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クラッド材の接合の可否

ドキュメント内 目 次 (ページ 65-71)

4. 双ロール法による二層クラッド材の製造

4.2. メルトドラッグ法を取り入れた二層クラッド材の製造

4.2.3. クラッド材の接合の可否

2段目のロールキャスターで圧下を掛けずAZ91D板の自重だけでA1050板との接合 を試みた実験条件No. 1では.アルミニウム合金表材はマグネシウム合金母材と接触は したが接合しなかった.これに対して,圧下を掛ける条件No. 2では,AZ91DにA1050 が接合したクラッド材が得られた.荷重は11kNであった.接合には圧下が必要である ことが判明した.条件No. 2で作製したクラッド材の表面状態をFig. 4.3に示す. 表面

からは,A1050板がAZ91D板を溶解した痕跡は見られない.A1050板はAZ91D板を溶

解しない程度の温度にまで降下していると考えられる.

(a) (b)

Fig. 4.3 Surface conditions of No. 2. (a) Upper roll side (AZ91D), (b) Lower roll side (A1050).

4.2.4. メルトドラッグ法を取り入れた方法で作製した二層クラッド材の組織

A1050からAZ91Dへの熱影響を調査するため断面組織を観察した.圧下を受けるNo.

2 の条件で作製したクラッド材の接合界面近傍の断面を Fig. 4.4,クラッド材の断面を Fig. 4.5に示す.

Fig. 4.4 Cross section around interface of as-cast AZ91D/A1050 two-layer clad strip.

100mm

C. D. C. D. 100mm

100μm Interface AZ91D

A1050

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Fig. 4.5 Cross section of as-cast AZ91D/A1050 two-layered clad strip.

Fig. 4.4よりAZ91DのA1050との接触面近傍はA1050からの熱により溶解していないこ

とは明らかである.また,接合界面には隙間も見られない.ロール荷重が11kNと小さいた め,塑性変形したような痕跡も見られない.Fig. 4.5はクラッド材の断面全体を示している が,AZ91D の接合界面近傍以外の部分も,1 枚の板と差異は無い.これらの結果より,鋳 造直後の板の熱を利用した熱間圧延で板を溶解せずに,2枚の板を接合できる可能性を示す ことができたと考えられる.

A1050 AZ91D

Interface

1mm

0.7mm

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4.3. 下方メルトドラッグ法

4.3.1. 下方メルトドラッグ法のスクレイパに関する検討

AZ91D板をA1050板で挟み込む三層クラッド材の第三層(最上の層)を作製するた

めに,下方メルトドラッグ法を使用した.芯材のAZ91D合金が溶解しないためには,

湯プールより凝固層だけを引き出す必要がある.凝固層だけを引き出すことができるス クレイパの形状とスクレイパを凝固層に押し付ける荷重について検討した.

4.3.2. 実験方法

本研究では,2段目の双ロールキャスターの上側ロールを使用しA1050で表材を下方 メルトドラッグ法により鋳造する.2段目の双ロールキャスターの下方メルトドラッグ の部分だけの模式図を Fig. 4.6に示す.本研究では,2種類のスクレイパについて検討 した.スクレイパの近傍の模式図をFig. 4.7 (a)のスクレイパ1は,先端が絞込み形状で 鋼板が圧縮性のある断熱シートで覆われている.Fig. 4.7 (b)のスクレイパ2は,絞込み はなく先端は断熱シートで覆われている.Fig. 4.7 (c)のスクレイパ3は,絞込みはある が鋼板の先端は断熱シートで覆われていない.Fig. 4.7 (d)のスクレイパ4は,先端をフ ラット形状にし,断熱シートが2重で覆われている.スクレイパ1とスクレイパ2を比 較することで,溶湯の漏れに対する絞込みの効果を確認することができる.スクレイパ

1,スクレイパ3とスクレイパ4を比較することで,溶湯の漏れと凝固層のスクレイパ

接触面の成形に対する断熱クロスの影響を確認することができると考えた.

Fig. 4.7 に示すようにスクレイパの先端からロールの最下面までを冷却距離とした.

冷却距離を設定した理由は,アルミニウム合金表材の A1050 の凝固温度範囲は 646℃

~657℃(A1050)であるのに対して,マグネシウム合金母材(AZ91)の液相線温度が

595℃,固相線温度が470℃であり,A1050表材がAZ91Dの液相線温度より低くないと,

マグネシウム合金母材のAZ91Dを再溶解する恐れがあるからである.そこで,冷却距 離を設定することによって接合時の温度を制御することとした.これはメルトドラッグ 法と同様の考え方である.

