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アプロプリエーションと日本語学習

第 2 章 先行研究の整理

2.3 社会文化的アプローチ

2.3.2 アプロプリエーションと日本語学習

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また,日本語教育は,文法や語彙,発音といった言語形式である学習法に基づいた 個人能力を重視した学習観から,70年代半ばにコミュニケーション中心の外国語を中 心とした学習法へと変化している.更に 80 年代以降は,日本語学習者のコミュニケ ーション能力を高めることを重要視と見なされるようになっている(西口,2005).

すなわち,日本語学習は個人学習から他者との関わりで学習成果を遂げる学習観へと 変化していると捉えることができる.また西口(2005)は,社会文化的アプローチの 視点から日本語教育を捉える際に,日本語学習は個人単位で如何に能力が高められる かというよりは,日本語学習の場を如何に活用し学習者同士の関係性を築く中で学習 者自分自身との関わりを捉えることの重要性を強調している.

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話を通しての分析となり,詳細な分析と検討は行われていない.また,研究上の課題 として,「社会文化的アプローチがこれまで第二言語習得研究でおこなわれてきた質的 な教室分析や談話分析とどのように異なるのか」を挙げている.本研究は比較を研究 目的としていないが,これまでの先行研究の分析を通して,社会文化的アプローチの 視点から第二言語習得の過程におけるより質的な分析をする必要性が示唆されると考 える.以上から,本研究では,第1章で取り上げた中国の大学生日本語学習者が抱え る自然な日本語習得問題に着目する際に,学習の相互作用のある環境の媒介で日本語 学習方略如何に変容し日本語学習が作用されるかを検討し,またその過程のアプロプ リエーションを詳細化する意義があると考える.

Siegal(1996)は,学習者が第二言語を用いる場面における相手との関係や置かれ る状況に適した表現を使用する能力といった「社会言語的能力」を表す主観性を提起 している.すなわち学習者が第二言語を用いる社会地位,また学習者が用いる第二言 語が関わる話し手との関係を関連付けて理解し,自身の学習法を持つ捉え方である.

学習者が必然的に,他者や周囲の日常的な日本語学習情報と知識を,自身の捉え方 と照合しながら積極的に受け取り,日本語学習の再構築を行う.また,日本語学習情 報を取るための学習行動に対して学習者自身が周囲の学びの相手と交流の相手を近づ け学習することの重要性が示されている.

以上,本研究に関連する先行研究について概観し,整理を試みた.

次章では,本研究の方法論について述べていきたい.

<注>

1 ここでいう「基礎段階」は大学の1年と2年のことで,「低学年」とも言われてい

る.これと同じように,「高学年段階」は大学3年と4年のことで,「高学年」とも言 われている.

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