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インドネシア国の経済と産業

ドキュメント内 (JICA) (ページ 40-47)

第 4 章 各種提言の背景 ( 現状分析結果 )

4.1 インドネシア国の経済と産業

日本工営株式会社 と予想され、以降高齢人口の急増と生産年齢人口の減少により財政、経済成長の重荷 となる人口オーナス期と呼ばれる状態に突入する。

雇用

1) 失業率が高い:インドネシア国の失業率は2005-2008年には8-12%の間で推移し、

近隣ASEAN諸国中、常に最も高い値を示している。

:インドネシア国における雇用の特徴として、下記3点があげられる。

2) 生産性が低い産業の労働人口割合が高い:労働人口の40%以上が農業関連に従事 している。一方、製造業従事者は12%しか占めていないものの、名目GDPへの 寄与率は26%に達している。

3) 労働コストが低い:近隣のアジア大都市と比較すると、ジャカルタの労働者コス トはベトナム2都市(ハノイ・ホーチミン)に次いで低く、外資投資誘致において 競争優位性があるといえる。

(5) 国家開発目標 (国家中期開発計画、空間計画、経済回廊計画)

2010-2014の国家中期開発計画(RPJMN 2010-2014) は2005-2025年の国家長期開発計 画の第二フェーズにあたり、11の国家優先事項を設定、1)官僚制度と行政の改革、2) 教育、3)健康、4)貧困削減、5)食品の安全、6)インフラ、7)ビジネス分野での投資、

8)エネルギー、9)観光及び自然災害、10)孤立地域、遠隔地域及び紛争終結地域、11) 文化、創造、技術の革新、の11の国家優先事項が定められている。

国家中期開発計画

表 4.1 中期国家開発戦略の位置づけ

Reforming and developing an Indonesia that is secure, peaceful, just, and democratic, with enhanced prosperity

Consolidating the reformed Indonesia, increasing quality of human resources, capacity building in science and technology, strengthening economic competitiveness

Consolidating overall development by emphasizing enhancement of economic competitive advantage based on available natural resources, quality human resources, and capability in science and technology

Realizing an Indonesia that is selfreliant, advanced, just, and prosperous, through acceleration of development in all E31fields, with an economic structure that is solid based on competitive advantage

出典: The 2010 - 2014 National Medium-term Development Plan (RPJMN 2010-2014)

SEZ は、この中で定められた投資及びビジネス環境整備のための行動計画で、2014 年までにPPPとして5カ所のSEZを開発する事を目標としている。

インドネシアの国家空間計画は自然資源における協調管理の必要性増加に伴って設 けられ、国家空間計画、州空間計画、地域空間計画、の3つに分かれている。 全レ 国家空間計画

RPJM 1

(2005 - 2009) RPJM 2

(2010 - 2014) RPJM 3

(2015 - 2019) RPJM 4

(2020 - 2025)

ベルの行政で各地域における開発指針に基づく空間計画を、それぞれの地域に対して 作ることが求められている。国家空間計画はCMEAにより策定され、10の大都市圏 と32の国家成長軸が指定されている。経済回廊マスタープラン(MP3EI)は基本的にこ の各軸を結ぶように策定されている。

インドネシア経済回廊マスタープラン(MP3EI)は、総合的かつ競争力のある経済基盤 の創出と強化を目的とした、政策目標・開発構想・インフラ計画のための地域を明示 するもので、2011 年6 月に公表された。インドネシアの主要な島々を結ぶ主要物流 路を 1) スマトラ及び北西ジャワ、2) 北部ジャワ、3) 西部ジャワ及びバリ- ヌサテ ンガラ、4) カリマンタン、5) スラウェシ、6) パプアの6つに分割して6つの回廊と して開発指針を示している。

インドネシア経済回廊マスタープラン(MP3EI)

(6) 法制度

SEZ開発を進めていく上で重要な法律は3つある。つまり、表4.2に示すように、(1) 投資促進法、(2) SEZ法、(3) 財政的インセンティブに係る所得税法である。

2007 年に発効した投資促進法は、インドネシアの競争力を高めるために、内資投資 法および外資投資法を統合した投資に係る基本法令である。

また、2009年に発効したSEZ法はSEZの定義、設立手順、開発と管理、制度、イン センティブなどの主要事項について大枠を規定している。さらに、SEZ法の施行令と して整備された政令No.2/2011では、SEZ設立提案書、設立手順、マネジメント等に 関する具体的な規定が述べられている。

所得税に係る政令 No. 36/2008 およびその施行令である政令 No. 62/2008(政令 No.

