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第3章 金融機関との取引関係

4. スコアリング融資

78 表2-45 担保の有無と種類(複数回答可)

回答件数

定期預金 土地・建物 機械・設備 株式等有価

証券

1,182 85 408 10 25

1 位の金融機関

7.2 34.5 0.8 2.1

749 43 198 2 15

2 位の金融機関

5.7 26.4 0.3 2.0

続き

生命保険 売掛金 その他

無担保(1~7 いずれも無

し)

3 23 38 674

1 位の金融機関

0.3 1.9 3.2 57.0

1 13 22 489

2 位の金融機関

0.1 1.7 2.9 65.3

注)上段:回答件数、下段:構成比(%)。

表2-46 保証の有無と種類(複数回答可)

回答件数

本人保証 第三者保証 信用保証協

会保証

無保証(1~3 いずれも無

し)

1,192 723 46 262 282

1 位の金融機関

60.7 3.9 22.0 23.7

753 445 34 99 229

2 位の金融機関

59.1 4.5 13.1 30.4

注)上段:回答件数、下段:構成比(%)。

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(1) 利用の有無、提供する金融機関

まず、スコアリング融資を現在利用している企業、過去利用したことのある企業の比率 は、それぞれ6.6%、5.0%である一方で、利用したことがない企業は65%に上る。小規模企 業ほど、利用したことのある企業の比率が高くなる傾向にある(表2-47)。

表2-47 スコアリング融資(クイックローン、ビジネスローン)の利用

回答件数

利用している

現在残高は ないが過去 利用したこと

がある

今後利用し たい

利用したこと

がない 知らない

3,778 251 188 16 2,456 867

全体

100.0 6.6 5.0 0.4 65.0 22.9

注)上段:回答件数、下段:構成比(%)。

売上高規模別

回答件数

利用している

現在残高は ないが過去 利用したこと

がある

今後利用し たい

利用したこと

がない 知らない

234 24 18 2 133 57

1 億円以下

100.0 10.3 7.7 0.9 56.8 24.4

593 65 55 1 342 130

1 億円超 3 億円以下

100.0 11.0 9.3 0.2 57.7 21.9

1,014 93 60 9 598 254

3 億円超 10 億円以下

100.0 9.2 5.9 0.9 59.0 25.0

1,157 54 46 1 814 242

10 億円超 50 億円以下

100.0 4.7 4.0 0.1 70.4 20.9

298 0 3 1 233 61

50 億円超 100 億円以下

100.0 0.0 1.0 0.3 78.2 20.5

406 7 2 1 293 103

100 億円超

100.0 1.7 0.5 0.2 72.2 25.4

注)上段:回答件数、下段:構成比(%)。

スコアリング融資を行った金融機関を見ると、1位金融機関(50.7%)が過半数を占めて おり、メインバンクが既存の融資先に対して効率的に資金供給するためにスコアリング融 資を活用するという先行研究結果と整合的である(表2-48)。15 一方で、その他金融 機関(37.7%)も積極的にスコアリング融資を用いており、これまで取引関係の薄かった金 融機関が新規顧客開拓のために、こうした融資手法を用いていた場合もある。なお、これ は企業側がそのような金融機関を選択したためとも考えられることから、(3)にて追加的 な検証を行う。

15 小野・益田(2005)を参照のこと。

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表2-48 スコアリング融資を提供した金融機関(複数回答可)

回答件数

借入額 1 位 金融機関

借入額 2 位 金融機関

その他金融 機関

422 214 125 159

全体

50.7 29.6 37.7

注)上段:回答件数、下段:構成比(%)。

(2) 資金使途、利用しない理由

スコアリング融資の資金使途としては、運転資金が大半である(表2-49)。賃金支払 いなどで、小規模な企業がごく短期的にキャッシュを必要とする場合などに利用されると 考えられる。

表2-49 資金使途(複数回答可)