スクレイパの押しつけ荷重(実験中は一定値)は単位幅当たり 0.2N/mm,0.4N/mm,

0.8N/mmとし,錘によって調節した.スクレイパ先端荷重は,スクレイパを用いた単ロ

ール法の実験において,得られる板厚に影響を与えない程度の荷重範囲である8).クラ ッド材の組織観察には,光学顕微鏡とEPMAを用いた.ロール周速は,16m/minとした.

実験条件をTable 4.2に示す.

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Fig. 4.6 Downward melt drag process of 2ndtwin roll caster.

(a) Scraper 1 (b) Scraper 2

(c) Scraper 3 (d) Scraper 4 Fig. 4.7 Schematic illustration of 4 types of scrapers.

Solidification length Cooling length

Solidification length Cooling length

Without insulating cloth

Solidification length

Cooling length Insulator cloth

Steel plate

Scraper

Constant load

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Table 4.2 Experimental conditions for downward melt drag process.

Material A1050

Roll velocity [m/min] 16

Solidification length [mm] 50

Cooling length [mm] 100

Pool temperature [oC] 670

Nose load [N/mm] 0.2, 0.4, 0.8

Nose shape Scraper 1, Scraper 2, Scraper 3, Scraper 4

4.3.3. 実験結果および考察

スクレイパ1を使用してスクレイパの押しつけ荷重(以下,スクレイパ荷重)0.2N/mm の条件で下方メルドドラッグによって得られた板材の表面状態をFig. 4.8に示す.A1050 板のスクレイパ面には,掻き取り面を得られたが,一部に光沢がみられた.スクレイパ

4で荷重が0.4N/mmの条件をFig. 4.9に示す.クロスを2重にすることで,より連続的

かつ良好な表面状態が得られた.スクレイパ条件とスクレイパ荷重の関係を Table 4.3 に示す.スクレイパ1の荷重が0.8N/mmの時とスクレイパ4の荷重が0.4N/mmの場合 は表面状態に差異は無かった.得られたA1050合金板の平均板厚はスクレイパ1で1mm,

スクレイパ4 で0.9mm であった.この範囲であればスクレイパ押しつけ荷重が変わっ ても板厚への影響はほとんどないと考えられる.スクレイパが板の表面を板厚に大きく 影響するほど削ることは無いと考えられる.溶湯の漏れを防ぎつつ,連続的な薄板作製 には,荷重が小さいほうが詰まりにくい,第五章の実験ではスクレイパ先端荷重を

0.4N/mmとした.

スクレイパ 2では,スクレイパ荷重が 0.4N/mmの場合で溶湯がスクレイパ先端で詰 まってしまい,詰まった状態でスクレイパを動かすと溶湯が漏れた,すなわち先端の温 度は凝固して詰まったのではなく形状の問題で詰まり連続鋳造は不可能であり,スクレ イパ荷重を小さくすると漏れが発生し,スクレイパ荷重を大きくすると詰まると考えら れる.スクレイパ4 は0.4N/mmで漏れがなく,かつ良好な搔き取り性状の薄板を作製 できた.スクレイパ1のスクレイパの絞込みは,板の詰り防止に効果的であったと判断 できる.また,スクレイパ3では,スクレイパから溶湯が漏れてしまい,薄板の連続鋳 造は困難であった.溶湯の漏れには,断熱シート厚が有効であった.

三層クラッドでは,スクレイパ先端がフラットで断熱シートを2重で覆ったスクレイ パ4を使用することにした.

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(a) Roll side (b) Scraper side

Fig. 4.8 Surface of A1050 strip cast by downward melt drag process (0.2N/mm, Scraper 1).

(a) Roll side (b) Scraper side

Fig. 4.9 Surface of A1050 strip cast by downward melt drag process (0.4N/mm, Scraper 4).

Table 4.3 Relationship between scraper condition and scraper load.

Constant load [N/mm] Scraper 1 Scraper 2 Scraper 3 Scraper 4

0.2 △ Leak

0.4 ◯ Solidification Leak ◯

0.8 △ △

*◯: possible casting and good surface condition, △: possible casting.

100mm

100mm

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