北川五郎(Grgulu)口述
ga geeda
kt
bok bok 1) sri bičči taani. g
さて ひとりの おんなが はら はらが みおも だった そうな。 さて
sriduni g sks waarraa isalbani dpččiti taani
みおものときに さて たかを ころすと それの目を 家人が たべさせた そうな,
sri kt
sriduni. g
siltoonda
みおもの おんなに みおものときに。 さて 妊婦のからだをたかの血で あらったと,
tluŋŋ
saabuddoori. 2)
g tari kt čii
いいつたえを 本当かどうか 自分たちが知るために。 さて その おんなは ずーっと
srigčimǰee ga putt baaxani taani sigdlkk. 3)
おなかが大きくなってきて さて こどもを うんだ そうな いまや。
waalleetta. g sks sks isalǰini isallu. nari
ワーッレーッタ氏族だ。 さて たか たかの 目の 目をもっている。 人間の
isalni 4) xaŋŋeetaini oččimba baaxani. ga čii bimi čii
目と ちがったのを うんだ。 さて ずーっと くらして ずーっと
bimi ri čii bimi čii bimi tari putt
daaji
くらして これは ずーっと くらして ずーっと くらして その こどもは 大きく
oččini taani sigd. m
dooni baani 5) itpee xoond m dooni
なった そうな いまや。 みずの なかの 方を みたら どんな みずの なかの
suŋdattaani xoond ulukki čat 6) čii iččeeni tari daaji oččinǰi.
さかなも どんな 淵でも かならず みる, かれは, 大きく なったときに。
xoond
soktoo mkki čat 6) čii suŋdattaa waarini. ri
どんなに にごった みずからでも かならず さかなを とる。 これは
pakčirauli 4) baalanda 7) čii suŋdattaa iččeeni. gee 8) ri td
くらい ところでも かならず さかなを みる。 さて これは 事実の
tluŋu bill. sks isalǰini i 9) isal isal isalunnee.
td
いいつたえ だろう。 たかの 目の め 目 目 目をもつひとだ。 事実の
tluŋu bill. g
čii bimǰee sigdnu 10) k11)
いいつたえ だろう。 さて ずーっと くらしていて いまや, さて ひとびとは
ptt
waamari dargiǰi waagati 12) waaluwati taani sigdlkk.
あざらしを とり, もりで とった, とりはじめた そうな いまや。
joosomori pulimri
orokpočilooti 13)
taani sigd.
海獣猟をしながら 移動しつつ かれらはつれてまわるようになった そうな いまや。
čii orokpočimari čii nooni nooni
čii mgdu
ずーっと つれてまわり, ずーっと 例のかれは 例のかれは ずーっと へさきに
osini. nooni mgdu osini tari sksnu. g
ptt
のる。 例のかれは へさきに のる, その ショクショーヌは。 さて あざらしを
waajitami taisai ŋnpee, g
ri booŋupu maŋga orkii,
とろうとして おきへ 行ったら, 「さあ この おれたちの天気が ひどく わるい。
m
dooni soktoonǰinee, m
dooni soktooluxanee,
みずの なかが にごってくるぞ。 みずの なかが にごりはじめたぞ。
boo osinee, boo osiwani gm saarini. čorruu
天気がわるくなるぞ」と, 天気がわるくなるのを すべて 知る。 そうするとすぐ
xaagduǰǰini naatai. tdd boo osini taraŋati
ふねをかえしてつける, 陸へ。 本当に 天気がわるくなる, そのように
outannee. ga boo aja ottookkaaččeeri goti čisaǰǰiti
かれがしたあとは。 さて 天気が回復するのを待って また かれらはのり出してもどる
taani sigd nammoo taisai. ga čis 14)
čisadupee j 15)
そうな いまや, うみを おきへ。 さて のり出し またのり出したら この
amuspee
ajjiti taani
当才のあごひげあざらしを かれらはもりをのばしてとろうとする そうな,
dargiǰi. 16) g
amuspi jkki jkki čakki 7)
もりで。 「さあ 当才のあごひげあざらしが ここを ここを そこを
ŋnnkk. čakki čakki čakki čakki ŋnnkk.
čii
行きつつある。 そこを そこを そこを そこを 行きつつある。」 ずーっと
allausini. eekkuččeeŋuči tari čii nooni
おしえている。 かじがいをとるものは そうやってずーっと 例のかれが
unǰikkeeni ŋaaladǰi nuŋǰiččikkeeni čii ŋnneeni.
言うところを 自分の手で かれがさしているところを ずーっと 行く。
naan 17)
nuŋ 18)
nuŋǰiččikkeeni čuul eekkuččeeni. ri
自分の手で さ かれがさしているところを まっすぐ かじがいをとる。 「これが
agbindakka.
ri agbindakka
unǰini. agbimboomi
水面にあらわれるぞ。 これが 水面にあらわれるぞ」 と 言う。 水面にあらわれさせて
bagballeeni dargiǰi. ri isalniddaa l
kattannii. ga čomǰee
つく, もりで。 これの 目も ひどく つよいなー。 さて そうしていて
čii taraŋačiimali waarini.
