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ショクショーヌ

ドキュメント内 増訂 ウイルタ口頭文芸原文集 (ページ 35-41)

北川五郎(Grgulu)口述

ga geeda

kt

bok bok 1) sri bičči taani. g

さて ひとりの おんなが はら はらが みおも だった そうな。 さて

sriduni g sks waarraa isalbani dpččiti taani

みおものときに さて たかを ころすと それの目を 家人が たべさせた そうな,

sri kt

sriduni. g

siltoonda

みおもの おんなに みおものときに。 さて 妊婦のからだをたかの血で あらったと,

tluŋŋ

saabuddoori. 2)

g tari kt čii

いいつたえを 本当かどうか 自分たちが知るために。 さて その おんなは ずーっと

srigčimǰee ga putt baaxani taani sigdlkk. 3)

おなかが大きくなってきて さて こどもを うんだ そうな いまや。

waalleetta. g sks sks isalǰini isallu. nari

ワーッレーッタ氏族だ。 さて たか たかの 目の 目をもっている。 人間の

isalni 4) xaŋŋeetaini oččimba baaxani. ga čii bimi čii

目と ちがったのを うんだ。 さて ずーっと くらして ずーっと

bimi ri čii bimi čii bimi tari putt

daaji

くらして これは ずーっと くらして ずーっと くらして その こどもは 大きく

oččini taani sigd. m

dooni baani 5) itpee xoond m dooni

なった そうな いまや。 みずの なかの 方を みたら どんな みずの なかの

suŋdattaani xoond ulukki čat 6) čii iččeeni tari daaji oččinǰi.

さかなも どんな 淵でも かならず みる, かれは, 大きく なったときに。

xoond

soktoo mkki čat 6) čii suŋdattaa waarini. ri

どんなに にごった みずからでも かならず さかなを とる。 これは

pakčirauli 4) baalanda 7) čii suŋdattaa iččeeni. gee 8) ri td

くらい ところでも かならず さかなを みる。 さて これは 事実の

tluŋu bill. sks isalǰini i 9) isal isal isalunnee.

td

いいつたえ だろう。 たかの 目の め 目 目をもつひとだ。 事実の

tluŋu bill. g

čii bimǰee sigdnu 10) k11)

いいつたえ だろう。 さて ずーっと くらしていて いまや, さて ひとびとは

ptt

waamari dargiǰi waagati 12) waaluwati taani sigdlkk.

あざらしを とり, もりで とった, とりはじめた そうな いまや。

joosomori pulimri

orokpočilooti 13)

taani sigd.

海獣猟をしながら 移動しつつ かれらはつれてまわるようになった そうな いまや。

čii orokpočimari čii nooni nooni

čii mgdu

ずーっと つれてまわり, ずーっと 例のかれは 例のかれは ずーっと へさきに

osini. nooni mgdu osini tari sksnu. g

ptt

のる。 例のかれは へさきに のる, その ショクショーヌは。 さて あざらしを

waajitami taisai ŋnpee, g

ri booŋupu maŋga orkii,

とろうとして おきへ 行ったら, 「さあ この おれたちの天気が ひどく わるい。

m

dooni soktoonǰinee, m

dooni soktooluxanee,

みずの なかが にごってくるぞ。 みずの なかが にごりはじめたぞ。

boo osinee, boo osiwani gm saarini. čorruu

天気がわるくなるぞ」と, 天気がわるくなるのを すべて 知る。 そうするとすぐ

xaagduǰǰini naatai. tdd boo osini taraŋati

ふねをかえしてつける, 陸へ。 本当に 天気がわるくなる, そのように

outannee. ga boo aja ottookkaaččeeri goti čisaǰǰiti

かれがしたあとは。 さて 天気が回復するのを待って また かれらはのり出してもどる

taani sigd nammoo taisai. ga čis 14)

čisadupee j 15)

そうな いまや, うみを おきへ。 さて のり出し またのり出したら この

amuspee

ajjiti taani

当才のあごひげあざらしを かれらはもりをのばしてとろうとする そうな,

dargiǰi. 16) g

amuspi jkki jkki čakki 7)

もりで。 「さあ 当才のあごひげあざらしが ここを ここを そこを

ŋnnkk. čakki čakki čakki čakki ŋnnkk.

