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2 本事業について

3.2 実施結果

3.2.3 データ連携 SWG の実施について

IoT 推進ラボ等の活動を通じて、モノ(センサー等)から取得・集積される多種・膨大 なデータを、業界横断して活用することで、今まで提供できなかった価値を生み出す 動きが顕在化している。具体的には、自社が保有しているデータと、外部から取得した データ(モバイル空間統計、G 空間情報センター、RESAS など)と連携して新たな価 値を創出するものである。このような動きの中から、民間事業者によるデータ流通プラ ットフォーム事業が立ち上がり始めている。

図表 45 民間事業者によるデータ流通プラットフォーム事業の立ち上がり

オムロン株式会社

リアルタイムでセンサー・データの流通を可能にするシステム エブリセンスジャパン株式会社

データ保有者とデータ利用者の取引成立を仲介するシステム

データエクスチェンジ コンソーシアム

出典:各社公開資料等 企業間でのビッグデータ利活用を目指した提携・連携

日本データ取引所

データ流通プラットフォーム構築を準備中

他方で、現在のプラットフォーム市場は、データの取扱いやルールが異なる市場とし て乱立しており、限定された領域でのデータ流通・利活用となっている。そのため、デ ータを利用したい事業者は、様々なデータ流通プラットフォームやデータホルダー等 の中から、利用したいデータを自ら探索し、見つける必要があり、下記の点が課題とな っている。

 散在しているプラットフォームから、適切なものを選択しなければならない

 各プラットフォームで登録されているメタデータの形式(データカタログの形式)な どが異なるため、利用したいデータの検索が負担になる

 提供したデータの流通・利活用が広がっていないため、データ提供者がデータを 提供するインセンティブが見つからない など

IoT、AI 等の高度化・活用を推進し、今後の市場全体の成長の鈍化を回避する上

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でも、多種多様なデータ流通環境としてプラットフォーム市場の整備は不可欠である。

そこで、プラットフォーム事業者の参加を促しつつ、データ流通プラットフォームやデー タホルダーの連携における協調領域を定めることを目的として、データ流通促進 WG の作業部会として、データ連携SWGを設置・推進し、ユースケースベースに議論した。

また、議論の内容について、「データ連携ガイドブック(仮称)」として取りまとめた。

以降、実施結果について述べる。

●本SWGのスコープについて

プラットフォーム事業者同士の相互連携に関する事項で、協調領域として定めておく べきことについて議論した。具体的には、情報流通のステークホルダーを明確にする とともに、データ利用者が必要なデータの入手先を知り、要望を出したデータを入手・

活用するために必要なものとして、特に、連携・検索機能、及びデータカタログの在り 方等について、スコープとして定めた。

図表 46 本SWGのスコープ

連携・検索機能 データカタログ 相互連携のために必要な

ルール形成

利用側 システム

提供側 システム

センサ データ流通

プラットフォーマ4

スマホ アプリ

センサ

データ流通プラットフォーム /大手SIer

利用側サーバ 利用側 システム スマホ

センサ アプリ

データ流通 プラットフォーマ3

提供側 システム センサ

PDS

データ流通 プラットフォーマ1 提供側

センサシステム

サービス アプリ

データ流通 プラットフォーマ2 提供側

センサシステム

自社データ保有企業

サービス アプリ スマホサービス スマホサービス

利用側サーバ

データ流通事業者 /ベンチャ企業

スコープ 内容

連携・検索機能 情報流通のステークホルダー間で、相互接続などを求めるインタ ーフェースに関するルール

データカタログ プラットフォーム事業者がデータ流通事業者(データ提供者)に 対して、対外的に示すべきデータ項目の概要に関するルール

●本SWGで扱ったユースケースについて

データ市場に関する協調領域を定めるにあたって、ユースケースベースで議論する

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ために、民間事業者による様々なデータプラットフォームを基に議論した。

図表 47 本SWGで扱ったユースケース一覧

事業者名 サービス名 概要

エブリセンスジャ パン(株)

EverySense データ保有者とデータ利用者の取引成立を仲介

するシステム

オムロン(株) Senseek リアルタイムでセンサーデータの流通を可能にする システム

(株)日本データ 取引所

- 分野・業界を越えた企業間のデータエクスチェンジ を仲介するデータ流通プラットフォームを構築中

●構成員について

データ連携 SWG の構成員を下図表に示す。包括的かつ高次的な検討を行うため に、国内事情だけでなく、グローバルな視点で広い知見を有する産官学界の有識者 をバランスよく選定した。

図表 48 データ連携SWG 構成員(順不同・敬称略)

業界 区分 氏名 所属

学界 座長 柴崎 亮介 東京大学空間情報科学研究センター 教授

学界 委員 大澤 幸生 東京大学 工学系研究科システム創成学専攻 教授 学界 委員 武田 英明 情報・システム研究機構国立情報学研究所 教授 産業界 委員 大橋 一広 株式会社イトーキ 先端研究統括部 兼 ソリューショ

