M.K さんのフェイスシート(2)
⑪課題分析(アセスメント関連)
■健康状態:
脳出⾎後遺症にて左⽚⿇痺がある
(元来利き⼿は右⼿)。
糖尿病による合併症はない。
(HbA1c 6.0% FBS 120mg/dl)
⾷事療法なく内服コントロール
■認知症:
数年前より認知症を認め、⽕の不 始末の不安があった。昨年から徐々 に失⾒当識記銘⼒低下による⾏動障 がいが多くなり、⾦銭管理や他の⽣
活管理が困難となる。
ー 経 過 ー
【退院時】
■主治医からの病状説明及び 介護 保険サービス利⽤に関しての意⾒
①服薬管理を確実の⾏うことで⾎
糖のコントロールは出来ており安 定している。(HbA1c 6.0%)
②⾎圧についても内服薬でコント ロール出来ている(BP:130/80 mmHg)
③⼊院中、認知症で特に問題にな ることはなかったが、物忘れがあ るようなので、薬の飲み忘れに注 意してもらいたい。
④移動についてはリハビリテー ションで歩⾏器歩⾏が可能となっ ているが転倒のリスクは⾼い。⾻
粗鬆症があり、転倒すれば⾻折に つながるため、留意が必要。今後 もリハビリの継続が必要である。
⑤摂⾷や嚥下については問題ない。
⑥退院後はかかりつけ医であるC医 院で診てもらうこととなっている。
【退院直後】
(サービス担当者会議)
■決定事項(サービス内容等)
《訪問介護》 毎⽇
*⽕・⽊・⼟・⽇は朝・⼣
*⽉・⽔・⾦は⼣のみ
*掃除・買い物・調理・ 服薬管理
・1回/⽉の通院介助
《通所リハビリテーション》
3/W(⽉・⽔・⾦)
*リハビリ⽬的
*⼊浴施⾏(⾃宅では⼊浴せず)
《住宅改修》
⽞関に踏み台と⼿すり 廊下に⼿すり
《福祉⽤具貸与》
特殊寝台(付属品含む)
⾞椅⼦
《福祉⽤具購⼊》
ポータブルトイレ購⼊
*家屋内は畳・段差あり歩⾏器の 使⽤は困難であるため、⾃宅内 は杖使⽤とする。
*⾞椅⼦は通院時や通所利⽤時に 使⽤。
【退院から3ヶ⽉後】
■本⼈の様⼦
①⾷事はヘルパーが調理し、配膳 していたが偏⾷で残⾷が多い⾷事 となっていた。
②買い物はヘルパーが⾏っていた が、近所の⽅から本⼈が好きな菓
⼦類の差し⼊れがあった。また、
本⼈も近所の⽅に『⾷べさせても らえないので、アンパンを買って きてほしい』と⾔っていた。
③⽔分についてはヘルパーがサイ ドテーブルに準備していたが、飲 んでいる量が少なかった。
④内服については、朝・⼣・通所 リハビリテーション利⽤時の昼は 確実に服⽤できていたが、⼀⼈の 時はほとんど飲み忘れていた。ヘ ルパーは、⾷事と⼀緒にセッティ ングしていた。
⑤不眠のようで、⼀⽇中ウトウト としていた。
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⑥通所リハビリテーションの送迎 時に朝⾷を摂っていないことが あった。
⑦失禁があり紙パンツを使⽤。便 秘気味である。
⑧⾜にむくみがみられるようにな る。
⑨直近の受診時のデータ HbA1c 7.0%
⾎圧 140/90mmHg 内服に変更はない。
【退院 3ヶ⽉〜6ヶ⽉】
①夜間にベッドからポータブルト イレに移乗しようとして転倒。翌 朝にヘルパーが発⾒し受診。⾻折 はなかったが、左肩・左⼤腿部を 打撲した。
②1⽇を通して、ベッド上で過ご すことが多くなった。
■本⼈の様⼦
③退院時は、ヘルパーは本⼈より お⾦を預かり買い物をしていたが、
お⾦がどこにいったか分からなく なることが頻繁に出現した。
➢これにより、ケアマネジャー は社会福祉協議会の「⽇常⽣
活⽀援事業」の利⽤を勧め、
⼿続きを開始した。
④⾷事についての偏⾷や残⾷の改 善は⾒られず、好きなご飯や饅頭 など⽢いものを好んで⾷べていた。
ヘルパーはご飯好きであることか ら、炊き込みご飯や焼き飯などを 作るなどの⼯夫をしていたが、摂 取量は増えなかった。
⑤服薬については飲み忘れが続い ていた。
⑥枕に抜けた髪が多く付着するよ うになった。
⑦⼿⾜の痺れを訴えることがあっ た。
⑧定期受診時に⾎糖値が⾼くなっ ており、今後、インシュリン注の 治療を検討しないといけないと主 治医より説明を受ける。
【退院 6ヶ⽉〜1年後】
①退院時に⽐べて体重が3Kg 減少。
②「お⾦を取られた」など、被害 妄想的な発⾔が⾒られるようにな る。
③不眠から起床時間が遅く、通所 リハビリテーションも休みがちと なっていった。
④⽪膚をよく掻いており、発⾚が
⾒られる。
⑤定期受診時の検査で腎機能低下 の合併症がみられ、B病院へ⼊院 加療となった。
■本⼈の様⼦
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2.「観察ポイント」と
「連携ポイント」
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医療専⾨職の視点を⾒てみましょう!
