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第 3 章 膨張材とカルシウムアルミネート系混和材を併用したコンクリートの特性

3.6 ひび割れ抑制効果が塩化物イオンの浸透に与える影響

3.6.1 ひび割れと塩化物イオンの浸透

塩水浸せき後 1 ヶ月および3 ヶ月時点でのひび割れ箇所周辺の塩化物イオン浸透状況を 確認するため、EPMAを用いてCl元素のマッピングを行った。配合ごとに、分析に用いた 供試体外観、ひび割れ状況および Cl 元素のマッピング結果をとりまとめて図 3-23~図 3

-26に、材齢ごとに各配合のCl元素マッピングをまとめたものを図3-27に示す。

N配合においては、浸透暴露面の表層およびひび割れ箇所周辺の塩化物イオン濃度が高く なっており、供試体内部までひび割れを通じて塩化物イオンが浸透している様子が伺える。

また、ひび割れ箇所から周辺部に向かって拡散している状況が確認できるとともに、材齢 の経過に伴い、その浸透範囲および濃度が増加していることが確認された。また、BB配合 においては、塩化物イオンの浸透挙動としては N 配合と同様に供試体表層部とひび割れ箇 所周辺の塩化物イオン濃度が高く、ひび割れ箇所からの周辺への浸透も認められるものの、

全体的にその濃度はN配合よりも低い結果となっている。浸せき材齢1ヶ月と3ヶ月とを 比較した場合においても、浸透表面の濃度は高まっている傾向にあるものの、ひび割れ周 辺から内部へ浸透している塩化物イオン濃度の分布にはほとんど差異が認められておらず、

ひび割れからの再拡散が抑制されていることが確認された。

一方、CA2を単独混和した N+CA2配合においては、浸せき材齢1 ヶ月時点においては、

浸透面表層の塩化物イオン濃度が著しく高いものの、ひび割れ箇所およびその周辺におけ る塩化物イオン濃度が低い結果となっている。これは、混和した CA2が硬化体内部で均一 に分散した状態でCH等と反応してハイドロカルマイトやAFmを生成していることにより、

ひび割れを経由して塩化物イオンが浸透する過程で固定化機能が発揮されたためと推察さ れた。しかしながら、浸せき材齢3ヶ月時点においては、ひび割れ箇所から内部へ向かい、

塩化物イオンが再浸透している様子が確認できる。ただし、N配合と比較した場合において は、ひび割れからの塩化物イオン濃度分布が低い傾向にあり、浸透抑制効果は発揮されて いるものと推察された。

膨張材とCA2を併用したN+CA2+Ex配合においては、浸せき材齢によらず、N+CA2配合 と同様に浸透面表層の塩化物イオン濃度が高くなっており、表層部での固定化機能が発揮 されていると推察される。また、ひび割れ箇所から周辺部への浸透状況としては、浸せき 期間 1 ヶ月から 3ヶ月にかけてほとんど変化しておらず、ひび割れから硬化体内部に向け た塩化物イオンの濃度分布は、概ねBB配合と同様な傾向を示している。本試験においては、

膨張材の効果としてひび割れ幅を小さく導入しているため、ひび割れからの塩化物イオン 浸透量自体は最も少ないと考えられるが、ひび割れ箇所からの塩化物イオンの再拡散につ いてはBB配合と同程度に抑制できる効果を有しているものと考えられる。これは、N配合 の濃度分布と比較すると低減効果が明らかであり、また、CA2を単独添加したN+CA2配合 と比較しても拡散が抑制されている傾向であることが分かる。従って、膨張材と CA2とを 併用した場合においては、材料的な固定化能力に加え、イオンの移動自体も抑制するよう な相乗効果が得られているものと推察される。

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(EPMA供試体) (ひび割れ状況) (Clマッピング)

【浸せき材齢:1 ヶ月】

(EPMA供試体) (ひび割れ状況) (Clマッピング)

【浸せき材齢:3 ヶ月】

図 3-23 ひび割れ周辺の塩化物イオン浸透状況(N 配合)

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(EPMA供試体) (ひび割れ状況) (Clマッピング)

【浸せき材齢:1 ヶ月】

(EPMA供試体) (ひび割れ状況) (Clマッピング)

【浸せき材齢:3 ヶ月】

図 3-24 ひび割れ周辺の塩化物イオン浸透状況(N+CA2 配合)

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(EPMA供試体) (ひび割れ状況) (Clマッピング)

【浸せき材齢:1 ヶ月】

(EPMA供試体) (ひび割れ状況) (Clマッピング)

【浸せき材齢:3 ヶ月】

図 3-25 ひび割れ周辺の塩化物イオン浸透状況(N+CA2+Ex 配合)

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(EPMA供試体) (ひび割れ状況) (Clマッピング)

【浸せき材齢:1 ヶ月】

(EPMA供試体) (ひび割れ状況) (Clマッピング)

【浸せき材齢:3 ヶ月】

図 3-26 ひび割れ周辺の塩化物イオン浸透状況(BB 配合)

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(N 配合) (N+CA2 配合) (N+CA2+Ex 配合) (BB 配合)

【浸せき材齢:1 ヶ月】

(N 配合) (N+CA2 配合) (N+CA2+Ex 配合) (BB 配合)

【浸せき材齢:3 ヶ月】

図 3-27 ひび割れ周辺の塩化物イオン浸透状況(材齢ごとのまとめ)

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