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(1=藤本・2=長嶋・3=桝本)

1→2→×(パスミス)

1.2.×

1.2.×

1.×

1→2→3 (白1とぶつかる)

図9.5月21日1ゲーム目に岩井のとったゲームの記録

 これは,子ども達が着ているユニホームのゼッケン番号を矢印でつないだものである.

例えば, 「3→2」であれば,3番の者から2番へのパスがつながったことを表す.また,

「×(パスミス)」や「×」はパスをした方のミスを表し,「シュート×」はシュートミス を表す.他に,「①」の様に丸囲いの数字は決まったシュートの本数を表している.

 そして,1ゲーム目終了後の話し合いで,この図を次のように用いた.

T 〔全員に〕はい,これ〔1ゲーム目の記録用紙を〕見てちょうだい.1回戦のね,Eの1  (白①チーム)とCの1(赤①チーム)の試合ですよ.どっちが勝つと思う?見てみるよ.

  Cの1は1番2番,ボール渡ったけど,2番味方にパス渡ってない.1番2番,味方に

 パス渡ってない.1番2番,味方にパス渡ってない.1番,パス渡ってない.1番2番,

2番が3番へほったんだけど3番の桝本さんのとこへ白1がぶつかった.

 ところが,こちら見てごらん,Eの1.

(図7の白①チームの説明を赤①チームと同様に行う)

 どうしたらいい?何が大事や?(子ども達,口々に「みんなにパス」などと答える)

そうや,みんながパス回っている.こちらは?(数名が「回っていない」と答える)

回ってない.それでは,2ゲーム目はパス続けて,頑張っていけるようにしよう.

 この場面で岩井は,ゼッケンと矢印でパスのつながりを表した簡単な図を見せることで,

チーム全員によってパスを回していくことが,勝敗を分けることを確認した.つまり,岩 井がこのボールゲームで大切にしたいと考えていたのが,チーム全員がパスをつないで攻 めることだったのである.

 そして,2ゲーム目・3ゲーム目と,同じ対戦を観察し,記録した結果が図10である.

白①チーム 赤①チーム

(1=三波・2=小村・3;岩本) (1=藤本・2;長嶋・3=桝本)

1→3→2→3→×

2

2→×

2→1→①

1→3→×

3→1→2→3→1→ドリブル×

R→2→1→2→3→×

】ム目

2→3→×

P→2→3→1→2→3→1→2

→3→1にがす→2にがす 3→×

1→2にがす 3→×

1→3→2→①

1→3ジャンケン

2→3→2→1→2→3→①

3

1→3→1→2→×

1→3→2→1→3→1→2→②

P→3→2→1→オワリ1

ゲ1ム目

1→×

Q→1→2→×

P→2→1→2→1→①  ■  一  一  一  一  一  印

図10.5月21日2・3ゲーム目に岩井のとったゲームの記録

 この図から,どちらのチームも岩井が考えたように,みんなでパスを回すことを意識し 試合を行っていたことがうかがえる.

 ところが,3ゲーム目の途中,岩井が筆者に「こうなったら,もうシュートができんね.

これは,城に堀をつくらんと,これはもうシュートできないわ. (『ああ,もって走って

る』と叫ぶ子どもの声)もって走ることになってしまうし」と語りかけてきた.

 それは,写真3のように,攻めの者 も守りの者もお城にピッタリ体を寄せ て囲んでしまうので,点を入れること ができない状態が,ほとんどのコート で見られるようになったからである.

 そこで,岩井は3ゲーム目の終了間 際,忍者体育の真骨頂である「忍法金 縛り」で子ども達の動きを止め,城を 囲んでしまうことについて相談しよう

と提案したのである. 写真3.城を囲む子ども達

T 〔全員に〕忍法金縛りい. 〔と言いながらタンバリンをポンと鳴らし,子ども達の動き を止める〕ストップ。動かない.動かない.

ちょっと見て.〔白①対赤①のコートを指して〕ここだよお.ここだよお.

〔全員に,攻めも守りもお城の回りを囲んでしまう様子を指しながら〕こうなってきた らね, (点が)入れられない.両方のチームがこの中へ入ってきたら,入れられないな.

 このことについて相談するよ,後で.

 こうして岩井から示された問題は,試合減すぐに相談されるはずだったが,子ども達か ら出された「自殺点をどうするか」という問題について話し合おうとした時に,この時間 の終了が近づいてしまった.

 しかし,これらの問題を解決しなければ,次の時間の試合は行うことができない.そこ で,岩井は教室での話し合いを約束し,片付けに移らせたのである.

第5節 岩井からの問題提示によってつくられたルール1

 そして,その日持たれた教室での話し合いで,自殺点も得点とすることが新しくルール に加わった後,岩井の提案した問題についての話し合いが始まった.

 この問題の解決方法として子ども達が発表した考えの多くは, 「攻撃側のチームが少し

ドラムカンのそばから離れた方がいい」といった攻撃側が点を入れるための動き方に関す

るものであった.1人だけ「攻撃するチームは敵の城の回りの白い線の中に入ってはいけ

ない」というルールにできそうな意見を発表したが,攻撃側の制限だけではいっそう点は

入りにくくなるだけであり,問題を解決するにはいたらない.