① ⽒ 名 : M.K
② 性 別 : ⼥性
③ 年 齢 : 75歳
④ 要介護状態区分: 要介護3
⑤ 病 名 :
Ⅱ型糖尿病・脳出⾎・認知症
★2・
⾼⾎圧症・⾻粗鬆症・肥満症
⑥ 現在の処⽅
※1:
ジャヌビア(50)1T 1× M メトグルコ(250)6T 3×N ユニシアHD 1T 1×M
アクトネル17.5mg 1T 1×起床時 アリセプトD(5) 1T 1×M
※1 内服について
ジャヌビア 糖尿病治療薬 メトグルコ 糖尿病治療薬 ユニシア
HD
高血圧治療薬 アクトネル 骨粗鬆症治療薬アリセプト
D
アルツハイマー型認知症抑制薬ジャヌビアは腎代謝型 です。糖尿病悪化時は 他剤への変更を考慮す る必要があります。ま た、メトグルコはアシ ドーシスになりやすい ので、たくさん⽔分を 摂取する必要がありま す。よって、利尿作⽤
のある薬を服⽤されて いる⽅には、特に注意 が必要です。
アクトネルは1回/週服
⽤する薬です。もし、
決まった曜⽇の起床時 に飲み忘れても、翌⽇
の起床時に服⽤して構 いません。ただし、起 床時に服⽤する薬なの で、忘れたことに気づ いたからといって起床 時以外の時間帯に服⽤
するのはやめましょう。
フェイスシートより、
認知症があるという 時点で、服薬管理が 困難だろうという予 測が⽴ちます。特に 内服管理が重要な糖 尿病や⾼⾎圧症に罹 患していますので、
内服管理については 検討が必要です。
また、糖尿病より、
低⾎糖症状
★3の有 無を確認する必要が あります。
⾼⾎圧症より、脳⾎
管疾患の既往があり ますので、再出⾎の リスクが⾼いことが 予想されます。
さらに、⾻粗鬆症・
肥満・介護3という 情報から、下肢筋⼒
の低下が予測される ため、転倒予防など の対応が必要です。
⾼⾎圧症、Ⅱ型糖 尿病より、再出⾎
の可能性が予測さ れます。⾎圧と⾎
糖コントロールの 安定を図る為、リ ハビリ(運動療法、
⽣活指導)が必要 な状態です。
肥満症より腰椎、
膝関節の変形が予 測され、歩⾏時の 関節の疼痛や、歩
⾏動作が不安定な 事が考えられます。
また、認知症、⾼
齢者の⼥性に多い
⾻粗鬆症があるた め、⼀度の転倒で 寝たきりになる可 能性があります。
家屋内の動線、住 宅改修状況、福祉
⽤具の評価が必要 と考えます。 11
フェイスシート
⑦⽣活歴:
早くから家族と離別し、独居⽣活が⻑い。
接客業をしていた関係で、⾮常に対⼈関係 が良好。⾃⽴⼼に富む性格の為、認知症が 進んでも馴染みの⼈間関係を維持できてい た。
⑧病歴: 60歳を過ぎた頃より、糖尿病と⾼⾎圧症 を指摘され、内服で管理していた。しかし、
最近は薬の飲み忘れがあり、⾎糖・⾎圧の コントロールは共に不良となっていた。定 期受診は忘れずに⾏っていた。
3ヶ⽉前に脳出⾎でA病院に⼊院加療、そ の後リハビリ⽬的でB病院に転院、今⽉末、
⾃宅退院の予定となった。
⑨家族構成:
独居。幼少から両親と離別。夫とも死別。
⼦供とは絶縁状態。親戚とも⾏き来はない。
⑩経済状況 : ⽣活保護受給
親族との交流がない状 況です。⺠⽣委員や近 隣の⽅からの⽀援の有 無などを確認しておき ましょう。
訪問看護は⾦銭的に⾼
いイメージがあります が、看護だけでなく他 のサービスとの連携な どで、訪問時間の調整 を⾏うことが出来、必 要なケアをポイントを 絞って提供をすること が出来ます。
