第4部 関連器物からみた事故
5 ガスによる事故
(1) 月別発生件数
平成26年中にガスに関連する事故(火災を除く)は、46件発生し、月別では、
7月の8件が最も多く、次に多いのが、1月と2月の6件となっています(図 4-22)。
(2) 年齢層別搬送人員
平成26年中にガスに関連する事故(火災を除く)により、71人が救急搬送され ました。年齢層(5歳単位)別にみると、40歳代が21人と多くなっています(図 4
-23)。
6 6
4 4
1 3
8
3
2 2 4
3
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 発
生 件 数
( 件
)
n=46
0 1
2 6
4 4
6 6 11
10
7
3 3 4
3
1 0
2 4 6 8 10 12
救 急 搬 送 人 員
( 人)
n=71
図 4-23 年齢層別救急搬送人員 図 4-22 月別発生件数
78
(3) 発生場所別発生件数
事故発生場所で見ると、約6割が住宅等居住場所で発生しています(図 4-24)。
(4) 初診時程度別搬送人員
ガスに関連する事故で搬送された人の約55%が、入院の必要があるとされる中等 症以上と診断され、生命の危険が強いとされる重症以上も15.5%となっています
(図 4-25)。
軽症 32人 45.1%
中等症 28人 39.4%
重症 6人 8.5%
重篤 5人 7.0%
n=71 住宅等居住場所
27件 58.8%
店舗・遊技施設等 7件 15.2%
工事現場・工場等 7件 15.2%
公園・遊園地・運動場等 2件
4.3%
道路・交通施設 2件 4.3%
学校・児童施設等 1件 2.2%
n=46
図 4-24 発生場所別発生件数
図 4-25 初診時程度別搬送人員
79
(5) 原因別の搬送状況
ガスに関連する事故で最も多い原因は、一酸化炭素で17件となっており、エアゾ ール缶による事故も12件と多くなっています(図 4-26)。
また、一酸化炭素の事故のうち約5割が炭(火鉢・七輪等)による事故で、エアゾ ール缶の事故では、穴あけ・ガス抜き時が約4割となっています(図 4-27、4-28)。
図 4-26 原因別の発生状況
図 4-27 原因別の搬送状況 (一酸化炭素)
図 4-28 原因別の搬送状況 (エアゾール缶)
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(6) ガスに関連する事故事例
【事例1 一酸化炭素中毒】
暖房用として、室内で練炭を使用中、椅子に座ったまま寝てしまい、一酸化炭素が 充満し中毒となった。(60歳 男性 重症)
【事例2 スプレー缶のガス抜き】
台所でガスコンロを使用中にシンク部分でスプレー缶のガスを抜いていたところ、
ガスコンロの火が引火し顔面、腕に火傷を負った。(50歳 女性 中等症)
【事例3 洗剤】
浴室の排水管清掃に際し、塩素系洗剤を使用後、酸性洗剤を使用したことで臭気が 発生し、吸い込んだ。(32歳 女性 軽症)
【洗剤での事故防止】
○ 洗剤を別の容器に移し替えない
アルミ缶など金属製の容器は、洗剤と容器が化学反応を起こし容器が破裂するこ とや解けることがあります。
○ 種類の違う洗剤を一緒に使わない。
塩素系洗剤と酸性洗剤を一緒に使うと、有毒なガスが発生することがあります。
○ 使う前に容器に書かれている注意事項を確認する。
【一酸化炭素での事故防止】
○ 十分な換気により、室内の一酸化炭素濃度が下がることから、火気設備・器具を 使用の際は換気扇の使用や定期的に窓などを開けるなどして換気を十分に行う。ま た、使用中に少しでも異常を感じたら、使用を中止するとともに十分な換気を行う。
○ 不完全燃焼が起こると一酸化炭素が発生することから、火気設備・器具の定期的 な点検と清掃を行いましょう。
○ 発動発電機やバーベキュー用コンロなど屋外での使用が想定されている火気器具 等は屋内では使用せず、火気設備・器具の使用方法を守りましょう。
○ 一酸化炭素は、無色・無臭で気が付きにくい気体です。一酸化炭素を感知する警 報器を設置することも早期発見に有効です。
【穴あけ・ガス抜きでの事故防止】
○ 廃棄する場合は、必ず中身を使い切り、各区市町村が指定するごみの分別を守っ て捨てる。
○ 厨房器具や暖房器具付近の高温となる場所や、直射日光と湿気を避けて保管し、
厨房器具や暖房器具等の付近では使用しない。
LPGなどの可燃性ガスが噴射剤として使われていることが多いので、使用前に は必ず製品に記載されている注意書きを確認しましょう。
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