čii

行きつつある。 そこを そこを そこを そこを 行きつつある。」 ずーっと

allausini. eekkuččeeŋuči tari čii nooni

おしえている。 かじがいをとるものは そうやってずーっと 例のかれが

unǰikkeeni ŋaaladǰi nuŋǰiččikkeeni čii ŋnneeni.

言うところを 自分の手で かれがさしているところを ずーっと 行く。

naan 17)

nuŋ 18)

nuŋǰiččikkeeni čuul eekkuččeeni. ri

自分の手で かれがさしているところを まっすぐ かじがいをとる。 「これが

agbindakka.

ri agbindakka

unǰini. agbimboomi

水面にあらわれるぞ。 これが 水面にあらわれるぞ」 と 言う。 水面にあらわれさせて

bagballeeni dargiǰi. ri isalniddaa l

kattannii. ga čomǰee

つく, もりで。 これの 目も ひどく つよいなー。 さて そうしていて

čii taraŋačiimali waarini.

ŋaalakkeeniimali waarini

ずーっと そういう風にばかり とる。 あざらしの手のところでばかり とる,

sksni bara bara oŋoiǰini sksni bara oŋoiǰini. 19)

それの血が たくさん たくさん でないように, それの血が たくさん でないように。

sks itpee orki. orki osini. nari 20)

nari

血を みたら わるい。 目が わるく なる。 ひと ひとのうちでも

maŋgani nari oččini sigd. č 21) llu 7) daaji nari oččini taani

大変つよい ひとに なった いまや。 本当の おとなに なった そうな

sigd. xaiwadda mn suul waaluxani silkk dargiǰi.

いまや。 なんでも 自分 ひとりで とるようになった, いまは もりで。

ptt

waaluxani. sirmbdd waari 4) bjmbdd waari 4)

あざらしを とるようになった。 野生となかいも とり くまも とる

oluxani. 22)

g

taula 23)

orokčiti taani sigd

ようになった。 さて 北知床半島に ひとびとはつれて行った そうな いまや,

tau umbi 24) naataini. mamala 25)

orokčiči mama

北知床半島と いう 土地へ。 ばばいわに かれらはつれて行った, ばばと

umbi 24) ǰolotoini. ga mama umbi 25) ǰolotoini ŋngččeeri ga

いう いわへ。 さて ばばと いう いわへ 行って さて

baǰǰee namukki 26)

joosooti

taani sigd. njjee mama

かげのうみで かれらは海獣猟をした そうな いまや。 あれまあ ばば

ǰollooni jap aurini pt

ǰolokki. čowotči 27)

čisaati

いわ 一面に ねている, あざらしが いわに。 そうして かれらはのり出した

taani sigdlkk. tugdar 28)

dawwauwaaččeeri 29)

čisaati

そうな いまや。 自分たちのふねを おか越えさせて かれらはのり出した,

baǰǰee namu. 30) čowočči čisagaččeeri mama ǰolokkeeni ugdaari

かげのうみへ。 そうして のり出して ばば いわへ 自分たちのふねを

uigččeeri

aixani taani sigd. 7)

つないで あざらしにむけてもりをのばしていた そうな いまや。

aimi ittjini talǰee xoldokkeeniddaa d

もりの柄をたしてのばしながら みると おきの 方でも しゃちが

xasu xasunda d

pulisiči. tari

ptŋuči p31)

いくつも しゃちが うごいている。 その かれらのねらうあざらしは

dmb itmridd saum tuuduwči gd32). tari sgd

しゃちを みただけで みんな みずに またおりた いまや。 あれが みずけむり

ri sgd tari sgd

ri sgd oiči.

