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が他の群と比較してネット群が有意に低いということ は,ネットいじめのみの加害を行っている者は他の者 と比較して,母親の支配的撲得点から父親の支配的験 得点を引いた値が最も小さく,また負の値であるとい

うことから,唯一父親の方が高いということを示して いる。つまり,ネット群は母親と父親の情緒的絆の差

(母優位度)が最も大きく,支配的撲は唯一父親の方が 高いということである。

 父母間の養育態度の不一致などの好ましくない養育 態度は,反社会的攻撃性と正の相関を示すことを小西

ら(1983)は明らかにしている。情緒的絆の差が大きい ということは,父母間の養育態度の一部に」致しない 部分があるということであり,ネットいじめ加害行動

を反社会的攻撃性の現れとするならば,この小西ら

(1983)の知見と一致している。しかし,同様に反社会 的攻撃性が高いであろう従来いじめ群や両方群には,

なし群と有意な差は見られなく,この知見とは矛盾を 呈している。ただ,母親の情緒的絆得点ではネット群 は他のどの群とも有意差はないことから,この結果は 父母の養育態度の差によるものではなく,父の情緒的 絆が低いという影響が大きいのかもしれない。また情 緒的絆は親の養育態度の一部分に過ぎない。これらの ことより,単純に父母の養育態度の差として小西ら

(三993)の知見と比較することはできないのかもしれな

い。

 支配的験においても同様に父母間の差で論ずること はできないのかもしれないが,こちらは唯一負の値と なっているという特徴が窺える。父母間の差を用いた 検定であるならば,値の絶対値で比較するべきである が,本研究では母優位度を求めるために敢えて符号を 残した状態で比較している。その結果,父親の支配的 撲得点が母親よりも唯一高いという結果を得た。

 先述の森下(2001)の幼児対象の調査において,父親 の受容が低く統制が高い群は攻撃性が高いとしてい る。また,父親の支配的験行動の頻度が母親よりも高 いということは,親の意に反する行動が父親に知れた 場合,子どもに対して厳しい叱責や罰統制が行われる だろうということは,その下位尺度項目の内容からも 想像に難くない。とするならば,彼らは父親からの厳 しい叱責を逃れるために,反社会的な行動を行う時に は,できるだけ彼らの親や教師にバレないようにしな ければという考えや行動を,他の群の者たちよりもよ り頻回に,より濃密に繰り返し行ってきていると予想 される。そしてこのような隠蔽行動がより強度に学習 されたのであるならば,そのような家庭環境の元で育 った子どもたちが,いじめ加害行動を行おうとした場 合,匿名性が高く加害者が特定されにくいという特徴 を持っネットいじめを選択しやすくなるとは考えられ

ないだろうか。

 また,有意差は見られないものの,なし群の方が従 来群・両方群よりも値は小さくなっている。つまり,

父母間の差が最も小さいのがなし群であり,何らかの いじめ加害行動をしている群はそれよりも差が広いと いうことであり,これらの結果は先述の小西ら(1993)

の知見に則した結果となっている。

(5)いじめ被害頻度

 いじめ加害4群におけるネットいじめ被害得点及び 従来いじめ被害得点の比較を行った。その結果,ネッ

トいじめ被害得点では,なし群と従来群はネット群及 び両方群と比較して有意に低かった。従来いじめ被害 得点では,ネット群となし群は従来群及び両方群と比 較して有意に低かった。つまり,ネットいじめ被害頻 度はなし群及び従来群よりもネット群及び両方群に多 く,従来いじめ被害頻度はネット群及ひなし郡よりも 従来群及び両方群に多いということである。要するに,

ネットいじめ加害を行っている者はネットによるいじ め被害を多く受けており,従来いじめ加害を行ってい る者は従来いじめによる被害を多く受けており,いじ め加害を行っていない者はどちらのいじめ被害も少な いという結果が示唆された。また両方のいじめ加害を 行っている者は,どちらのいじめも多く受けていると いうことも示唆された。

 これは,少なくとも,従来いじめ被害を受けた弱い 者が,仕返しや発散をする際に,表だった従来いじめ 加害を行う勇気がないために,匿名性の高いネットい じめ加害で仕返しなどを行うといったシナリオは現実 には多くないということを示唆しており,むしろ,い じめ被害と加害は同じ手段で行われる傾向にあるとい えるのではないだろうか。

 また,先述したように,ネットいじめ加害を行う者 はそうでない者と比較して携帯電話・パソコン・イン ターネットの習熟度が高い。習熟度がある程度高くな ければ,ネットいじめの場となるプログやプロフ及び 掲示板を利用することは難しいため,あるいはいじめ 加害によって利用頻度が高まり習熟度が上がるためと

