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コーディネータ分析

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 31-41)

4-1 分析の目的

現在のコーディネータが技術移転・事業化にどの程度貢献しているかを明らかにするた め,100 の成功事例を用いてコーディネータの関与状況を調べ,その貢献度を把握する。

4-2 データ分析の結果

4-2-1 コーディネート機能を担ったセクター

コーディネート機能を担ったセクターの割合は,研究者(A)が63件(全体の42.6%)

と最も多く,次いでコーディネータ(C)の57件(38.5%),企業(C)の21件(14.2%)

となっている。各セクター単独関与の場合でも,研究者(A)はコーディネータ(C)と同 数の22件となっている。

このことから,研究者(A)が研究面だけでなくコーディネート機能をも担って活動を していることが読み取れる。(図 5)

A 研究者 63件(42.6%)

うち単独22件

B 企業 21件(14.2%)

うち単独9件 C コーディネータ

57件(38.5%)

うち単独22件

D 官公庁自治体 7件(4.7%)うち単独2件

E 金融機関なし

図 5 コーディネート機能の担い手

4-2-2 各セクターが関与した企業の規模と分野

研究者(A)が単独或いは共同でコーディネート機能を担った事例には大企業が比較的多 く,分野はナノテクノロジー・材料とものづくり系が多い。(表 4)

これは,大企業の研究開発力が比較的高いこと,及び先端技術分野への研究者の指導力が 必要なことを示唆するものと考えられる。

一方,コーディネータ(C)の単独あるいは共同の場合,企業規模ではベンチャー企業,

海外企業が目立ち,分野はライフサイエンス・食品,環境・エネルギー系が多い。これは,

比較的事業化しやすい分野ではあるが,ベンチャー企業の設立や海外企業を相手に交渉で きるコーディネータが尐数ではあるが存在していることを示唆するものと考えられる。

表4 コーディネート機能を担ったセクターの 企業規模別,分野別分類

セクター 企業規模

大企業 中小企業 ベンチャー 海外企業

分野

ライフ食品 情報通信 環境エネ ナノテク ものづくり

A(22)

B(9)

C(22)

D(2)

A+B(9)

A+C(29)

A+D(0)

B+C(2)

B+D(0)

C+D(2)

A+B+C(0)

A+B+D(1)

A+C+D(2)

A+B+C+D 合計

14

14 10

18 12

20 61 15 38 10 16

13 23

(件数)

4-3 コーディネータの寄与

4-3-1 コーディネータの関与と成功度

コーディネータ(C)の活動を把握するため,コーディネータが関与した事例のうち,初 年度売上高が明示されている39事例(経済産業省系事例)について,売上高を5段階にラ ンク分けして成功度を検討した。これは,企業規模や市場規模の大小と当該事業による売 上高とはデータ上特徴的な差異は認められなかったため,初年度売上高の平均値1億2千 万円を基準として5段階に分けたものである。なお,文部科学省の61事例については,販 売実績はあるものの売上金額が不明であるため,この分析からは除外した。

その結果,コーディネータ(C)単独で関与した事例は尐ないものの,成功度の平均ラン クが3と高い数値が示された。(表 5)

そこでまず,コーディネータ関与と非関与について,成功度の平均の差の検定(t検定)

を行った。[18]

帰無仮説(H):関与と非関与の間には成功度に差はない。

対立仮説(H):成功度に差がある。

その結果,確率p値(両側)=0.515042となり,95%の有意水準では帰無仮説が採択さ れる。従って,コーディネータの関与と非関与で成功度に大きな差がないためコーディネ ータのスキルが高いとはいえない。

次に,単独関与と共同関与との間において,t検定を行った。

帰無仮説(H):単独関与と共同関与の間には成功度に差はない。

対立仮説(H):成功度に差がある。

その結果,p値(両側)=0.042499となり,95%水準で帰無仮説は棄却される。従って,

単独で関与したコーディネータのスキルは高く,共同で関与した場合には研究者あるいは 企業がコーディネート機能をも果たしていたと見ることができる。

表5 コーディネータが関与した事例の成功度

成功の定義:技術移転・事業化が成功し、売上に寄与した状態。

成功度の定義:初年度の売上高の平均1億2千万円を基準とした5段階区分。

ランク 1 売上高5千万円以下

5千万~1億円

1億~1億5千万円

1億5千万~2億円

2億円以上

コーディネータが関与した 事例件数

関与 23

非関与16

ランク 平均値

2.31

企業規模別件数 単独

共同 16

3.0 1.5

中小 ベンチャー

0 1 2

5 13 14

2 2 0

合計 39 2.10

分野別件数

ライフ食品 情報 環境 ナノ ものづくり

32 13 12

1.96

また,「ベンチャー企業設立」がコーディネータ関与と非関与において相違があるため,

コーディネータ関与・非関与とベンチャー企業設立支援との相関の有無をカイ二乗検定 により行った。

帰無仮説(H):コーディネータの関与とベンチャー企業設立とは関係がない。

対立仮説(H):設立に有効である。

その結果,χ値が4.520,その確率p値=0.03350となり,95%有意水準で帰無仮説は 棄却される。

さらに,相関係数(クラメールの独立係数)

r

c=0.340となり,やや弱い相関が認められ る。従って,一部のコーディネータはベンチャー企業設立に有効であったと言える。

以上のことから,一部に優れたコーディネータがいるものの,多くのコーディネータの スキルはそれほど高くないと考えられる。

4-3-2 コーディネータの影響度

コーディネート機能が成功要因として売上高にどの程度の影響を及ぼしているかを調べ るため,初年度売上高が記述されている36事例について,要因解析型で質的データが扱え る数量化Ⅰ類により分析した[19]。