これが みずけむり あれが みずけむり これが みずけむりを たてている。

geeddaaddaa sini 7) bagballaa sksnu. sksnu

一匹も 突けない, ショクショーヌは。 ショクショーヌは

gosiluxani taani sigdlkk 33). ri mitti

にくらしくなりだした そうな いまや。 「これは おれと

baačindaxanii uččini taani

ri ri d geeddaaddaa

はりあうために来たのか」 と 言った そうな, 「これは この しゃちは 一匹も

brmi 34). aburaxani taani sigdlkk. mini waariwiŋači xaǰundi

くれないで。」 けなした そうな いまや。 「おれが とるように 道具で

mi waara krktǰǰi seemi dptumi mitti xoot 35) baa 36)

とらずに 自分の歯で かじって 食って おれと どのように はり

baaččinee uččuu 37). xooni baaččiniga mini mini waariwiŋati

はりあうのか」 と 言った。 「どのように はりあうのか, おれの おれの とるように

dargiǰi mi waara mimbee ittumi mi waara. čowočči mastaa aja

もりで とらずに おれに みせて とらずに。」 それから 大変 いい

baawui agbiččini taani sigdlkk. bii prgeelmi si

ごまふあざらしが あらわれた そうな いまや。 「おれは やってみよう, いま,

d

d bimidd. bultai aixani taani

しゃちやい, しゃちが いても。」 一所懸命 もりをのばしてとろうとした そうな,

sksnu čadu baawukkee. čii aimi

čii

ショクショーヌは そのとき ごまふあざらしを。 ずーっと たしてのばし ずーっと

aimi bultai kusundi

aixani

taani sigd.

たしてのばし 一所懸命 ちからを出して もりの柄をたしてのばした そうな いまや。

ri lax

oččini laaxu laaxuni.

これが あざらしに ちかくまで せまった, もりのうきのいたが もりのうきのいたが。

ǰogboni laaxuni laxa oččini. laxa osiduniddaa

もりさきについた うきのいたが ちかづいた。 ちかづきつつあるときにもう

ptŋulni kiččomǰi tutuxani 38) dargi sgd dargi 39).

かれのねらうあざらしに ささって あたった, もりが あかい もりが。

kobdom pt.

laaxuni sm očči.

死んでういている, あざらしが。 そのもりのうきのいたは まっかに できている。

g mkkeenneeǰini tari dabdaxani

sksnu. g

さて 海神(水人)に かれは まけた, ショクショーヌは。 さて

mkkeenneeni xaǰumbani čari 40) itxni. tdd mkkeenneeni

海神の 道具を そのとき かれはみた。 本当に 海神の

xaǰuni 41). čaa mkkeenneeǰini čiidd dabdaxani sksnu

道具だ。 その 海神に とうとう まけた, ショクショーヌが,

sksnu umburi maŋgani. tamaččuu xaawuduwati

ショクショーヌと いう つわものが。 それから かれらは海獣猟からかえった

taani čiidd dabdagačči

sksnuŋuči. tamaččukee

そうな, とうとう まけて 同行者のなかまのショクショーヌが。 それからは

tari m 42) sk p pttni m m ambambani mi ǰaawuččee

かれは 水中の ショク あ あざらしを 水中 水中の 魔ものを あまくみなく

oččini sksnu. tari isalni kattalanilakka aja katta. boo

なった, ショクショーヌは。 かれの 目は つよいことでは ひどく つよい。 天が

twweeriwni 7) gm saarini. xoond ulukki waajitamii

くもるのを みんな 知ってわかる。 どんな 淵でも とろうとし

xoond

soktookki čii iččeeni. suŋdattaa čii

どんなに にごったみずでも そうやって みる。 さかなを そうやって

waarini nooni mk. tari čii biččini taani.

