手 法
5 サービス担当者会議
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サービス担当者会議は,予防給付の場合は原則としてケアプラン作成・変更時 に開催します。
総合事業では「ケアマネジメントA」は予防給付と同様,「ケアマネジメント B」は必要に応じて開催します。
⓵ 利用者や家族の生活や課題について共通理解をします。
⓶ 地域の公的サービス・インフォーマルサービスなどについて情報を共有 し,その役割を理解します。
⓷ 利用者の課題,生活機能向上の目標,支援の方針,支援計画などを協議し ます。
⓸ ケアプランにおけるサービス事業所などの役割を相互に理解します。
チームアプローチを促進する上で最も良い方法は,関係者が一堂に会してカ ンファレンスを行うことです。
※ 事業所の担当者(専門職)が会議に参加することで
・ 本人のしたい生活(生活の目標)のイメージや維持改善すべき課 題(目標)を共有できます。
・ リハビリテーション専門職などから個別事例に合った運動の仕方,
ADL・IADLの生活行為の自立支援の仕方,認知症高齢者の具体 的対応の仕方など,支援方法の情報を入手できます。また,歯科衛生 士などからは口腔ケアや機能向上の支援方法,栄養士などからは生活 機能向上を目指した栄養サポートなどの情報が入手できます。
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関係者が顔を合わせ,お互いに意見を出し合うことで,目標や支援方法の共 有ができ,協力関係が形成されやすくなります。
ケアプランの実践は,ケアプラン作成者一人の力では不可能です。
本人や家族を含めたケアチームで取り組むためにも,全員の意識統一(規範 的統合)が必要です。
そのために,サービス担当者会議の場を積極的に活用することが重要です。
○ ケアプラン作成時
内容 ・本人の生活状況と介護予防ケアプランの内容
・サービス提供,支援の順序や調整,提供時の配慮
・各サービス・支援の計画作成のための二次的アセスメント
○ 更新申請,区分変更申請時
○ ケアプランの変更時
○ 臨時的開催
・ケアプランどおりの効果を果たしていないと考えられる場合
・サービスや事業の利用中断がある場合
・利用者の状況などの変化があり,ケアプランの変更が必要な時
サービス担当者会議は,一事例について,初回,ケアプランの目標が達成する 時期ごとに開催することが望ましい。目標達成後は,必要に応じて再度サービス 担当者会議を開催し,専門職より
⓵終了後も継続して取り組むとよい対応 ⓶疾患からみた心身機能の特徴と関わり方 ⓷生活行為の仕方や考えられるリスク
などの情報を,次のステップアップの場である地域の通いの場や社会資源のスタ ッフに提供することは,本人が安心して社会参加する上で有効です。
開催時期と協議内容
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○ 利用者・家族など
○ ケアプラン作成者
○ サービス提供事業所担当者
○ 主治医
○ インフォーマルサービスの提供者など
☆ 利用者の年齢や家族構成などの基本情報
☆ 今回の認定申請に至った経緯,維持・改善すべき課題とそれに至る課題分析 過程,計画原案など
サービス担当者会議の内容や事業所,利用者などとの連絡や相談内容を「介護予 防支援経過記録」に記載します
会議構成員
記 録
ケアプラン作成者が説明する事項
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サービス担当者会議で目標や支援内容の合意をまとめにくい
サービス担当者会議は利用者やサービス提供事業所担当者が一堂に会して,
本人の意向を尊重しながら専門的な立場で意見を出し合い,支援の目標を合意 して,具体的な支援内容と連携の方法について共有する貴重な機会です。
しかし,参加者の専門的な意見が時には,対峙する関係となってまとまりが つかず,進行やまとめ方に悩むことはないでしょうか。
反対に,意見が全く出ないため,介護支援専門員のみが発言してまとめざる を得ないという場面を経験したということはないでしょうか。
また,サービス担当者会議は,ケアプランの内容や課題,支援の確認の場で すが,実際には契約の場になっていませんか。
サービス担当者会議に参加する一人ひとりが「目の前の利用者を中心とした 支援チームで建設的に話し合う」という意識をもって会議に臨む必要がありま す。