ŋaalakkeeniimali waarini
ずーっと そういう風にばかり とる。 あざらしの手のところでばかり とる,
sksni bara bara oŋoiǰini sksni bara oŋoiǰini. 19)
それの血が たくさん たくさん でないように, それの血が たくさん でないように。
sks itpee orki. orki osini. nari 20)
nari
血を みたら わるい。 目が わるく なる。 ひと ひとのうちでも
maŋgani nari oččini sigd. č 21) llu 7) daaji nari oččini taani
大変つよい ひとに なった いまや。 本当の おとなに なった そうな
sigd. xaiwadda mn suul waaluxani silkk dargiǰi.
いまや。 なんでも 自分 ひとりで とるようになった, いまは もりで。
ptt
waaluxani. sirmbdd waari 4) bjmbdd waari 4)
あざらしを とるようになった。 野生となかいも とり くまも とる
oluxani. 22)
g
taula 23)
orokčiti taani sigd
ようになった。 さて 北知床半島に ひとびとはつれて行った そうな いまや,
tau umbi 24) naataini. mamala 25)
orokčiči mama
北知床半島と いう 土地へ。 ばばいわに かれらはつれて行った, ばばと
umbi 24) ǰolotoini. ga mama umbi 25) ǰolotoini ŋngččeeri ga
いう いわへ。 さて ばばと いう いわへ 行って さて
baǰǰee namukki 26)
joosooti
taani sigd. njjee mama
かげのうみで かれらは海獣猟をした そうな いまや。 あれまあ ばば
ǰollooni jap aurini pt
ǰolokki. čowotči 27)
čisaati
いわ 一面に ねている, あざらしが いわに。 そうして かれらはのり出した
taani sigdlkk. tugdar 28)
dawwauwaaččeeri 29)
čisaati
そうな いまや。 自分たちのふねを おか越えさせて かれらはのり出した,
baǰǰee namu. 30) čowočči čisagaččeeri mama ǰolokkeeni ugdaari
かげのうみへ。 そうして のり出して ばば いわへ 自分たちのふねを
uigččeeri
aixani taani sigd. 7)
つないで あざらしにむけてもりをのばしていた そうな いまや。
aimi ittjini talǰee xoldokkeeniddaa d
もりの柄をたしてのばしながら みると おきの 方でも しゃちが
xasu xasunda d
pulisiči. tari
ptŋuči p31)
いくつも しゃちが うごいている。 その かれらのねらうあざらしは あ
dmb itmridd saum tuuduwči gd32). tari sgd
しゃちを みただけで みんな みずに またおりた いまや。 あれが みずけむり
ri sgd tari sgd
ri sgd oiči.
これが みずけむり あれが みずけむり これが みずけむりを たてている。
geeddaaddaa sini 7) bagballaa sksnu. sksnu
一匹も 突けない, ショクショーヌは。 ショクショーヌは
gosiluxani taani sigdlkk 33). ri mitti
にくらしくなりだした そうな いまや。 「これは おれと
baačindaxanii uččini taani
ri ri d geeddaaddaa
はりあうために来たのか」 と 言った そうな, 「これは この しゃちは 一匹も
brmi 34). aburaxani taani sigdlkk. mini waariwiŋači xaǰundi
くれないで。」 けなした そうな いまや。 「おれが とるように 道具で
mi waara krktǰǰi seemi dptumi mitti xoot 35) baa 36)
とらずに 自分の歯で かじって 食って おれと どのように はり
baaččinee uččuu 37). xooni baaččiniga mini mini waariwiŋati
はりあうのか」 と 言った。 「どのように はりあうのか, おれの おれの とるように
dargiǰi mi waara mimbee ittumi mi waara. čowočči mastaa aja
もりで とらずに おれに みせて とらずに。」 それから 大変 いい
baawui agbiččini taani sigdlkk. bii prgeelmi si
ごまふあざらしが あらわれた そうな いまや。 「おれは やってみよう, いま,
d
d bimidd. bultai aixani taani
しゃちやい, しゃちが いても。」 一所懸命 もりをのばしてとろうとした そうな,
sksnu čadu baawukkee. čii aimi
čii
ショクショーヌは そのとき ごまふあざらしを。 ずーっと たしてのばし ずーっと
aimi bultai kusundi
aixani
taani sigd.
たしてのばし 一所懸命 ちからを出して もりの柄をたしてのばした そうな いまや。
ri lax
oččini laaxu laaxuni.
これが あざらしに ちかくまで せまった, もりのうきのいたが もりのうきのいたが。
ǰogboni laaxuni laxa oččini. laxa osiduniddaa
もりさきについた うきのいたが ちかづいた。 ちかづきつつあるときにもう
ptŋulni kiččomǰi tutuxani 38) dargi sgd dargi 39).
かれのねらうあざらしに ささって あたった, もりが あかい もりが。
kobdom pt.
laaxuni sm očči.