回答件数

経常運転資

増加運転資

他の金融機 関からの借 入金を返済

利用した金 融機関から の借入金を

返済

設備の新設・

更新 その他

426 336 93 15 13 23 15

78.9 21.8 3.5 3.1 5.4 3.5

注)上段:回答件数、下段:構成比(%)。

表2-50 現在利用していない理由(複数回答可)

回答件数

金融機関が スコアリング 融資を取扱 っていない

(中止した)

自社に資金 ニーズがな

機械的な審 査により金 融機関との 関係が希薄 化する

自社にとって 使い勝手が

よくない

金利・手数料

が高い その他

1,749 77 719 97 236 710 332

全体

4.4 41.1 5.5 13.5 40.6 19.0

172 20 59 6 14 77 37

うち、過去に 利用したこと

がある 11.6 34.3 3.5 8.1 44.8 21.5

1573 56 658 91 222 633 294

うち、利用し

たことがない 3.6 41.8 5.8 14.1 40.2 18.7

注)上段:回答件数、下段:構成比(%)。

現在、この融資を利用していない理由を尋ねたところ、自社に資金ニーズがない(41.1%)

いう借り手企業側の需要不足を指摘するものが最も多く、金融機関がスコアリング融資を 扱っていないもしくは扱いを中止した(4.4%)という供給側の要因を挙げる回答は少ない

(表2-50)。対象を過去に利用経験のある企業に絞っても、供給側の要因を挙げる回答 企業の比率(11.6%)は限られている。利用していない企業に限れば、スコアリング融資が 頭打ちになっていることの悪影響は小さいと考えられる。もっとも、金利・手数料が高い

(40.6%)、自社にとって使い勝手が良くない(13.5%)など、借り手にとっての使い勝手

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を重視する商品にもかかわらず企業側からの不満も多く、供給側である金融機関に工夫の 余地が残されていると言える。

(3) スコアリング融資の利用と金融機関の貸出態度

表2-51 金融機関の貸出態度の変化:スコアリング融資の利用別

スコアリング融資

の利用

回答件数

好転 変わらず 悪化 DI

249 17 180 52

利用している

100.0 6.8 72.3 20.9 -14.1

借入額1位 の金融機関

の貸出態度 133 11 99 23

借入額1位の金 融機関からの融

100.0 8.3 74.4 17.3 -9.0

113 6 78 29

それ以外の金融

機関からの融資 100.0 5.3 69.0 25.7 -20.4

184 11 148 25

利用したことがあ

100.0 6.0 80.4 13.6 -7.6

16 0 10 6

今後利用したい

100.0 0.0 62.5 37.5 -37.5

2266 139 1940 187

利用したことがな

100.0 6.1 85.6 8.3 -2.1

774 67 639 68

知らない

100.0 8.7 82.6 8.8 -0.1

注)上段:回答件数、下段:構成比(%)。

実際にスコアリング融資を利用している企業に焦点を当て、融資利用と金融機関の貸出 態度の関係を、借入額1位金融機関における貸出態度の変化に係るDIで調べる(表2-5 1)。昨年9月以降の貸出態度の変化について、「好転」から「悪化」を引いたDIをスコア リング融資の利用有無に分けて比較すると、回答企業数が少ない「今後利用したい」企業 を除くと、「スコアリング融資を利用している」企業におけるマイナス幅が大きく、「利用 したことのある」企業のマイナス幅がこれに続く。一方、「利用したことがない」、「知らな い」企業でのマイナス幅は小さい。

更に、「利用している」企業について、借入額1位金融機関が当該企業にスコアリング融 資を提供している場合とそうでない場合を区別する。1位金融機関の貸出態度変化に関する DIのマイナス幅が大きいのは、1 位金融機関ではなくそれ以外の金融機関がスコアリング 融資を行っていた場合であることが分かる。これらを踏まえると、1位以外の金融機関から スコアリング融資を受けた企業では、もともとの信用リスクが高いために厳しい貸出態度 に直面しやすい、もしくは、スコアリング融資を受けることで、融資を行った金融機関だ けでなくそれ以外の金融機関とのリレーションシップにも悪影響が及ぶといった可能性が 考えられる。

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