• 検索結果がありません。

テキストマイニングによる情報開示評価スコアの分析

ドキュメント内 中国上場企業の情報開示に関する研究 (ページ 104-107)

第 8 章 間接上場の課題

第三部 米国に上場する中国企業

9.4 テキストマイニングによる情報開示評価スコアの分析

102 本論文では、3つの手順を通じて各単語のTFIDF値を計算していく。

① TFは「Term Frequency」の頭文字であり、キーワードの出現頻度を指している。

② IDFは「Inverse Document Frequency」の頭文字であり、キーワードの希少の程度を指して

いる

𝐈𝐃𝐅𝐢= 𝐥𝐨𝐠(𝑵𝒏 ) 式9-2 N はテキストの総数(ここでは総社数1,280)

n はキーフレーズiを含むテキストの数(社数)、n≥1

③ 各フレーズの重要度を[0,1]にするため、それぞれのキーフレーズの IDFをそのうち のIDFの最大値で割る

𝐓𝐅 − 𝐈𝐃𝐅 = 𝐓𝐅𝐢×𝐈𝐃𝐅𝐢× ( 𝟏

𝐦𝐚𝐱{𝐈𝐃𝐅}) 式9-3 前出の「fair value」の計算例を通じて、a-dの手順で説明していく。

まず、手順aでは、「IFM Investments Limited」という会社の2009年のMD&Aで、「fair

value」が37回出現した。

𝑇Ffair value=37

次に、手順bでは、「fair value」のIDFを計算する。全対象企業述べ1,280社のうち、「fair

value」というキーフレーズは1,217社のMD&Aに出現した。

IDFfair value=log(N

n )= log(1280

1217 )=0.0223

手順cでは、13,856種類のキーフレーズのIDFをそれぞれ計算した。その最大値は3.1075で ある。したがって、「fair value」のIDF0.0223を3.1075で割り、その結果は0.007163である。

wfair value= IDFfair value× (max{IDF}1 )=0.0223

3.1075=0.007163

最後に、手順dでは、「fair value」のTFとIDFをかける。その結果は0.265031である。

TF − IDFfair value=TFfair value×IDFfair value=37× 0.007163 =0.2650212

ここで、「IFM Investments Limited」 にとって、「fair value」というキーフレーズのTFIDFが 分かった。本論文はこのTFIDF値を情報開示スコアとしている。

「IFM Investments Limited」社2009年のMD&Aでは、5,549種類のキーフレーズの情報開示ス コアを合計すると、その得点は361.99186となっている。同じように、対象企業2007年-2015

年延べ1280社のMD&Aの情報開示スコアをそれぞれ計算した。

103 表9-3 カテゴリー別の情報開示スコア

カテゴリー 情報開示スコア

a 上場取引所 NYSE(AMEX含む)111社 342.0046

NASDAQ(店頭市場含む)174社 252.5094

b 業種 製造業125社 237.7053

非製造業160社 330.3315

c 初上場/同時上場 初上場270社 287.6388

同時上場15社 302.6088

d 上場方式

DR上場2社 0(開示なし)

直接上場12社 292.2637

殻借り上場101社 160.7838 殻作り上場170社 363.1153

e 上場廃止/継続上場 上場廃止142社 262.1376

継続上場143社 306.341

図9-5 カテゴリー別の情報開示スコア

まず、上場取引所というカテゴリーでは、ニューヨーク証券取引所に上場した企業の得点は ナスダックに上場した企業の得点より高い。次に、非製造業の企業は製造業企業より得点が高 い。また、同時上場の企業の得点は初めて上場した企業の得点とほぼ同じレベルである。ここ で、特に注目したのは、上場方式別では、殻作り上場の170社の得点は直接上場企業より高 い、殻借り上場の101社の得点が最も低いことである。最後に、継続上場している企業の得点 は上場廃止した企業の得点より高いことが分かった。

まとめて見ると、殻作り上場方式より、ニューヨーク証券取引所に上場している非製造業の 企業、合わせて51社の得点が最も高いで、平均スコアが398.5点となっている。

104 一方、殻借り上場方式より、ナスダックに上場している製造業企業、合わせて52社の得点 が最も低いで、平均スコアが150.2点である。

表9-4 情報開示スコアのよりグループと低いグループ

ここまで、対象企業延べ1280社の情報開示スコアが分かった。ここから、こうした情報開 示スコアと対象企業の開示時の財務状況、上場方式などファクターとの関係を分析してみる。

105

10章 情報開示スコアを用いる検証

本章では、まず10.1節で、仮説Ⅰと仮説Ⅱを設定して、第9章で推定された対象企業の情報開 示スコアの適当性を検討していく。次に10.2節では、仮説Ⅲaと仮説Ⅲbに分けて、情報開示 スコアによる市場への効果、とりわけ情報開示の改善がボラティリティーと流動性に与える影 響について論じていく。

ドキュメント内 中国上場企業の情報開示に関する研究 (ページ 104-107)