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第 4 章
制御系の開発と安定性解析
提案回路を正常に動作させるためには,制御系を開発とその安定性解析が必 要不可欠となる。例えば,系統連系インバータ部では制御器によって系統に 供給する電流の位相を調節可能となるため,力率可変が実現可能となる。ま た,パワーデカップリング回路部においても,制御器での動作モードの切り 替えや脈動電力量の推定が重要となる。そのために,本章ではすべての力率 においてパワーデカップリング機能を実現可能な制御システムの詳細を述 べる。更に制御システムに用いる制御ゲインの設計とフィードバック制御系 の安定性解析を行ったので,そちらについても述べていく。
4.1 主回路と制御の関係
初めに,主回路と制御回路の関係について述べる。本研究では提案回路を動作するに あたり,インバータ出力電流𝑖𝐴𝐶やデカップリングコンデンサ電圧𝑣𝑋, パワーデカップリ ング入力電流𝑖𝑋1のフィードバック制御が必要となる。これらの制御のために,DSP や FPGA等の制御器を用いる。まず,制御器に必要なパラメータを取り込むために,検出 回路を用いて主回路から各パラメータを連続時間系で検出する。その後,制御器内で A/D変換を行い,デジタル信号として各パラメータを演算する。その後,コンパレータ や論理回路を通して,PWM変調やパルス分配を行う。生成したパルス信号をゲート駆 動回路に出力する事で各スイッチ素子が各パルス幅で駆動する。例えば,インバータの 出力電流制御𝑖𝐴𝐶のフィードバック制御においては,𝑖𝐴𝐶の検出信号を指令値𝑖𝐴𝐶∗ と比較す る事によりゲート信号を生成する。𝑖𝐴𝐶が指令値に比べ小さい場合は,ゲート信号のパ
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ルス幅を大きくすることで,電流量を増やす方向に制御される。一方で𝑖𝐴𝐶が指令値に 比べ大きい場合は,ゲート信号のパルス幅を小さくする事で,電流量を減らす方向に制 御される。
図 4-1 に先行研究における実験全体図を示す。先行研究において用いた制御器は
Myway製のDSP(PE-Expert4)を用いている。PE-Expert4では,様々な機能を持った
ボードを各ラックに取り付ける事で,様々な用途に利用できる制御器である。図 4-3
PE-Expert4本体との各ボード写真を示す。先行研究ではアナログ信号を取り入れるPEV
ボード(MWPE4-PEV),アナログ信号を出力するDACボード(MWPE4-DAC),パソコン との通信やプログラム演算を行うDSPボード(MWPE4-C6657)の3つのボードを使用し ていた。PE-Expert4で演算を行った後,外部回路にてPWM変調とパルス分配し,ゲー ト駆動回路に出力する。先行研究ではこのシステムで実験を行っていたが,主回路のス イッチングに起因するノイズや回路動作の安定性に問題が生じていたため,本研究では,
ノイズへの影響が減少するように実験システムを変更した。
図4-1 先行研究における実験全体図
スイッチのドライブ回路
S1 S3
S2 S4
VDC
CX iAC
RDC CDC
Lf
Cf
LAC
LX
vAC
DG1
SDC
SX2
DG2
SX1
Sm1
iDC
vX
主回路構成
制御電源(5V)
検出回路
SX1 Sm1SDC SX2S1 S2 S3 S4
vAC
iAC
VDC
ix1
ix1
vX
PE-Expert4 (DSPボード)
AND OR NOT
キャリア比較 アナログ制御回路 パルス信号
ゲート信号
制御器内部 外部回路
DSP入力 IC 1
IC 5
IC 4
IC 8
IC 6 IC 9
IC 7 IC 10
IC 2
IC 3
キャリア入力 GND
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図4-2に本研究における実験全体図を示す。大きな変更点は,PE-Expert4での演算後 の PWM 変調及びパルス分配を,外部回路での処理から PE-Expert4 の FPGA ボード
(MWPE4-FPGA24)での処理に変更した事である。即ち,PE-Expert4におけるDSPとFPGA
図4-2 FPGA導入における実験全体図
図4-3 PE-Expert4本体との各ボード写真
スイッチのドライブ回路
S1 S3
S2 S4
VDC
CX
iAC
RDC CDC
Lf
Cf
LAC
LX
vAC
DG1
SDC
SX2
DG2
SX1
Sm1
iDC
vX
主回路構成
制御電源(5V)
検出回路
SX1 Sm1SDCSX2S1 S2 S3 S4
vAC
iAC
VDC
ix1
ix1
vX
PE-Expert4 (DSPボード)
パルス信号 ゲート信号
制御器内部
PE-Expert4 (FPGAボード)
AND OR NOT
キャリア比較 アナログ制御回路 外部回路
光信号
FPGA PEV DAC C6657
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双方のデジタル信号処理プラットフォームを用いる事で,精度の高い制御が実現可能と なる。外部回路での処理においては,アナログ信号の処理になるため,配線による遅延 やヒステリシス設計等の詳細な検討を必要とし,さらにノイズの影響を受けやすく主回 路の誤動作に繋がる可能性もある。一方でFPGAボードによる処理では,デジタル信号 での処理になるため,設計が容易でありノイズの影響も受けにくくなる。また,外部回 路や搬送波生成のための発振器等を必要としないため,先行研究に比べ実験装置の小型 化が実現されている。更に,FPGAボードで生成した信号を光信号によって出力する事 で,配線でのノイズ等の影響を受けないようになっている。これにより,DSPでの演算 結果から,精度の高いゲート信号がゲート駆動回路に入力されるため,正確かつ安定な 回路動作に繋がる。