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スティッチング露光を用いた素子加工

第 3 章 表面活性化常温接合を用いた素子加工とワイヤーグリッド偏光子の耐久性向上 31

4.3 スティッチング露光を用いた素子加工

48 4章 スティッチング露光を用いた大面積素子化と大面積高効率透過型回折格子

h=1.22 µm,デューティー比f=0.48の格子形状において,回折効率は最大ピークを得られる ことが分かる.このとき,入射角φin = 63.59 で回折効率は92.3%である.

4.1 透過型回折格子の製作指標

λ p f h φin

Wavelength Period Duty cycle Groove depth Incident angle Diffraction efficiency

800 nm 575 nm 0.49 1.16µm 44.08 96.9%

800 nm 800 nm 0.5 1.38µm 30 98.1%

1030 nm 575 nm 0.48 1.22µm 63.59 92.3%

以上のことから,本節では,表 4.1に示すように,チタンサファイア媒質(λ=800 nm)での周 期p=575 nm,800 nmの透過型回折格子,イットリウム添加光ファイバー媒質(λ=1030 nm)

での周期p=800 nmの透過型回折格子のそれぞれにおいて,RCWA解析によって,回折効率が

最大となる格子形状を導出した.

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(a)レジスト塗布

(b)露光,現像

(c)石英基板エッチング

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(d)露光レイアウト 4.7 大面積石英透過型回折格子の加工工程

(a)周期p=575 nm (b)周期p=800 nm

4.8 露光,現像後の断面観察SEM画像

方,周期p=575 nmの回折格子では,レチクル上では,格子線長Ry=40 mm,周期p=2.3µm で,格子本数は17390本であり,Rx=39.997 mmである.本レチクルを用いて,ステップアン ドリピートによるスティッチング露光を行う.ここで,格子配列方向をx方向,格子線方向を y方向とする.x方向のステップ間隔は,格子周期p=800 nmの回折格子では10 mmであるの に対して,格子周期p=575 nmの回折格子では9.99925 mmであることに注意が必要である.

縮小露光された格子線の先端部が先細りするため,重ね合わせることで連結部の補正を狙い,y 方向のステップ間隔は9.9999 mmと僅かに狭める.x方向,y方向のステップ数をN x=18回,

50 4章 スティッチング露光を用いた大面積素子化と大面積高効率透過型回折格子

N y=6回とすることで,60 mm × 180 mmの大面積化が可能となる.図 4.3に,露光ステップ

4.9 露光ステップの境界での上面観察SEM画像

の境界を上面から観察したSEM画像を示す.明らかに中心の1本が細くなっているのが分か る.これは,投影縮小光学系の倍率誤差に起因している.露光機の本来の用途である半導体集 積回路パターンでは,素子面積が小さくレチクル上に同一パターンが配置されている.そのた め,投影縮小光学系の倍率による影響は日常管理項目で制御できるレベルである.これに対し て,スティッチング露光を要する大面積素子においては,露光面積が大きいため,倍率誤差に よる絶対値が大きくなり,影響が無視できないという課題がここで顕在化されたことになる.

露光倍率の誤差を抑えるために,倍率補正量の条件出しを行った.図??に,倍率オフセット

(a) -1 ppm (b) -2 ppm (c) -3 ppm (d) -4 ppm (e) -5 ppm

(f) -6 ppm (g) -7 ppm (h) -8 ppm (i) -9 ppm (j) -10 ppm

4.10 倍率オフセット量ごとの上面観察SEM画像

て,境界部の線幅が変わるのが分かる.これらの画像から,境界部の線幅のズレ量を読み取り,

4.11 倍率オフセット量と線幅ズレ量

倍率オフセット量との関係をプロットした図を4.3に示す.このプロット図のx切片から,倍 率補正量を求められる.以上より,スティッチング露光における露光ステップ境界の線幅補正 が可能であることを確認できた.

石英基板のエッチングは,レジストパターンをマスクとして,CCPプラズマ型RIEによる ドライエッチングで行った.エッチング条件は,流量90 sccmのCHF3 で,プロセス圧力は

1.5 Paとした.エッチング速度は,0.31 nm/secと非常に遅いが,その一方で,面内均一性を

確保している. 同時に複数枚のウエハを処理することで,格子の断面形状を観察するサンプル を確保した.図??に示すように,対象波長λ=800 nm,格子周期p=575 nm向け回折格子の格 子形状の面内分布を確認するために,基板の中心付近と左右両端付近の断面をSEMで観察し た.製作指標とほぼ同じ寸法で加工することができており,また面内分布もほとんど無く均一 に加工することができた.対象波長λ=800 nm,格子周期p=800 nm向け回折格子,対象波長 λ=1030 nm,格子周期p=575 nm向け回折格子についても同様に高精度に加工できたことが,

それぞれ図 ??,図 ??より分かる.また,格子形状は完全な矩形状ではなく台形状となる傾向 を持っていることに,注意する必要がある.

エッチング後に,基板の裏面側に,波長,入射角に合わせた誘電体多層膜による反射防止膜 を成膜している.成膜加工は,外部業者(シグマ光機)で実施し,保証される反射率を0.5%未 満である.最終的に,ダイシング装置(ディスコ製,DAD3350)で角型に切断することで完成と

52 4章 スティッチング露光を用いた大面積素子化と大面積高効率透過型回折格子

(a)左端付近(デューティー比f=0.468,溝深さh=1.19µm)

(b)中心付近(デューティー比f=0.468,溝深さh=1.21µm)

(c)右端付近(デューティー比f=0.468,溝深さh=1.19µm)

4.12 対象波長λ=800 nm,格子周期p=575 nm向け回折格子の断面形状SEM観察像

(a) 左端付近(デューティー比f=0.49,溝深さh=1.37µm)

(b)中心付近(デューティー比f=0.484,溝深さh=1.39µm)

(c)右端付近(デューティー比f=0.49,溝深さh=1.37µm)

4.13 対象波長λ=800 nm,格子周期p=800 nm向け回折格子の断面形状SEM観察像

54 4章 スティッチング露光を用いた大面積素子化と大面積高効率透過型回折格子

(a)左端付近(デューティー比f=0.483,溝深さh=1.23µm)

(b)中心付近(デューティー比f=0.483,溝深さh=1.26µm)

(c)右端付近(デューティー比f=0.483,溝深さh=1.23µm)

4.14 対象波長λ=1030 nm,格子周期p=575 nm向け回折格子の断面形状SEM観察像

以上より,スティッチング露光によって,単ショットの露光範囲を超えた素子面積の加工が 可能であることを確認できた.

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