1/2007の改訂版)では、投資に対するインセンティブとして(1)投資総額の30%相

当額(6年間にわたり年5%ずつ)までの純利益の減額(税額控除)、(2) 税務上の加 速減価償却、(3) 欠損金の繰越期間を10年間まで延長、(4) 非居住者への支払配当に 対する源泉税を10%に減税することなどが規定されている。なお、2011年8月には 3年間の時限令ながら、財務省令No.130/PMK/.011/2011で投資額が1兆ルピア以上で、

パイオニア産業に該当する企業に対して、5年~10年間法人所得税を免除することが 規定された。

日本工営株式会社 表 4.2 SEZ開発に係る主要現行法令

投資促進 SEZ 開発 所得税/インセンティブ 基本法 投資促進法 No. 25/2007 SEZNo.39/2009 所得税に係る法律 No.

7/1983およびNo. 36/2008 基本法に関係

した政令(施行 令)等

(1) 投資制限分野/業種及び 条件付き投資制限分野/業種 に係る大統領令 No.76/2007 (2) 投資分野リストに係る 大統領令 No.36/2010

(1) SEZ実施に関わる大統領

No.2/2011

(2) SEZ国家審議会に係る大

統領令No.8/2010

(3) SEZ国家審議会及び地方

審 議 会 に 係 る 大 統 領 令 No33/2010

(4) SEZ 実施に関わる政令

No.2/2011

(1) 所得税のインセンティ ブに係る政令No.1/2007 (2) 政令No.1/2007改正に関 わる政令No.62/2008 (3) 非課税所得及び所得税 の支払計算に関わる政令 No.94/2010

(4) 財務省による法人所得 税減免に関わる省令No.

130/ PMK.011/2011 on 担当政府機関 投資調整庁 (BKPM) 経済企画調整省 (EKON) 財務省 (MOF) 出典:JICA調査団

一方、SEZおよび既存の工業ゾーンあるいは経済ゾーンに関する法令、定義、機能、

導入業種、設立手順、財源、インセンティブ等は表 4.3 に整理されている。(なお、

SEZのインセンティブはまだ確定していない。)各ゾーンに係る基本法令はそれぞれ 独立しているが、機能や導入業種等ではゾーン間で重複しているものも見受けられる。

表 4.3 SEZに類似した既存経済ゾーンの法令等 工業団地 保税区

(KB) KAPET 自由貿易区

(FTZ)

特別経済区 (SEZ) 基本法令 法律 No. 5/ 1984

20

工業団地に係る政 No. 24/ 2009

法律 No. 17/ 2006 1

大統領令No. 89/

1996

大統領令 No. 150/

2000

政令 No. 20/ 2000

法律 No. 36/2000 法律 No. 44/2007 政令 Regulation No. 46 - No.48/ 2007 その他

法律 No. 25/ 2007 法律 No. 39/2009 政令 Regulation No. 2/ 2011 定義 工業団地は主に製

造活動を行う場所 で、それを支えるた めのインフラ等が整備 されている区域で ある。一般に、認可 を受けたデベロッパー により開発され、維 持管理される。

保税区は境界を有 し、ビジネス活動を 行うための区域で ある。

KAPETは成長ポテ

ンシャルをもった 業種が立地するた めの区域である。

FTZは税関管理区 域から外れており、

関税、奢侈品への販 売税、付加価値税を 徴収されない区域 である。

一定のインセンテ ィブが付与され、境 界を有し、経済活動 を実施する区域で ある。

機能 工業団地開発は (1) 空間計画との 整合、

(2) 工業開発の集 中、(3) 地域開発の 推進、(4) インフラ 開発との整合等を 目指している。

保税区は製品加工、

デザイン、建築・設 計、仕分け、包装、

最終検査などの活 動を行うことを目 的としている。

KAPETは地域開発

の推進を果たすこ とを主な目的とし ている。

FTZは、商業、サー ビス、製造、鉱業、

エネルギー、通信、

金融、保険、観光等 の分野の活動を促 進させるための場 所である。

地政学的、戦略的な 配置を考慮し、工 業、エネルギー、

R&D、輸出加工、

物流などの分野で、

付加価値が高く、競 争力の強い企業を 導入する。

工業団地 保税区

(KB) KAPET 自由貿易区

(FTZ)

特別経済区 (SEZ) 導入すべ

き活動

基本的に製造業 製品加工、デザイ ン、建築・設計、仕 分け、輸入品あるい は税関管轄地域か ら持ち込まれた製 品等の包装、最終検 査など

- 製造業、デザイン、

エンジニアリング、

仕分け、包装、再包 装、補修など.

