一ーしまなみサイトのリンク構造一一
I 本章の目的と研究方法
www
は1991年,その閲覧ソフトは 1993年と,インターネットの歴史の中で比較的 早い段階に開発された。www
の登場は,それまで軍事および研究目的に限定されてい たインターネットを企業や個人が利用する契機となった。そして, 2000年代に入っても,サイトの閲覧は電子メールの送受信と並んでインターネットの中心的な利用形態のーっと なっている。また,サイトを自ら開設・更新する者も増加傾向にあり, 2004年2月現在,
JPドメインの総ページ数は8,590万ページに達している 1)。
第2章では,サイト研究の課題として,開示場所,閲覧場所,結合構造,情報内容,市 民協同の5点を示した。本章では,これらのうち開示場所と結合構造の2点に着目し,地 域的事例の具体的把握をもとに,サイトがどこに開設され,それらがどのように結合して いるかという点を解明する。サイト間の結合関係については,リンクをその分析対象と する。
www
では,作成者が設定するリンクを通じてページが結合しており,閲覧者は,リンクを辿って,あるページから別のページへと瞬時に移動して参照することが可能とな る。この点を踏まえ,サイト間のリンクがいかなる規則性のもとに形成され,どのような 形状を有しているかについて解明する。
本章の分析視角として採用するのは「編集」および「地域」の2点である。前者について,
米山 (2002)は,情報を量的に把握するだけでなく,その創造過程と意味に着目すべきで あるとし
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編集Jという営みこそが情報創造の秘密を解く鍵であるとしている。www
についてみると,サイトの構成および内容は作成者の「編集」意図に基づいて作成される ものであり, リンクについても同様である。また,閲覧者は,自由意思に基づいて,目的 とするページを指定したり,辿り着いたりする。その閲覧行動を支援する手段が検索エン
第4章 コミュニティ連結とコンテンツ連結ー
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まなみサイトのリンク構造ージンである。検索エンジンには,キーワードを入力することによって,ロボットが世界中 のページを探索し,目的とするページを表示するロボット型検索エンジンと,運営者の手 作業による分類をもとに閲覧者がカテゴリーをたどることによって,関連サイトに行き着 くことができるディレクトリー型検索エンジンがある。本章では,分類という運営者の「編 集Jに基づくディレクトリー型検索エンジンYahoo!JAPANによって検索されるサイトを 対象とする。すなわち,作成者とディレクトリーによって編集された情報に閲覧者がアク セスする状況が想定され,これを本章でとりあげる
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の環境として位置づける(図w‑
1)。「地域Jについては,本章では2つの視角からサイトとの関わりを捉える。第1は,サ イトに掲載されている情報内容とリアルスペースにおける「地域」との関わりである。そ のため,本稿では,Yi油oo!JAPANで設定されているカテゴリーの一つである「地域情報」
に登録されているサイトを対象とした2)。第2は,リンクを通じたサイト聞の結合とリア ルスペースにおける「地域Jとの関わりである。具体的には,リンク数の多寡から地域間 の結合構造をみることとする 3)。なお,本章でとりあげる「地域」は,県境を越えて高速
~閲覧
山争サイト管理者による編集
問 醐 醐 Yahoo!JAPANによる編集
カテゴリー(しまなみ地域21市町村)
接続 iファイル転送
│サイト管理者
II
サイト管理者│•••••••
│サイト管理者│
園町・ 1 研究対象とするウェブサイトの模式図
筆者作成
盤
翠 霊 童
交通基盤の整備が進み,その活用および地域発展に向けた広域的な地域対応が行われてい る,広島県東南部から愛媛県北部に至る瀬戸内しまなみ海道周辺地域(以下「しまなみ地 域Jという)の21市町村4)とする。
分析の手順は以下のとおりである。まず, Yahoo!JAPANの「地域情報Jカテゴリーに 登録されている 21市町村に関わる 326のサイトを選び出した九次に, 326のサイトを個 別に閲覧しぺ各サイトから設定されているリンクを辿り,行き着いたサイトの名称とリ
アルスペースにおける管理主体の所在地ηを把握した。また,各々のリンクに込められた 作成者の編集意図を吟味し,それらを8つに分類した旬。さらに,特に多数のリンクを設 定しているサイト管理者を対象とした聞き取り調査を実施し,編集意図を詳細に把握した。
その上で,リンクの編集意図に関する地域的特色および結合の実態を明らかにした。最後 に,リンクの地域的特色について,リアルスペースにおける行政区域や通勤・通学行動と 比較し,相互の関係を検討した。
E 対象地域の概観と結合構造 1)対象地域の概観
しまなみ地域は,広島県東南部から愛媛県北部にかけて位置している。 21市町村の総 人口は2003年3月現在345,141人でめ,市町村別にみると,今治市 (117,455人)と尾道 市 (93,091人)に偏在しており,両市で全人口の 61.0%を占めている。両市に続くのが因 島市 (28,446人)と向島町(16,734人)で,その他の町村人口はいずれも 1万人以下である。
この地域は, 1999年に開通した本州四国連絡道路尾道・今治ルート(以下「しまなみ海道」
という)によって結ぼれている。しまなみ海道の開通を契機として,地域発展をめざした 地元自治体や民間団体による対応も活発化してきた。 1994年に広域連携による地域発展 をめざして 20市町村が西瀬戸自動車道周辺地域振興協議会10)を設立したのを皮切りに,
複数の自治体による協議会や広域的な民間団体が相次いで設立され,観光振興や文化振興 を中心とした交流・連携活動が展開されてきた。これらの交流・連携活動の中には,住民
第4章 コミュニティ道結とコンテンツ連結ーしまなみサイトのリンク構造一
の認知や参加を伴って一定の実施効果を伴う活動がみられる一方,活動が形骸化あるいは 休止した活動も多い。ただ,これらの交流・連携活動は,自治体職員や住民にとって, し まなみ地域"としての一体感を醸成するとともに,地域情報を交換・共有し,対人関係を 広げるための貴重な機会となった11)。
2)対象地域における結合関係
しまなみ地域は,しまなみ海道の開通とそれに伴う広域的な地域対応により,広域連携 組織の形成や地域意識の一体化が進んできた。しかし,交通条件の制約もあり,住民行動 や行政活動,メデ、イア環境において,複雑な地域間の結合関係を示している(図N ‑2, 表N ‑1)。
通勤・通学行動からみると,しまなみ地域は尾道市と因島市,大三島町,今治市の各市
a)通勤・通学先 (2000年) b)合併協議会 (2003年)
十
o 5 km
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図1V‑2 瀬戸内しまなみ海道周辺地域における市町村別にみた通勤・通学先 (2000年) および合併協議会の設定区域 (2003年)
資料:平成12年国勢調査報告,瀬戸内しまなみ海道周辺地域振興協議会 (2004)により作成