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インピーダンス測定 (定電位アノード酸化後)

2.6 実験結果および考察

2.6.3 ほう酸-ほう酸ナトリウム緩衝溶液中における電気化学測定 2

2.6.3.1 インピーダンス測定 (定電位アノード酸化後)

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c) d)

e)

a) ナイキスト線図、

b) a) の拡大図、

c) 電荷移動抵抗 Rct と電位の関係、

d) 皮膜抵抗Rfと電位の関係、

e) 電気二重層容量Cdlと電位の関係 Cdl = 1/Rct ・・・・・・・・・・

本実験では不働態皮膜の抵抗Rfや容量Cfを考慮する必要があるため、図2-33 のような等価回路を想定し、考察した。また、物理的イメージは図2-34 のよう になる。

-0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 50 100 150 200 250 300

R ct /Ω

Potential, E/V vs. Ag/AgCl/KCl sat.

-0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 1x105 2x105 3x105 4x105 5x105

R f /Ω

Potential, E/V vs. Ag/AgCl/KCl sat.

図2-32 定電位アノード酸化後のインピーダンス測定結果

-0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 1 2 3 4 5 6

C dl / nF

2 m

Potential, E/V vs. Ag/AgCl/KCl sat.

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図2-32b)より、高周波側にも半円が出現していることがわかる。高周波側の半

円が電荷移動抵抗 Rct、電気二重層容量 Cdl、低周波側の半円が皮膜抵抗 Rf、皮 膜容量Cfであると考えられる。

図2-31ではCr2O3によって構成されていると想定し、膜厚を算出し行ったが、

ここからは SUS304 の母材である鉄の不働態皮膜に近い構造であるということ にも着目し、内層がFe3O4、外層がFe2O3によって構成されていると想定して考 察した。鉄の不働態皮膜の組成や構造に関する多くの研究報告により、二層構 造になっており、鉄側に生成する内層は Fe3O4、溶液側に生成する外層は Fe2O3

で構成されていることが明らかになっているが、統一的見解が得られていない というのが実情である。Fe3O4は Fe2O3に比べ電子伝導性が高いことから、同程 度の厚さの皮膜が生成した場合、Fe3O4で構成された皮膜の方が小さい抵抗を有 すると考えられる。

図2-32c)より、-0.4~0.4Vを印加した試験片で、印加電位が高くなるにつれて、

Rctが大きくなっていることがわかる。図 2-29 より、0V 以上を印加した試験片 では、皮膜の構造が二層になっており、-0.4V を印加した試験片では著しく 外層が薄い、あるいは一層構造であることが示唆され、図 3-27 より不働態

溶液 酸化皮膜 SUS304

図2-33 二つの時定数を含む等価回路

図2-34 二つの時定数を含む等価回路と物理的イメージ

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皮膜の厚さは印加電位に依存し、印加電位が高くなるほど膜厚が増加するとい うことが明らかになった。これらのことから、-0.4Vを印加した試験片の皮膜は 内層がFe3O4で構成され、外層が非常に薄いFe2O3によって構成されている、も しくはFe3O4の一層構造であり、0~0.8Vを印加した試験片の皮膜は、内層がFe3O4

で構成され、外層がFe2O3によって構成されていると考えられる。内層の厚さは 印加電位に対して直線的に増加するが、外層の厚さは印加電位によらずほぼ一 定であるという報告 15)から、高電位を印加するほど Fe3O4で構成される内層が 厚くなっており、それにともない Rct が大きくなっていると考えられる。また、

0.8Vを印加した試験片ではRctが小さくなっていることがわかる。0.8~0.9V付近 で過不働態溶解が生じ、不働態皮膜中に酸化物として存在するCrの溶解反応が 起きていると考えられる。皮膜中のCr3+は酸化され、水溶性のCr6+になる。こ れにより、Rctは0.8Vより低い電位を印加すると印加電位の上昇とともに増加す るが、0.8V 以上の電位を印加すると電位の上昇にともない減少すると考えられ る。また、過不働態域において鉄不働態皮膜の内層はほぼ一定の厚さになり、

外層は印加電位に対して若干増加する傾向にあると報告されている16)

図2-32d)より、 -0.4Vは、0, 0.4Vを印加した試験片と比べ、皮膜抵抗Rfが非常 に小さいことがわかる。このことから、-0.4Vで生成した皮膜は内層および外層 が著しく薄い、あるいは Fe3O4の一層構造であると考えられる。0, 0.4Vで生成 した皮膜は Rfが近い値を示していることから抵抗が小さい Fe3O4で構成された 内層の厚さが異なっていると考えられる。0.8V で生成した皮膜は過不働態溶解 が生じることにより、Rfが小さくなったと考えられる。Cdl は-0.4V を印加した 試験片で最も高い値を示し、0~0.8V ではほぼ同様の値をとっていることがわか った。

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