• 検索結果がありません。

シミュレーション結果

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 67-71)

第 3 章 規範意識と自己効力感に駆動されたコミュニティ活動の形成と拡大 44

3.6 シミュレーション結果

従い形成されるものとしてモデル化する.パラメータγはEitの形成のされやす さを表す.

Eit+1 =

Eit+γ{1−(Eit)2}, taskt = success

Eit−γ{1−(Eit)2}, taskt = failure (3.8) Norm は,隣接する8エージェントの行動(それぞれの行動をNBijt で表す)を 観察することを通して形成される.8エージェントのうちで参加行動をとった者 の割合から集団の規範を推察して,規範意識を形成するものとしてモデル化し,

(式3.9)(式3.10)に従いNitを更新する.パラメータϵは周囲の行動への追従の しやすさを表す.

Nit+1

%

jNBijt

8 + (1−ϵ)Nit (3.9)

NBijt =

1,neighborj participate at stept

0,neighborj not participate at stept (3.10)

図3.4: 規範意識と自己効力感の効果がある条件(○),規範意識の効果のみある 条件(△),どうちらの効果もない条件(×)でコミュニティ活動の形成

0.5, ○の実線),規範意識の効果のみある条件(δ = 0.01,γ = 0,ϵ = 0.5, △の 破線),どうちらの効果もない条件(δ = 0.01,γ = 0,ϵ = 0, ×の一点鎖線)で の,100試行中でのコミュニティ活動の形成割合を示している.横軸は集団の初 期Attitudeの平均値である.(I),(II)では初期状態での参加者の期待獲得報酬が 0以下となるため,コミュニティ活動の形成は困難である.(I)では期待獲得報酬 が0以下でかつタスクが失敗するため活動形成は更に困難である.規範意識と自 己効力感のどちらの効果もない条件(×)では,期待獲得報酬が0以下の領域(I), (II)では活動形成は起こらない.一方で,規範意識の効果がある条件(△)では,

参加者の期待獲得報酬が0以下であってもタスク成功が期待できる領域(II)では 活動形成が起こるようになる.さらに,両方の効果がある条件(○)では,初期

Attitudeの平均が0.5未満の領域でも活動形成が起こる.すなわち,コミュニティ

活動へ否定的な評価を持つ集団でも,活動形成が起こり得るようになる.以上か ら,規範意識と自己効力感の効果が,初期Attitudeが低いより困難な状況でのコ ミュニティ活動の形成を促進することが分かる.

図3.5: 活動形成が起こったケース(左),右は起こらなかったケース(右)の参 加行動と内部変数の時間推移

3.6.2 態度・自己効力感と行動の関係

規範意識と自己効力感により,コミュニティ活動の形成が促進されるメカニズ ムを探るために,参加行動と内部変数の関係を調べる.図3.5は,初期Attitudeの 状態が全く同じで疑似乱数のシード値のみ異なる設定で,活動形成が起こるケー ス(左)と起こらないケース(右)を示している.実線は参加割合,破線は集団

の平均Attitude(薄いグレーは標準偏差),一点錯線は平均Efficacy(濃いグレー

は標準偏差)である.横軸stepはコミュニティタスクゲームを繰り返した回数で ある.規範意識と自己効力感の効果はあり(δ = 0.01,γ = 0.05,ϵ = 0.5),初期 Attitude分布の平均は0.5である.

図3.5右の,形成が起こらないケースの初期段階では,平均Attitudeは低下する 一方で平均Efficacyが上昇している.このとき,参加割合が図中II)の参加者CBit が0より小さい領域にあるため,参加者の間ではAttitudeの低下が起こる.一方 で活動が成功するためEfficacyは上昇する.結果として,内的動機(IMit)の低下が 阻止され参加行動の一時的な維持が起こる.しかし,長期では参加者のAttitude が下がりきるので,どこかの時点で活動は崩壊する.また,参加をしない者も,

参加をしないにも関わらず正のCBit がフィードバックされるので,Attitudeが 否定的な方向に強化される.したがって,最終的に集団全体のAttitudeがほぼ最 低値になる.これは,参加者の報酬が負である一部の領域において,成功体験が 補助的な報酬として提供されることにより起こる現象と解釈できる.タスク成功 に必要な参加人数と参加者報酬が正になるのに必要な参加人数が一致していない

という,地域コミュニティ一般が持つゲームの構造に起因して起こるこの現象は,

参加行動を維持するメカニズムの一つと考えられる.一方,ゲーム構造と初期配 置がまったく同じにも関わらず図3.5左では活動の形成が起こっている.ここか ら,ゲーム構造以外にも参加行動の拡大を引き起こすメカニズムがあることが示 唆される.

3.6.3 規範意識と自己効力感を介した参加行動の拡大

確率的なゆらぎに起因した行動の僅かな差違が,規範意識と自己効力感の効果 を介して拡大され,定性的な結果の違いを生んだと推測される.そこでエージェ ントの行動のゆらぎを統制した上で(β = 0),自己効力感と規範意識の効果がど のように参加行動を拡大するかを分析する.行動のゆらぎを表すパラメータβが 0の場合の(式3.3)は(式3.11)により近似できる.β= 0は三つの信念以外の 要因からの影響が無い状況を想定することになる.

Iit=

1, (1−Nit)−IMit ≤0

0, (1−Nit)−IMit >0 (3.11) 図3.6は,規範意識の効果のみがある条件(β = 0,δ = 0.01,γ = 0,ϵ= 0.5)と 規範意識と自己効力感の効果がある条件(β = 0,δ = 0.01,γ = 0.05,ϵ = 0.5)で の,9エージェントの参加行動の時間推移を示している.1マスは1エージェント を表し,白丸は参加行動を,黒丸は不参加行動をしたことを意味する.背景色は Attitudeの状態を,白からグレーのグラデーションで表している.中立(Ati = 0.5) に近いほど白い,強い肯定的(Ati = 1)もしくは強い否定的(Ati = 0)に近いほどグ レーである.配置は実際の空間配置を表し,8近傍で接続している.初期Attitude 分布の平均は0.5である.step 500の時点で,前者は活動の形成が維持され,後 者は参加エージェント数が0となった.二つの条件を比較し,規範意識と自己効 力感の効果がある条件でのみ参加行動が起こっているエージェントをグレーの四 角で図示している.step 2では自己効力感の効果により二人のエージェントの参 加行動が維持される.step 3では参加行動が維持された二人に隣接するもう一人 が規範意識の効果で新たに参加をする.step 4では新たに参加行動を行ったエー ジェントに隣接するもう一人のエージェントの参加行動が維持される.この結果 から,自己効力感の効果を起点とし規範意識の効果を介することで,参加行動の 拡大が起こることが示唆される.また,自己効力感による行動変容は図中では白

図 3.6: 規範意識と自己効力感の効果がある条件(下)と規範意識の効果のみあ る条件(上)での9エージェントの参加行動の推移

色に近い背景色で示したAttitudeが中立的に近いエージェントにおいて起こりや すいことが分かる.そこから,行動変容の連鎖は中立的エージェント間で広がる 傾向があることが示唆される.

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 67-71)