ン開発統括部 統括部長

産業界 委員 勝島 史恵 大日本印刷株式会社 コミュニケーション開発本部 部長

産業界 委員 北田 正巳 エブリセンスジャパン株式会社 代表取締役社長 産業界 委員 社家 一平 日本電信電話株式会社 未来ねっと研究所・ユビキタ

スサービスシステム研究部・ユビキタスデータ処理研 究グループ グループリーダ

産業界 委員 徳久 昭彦 D.A.コンソーシアムホールディングス株式会社 専務

取締役CMO

産業界 委員 内藤 丈嗣 オムロン株式会社 技術・知財本部 企画・CTO支援 室

IoT戦略推進プロジェクト 技術専門職

産業界 委員 中城 陽 東京電力パワーグリッド株式会社 経営企画室 新事 業開発グループ 副長

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業界 区分 氏名 所属

産業界 委員 新妻 継良 株式会社日立製作所 公共システム事業部 公共戦 略企画部 主任技師

産業界 委員 畠山 康博 新日鉄住金ソリューションズ株式会社 IoXソリューシ ョン事業推進部 専門部長

産業界 委員 濱 賢太郎 株式会社インテージ 西日本支社 シニアアナリスト 産業界 委員 森田 直一 株式会社日本データ取引所 代表取締役社長 産業界 委員 山口 亮介 さくらインターネット株式会社 IoT事業推進室 部長 産業界 委員 若目田 光生 日本電気株式会社 ビジネスイノベーション統括ユニ

ット 主席主幹

●検討状況・結果について

データ連携SWGでは平成28年度において合計2回実施(いずれも公開形式で実 施)した。回次ごとの開催概要について、以下に示す。

図表 49 第1回データ連携SWG開催概要

# 内容

開催概要 開催日時:平成29216日(火)15:00~17:00 開催場所:経済産業省 本館地下2 講堂

出席者:柴崎座長、大澤委員、大橋委員、勝島委員、真野委員代理、社家委員、大向委 員代理、小林委員代理、内藤委員、中城委員、新妻委員、畠山委員、濱委員、

森田委員、山口委員、若目田委員

開催形式 公開(IoT推進コンソーシアム会員からの傍聴者:129名)

議題 1.開会 2.挨拶

(1)経済産業省

(2)柴崎亮介 座長 3.議題

(1)本サブワーキンググループについて

(2)データ連携・データ流通市場の在り方

(3)第1SWGの論点整理

(4)データカタログ・メタデータについて 4.座長総括

5.事務局連絡 6.閉会

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# 内容

配布資料 資料1-1:開催要綱(案)

資料1-2:データ連携SWGについて

資料1-3:(データ流通事業者提供資料)オムロン

資料1-4:(データ流通事業者提供資料)エブリセンス

資料1-5:(データ流通事業者提供資料)日本データ取引所

資料1-6:第1SWGの論点について 議事要旨 委員からの主な意見

■スコープについて

上位レイヤにおいて、誰がどのようなデータをどこに持っているかが分かる仮想的な 機能と考えている。

他社のデータを組み合わせなければデータの利活用が進まないと考えている。セン サーデータに限らず、業界を越えたデータ収集・流通が必要であると考えている。

複数のデータを用いて価値を創出する、データを加工することは流通ハブに必要な 機能なのか。データを集めるヒトと利活用しているヒトを結び付けることだけでいいので はないか。個人情報が必要ない場合には加工したデータを出して欲しい。

POS データなど従来から販売されているデータは、相対で既に取引されている。ダイ ナミックに付加価値を提供できていないのが課題である。データ取引所が複数立ち上 がりつつことを踏まえ、互換性を持ったハブを作る取組はよいが、まずは業界を盛り上 げていくことが必要である。

データ取引市場に関して、法制度等を作るのは時期少々である。市場を活性化させ ることが先決である。データの提供・流通に対して、事業者の抵抗感がまだ存在する。

データ流通活性化に向けた課題を整理することが必要。どこにデータ流通のボトルネ ックがあるのかを整理する必要がある。

貯めているデータをどのように流通させるかを検討する必要がある。業務直結型のデ ータマーケットの創出から始めることがまず必要ではないか。

プレイヤー毎にハブに求められる機能を整理することが望ましい。

■カタログについて

どのような形でユースケースを含めるべきかを検討するべきである。

データを活用してもらうためにはユースケース等を示して、リッチ化を図る必要があ る。ターゲットを決めて、一部の分野からでも先行的に進めていくことが望ましい。

ユースケースには必要条件を記載すべき。インターフェース等の設計も重要なポイン トである。

上位レイヤと下位レイヤをつなぐものがカタログではないか。

どのようなセンサーがどこにあるかが分かるようにしたい。

カタログ整備にはデファクトの CKAN を活用すればよいのではないか。安心してデ