s , ‑ ̲ l J
34 180/0
最後に,比較化合物としての非環状トロポノイドピススルフイド 88の合成を行 なった.
85 + NaOMe
MeOH, C6H6 n‑BuO n‑C7H1SSH
88 470/0
88の lH‑NMRスペクトルにおいて, 2.50,2.52に‑S‑CH・,CH2・CH2・,3.77, 3.78
にTrp‑
. Q h ‑
S‑のシグナルが観測された.質量スペクトルでは, 2本の ‑SCf{15に 相当するrn/e262のピークが現われており,構造を支持している.50
第三節 トロポノイドジチオクラウンエーテルの性質
前節で合成したトロポノイドジチオクラウンエーテル 31とカチオンとの錯体形 成の有無を
l H ‑ N M R
スペクトルを用いて調べた.MeO ベ
コ ~OMe
V
S31
31の重クロロホルム溶液と 2当量の硝酸銀水溶液を分液ロートで振とうした後,
有機層の
l H ‑ N M R
スペクトルを測定したが,全く変化はなかった.次に,
2 . 7
当量の塩化第二水銀と前述の処理を行なったところ,全てのシグナル に低磁場シフトが観測された.変化の様子をF i g . 4
に矢印で示した.ム
口μ︒ ︒
内 ぷ + Fム r e e~~-γ
‑r‑rr"寸。 1I I I , 1 ' ,r T 1‑'‑' " , I ' , , I 1 I
31‑Hg2+
~
ア
r r r
ア'1I I ''1 I I '1 I I I I I i I i I i " ア 「 ア 「 ナt4.0 3.8 3.6 3.4 (6)
F i g . 4 l H ‑ N M R
久ペクトルの変化 (31)3.83 ( 2H, brs )のピークが,水銀イオン取り込みにより, AB型 (3.66, 3.90,結 合定数 17Hz)のピークに分かれている.これは,カチオン捕捉により, トロポン 環の回転が停止したことを意味する.ここで,錯体中の水銀イオンは, トロポン 環の π電子上に位置すると考えると,全ての水素が低磁場シフトする事実が説明
できる (Fig.5).
。
OMe
Fig.5
次いで,水銀錯体からの脱塩を試みた.脱塩の条件はできるだけ穏和なことが 実用上望ましいので,希塩酸(この場合, 2N塩酸)を用いた.
錯体の重クロロホルム溶液と 2N塩酸を分液ロート中で 10分間振とうし,有機 層の lH‑NMRスペクトルを測定すると,完全に元の 31と一致するチャートを与え
た. しかも,回収率は 100%であった.
回収した 31にさらに水銀イオンを取り込ませ,続いて 2N塩酸で脱塩するとい う操作を繰り返し行なったが, 31の回収は定量的であった.
興味あることに,海水に溶かした水銀 (6当量)も 31によって抽出される.つ まり, 31を用いれば,海水中の水銀の輸送・濃縮が可能となる.
銀,水銀以外では,リチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,コバル ト,ニッケル,銅,亜鉛,ストロンチウム,カドミウム,バリウム,ランタン,
タリウム,および,鉄について錯形成を調ブたが,いずれも lH‑NMRスペクト jレ に変化はなかった.
52
他のトロポノイドジチオクラウンエーテルについても,水銀との錯体形成の有 無について調べてみたが,唯一,
30
が錯体を作り(F i g . 6
),黄色国体析出が観測された. しかし, 2N塩酸による脱塩では,
30
の回収率が70%
に留まった.イ ¥ O F s
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e e r
+ £ ム
内ノ﹄
︒ ︒
ロμ
。
OMe
30
30‑Hg2+5.0 4.0 3.0 2.0 (6)
F i g . 6
lH‑
NMR
スペクトルの変化(30)
既知ジチオクラウンエーテル 89‑91は,いずれの場合も水銀イオンと錯体を形 成し,一部結晶化する.残りは重クロロホルム層に存在し, 1H‑NMRスペクトル
の低磁場シフトが観測された.