Evolence & Evolence Breeze—New generation of dermal fillers
小菅正和(ガデリウス株式会社)
Masakazu Kosuga, Gadelius K.K.
エボレンスとは?
005 年に 0 月に日本に上市した皮内注入 剤 エ ボ レ ン ス Evolence(Colbar.LifeScience,.
Ltd.,イスラエル)は,ウシ由来コラーゲン・
ヒト由来コラーゲン・ヒアルロン酸に続く「第 三のフィラー」と認識されている。エボレンス は,3.5% の Type. ブタコラーゲンフィブリル で,硬さの違う 種類がある(006 年 月現在)。
CE マークは取得済みで,数万症例の実績を 持ち,FDA 取得は 007 年 9 月を見込んでいる。
エボレンスの特徴は以下の通りである(表 )。
•. 効果の持続が ヵ月以上。
•. アレルギーテスト不要。
•. 糖(D-リボース)による架橋。
•. 室温で保存可能(5℃~ 30℃)。
糖で架橋をしているだめ,架橋の度合いを強 くできることが効果の持続に大変大きな影響を 与えており,また,架橋剤によるアレルギー反 応が起きる確率は低いといえる。
糖による架橋は,「グライマトリックス™技 術」と呼ばれるコルバー社の特許技術であり,
エボレンスを他の注入剤から差別化する源泉と なっている。なお,グライマトリックス™技 術 Glymatrix™.technology については,本学会 誌第 号に掲載された論文「コラーゲンの糖に よる架橋を実現したグライマトリックス™技 術」(p.—5)に詳述されているので,参照 されたい。
安全性について
エボレンスは,触感や見た目などコラーゲン の特徴を持ちながら,アレルギーテストが不要 な注入剤である。これは,エボレンスがブタ由 来であるためもともと親和性が高いということ に加えて,抗原性であるテロペプチドの除去を 行っていることと,架橋剤に天然の糖を使用し ていることが理由であると考えられる。
販売開始前のテストでは,760 人中アレルギー 反応はゼロであった。また,006 年 月現在,
アレルギー反応および過敏反応の報告は無い。
表 にエボレンス注入後の反応をヒアルロン 酸との比較において示す。
使用上の注意点
①.麻酔
エボレンスは麻酔を含んでいない。通常は注 入前の麻酔を必要としないが,ペンレスなどの 表皮麻酔,またはデンタルブロックなどの局所 麻酔の使用が必要な場合もある。
②.過矯正
注入後に水を含んで腫れるヒアルロン酸と 違って,エボレンスは注入時の持ち上げがそ のまま維持される。よって過矯正は禁忌であ る。エボレンスは,コラーゲンといえども持 ち上げる力が強く(特にクラシック),tissue.
augmentation や陥没の矯正にも適する。
③.マッサージ
注入直後にマッサージをし,その形状を整え る必要がある。
連絡先:.小菅正和,ガデリウス株式会社 . 〒 30-00 東京都墨田区緑 -9-9 . [email protected]
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④.その他
•. クラシックとブリーズをレイヤー状に使用 することが可能。
•. 針が詰まることがあるので,その際は即座に 針を交換する必要がある。
•. 保存時は遮光。
•. シリンジは使い切り。
•. IPL 併用は不可。
注入効果について
図 にエボレンス,他の架橋コラーゲン,非 架橋コラーゲンを注入後の病理像の経時的変化 を,図 にエボレンスとヒアルロン酸注入後の 病理像の違いを示す。エボレンスは真皮組織と 一体化し,長く存続することがわかる。
まとめ
エボレンスは, ヵ月以上効果が持続する 注入剤で,仕上がりは柔らかく親和性が高い。
製品の特徴 アレルギー
テスト 持続期間 推奨.
使用針
保存適応.
温度 濃度 適応部位 注入の.
深さ Evolence.
Classic.
エボレンス・
クラシック
ブタコラーゲン.
(かため).
Glymatrix.
による架橋
不要 少なくとも
ヵ月 7G 5℃~
30℃ 3.5% 鼻唇溝など 真皮中層・.
深層部
Evolence.
Breeze.
エボレンス・
ブリーズ
ブタコラーゲン.
(やわらかめ).
Glymatrix.
による架橋
不要 少なくとも
ヵ月 30G 5℃~
30℃ 3.5% 目じりなど 真皮中層・.
深層部
表 1 エボレンスおよびエボレンス・ブリーズの製品特性一覧
n = 69 30 分後 60 分後 6 時間後
エボレンス ヒアルロン酸 エボレンス ヒアルロン酸
スキンテスト 反応なし 反応なし
紅斑
紅斑・浮腫.
共になし 顕著 4(35%) 6(38%) ..(3%) ..3(4%)
軽微 3(33%) 0(9%) ..5(7%) ..5(7%)
なし (3%) 3(33%) 6(90%) 6(89%)
浮腫
顕著 ..4(6%) ..4(6%) ..0(0%) ..0(0%)
軽微 6(%) 7(4%) ..6(8%) ..6(8%)
なし 49(7%) 50(73%) 63(9%) 63(9%)
潰瘍化 なし
表 2 エボレンスとヒアルロン酸の注入後の反応
図 1 エボレンス,他の架橋コラーゲン,非架橋コラーゲン注入後の経時的変化:上から 1 ヵ月後,6 ヵ 月後,12 ヵ月後,24 ヵ月後
図 2 エボレンスとヒアルロン酸注入 1 ヵ月後の病理像
40 また,アレルギーテストが不要で,糖で架橋し ているため安全性が高い。持ち上げる力が強い エボレンス・クラシックと,使いやすく柔らか
いエボレンス・ブリーズがあり,使い分け可能 である。今後,注入療法における主要な材料と なっていくことが期待されている。
編集者注:本稿では日本美容医療テクノロジー学会第 回学術集会で行われたシンポジウム「注入剤 の選び方」でのご発表内容をまとめていただきました。