 そこで岩井は,3年前に3年生を担任した時に,同名のボールゲームを行った際の「守 る方も攻める方も堀の外で守る,堀の外から攻める」というルールを紹介する.

前の3年生ではすんなり決定されたルールだったが,子ども達からは「守りにくい」な ど様々なつぶやきが聞こえるので,岩井は「どうしょう」と再び,子ども達に問い返す.

次に示すのは,その発問の後の話し合いの記録である.

宇部  こう攻めてきたら,こう攻めてきたら,誰か1人はこの中へ入れて,それで,攻め

T

宇部

T

てこられたら,その人だけ中に入れて,そういうふうにして,他の人は外で守って,

それを順番交代にしたら,うまく点を入らせられないようにできると思います.

 で,赤〔攻撃側のチーム〕は?

 赤は,入れない.

 入れないんだな.赤は,相手のお城だから中へ入られない,3人とも.ところが,

白・〔守備側のチーム〕は3人の内1人だけは入っていいことにすると.1人だけ入っ てここ守んねんな.

 岩井は,宇部の提案した「城のまわりの白い線の中には,守備側が1人だけ入れる」と いう意見をルールにしょうと考えたが,まだ納得していない者がいるのを感じ,「これで いいか」と問い直し,納得していない者の意見を求めるのである.

 その働き掛けに応じて意見を発表したのが,第4章で紹介した河原である.河原は,

「ぼくは,自分のお城の堀だけは,堀の中に入れて,敵のチームは入らないだったら,点 がちょっとは入らないと思います」という意見を述べる.この日から攻撃に参加するよう になった河原だが,めあては「ボールがあたらないようにしっかりおしろをまもる」となっ ていたように,やはり守りに対するこだわりを持っていたのである.

 この河原の意見に対しては,最初のルールとほとんど変わらないという反対意見が出さ れ,同じように考えていたはずの岩井だが,ここではいったん河原の意見も認めた上で,

この学級独自のルールをつくろうと促したのである.

 しばらくしても,なかなか意見がまとまらないので,岩井は多数が賛成している宇部の 意見を用いて, 「また,ここ(お城)に3人へばり付いたら入れられないなら,1人だけ にしますか?」と問うが,ここでも「はい」と答える者と「ええ」と不満を訴える者とに 分かれてしまう.そこで,不満の声をもらした河原に対して,二度三度と質問しながら,

彼の答えを待ってやったのである.

 すると,しばらく沈黙していた河原が「3人だったら,ダメだったら,2人が入れて,

1人は外っていうのにしたらダメなんですか」と岩井に問い返した.つまり,宇部の考え と自分の考えの間をとった新しいルールを提案したのである.その意見を聞いたほかの子 ども達から「ああ,これええ」といったつぶやきが出る.そして,子ども達の考えを十分 に引き出したと考えた岩井は,ついに多数決をとり,過半数の支持を得た河原の意見が採 用され,新しいルールが誕生したのである.

第6節 岩井からの問題提示によってつくられたルール2

 そして,第4時盲目からサの「城の堀(白い線)の中へ,敵は入れない.味方の人は,

自分のお城に2人まで入って守ってよい」というルールで試合が行われていくのである.

 その後,第7時問目までにつくられたルールはシの「もしチャンスがあって,1人で攻 めて入った点もユ点とする」とスの「同じチームの人や相手チームの人に,悪口を言わな いようにしよう」という2つのルールである.2つは,いずれも第5時間目に子ども達の 見つけた問題からつくられたものであるが,子ども達から出される問題もチーム内のもめ 事や試合中のマナーに関するものがほとんどで,試合の進め方に関しての問題を出すこと

はなくなってきた.

 ところが,岩井は,子ども達の試合を記録に取りながら,チーム内のもめ事や試合中の マナーに関する問題が起こる原因がルールにあると考え,第7時間目の全試合の終了後,

子ども達から出された問題を受けて,次のように問い掛けるのである.

T 〔全員に〕うん.あのね,時間かせぎするというのはね,なぜそうなってくるかいった   ら,ドラムカンの前に2人が入って防ぐから,入れられへんから,ドリブルでついて,

  それが時間かせぎになんねんな.

   それから,ドラムカンに当てる時に人に当たるんだな.あれ,なんでかといったら,

  先生見てたら,ドラムカンのとこに〔守りの人が〕ついてるもん.〔守りの人に〕当て   ようと思って当てたんじゃないけど,当たるねん.

   だから,これをなくそうとしたら,もう,ドラムカンの線の中に入れんようにしたら どう,両チームが.そしたら,人に当たるのも少なくなるし,それから,当てられるか ら,ドラムカンの回りでグルグル回って,ドリブルしないでええんじゃない.どう?

 つまり,第3時間目の話し合いで決めたルールを変更し, 「城の堀の中には誰も入れな

い」ようにすることを提案したのである.しかし,子ども達は「いや」とか「ええっ」と

答えて反対する.そこで,岩井は「ほな,これ教室でまた話し合おう」とまとめ,再び教

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