第 5 章 歪パラメータ推定能力の評価 42
5.3 カメラの俯角に関する提案手法の推定能力
いては,それらの写っている部分がぼやけてしまったために正解値からやや外れ た結果となってしまっているのではないかと推測される.
しかし実際に走行中の自動車から撮影された風景画像を用いて推定した歪パラ メータでチェッカーボード画像を補正した結果と正解値の歪パラメータで補正を 行った結果を比較すると,目視によっては両者の差異はほとんど感じられない.そ れぞれの画像は図5.10に示す通りである.また,推定した歪パラメータで風景画 像を補正した例が図5.11であるが,こちらも違和感なく補正されていることが確 認できる.
以上では1種類だけのカメラで実験を行ってきたが,提案手法の汎用性を確認 するためには更に多くの種類のカメラで歪パラメータの推定を行う必要がある.
図 5.10: チェッカーボードの歪補正(左:推定値で補正,右:正解値で補正)
図 5.11: 風景画像の歪補正
5.3. カメラの俯角に関する提案手法の推定能力 51 提案手法では式(4.5)に示すような重み関数を勾配方向ヒストグラムに適用し水 平・垂直方向のエッジを強調している.これは道路を走行する自動車の進行方向を 撮影した際に,それに直交する方向で水平・垂直の直線を成す構造物が多いこと を利用している.しかしながら,これらの構造物が画像上で水平・垂直のエッジ となるのはカメラを車両の前方または後方に向け,角度を付けずに設置した場合 でかつ道路を直進している場合である.
車両の運動に関しては,カーブを切っている状態より直進をしている状態の方 が一般的に多いため,カーブ時の画像は投票処理の際に除外されるので問題はな いと考えられる.カメラの車両に対する角度に関しては本手法は上記の条件が満 たされるように,カメラの光軸が車両の進行軸と一致させることを前提としてい る.しかし実用を考えると先にも述べたように,水平方向(ヨー方向)については 車両の進行方向に対して平行にカメラを設置する場合が多いとしても,垂直方向 (ピッチ方向)についてはある程度の俯角を付けて設置することが望まれる場合も 考えられる.
そこで,カメラに俯角を付けた時の提案手法の歪パラメータ推定能力について 調べるため,5.2節で用いたカメラで,図5.6に示したチェッカーボードを俯角を 付けて撮影し,歪パラメータの推定を行った.俯角を付けてチェッカーボードを撮 影した例を図5.12に示す.
図 5.12: カメラに俯角を付けた時のチェッカーボード画像の変化(左:0度,中央:
20度,右:40度)
カメラに俯角を付けることにより垂直エッジが斜め方向に傾いていることが確 認できる.チェッカーボードを俯角を変化させながら撮影し歪パラメータの推定 を行った結果を表5.7に示す.俯角は0度(正面を向いている状態)から下方向に 2.5度ずつ変化させ各俯角における歪パラメータ(κ1, κ2)の比較を行った.表中の
「Error Distance」はこれまで同様,画像四隅の点が歪パラメータによりどの程度
変位したかを表しているが,ここでは0度の時の歪みパラメータを基準とした比 較になっている.
表から分かる通り,俯角40度までは精度よくパラメータ推定を行えていること が確認できる.この結果はチェッカーボードには俯角の変化に対して影響を受けな い水平方向のエッジ多く含まれるため,それらが有効に作用したのではないかと 考えられる.そこで,図5.13に示すような縦エッジを多く含む縞模様のパターン
表 5.7: 俯角を変化させた時の歪パラメータの推定結果(チェッカーボード) 俯角 deg κ1 κ2 ErrorDistance px
0 5.0×10−6 9.1×10−12 -2.5 4.8×10−6 8.9×10−12 1.7460 5.0 5.1×10−6 8.2×10−12 0.1385 7.5 5.0×10−6 9.2×10−12 0.1006 10.0 5.3×10−6 8.1×10−12 1.2800 12.5 5.5×10−6 5.7×10−12 0.4478 15.0 5.2×10−6 9.0×10−12 1.4144 17.5 6.0×10−6 3.0×10−12 1.6475 20.0 5.0×10−6 9.1×10−12 0.0000 22.5 5.0×10−6 8.7×10−12 0.4027 25.0 5.7×10−6 6.7×10−13 2.8993 27.5 5.9×10−6 8.2×10−13 1.1835 30.0 5.0×10−6 3.7×10−12 5.4983 32.5 5.4×10−6 3.9×10−12 2.0924 35.0 5.8×10−6 8.9×10−13 1.8970 37.5 5.4×10−6 2.4×10−12 3.5825 40.0 5.3×10−6 8.8×10−12 1.9662 42.5 2.8×10−6 4.6×10−12 24.5153 45.0 2.5×10−6 2.3×10−12 30.7770
5.4. 本章のまとめ 53