⽣活歴や家族構成 より、独居で⽣活 をする状態である 為、まず移動⼿段 の確保、排泄⽅法、
動作の確認を⾏い ます。その他のA DLに関しても、
本⼈のできる能⼒
を評価して、でき る能⼒を最⼤限使 うことで、⼼⾝機 能の低下を防ぐこ とができると考え ます。
経済的事情を考慮し た訪問計画を検討す る必要があります。
⽣活保護受給者であ るため、介護保険の 限度額をオーバーす ることは難しいと思 われます。適切な サービスを効率良く
⾏えるプランの組み
⽴てが必要だと思わ
れます。
⑪課題分析(アセスメント関連)
■健康状態:
脳出⾎後遺症にて左⽚⿇痺 (元来利き⼿は右⼿)
糖尿病による合併症はない
(HbA1c 6.0% FBS 120mg/dl)
⾷事療法なく内服コントロール
■認知症:
数年前より認知症を認め、⽕の不始末の 不安があった。昨年から徐々に失⾒当識記 銘⼒低下による⾏動障がいが多くなり、⾦
銭管理や他の⽣活管理が困難となる。
■ADL・IADL等
寝返り ベッド柵に掴まれば可
⽴ち上がり ⽀えあれば可 坐位保持 ⽀えが必要
歩 ⾏ 歩⾏器使⽤で介助要す
⼊ 浴 ⼀⼈では出来ない 排 泄 排泄意あり、⼀部介助
⾷ 事 摂取⾃⽴、調理不可 その他 ⾦銭・内服管理不可
難聴のため補聴器使⽤
上下顎⾻共に部分義⻭
⑫ 本⼈の気持ち:
「家で⽣活できるかどうかは帰ってみない と分からない。今まで通り、住み慣れた
⾃宅で誰にも気を遣わずにすごしたい。
サービスを使うのはいいけど、お⾦がな いのが⼼配」
⿇痺の程度を確認し ましょう。既往に脳 出⾎がありますので、
再発の恐れがありま す。
糖尿病は「低⾎糖やその時 現れる症状」についての説 明や応急処置として「ブド ウ糖の服⽤」などの指導が 必要となります。この事例 の場合は、⾷欲低下による
⾎糖コントロールが不良な ので、特に注意が必要です。
本⼈の理解が乏しい場合は、
薬剤師の訪問サービスや調 剤薬局の薬剤師からの説明 を活⽤しましょう。
飲み忘れを防⽌する為、服 薬BOXを使⽤すると良い でしょう。⿇痺のある⽅は、
カレンダー式だと出し⼊れ が困難なことも多いため、
BOXの⽅が使⽤しやすい ことがあります。
⿇痺があるため、薬を準備 していても飲まない可能性 があります。「開封しにく い」や「こぼしてしまう」
など、ノンコンプライアン ス
※2の理由は様々です。
アリセプトによる効果を 再評価し、他剤への変更 も検討します。
起き上がりについ てもアセスメント しておくことが⼤
切です。起き上が りができない事で 次の動作に移る事 が困難となる場合 があります。
糖尿病になると、
⼝の中が乾きやす くなるため、唾液 の分泌量も低下し
⼝の中が汚れやす くなって⼝臭がき つくなります。免 疫⼒が低下するの で⻭周病になりや すく、治りにくく なります。⼝腔内 を清潔に保つこと で、⼆次感染を防 ぐことができます。
脳出⾎の後遺症
(⿇痺の程度・感 覚障がいの有無・
⾼次脳機能障が い・認知症状等)
の確認が必要です。
退院後の起居動作、
⽴ち上がり動作を
安全に⾏っていた
だくために、ベッ
ドの⾼さ・介助
バーの選定、マッ
トレスの種類(硬
さ)等ベッド周り
の環境調整と実際
の環境における動
作評価、指導をす
ると良いでしょう。
ドキュメント内
「今日から得意になる医介連携 〜高齢者に多い病気を学ぼう〜」
(ページ 35-42)