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データサーバ用沸騰・二相冷却システム評価検証装置の試作および検証

第 4 章 給液方法を改善した冷却ジャケットのデータサーバを用いた性能試験

4.4 実験結果および考察

4.4.7 データサーバ用沸騰・二相冷却システム評価検証装置の試作および検証

4給液方法を改善した冷却ジャケットのデータサーバを用いた性能試験

(a) 試験ループ概略図

4給液方法を改善した冷却ジャケットのデータサーバを用いた性能試験

(e) 模擬サーバ内の冷却ジャケット (d) 各ユニットへの配管

(f) ポンプおよび流量計(全流量用) (g) 貯液タンクおよび凝縮器

(i) 圧力変換器 (h) 流量調節機器

Fig. 4.18 データサーバ用沸騰・二相流冷却システム評価装置

4.4.7.1 1ユニットにおける試験

まず模擬サーバが1台に対する検証を行った。前節までの要素試験結果との比較を行 うために、試験圧力および入口液体サブクール度に関して、テストセクションにおける 条件を要素試験の条件と一致させて、比較を行った。以下に実験条件を示す。

試験圧力 Pin 0.15 MPa 入口液体体積流量

(除熱部入口液体断面平均流速)

0.6 l/min, 0.8 l/min, 1.0 l/min

(0.167 m/s, 0.222 m/s, 0.278 m/s)

入口液体サブクール度 Tsub 33 K

Fig. 4.19に要素試験結果との比較を示す。ただし、試験液体にNOVEC7100を用いた

要素試験は冷却ジャケットの基本構造(s=2 mm, w=1 mm, A=60 mm22)を用いたものし か実施しておらず、単純な比較とはならない。Fig. 4.19(a)は体積流量と限界熱流束の関 係である。模擬サーバの実験では、要素試験の条件下で限界熱流束の上昇効果が得られ た副流路からの液体供給断面積A=38 mm2×2を用いたにもかかわらず、模擬サーバにお ける限界熱流束は、A=60 mm22を用いた要素試験結果のほうが高くなった。この原因 としては、伝熱面(伝熱面性状)の違いが挙げられる。模擬サーバに用いた冷却ジャケ ットの伝熱面は、テストセクションを増設するに際して、新しく製作したものを使用し ており、伝熱面(伝熱面性状)の違いが気泡発生密度の違いを介して限界熱流束に大き く影響することを確認している。Fig. 4.19(b), (c)は伝熱面表面熱流束と伝熱面表面温度、

熱伝達係数との関係を示している。模擬サーバの試験結果は要素試験と比較して熱伝達 係数が上昇し、伝熱面表面温度が低下していることがわかる。これは、模擬サーバでは 副流路からの液体供給断面積A=38 mm2×2を用いた結果と考えられる。Fig. 4.19(d)は伝 熱面表面熱流束と圧力損失との関係である。圧力損失は模擬サーバ試験結果の方が要素 試験結果よりも小さくなった。

要素試験と比較して、限界熱流束のわずかな減少を除けば、負の効果は見られなかっ た。また、最大除熱量が300 W を大きく上回っていることから、試験圧力を下げるこ

とで、300 Wの除熱量を保ちつつ、伝熱面表面温度を低下させることができると考えら

れる。

4給液方法を改善した冷却ジャケットのデータサーバを用いた性能試験

(a) 限界熱流束 (b) 伝熱面表面温度

(c) 熱伝達係数 (d) 圧力損失

0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

3 4 [105]5

qCHF W/m2

V l/min

300W NOVEC7100

Horizontal 30mmW30mmL s = 2mm

A = 38mm22

A = 60mm22 (Fully open) P  0.15MPa

Tsub= 33K

NOVEC7100 (Tin= 39C) Pin  0.1MPa Tsub= 20K

0 1 2 3 4 5

[105] 45

50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100

Tw C

qw W/m2

NOVEC7100 Horizontal 30mmW30mmL s = 2mm

A = 38mm22 V = 0.6l/min V = 0.8l/min V = 1.0l/min

V = 0.6l/min V = 1.0l/min P  0.15MPa

Tsub= 33K

Pin  0.1MPa Tsub= 20K NOVEC7100 (Tin= 39C) A = 60mm22 (Fully open)