も考えられる。いずれにせよ,ネットを利用して加害 をする者は習熟度が高いというのは理解に容易い。し かし,ネットいじめ被害に遭う者が,必ずしもネット 習熟度が高い必要はない。被害者本人が自分の悪口な どを書き込まれたプログ等に直接アクセスできずと も,周りの者が見て,それが本人に伝わればいじめと して成立する場合があるからである。そうであるにも 関わらず,ネットいじめ被害頻度が有意にネット加害 群及び両方加害群に多いという結果となっている。と いうことは,ネットいじめ被害を受ける者は,ネット 加害行動ができる環境や技能を持ち合わせている者が 多いのかもしれない。あるいはそうでなければ,ネッ ト上で自分がいじめられているという事実を知らない 状況にあるとも推察できる。

 加害と被害に関する因果関係については本研究にお いて言及することはできない。しかし,ある種 目に は目を 的な傾向が示唆されたことは大変興味深いと 言える。また,いじめの加害行動頻度が高いと言及し てきた両方いじめ加害群は,同様にいじめ被害頻度も 高いということが示唆されたことは,今後,教育及び 臨床の各鎮域において更なる研究の必要性を示唆して いると思われる。

第6章 総合考察

1.ネットいじめ加害行動と関連のあるもの

(玉)Ybaraaら(2004b)の調査との比較

 本研究はネットいじめ加害行動と関連のあるもの を,親子関係と道徳的規範意識とに焦点を当てて,そ の一部を明らかにすることを目的に行われた。

 親子関係についてはYbaraaら(2004b)の研究結果を 基に行われ,その研究と同様のネットいじめ加害2郡

との比較の結果,本研究においてもYわaraaら(2004b)

のアメリカでの結果と同様の結果を得られ,親子関係 とネットいじめ加害行動とには日米では同様の傾向が あることが明らかになった。それに加えて本研究では,

養育者を父親及び母親と細分した上での分析も行った 結果,両者ともにYba㍑aら(2004b)の結果を支持す

ることが明らかとなった。

 さらに,同じネットいじめ加害2群による比較にお いて,保護者による子どものネット利用内容の把握度,

子が母親に抱く信頼感,子が父親に抱く信頼感がネッ ト群の方が低かった。また道徳的規範意識においても 思いやり,正義,規範はネット群の方が低かった。

 これらよりネットいじめ加害経験のある者は,ない 者と比較して,携帯電話・パソコン・インターネット

の習熟度が高く,親と一緒に楽しく過ごすといった情 緒的絆や,子どもが誰とどこで過ごしているかなどの モニタリング行動の頻度や,ネット利用内容の把握度 が低く,大声で叱るなどの支配的嫉の頻度が高い。さ

らに,子が親に抱く信頼感が低く,道徳的な規範であ る思いやりや正義,規範に対するが意識が低いという 傾向があることが明らかとなった。

(2)いじめ加害4群の比較によるネットいじめの特徴  ネットいじめ加害2群による比較では,従来のいじ

め加害の経験の有無による効果は加味されないため,

従来のいじめを行う者と,ネットでのいじめを行う者 との特徴の違いを明らかにすることはできない。そこ で,本研究ではそれを加味したいじめ加害4群でも同

様の検定を行った。

 その結果,ネットいじめのみの加害を行うネット群 は,なし群と比較して,父親に抱く情緒的絆と信頼感 が低い,情緒的絆の母優位度が高い,支配的銭の母優 位度が低い,道徳的な規範が低い。従来群と比較して,

父親に抱く情緒的絆が低い,情緒的絆の母優位度が高 い,支配的撲の母優位度が低い。両方群と比較して,

母親からの支配的撲が低い,支配的撲の母優位度が低 い,道徳的な思いやりが高い,という傾向が示唆され

た。

 これらより,ネットいじめのみの加害を行う者は,

総じて母親よりも父親との関係とに特徴的な差がある ことが示された。つまり父親に対する信頼感や情緒的 絆といった受容的な態度が不足しており,支配的撲な どの統制的な態度が母一親よりも強いという傾向がある 者が,ネットいじめのみの加害を行う者に多いと考え

られるということである。しかし,従来群とネット群 との違いはすべて,なし群とネット群との違いにも含 まれているため,これだけでは,いじめ加害行動をす る際に従来いじめではなく,ネットいじめのみの加害 行動を選択する者の特徴とは言い難い。

①ネット群と従来群との比較

 そこで,なし群と従来群,なし群とネット群との傾 向の違いに注目してみると,有意差の有無による違い

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