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第 6 章 吸収体の条件出し 74

6.2 従来の手法

yabsmax5.2µm (6.16) と求まる。また図6.6より、吸収体のサイズとエネルギー分解能はトレードオフの関係であることがわかる。開口率 向上のためには吸収体は大きいほうが良いが、吸収体が大きくなるほどエネルギー分解能は劣化してしまうため、最 適な吸収体の大きさを模索する必要がある。

フォトリソグラフィー

パターニングプロセスと同様に、基板の洗浄を行った後レジストの塗布・ベイク・乾燥を行う。TESのパターニン グの際はレジストとして S1818Gを用いたが、吸収体は TESの10倍以上の厚みを保つため、リフトオフするため にはより厚く塗布することができるレジストを用いる必要がある。そのため、これまで吸収体の形成には典型的な厚 さ7µmのAZ Electoronic Materials製ポジ型レジストAZP4620を使用する。AZP4620のレシピを表6.1に示す。

S1818Gに比べてPost-bake, Exposure, Developingの時間が長くなっていることに注意が必要である。これはレジ ストが厚くなっていることによる。

表6.1 AZP4620のレシピ。

Time Rotation speed (rpm) Temperature (℃)

Pre-bake 1 min 100

Spin coater (HMDS) 05 s 0500 室温

510 s 500

1015 s 5003000

1545 s 3000

4550 s 50000

Leaving 1 min

Spin coater (AZP4620) 05 s 0500 室温

510 s 500

1015 s 5003000

1545 s 3000

4550 s 50000

Post-bake 5 min 100

Leaving 3 min 室温

Exposure 30 s

Developing 9 min 室温

EB蒸着

続いて Auの蒸着を行う。吸収体の蒸着には東京大学 満田・山崎研究室所有の SANYU 電子製 EB 蒸着装置

SVC-700LEB を用いる(図6.9)。EB蒸着法とは高真空中で電子ビームをターゲット(蒸着物質、この場合はAu)

に照射して加熱、気化し、これを基板上に堆積する方法である。汎用される抵抗加熱と比べ、ターゲットのみを局所 的に加熱するので、高真空度を保ちつつ、高蒸着レートで膜質の良い金属薄膜が堆積可能である。EB蒸着装置の仕 様は表6.2に記す。膜厚計を見ながら所望の膜厚までAuを堆積させる。このとき、水晶振動子の誤差により膜厚計 に表示される膜厚と実際に堆積されている膜厚が異なる場合があるため過去の条件と照らし合わせながら膜厚計の膜 厚を実際の膜厚に換算しながら膜厚を予測する必要がある。

蒸着後は基板をディッパーに固定した状態でアセトンを入れたビーカーに1日ほど浸す。アセトンによってレジス トが流れ、その上に乗っていたAuが浮いた状態になる(図6.10)。そこで小さい使い捨てのスポイトを用いてビー カー内に弱い水流を生み出すと、浮いたAuが次第に剥がれて行く*1(リフトオフ)。吸収体部分以外の Auが剥が れ落ちたら、IPA・純水で洗浄を行う。

*1この方法ではアセトンが蒸着したAuと基板の間にうまく入ってくれず綺麗に剥がれないことが多い。大抵吸収体にバリが発生してしま う。

表6.2 EB蒸着装置の仕様。

成膜室到達真空度 105 Pa 成膜速度 10100 nm/min

図6.9 EB蒸着装置 図6.10 Auのリフトオフ。

リフトオフ後の結果

上記の手順で製作した基板が図6.11である。吸収体の周りにバリが発生してしまっていることがわかる。吸収体 にバリが生じると吸収体内での熱拡散過程にバラつきが生じピクセルごとに性能に差が発生してしまう。単素子では 問題にならないが、多素子化を行う上では大きな課題である。そこで、レジストの見直しを行いバリのない綺麗な吸 収体を形成するため新たにイメージリバーサルレジストAZ5200NJを導入し、レシピの構築を行った。次節ではイ メージリバーサルレジストのプロセス構築に関して述べる。

図6.11 TMU505リフトオフ後。