輸出加工、ロジステ ィクス、製造、

R&D、エネルギー、

観光、その他SEZ を支援する諸施設

(職員用住宅など)

設立手順

工業団地開発デベロ ッパー(合法的法人組 織)が提案する。

(1) 最低50ha(2) 中小零細企業向け であれば、5ha

設立は財務省令に よって認可を受け る必要がある。

KAPETの設立は州

知事が、大統領に提 案し、承認を得る。

FTZは政令によっ て設立される。その 有効期間は70年で ある。

企業、地方政府等が 国家審議会に対し SEZの設立を提 案する。

ライセン

(1) Principle Approval

(2) Location Permit (3) Business Permit for Industrial Estate (4) Building Right (HGB)

Business Permit

その他 Business permit

その他 Business permit

その他 Business permit

その他

財源 主に民間資金(工業 団地開発デベロッ パー等)

国内資本、外国資 本、あるいはその組 合せ、協同組合、基 金等

中央政府予算

(APBN)、地方政府

予算(APBD)、そ の他

自己資金(民間資 金)、中央政府予算

(APBN)、地方政府

予算(APBD)、そ の他

民間資金、中央政府 予算 (APBN)、地方 政府予算(APBD)、

その他

インセン ティブ

(法人所 得税)

政令No.1/ 2007 よび政令No.

62/2008に規定され ているインセンテ ィブ(税額控除が中 心)

政令No.1/ 2007 よび政令No.

62/2008に規定され ているインセンテ ィブ(税額控除が中 心)

政令No.1/ 2007 よび政令No.

62/2008に規定され ているインセンテ ィブ(税額控除が中 心)

政令No.1/ 2007 よび政令No.

62/2008に規定され ているインセンテ ィブ(税額控除が中 心)

インセンティブは 未確定。法律 No.

39/ 2009には追加 的なインセンティ ブを付与するとの 条文あり。

出典:BKPMの資料に基づきJST作成

(7) 地域特性

ジャワ島の都市人口集中が著しく進んでおりジャカルタ市とバンテン(西ジャワ州) だけで全都市人口の 60%以上を占める。近年この地域への一極集中にさらに拍車が かかっており、2025年までには80%以上になると予想されている。失業率は、人口 が集中している上記地域に加え、東カリマンタンと北スラウェシで 10%以上と高い 値を示している。貧困率はパプア、西パプア、マルクを含む東部地域が高く、25%以 上の貧困人口を抱えている。特にパプアは 37%を超える人口が貧困ライン以下で生 活している。

人口と雇用

SEZ による新たな産業開発は余剰労働者を吸収することで失業率を引き下げるとと もに、貧困削減にも寄与することが可能であるため、地域経済の活性化、格差の縮小 へ貢献することが予想される。

日本工営株式会社 アチェでは2005-2009年の平均地域内総生産(GRDP)成長率が著しく低く、2004年 12 月に起きたインド洋大津波の影響がみられるものの、同期間のその他都市の成長 率は 4-8%となっており、国全体では安定した成長がみられた。特異な経済を持つ地 域としては、東カリマンタンとリアウの両州が、石油とガスの GRDP 比が80%以上 を占め、エネルギー資源依存型経済の地域といえる。パプアは鉱山資源、特に銅の GRDP 寄与率が高く、貧困率が 37%を超えているにも関わらず、一人当たり GRDP は全国で5番目に高い。

経済成長

スマトラ島のマラッカ沿岸地域ではパーム油の産出量が多く、精製工場も多く建設さ れており今後も有望な投資先の一つとされている。 西カリマンタンを除き、カリマ ンタン島全体では木材の輸出が盛んである。そのため、港湾輸出貨物の取扱量は全国 でも突出している。パプア、西パプア、北マルクにおける全輸出量の 95%以上は鉱 物資源である。西パプアでは天然ガスが近年投資家より注目されてきた。マルクでは ニッケルと金が産出している。

産業資源の特性

(8) インフラストラクチャー

インドネシア国は無数の島々から構成されることもあり、上水道の全国人口カバー率 は東南アジア諸国全体の平均を下回っている。地域別にみると安全な水へのアクセス が確保されている世帯率が 70%を超えるのは、ジャカルタ市とバリのみであり、地 方上下水道整備は今後も必要となっている。

水へのアクセス

エネルギー:現在の主要産業地域であるジャカルタ・バタムでは十分にエネルギー需 要が満たされているものの、ジャワ島内全体では電力供給待ちの申請者が増加してお り、今後見込まれる需要増加を考えると、早急な整備が必要と考えられる。

多くの島嶼から成るインドネシア国では、首都と地方都市、更に近隣諸国都市とを結 ぶ空運及び海運網が発達している。空港は、2002年時点で全国に国際空港が24カ所、

国内空港が 164カ所あり、港湾は国に指定された戦略港(国際港湾)が25 カ所及び無 数の官営または民営港湾が存在する。殆どの国際貨物がシンガポール港を経由して輸 送されるため、インドネシア国発着貨物船はインドネシア国-シンガポール間のフィ ーダー輸送が大半を占める。なお、近海コンテナ物流はシンガポール経由が大部分を 占めているものの、マレーシアのタンジュン・ペパレス港の出現により近年そのシェ アが減少し始めている。

運輸交通

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