V = 0.6l/min V = 0.8l/min V = 1.0l/min

0 1 2 3 4 5

[105] 0

5000 10000 15000

W/m2 K

qw W/m2

V = 0.6l/min V = 0.8l/min V = 1.0l/min NOVEC7100

Horizontal 30mmW30mmL s = 2mm

V = 0.6l/min V = 0.8l/min V = 1.0l/min P  0.15MPa

Tsub= 33K

A = 38mm22

A = 60mm22 (Fully open)

0 1 2 3 4 5

[105] 0

0.02 0.04 0.06 0.08

P MPa

qw W/m2

NOVEC7100 Horizontal 30mmW30mmL s = 2mm

A = 38mm22 V = 0.6l/min V = 0.8l/min V = 1.0l/min A = 60mm22 (Fully open)

V = 0.6l/min V = 0.8l/min V = 1.0l/min P  0.15MPa

Tsub= 33K

Fig. 4.19 1ユニットにおける試験結果(赤いキーは要素試験結果を表す)

4.4.7.2 3ユニットにおける試験

模擬サーバが3台の場合について試験を行った。以下、各テストセクションをラック の上段に配置されているものから順にTS1, TS2, TS3と称することとする。比較のため に試験圧力と入口液体サブクール度に関して、TS2における条件を1ユニットの場合の 試験の条件と一致させている。また、流量はそれぞれのテストセクションで一定とした。

以下に実験条件を示す。

試験圧力 PTS2 0.15 MPa 各TSの入口液体体積流量

(全体積流量)

V (Vall)

0.6 l/min

(1.8 l/min)

入口液体サブクール度 Tsub 33 K

模擬発熱体3ユニットの総発熱量は、各テストセクションで電源の出力電圧値を一致 させて与えた。ただし、ヒータの温度等の条件によりヒータの電気抵抗値がわずかに変 化するため、同電圧値でもテストセクション間で発熱量がわずかに異なっている。

Fig. 4.20(a), (b), (c)は模擬発熱体の総発熱量に対する各テストセクションの伝熱面表 面温度、熱伝達係数、圧力損失を示している。計測機器の不具合により、TS1の伝熱面 表面温度、熱伝達係数のデータおよび TS3 の圧力損失のデータの精度は低いものと考 えられる。また、図中右端のデータは複数ユニットでの試験に対するヒータ電源の出力 電圧値の上限に対応しており、限界熱流束に対応するものではない。本実験条件におい て全てのテストセクションで300 Wの除熱を達成している。同熱流束においてTS3の 伝熱面表面温度がTS2よりも高くなっていることから、TS3がラックの下方に設置され ているために静水圧の作用によりTS2よりも圧力が高くなっている可能性がある。

4給液方法を改善した冷却ジャケットのデータサーバを用いた性能試験

(c) 圧力損失

(a) 伝熱面表面温度 (b) 熱伝達係数

0 100 200 300 400

45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100

Tw C

Q0 W

NOVEC7100 Horizontal 30mmW30mmL s = 2mm P  0.15MPa

Tsub= 33K V = 0.6l/min

TS1 TS2 TS3

0 100 200 300 400

103 104 105

W/m2 K

Q0 W

NOVEC7100 Horizontal 30mmW30mmL s = 2mm P  0.15MPa

Tsub= 33K V = 0.6l/min

TS1 TS2 TS3

0 100 200 300 400

0 0.02 0.04 0.06 0.08

P MPa

Q0 W

NOVEC7100 Horizontal 30mmW30mmL s = 2mm P  0.15MPa

Tsub= 33K V = 0.6l/min

TS1 TS2 TS3

Fig. 4.20 3ユニットにおける試験結果