図4.12 TKO のD-Busタイミング[14]
ロトコル自体の変更はなく、ATMを新しくするだけで2 倍程度の高速化は望めるということで ある。
次に、高速化TKOプロトコルについてであるが、現在のプロトコルでは、SCH と ATM間の ハンドシェイクのある部分でのマージンが 50 nsec とられている。この時間は十分過ぎるほど長 いものであり、半分の長さの 25 nsec でも問題なく動作するものを作ることは可能であると考え られる。このようにした場合のバスサイクルの時間は表4.8の右側の列にまとめられている。こう した場合、1 サイクルの時間は 125 nsec 程度になる。したがって、最大のデータ転送速度は 16
MB/secとなる。この25 nsecというマージンについては技術的には特に厳しい要求でもないのだ
が、SCH 側もそのマージンを前提に動作する必要があるので、このプロトコルを採用する場合に は、SCH側も新しく開発する必要があるのである。
表4.8 TKO プロトコルの各段階に要する時間。現在の ATM と新しいATM の場合、ま た、SCHも新しくした場合の3通りについてまとめた。
Current ATM New ATM Current SCH New SCH T0 −T1 50 nsec ∼ 50 nsec∼ ∼ 25 nsec T1 −T3 ∼400 nsec ∼50 nsec ∼ 50 nsec T3 −T4 50 nsec ∼ 50 nsec∼ ∼ 25 nsec T4 −T6 50 nsec ∼ 50 nsec∼ ∼ 25 nsec 1 Cycle 550 nsec ∼ 200 nsec ∼ ∼ 125 nsec
4.4.2 イーサネット読み出しのための拡張ボード
データ転送の高速化のもう一つの方法として、イーサネット読み出しという方法がある。これ は、新ATMに拡張ボードをつけて、その拡張ボードから 100BASE-Tのイーサネットで読み出 すという方法である。
100BASE-Tの実効速度としては、5 MB/sec 程度であると考えられるから、この場合にも拡張 ボードと ATM の間のデータのやりとりは高速化 TKO プロトコルで十分である。したがって、
このボードでは一方では、TKO プロトコルで ATM とデータのやりとりをし、もう一方では、
TCP/IPプロトコルでオンライン計算機とデータのやりとりをすることになる。
4.4.3 高速化に関するまとめ
以上に述べた 2つの方法で要請される速度が実現されるのかを確かめてみる。図4.13に新しい システムでのATMからオンライン計算機までのデータ転送速度を示す。
新しいSCH を開発した場合は、一つのSCHで240チャンネルの信号を処理しなくてはいけな い。それぞれのチャンネルから10 kHz のヒットがあった場合、一つのSCH で処理すべきヒット は2.4 MHz 、すなわち、データ量にして15 MB/sec である。一方、高速化 TKOプロトコルの 最大速度は16 MB/secであるから、マージンは少ないが基準は達せられていると言える。
また、各ATMから拡張ボード経由でイーサネット読み出しをする場合、この場合はATM一枚 一枚がオンライン計算機へとつながるから、ここで要請される速度は24 チャンネル分の240 kHz のヒット、すなわち、1.5 MB/secである。一方、100BASE-Tイーサネットでは5 MB/sec 程度 の速度は出ると考えられるから、この部分は問題なく転送できると考えられる。ただし、この場合 もオンライン計算機は1 クレートに 1台程度であると考えられ、結局は 10 台程度の ATMと 1 台のオンライン計算機がつながることになるのだが、この場合はオンライン計算機側だけはギガ ビットのイーサネットで通信できるようなネットワークスイッチなどを用いることになると考えら れる。そうすることで、要請される処理速度は問題なく満たすことができる。
以上から、どちらの方法でも、常時全てのチャンネルからの10 kHz のヒットを取得するという 我々の処理速度への要請は満たすことができると言うことが分かった。ただし、イーサネット読み 出しの方が速度には余裕ができると考えられるから、開発に問題が無ければ、こちらの方法を採用 する方が好ましい。また、オンライン計算機へと転送した後の計算機での処理に関してはここでは 全く議論してこなかった。この部分の議論は始まったばかりであるが、同程度のデータ量を扱うシ ステムは大規模な加速器実験では既に構築されているものもあり、実現は十分可能であると考えて いる。
New
ATM Online
Computer
~ 16MB/sec
New SCH 10kHz
~ 200kHz/ch
24 10
x24 = 240kHz x10 = 2.4MHz ~ 15MB/sec required
speed
New SCH
Ethernet Readout
New ATM Online
Computer
~ 5MB/sec
10kHz
~ 200kHz/ch 24
x24 = 240kHz = 240kHz x 6Byte
~ 1.5MB/sec required
speed
Extension Board
~ 16MB/sec Network Switch
図4.13 新しいシステムでのATMからオンライン計算機までの処理速度