その上で,具体的な検討をスムーズに展開するためのツールとして「福山市 版アセスメントシート」を活用してください。
本人の思いや希望が表出され,専門職として具体的な提案がされる会議にな るでしょう。
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主催:ケアプラン作成者
流れ 内容と留意点
1.開会の挨拶 開会の目的について簡潔にわかりやすく説明します。
2.参加者の紹介
○ケアプラン作成者が利用者を紹介した後に,サービス提供事業所担当者 を紹介します。
※ 穏やかな雰囲気をつくり,会議で意見が表出しやすいように配慮します。
3.利用者からの 意向の表明
○利用者に自分の言葉で「生活に対する希望」や「望む暮らし」について話 をしてもらいます。
○ケアプランの「1年後の目標」や「1日の目標」を結びつけて説明すると わかりやすいです。
4.課題分析の 概要と確認
○「福山市版アセスメントシート」の内容や「現状」「事後予測」に記入し ている「△」「×」,ケアプランの「領域における課題(背景・原因)」や
「総合的課題」を説明した後に,利用者やサービス提供事業所担当者と 課題の認識にズレがないか確認します。
○「主治医意見書の留意点」や「基本チェックリストの結果」などを踏まえ て,ケアプランに反映すべき点を確認します。
5.目標の合意と 共有
○ケアプランの「総合的課題」に対する「目標と具体策」について確認を行 い,利用者およびサービス提供事業所担当者と共有します。専門的な意 見を踏まえて,現実可能なレベルの目標かどうかを確認します。
○目標の「ねらい」を共有します。
6.期間の確認
○目標を達成するために必要な期間について,関係者間で検討して決定し ます。
※ 3~6か月を目安とし漠然としたケアプランにならないように期間の妥 当性を考慮します。
7.役割分担と 頻度の確認
○目標を達成するために本人が取り組むセルフケアや家族などのインフォ ーマル支援,各事業所の具体的なサービス内容および頻度について,専 門職の意見も踏まえて検討し,合意を得ます。
※本人や家族などのインフォーマルな支援者にとって,無理のない現実的 な範囲を考慮します。
8.閉会の挨拶
○関係者が利用者を中心に連携を図りながら支援していくことをケアプラ ンの「総合的な方針」を活用して説明します。
必要に応じてケアプランを見直していくこと,そのためにケアプラン作 成者やサービス提供事業所担当者は定期的にモニタリングを行っていく ことを利用者へ説明します。
○最後に,次回のサービス担当者会議の開催時期(予定)を確認して終了し ます。
担当者会議の進め方
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※ サービス担当者会議に出席する事業所については守秘義務があります。
インフォーマルサービスの支援者が利用者の支援担当者としてサービス担当者会議 に出席することも想定されます。この場合には,サービス担当者会議の内容や資料な ど個人情報に関わることについては配慮することが求められます。
【担当者会議開催上の留意点】
疾患が理由で生活行為に制限がある場合は,主治医の意見を確認する必要があり ます。
目標を設定するときには,主治医から予後予測に基づいた疾患の説明を受け,利 用者が十分に理解したうえでケアプランを作成することが大切です。
医師との日程調整が難しいことが少なくありませんが,受診時や照会,訪問診療 時に利用者の自宅でサービス担当者会議を開催するなど,工夫し実施します。
ケアプランを利用者や家族に説明し同意した場合,ケアプランが確定し,サービス 提供事業者にサービス提供開始を伝えます。
※ サービス担当者会議でケアプランの原案が変更になった場合(目標や支援 内容,フォーマル・インフォーマルサービスの変更や追加など)必要に応じ て本人や家族に再度説明して同意を得ます。
サービス提供事業者
① 事前アセスメントを行い,個別サービス計画を立てます。
② サービス・事業の実施
・個別サービス計画に基づき,サービスを提供します。
・効果やサービスが適切か確認しながら実施し,必要があれば事業所での個 別計画を見直します。
③ 事後アセスメント
・サービス提供後,その効果について事業所でアセスメントをします。
・その結果をケアプラン作成者に報告します。