力利用の拡大。これには、再生可能エネルギー源と組み合わせられる低温シ ステム、システムのためのストレージ構想、又は生産方法、Power-to-Gasや

Power-to-Liquidの技術に基づく持続可能な燃料の分配及び利用を含む

 運輸部門(2050年に化石炭素燃料に実質的に依存しない脱炭素化を目指す)

 2030年までの道路輸送による温室効果ガス削減に関する構想を提示

 電気モビリティーの助成

 環境に優しい輸送手段や車両を利用等への資金的インセンティブの提供

 輸送を道路から鉄道や水路にシフトさせるための連邦政府の既存の助成プログラ ムによるモーダルスプリット

 鉄路輸送から鉄道へのシフトに関する可能性を最大限活用するため、2030年及び 2050年の鉄道輸送に関する構想を開発する予定

 国家自転車交通計画(NRVP)を2020年以降も続行し、自転車・徒歩交通への移 行を促す

 航空・海上輸送に電力に基づく燃料

 輸送に関するデジタル化戦略

 産業部門

 製品の耐用年数延長及び廃棄物の防止

 炭素の工業的再循環(CCUなど)を含む産業の分野的特性を鑑みて構成された研 究開発プログラムを公開予定。

 連邦教育研究省(BMBF):「CO2Plus―原料基盤の拡大のためのCO2の素材利 用」という措置の枠組みにおいて、CO2利用分野(CCU)における研究開発 計画を助成している。

 BMBF:「r+Impuls― 資源効率のための革新的技術―産業資源効率化の推進」

により、資源効率化計画、特にCCU 分野の実践的かつ産業主導型の計画も、

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市場に至る過程において支援している。

 BMUB:環境技術革新プログラム(UIP)において、革新的な環境緩和技術を 大規模技術で初めて実施する実証計画を助成することが可能

 工業及び商業の排熱ポテンシャルの一貫した戦略的な活用

 企業における企業向けの高効率技術に関する知識基盤の継続的最適化

 既存の報告手段に基づく統一的な気候レポートを更に強化し、統一的なレポート 規格を企業に適用

 生産における資源やエネルギーへの需要を縮小し、循環経済を強化するために新 しい市場で利用できる技術やビジネスモデルの普及を促進するための情報発信の 強化

 農業部門(排出量削減と、持続可能な農業生産における資源効率の向上)

 農業政策による助成

 窒素過剰の更なる削減するために、ドイツの持続可能性戦略の目標値である 70 kg/N/haが2028年から2032年に達成することを目指す

 有機農業の面積率の拡大

 家畜糞尿や農業残留物の発酵の促進

 畜産における排出量の削減するために、2021年までに畜産の排出量を削減するた めの全体的な戦略を作成

 2012年3月に連邦食糧農業省(BMEL)によって開始されたイニシアチブ「捨て るには良すぎる」を拡大して行く。この戦略は、ドイツで2030年までに食品廃棄 物と食品ロスを半減することを目指す

 農業分野における革新的気候保護構想の開発

 土地利用及び林業部門(森林の維持と炭素吸収の改善)

 森林の維持及び持続可能な管理

 永年放牧地の維持

 泥炭土壌の保護

 土地利用の減少

 部門横断

 気候に優しい税制及び課徴金制度の更なる開発

 環境に有害な補助金の削減

 気候に優しい投資及び効率的な金融市場

 気候に配慮した投資決定のための効率的な金融市場を目指しFSBの気候関連の財 務情報開示に関するタスクフォースを支援

 気候に優しい投資の助成及びインセンティブ

 持続可能な製品とサービスが貿易において優先されるように、ドイツは EU と WTOの枠組みにおいて取り組む

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 持続可能性に関する社会的進歩の評価を検討

 全国的なモニタリングに対する 1 つの包括的な最新のアプローチによる環境モニ タリングの調整

 革新的気候保護の原動力としての研究開発

 政府の役割

 温室効果ガスニュートラルの連邦行政を目指し、連邦所有の不動産、エネルギー供 給、環境管理、調達、モビリティー及び情報技術(IT)の各分野において取り組み を実施する

 持続可能な調達のための同盟の作業や、連邦内務省の持続可能な調達のためのコ ンピテンスセンター(KNB)の更なる発展を支援する

 グリーンITイニシアチブ

 国家気候保護イニシアチブである “Change Agents“ の枠組みにおいて、持続可能 性に向けて社会的変化を推進する人々を支援

 啓蒙

 持続可能な開発のための教育の趣旨における気候保護教育の提供

 ターゲットグループ特有の気候保護目標及びその到達への過程、そして最新の気 候保護措置の実施に関して情報提供

 企業における気候保護

 全ての職業教育職において、そして日々の計画・生産プロセスの実施において、

気候保護関連の知識に関する意識と実践に貢献するプロジェクトを助成、各 職種の気候保護措置の実施に関する追加的資格の獲得を支援し職業選択に伴 う気候保護志向の措置を支援

 産業界及び市民社会によるマルチステークホルダー・イニシアチブを通じて、

連邦政府は、グローバルサプライチェーンに沿った生態学的・社会的基準の実 施を支援

 自治体の気候保護の強化の検討

5-4国際協力や自国の製品・技術等による海外貢献への言及

➢ 連邦政府は、二国間及び多国間のプログラムやファンドを通じて、国際的な気候活 動を支援している。気候関連の開発協力(連邦経済協力開発省(BMZ))とBMUB の気候資金調達の枠組みにおける支援活動は、一致した方法でお互いを補完する。

その際に、国際的な気候資金調達の大部分は、BMZによって行われている。ドイ ツの気候資金は、温室効果ガス削減、気候変動への適応及びREDDプラス(森林 減少・劣化からの温室効果ガス排出削減)などの森林と生物多様性の保全に関する プロジェクトに使用される。その際に、民間セクターや市民社会との連携は、ドイ ツにおいても国際的にも、ますます重要な役割を果たすようになっている。ドイツ

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