とる, 例のかれ ひとりは。 かれは そうやって いた そうな。

čalaa biččini tari tluŋuni tari sksnu.

そこまでだった, かれの いいつたえは, その ショクショーヌの。

北 川 五 郎 さん から 19 59 年 録 音 した。このはなし を北 川 さんは 多 くの老 人 か らきいたよ しで ある。本 来 は Waa ll eet ta 氏 族 のはなし であるという。母 親 がいいつたえ にしたがって 妊 娠 中 にたか の目 をたべ,そ の血 で か らだをあらってうま れた Sk sn u(鷹 丸 のような なまえ。sk s は 《鷹 》)は,はたしてみずのなか をよく透 視 で きる目 をもち、つよい人 間 で あったが,あざらしをと る際 はりあったし ゃち(海 神 )にはか なわなか ったは なしで ある。

1)b ok( =b ok k o《は ら (が )》 ) の 2語 を佐 藤 さんは 余 計 な語 であ るという。

2) 妊 婦 が 鷹 の 目 を たべ ると うまれる 子 の 目 が つ よく なり,たか の 血 を のみ ,そ れで か ら だをあ ら うと うまれる子 は つよく丈 夫 に なると いういいつ たえが ウイ ルタ族 にある (北 川 による ) 。

3)佐 藤 さ んにはsi gd an(n lのあや まり)とき こえ るという 。 4)佐 藤 さ んの聴 取 によ る 。

5)ba an iとは ba ar un i《 それの方 へ (を )》 のこと (北 川 ,佐 藤 によ る) 。

6)佐 藤 さ んの聴 取 によ る 。čat と きこ える のはčak( =čakki) のこと (佐 藤 による ) 。 7)北 川 さ ん,佐 藤 さん の聴 取 による 。

8)佐 藤 さ んの聴 取 によ る 。gee g《さ て》をあ やまって発 音 し た形 (佐 藤 に よる ) 。

9)i is al i sa lと言 っ てつ ぎに is alu n ne eと言 いなおし ている (北 川 ,佐 藤 によ る) 。

1 0) 佐 藤 さ ん の 聴 取 に よ る 。s i gdl( =s i gdlkk《 い まや 》 ) の あ や ま り( 佐 藤 に よ る ) 。 ただ し北 川 さ んはs i gdlと きこえ ると いう。

11)kと きこえ るの はg《さ て》 のこと (佐 藤 による ) 。

1 2)wa a gat( =w aa ga či) と 言 っ てつ ぎ に wa al u wat( =wa al u wa či) と 言 いなお し てい る ( 北 川 ,佐 藤 による ) 。

1 3)ショ クショ ーヌをつ れて行 く意 (北 川 ,佐 藤 に よる ) 。

1 4)čisと 言 いかけてあ ら ためてčisadupee と言 っ ている (北 川 ,佐 藤 によ る) 。 1 5)佐 藤 さ んによ ればg( または ga)《さ て》とも きこえ るという。

1 6) も り (d a rgi) に は 浮 き の 板 (la ax u) が つ い てい る 。も りは 柄 を 何 本 も つ ないで の ば し , も りさ き が ね ら うも のへ ちかづ いてから 突 いてさす 。

1 7)n aa nŋaal aǰǰi《自 分 の手 で 》をあや まっ て発 音 し た形 (北 川 による ) 。

1 8)n u ŋと言 いかけ てあら ためて n uŋǰi čči kk ee ni と言 っている (北 川 ,佐 藤 によ る) 。 1 9)あざらし のまえの ひれあし にばか りもりを さしてと るの 意 ( 北 川 ,佐 藤 による ) 。

2 0)このnarina ri maŋ ga ni n ariの はじめのna riのく りか えし( 北 川 ,佐 藤 に よる ) 。ただし佐 藤 さ んは ショ クショー ヌがの 意 かとも いう。

ドキュメント内 増訂 ウイルタ口頭文芸原文集 (ページ 35-41)