死んでういている, あざらしが。 そのもりのうきのいたは まっかに できている。
g mkkeenneeǰini tari dabdaxani
sksnu. g
さて 海神(水人)に かれは まけた, ショクショーヌは。 さて
mkkeenneeni xaǰumbani čari 40) itxni. tdd mkkeenneeni
海神の 道具を そのとき かれはみた。 本当に 海神の
xaǰuni 41). čaa mkkeenneeǰini čiidd dabdaxani sksnu
道具だ。 その 海神に とうとう まけた, ショクショーヌが,
sksnu umburi maŋgani. tamaččuu xaawuduwati
ショクショーヌと いう つわものが。 それから かれらは海獣猟からかえった
taani čiidd dabdagačči
sksnuŋuči. tamaččukee
そうな, とうとう まけて 同行者のなかまのショクショーヌが。 それからは
tari m 42) sk p pttni m m ambambani mi ǰaawuččee
かれは 水中の ショク あ あざらしを 水中 水中の 魔ものを あまくみなく
oččini sksnu. tari isalni kattalanilakka aja katta. boo
なった, ショクショーヌは。 かれの 目は つよいことでは ひどく つよい。 天が
twweeriwni 7) gm saarini. xoond ulukki waajitamii
くもるのを みんな 知ってわかる。 どんな 淵でも とろうとし
xoond
soktookki čii iččeeni. suŋdattaa čii
どんなに にごったみずでも そうやって みる。 さかなを そうやって
waarini nooni mk. tari čii biččini taani.
とる, 例のかれ ひとりは。 かれは そうやって いた そうな。
čalaa biččini tari tluŋuni tari sksnu.
そこまでだった, かれの いいつたえは, その ショクショーヌの。
北 川 五 郎 さん から 19 59 年 録 音 した。このはなし を北 川 さんは 多 くの老 人 か らきいたよ しで ある。本 来 は Waa ll eet ta 氏 族 のはなし であるという。母 親 がいいつたえ にしたがって 妊 娠 中 にたか の目 をたべ,そ の血 で か らだをあらってうま れた Sk sn u(鷹 丸 のような なまえ。sk s は 《鷹 》)は,はたしてみずのなか をよく透 視 で きる目 をもち、つよい人 間 で あったが,あざらしをと る際 はりあったし ゃち(海 神 )にはか なわなか ったは なしで ある。
1)b ok( =b ok k o《は ら (が )》 ) の 2語 を佐 藤 さんは 余 計 な語 であ るという。
2) 妊 婦 が 鷹 の 目 を たべ ると うまれる 子 の 目 が つ よく なり,たか の 血 を のみ ,そ れで か ら だをあ ら うと うまれる子 は つよく丈 夫 に なると いういいつ たえが ウイ ルタ族 にある (北 川 による ) 。
3)佐 藤 さ んにはsi gd an(nは lのあや まり)とき こえ るという 。 4)佐 藤 さ んの聴 取 によ る 。
5)ba an iとは ba ar un i《 それの方 へ (を )》 のこと (北 川 ,佐 藤 によ る) 。
6)佐 藤 さ んの聴 取 によ る 。čat と きこ える のはčak( =čakki) のこと (佐 藤 による ) 。 7)北 川 さ ん,佐 藤 さん の聴 取 による 。
8)佐 藤 さ んの聴 取 によ る 。gee は g《さ て》をあ やまって発 音 し た形 (佐 藤 に よる ) 。
9)i is al i sa lと言 っ てつ ぎに is alu n ne eと言 いなおし ている (北 川 ,佐 藤 によ る) 。
1 0) 佐 藤 さ ん の 聴 取 に よ る 。s i gdl( =s i gdlkk《 い まや 》 ) の あ や ま り( 佐 藤 に よ る ) 。 ただ し北 川 さ んはs i gdlと きこえ ると いう。
11)kと きこえ るの はg《さ て》 のこと (佐 藤 による ) 。
1 2)wa a gat( =w aa ga či) と 言 っ てつ ぎ に wa al u wat( =wa al u wa či) と 言 いなお し てい る ( 北 川 ,佐 藤 による ) 。
1 3)ショ クショ ーヌをつ れて行 く意 (北 川 ,佐 藤 に よる ) 。
1 4)čisと 言 いかけてあ ら ためてčisadupee と言 っ ている (北 川 ,佐 藤 によ る) 。 1 5)佐 藤 さ んによ ればg( または ga)《さ て》とも きこえ るという。
1 6) も り (d a rgi) に は 浮 き の 板 (la ax u) が つ い てい る 。も りは 柄 を 何 本 も つ ないで の ば し , も りさ き が ね ら うも のへ ちかづ いてから 突 いてさす 。
1 7)n aa nはŋaal aǰǰi《自 分 の手 で 》をあや まっ て発 音 し た形 (北 川 による ) 。
1 8)n u ŋと言 いかけ てあら ためて n uŋǰi čči kk ee ni と言 っている (北 川 ,佐 藤 によ る) 。 1 9)あざらし のまえの ひれあし にばか りもりを さしてと るの 意 ( 北 川 ,佐 藤 による ) 。
2 0)このnariはna ri maŋ ga ni n ariの はじめのna riのく りか えし( 北 川 ,佐 藤 に よる ) 。ただし佐 藤 さ んは ショ クショー ヌがの 意 かとも いう。