分析では,売上高を目的変数,説明変数をXの16項目に該当するものを1,非該当のも のを0としたカテゴリー変数を用いた。

目的変数:売上高(36 事例について)y 予測値Y

説明変数:成功要因 X の16細項目 ←y にどの程度影響を与えたか

(影響度は X が y に与えた影響の大きさを売上高度数で示したもの:単位は万円)

計算方法

y

K =

a

11

x

11k

+a

12

x

12k

+・・・+a

ij

x

ijk

+・・・+

k

=Y

k

+e

k ・・・式(1)

a:カテゴリー数量(カテゴリーに与えられた数値)

x:該当するかしないかの値(0, 1)

e:誤差

i:項目番号

j:項目のカテゴリー番号 k:事例番号

式(1)による計算の結果とグラフは下記の通りである。

決定係数(寄与率)R=0.6709(3分類) R=0.6126(2分類)

36ケース-小分類ー3・2分類

0 5000 10000 15000 20000 25000 30000

X11 X12

X13 X22

X23 X24

X31 X32

X41 X51

X52 X53

X61 X63

X64 X8

関与区分 項目

影響度

3分類 2分類

図 6 コーディネータ関与の影響度(単位は万円)

図 6中の「3分類」はコーディネータ単独関与,共同関与,非関与の別を示し,「2分類」

はコーディネータ関与,非関与の別を示す。また,影響度は目的変数に与えた影響の大き さを売上高度数で示したものである。

その結果,成功要因 X23,X24,X31,X32,X8の影響が強いことが示された。

しかし,X23,X24,X31については分析対象のサンプル数が1~2件と尐ないため除外 すると,X32(シーズとニーズのマッチング),X8(コミュニケーション,信頼性)が売上に影響を 与えており,コーディネータは尐なくともコーディネートの基本機能の面では貢献してい ると言うことが出来る。

4-4 シーズ属性と成功要因の分析 4-4-1 分析の目的と方法

効果的なマネジメントを行うためには,シーズ属性と成功要因との関係を検討しておくことも重要 である。そのため,成功100事例を対象として,カテゴリー(変数)間の関係の強さを表すことができ る内部関連型の数量化Ⅲ類[19]を用いることとした。

シーズ属性の分類方法は,表 6の通りである。

表 6 シーズ属性の項目分類

A1 研究成果の 技術分野

A11 ライフサイエンス・食品 A12 情報通信

A13 環境・エネルギー A14 ナノテクノロジー・材料 A15 ものづくり

A2

開発リスク

・ 開発費

A21 小・小 A22 大・小 A23 小・大 A24 大・大

B1 事業化企業 規模

B11 大企業 B12 中小企業 B13 ベンチャー企業 B14 海外企業

B2 技術-市場

B21 既存技術-既存市場 B22 既存技術-新市場 B23 新技術-既存市場 B24 新技術-新市場

分類は,筆者の技術移転15年,コーディネータ研修8年の経験をもとに各個別課題を検討して 行った。

まず,A1 の技術分野については,総合科学技術会議諮問第1号「科学技術に関する総合戦略につ いて」に対する答申に示された分類を基に行った。A2の開発リスクの大小については,改良技術か新規 技術かを事例ごとに判断し,改良技術はリスク小,新規技術はリスク大として分類した。また,開発費の 大小については3000万円を目安に,例えば検査装置や食品関係の開発は比較的少額のプロジェクト,

ナノテクノロジーや情報通信関係 は比較的大きな開発費を要するプロジェクトと判断し分類した。

次に,B1については,会社法による分類及び国の大学発ベンチャーについての定義を用いて分類し た。B2の技術―市場の組み合わせについては,アンゾフの成長マトリックス[20]により分類することとし,

改良技術と新規技術を合わせて新技術として分類したが,技術移転・事業化の場合にはすべて新技術 であるため,既存技術が関与するB21,B22の項目に該当する事例は結果として存在しなかった。

次に,成功要因Xに関しては,収集データの分類方法に述べたが,具体的には表7の通り である。

表7成功要因Xの項目分類

X1 技術育成機能

(技術・市場側面)

X11 研究会による用途利用分野の想定 X12 実用化を意識したニーズに基づく研究開発 X13 共同研究,試作,製品サービスのコンセプト X14 市場規模の調査,製品コンセプトの想定

X2 知財価値強化機能

X21 知財調査・評価と特許マップ X22 国内出願

X23 海外出願

X24 知財ポートフォリオ等による知財戦略

X3 技術マーケティング機能

(ライセンシング)

X31 技術内容の翻訳,技術の一般公開 X32 シーズとニーズの整合性 X33 知財所有権者の同意や協力 X34 迅速な契約条件提示や交渉

X4 研究開発資金調達機能

X41 国や自治体等の資金の調達 X42 企業資金の調達

X43 銀行や VC からの資金調達 X44 海外機関からの調達

X5 ネットワーク機能

(連携の側面)

X51 産学官連携(組織横断的な共同開発組織を含む)

X52 他企業との連携 X53 金融機関の参画 X54 海外機関との連携

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 31-41)

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