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■都道府県ごとの目標:医療計画

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 (スライド1)次に都道府県ごとの目標として,

厚生労働省が挙げている3つの計画についてお話し していきます。

〈我が国の現状と課題〉

●病床規制からの脱皮

 まず医療計画ですが,医療計画の課題は病床規制 からの脱皮であって,平均在院日数の短縮です。平 均在院日数の相違が医療費の地域格差の原因と厚生 労働省は考えたわけです。その根拠は,住民が入院 する割合,つまり人口10万人当たり年間に入院する 数は,どの都道府県も同じである。しかしいったん 入院すると,在院日数は都道府県によって差がある。

その差が医療費の格差に反映しているというのが厚 生労働省の分析です。

 この現状に対する施策が,各医療機関の持 っている機能の集中とその公表です。がん・

脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病の4疾患,救 急・災害・へき地・周産期・小児救急の5事 業について,各病院における治療件数や連携 体制を住民,患者に明示して,開設者・管理 者には医療機能調査や協議等への協力の努力 義務規定を創設しました。

 適切な医療サービスの切れ目のない提供と,

早期の在宅復帰のために,昨(2006)年の秋,

基本方針を提示して,今年4月に改正医療法 が施行されました。

日本病院会雑誌 《2008年1月号》61(61)

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スライド10

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スライド11

●連携に焦点――機能の選択と集中

 (スライド1)なぜ連携に焦点が置かれる かというと,各病院の機能を選択と集中で効 率化し,地域として計画的に施設・設備を整 備するからです。もう1つの理由は感染症か ら生活習慣病へ疾病構造が変化したため,医 療の中心は高齢者のケアです。2005年現在で,

医療費の半分は65歳以上が使っています。

今の時点で65歳以上の人口に占める割合は 20%ですから,65歳以上が30%になる20年 後には,その割合は80%になるのではないか と推測されます。私は医学部の講義のなかで 学生に言います。「君たちはお年寄りと話す のが好きですか? もし嫌いなら医学部は やめたほうがいいでしょう。というのは皆 さんが卒業後,医師として働く頃には小児科,

産科の医師を除いて,収入の8割は高齢者か ら得ることになるからです」と。

 この疾病構造の変化というのは,治る病気 から治らない病気への変化でもあります。生 活習慣病というのは,いったん診断がつけば 亡くなるまで治療は継続する,つまり顧客で ある。入院はその間の1エピソードにすぎな いので,厚生労働省は「切れ目のないケア」

を強調して,入院前のケア,入院のケア,退 院後のケアが一貫して流れることを目指して いるわけです。

 国は,連携すれば在院日数が短縮して医療 費が下がると期待しています。一方,病院に とっては,連携すれば患者を常に保持できる,

つまり連携のネットワークのなかに患者は常 にとどまるわけです。その最も進んだかたち が複合体で,国としては最も医療費のかから ないところに患者を移してほしいと願ってい ますけれど,複合体であれば最も収益性の高 い場に患者を移動することができるわけです。

●曖昧な境界,進まない機能分化

 (スライド1)連携の条件は,各医療機関 の機能が競合せず,補完することです。競争相手と 連携はできません。しかし問題は,診療科の境界が 必ずしも明確でないことで,これが互いに分野を決 めて水平的に分業することを阻害する要因です。境 界が定まらないと水平分業は難しい。また,1次,

2次,3次の境界も曖昧ですので,垂直分業も阻害

されています。2次医療までの「一通りの医療」と はどこまでの医療を指すのか。境界は常に変動して おり,昔,私が卒業した頃,CTは3次医療でしたが,

やがて3次医療はMRIになり,そしてPETになって いったわけです。PETもあるいは20年後には2次 医療になっているかもしれません。特定機能病院の

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患者の9割は3次医療の対象ではないと 私は考えています。なぜこういうことが 起きるかというと,患者と医師を確保す るためのMedical Arms Raceがあるから です。昔,米・ソが冷戦をやっていた頃,

アメリカが大陸間横断ミサイルを開発す るとソ連はすかさずその上をいくミサイ ルを開発しました。それと同じように,

地域のある病院がMRIを導入すると,周 りの病院も対抗上設置する必要がある。

今,PETでこのような動きが起きている のではないでしょうか。

 1次と2次の境界も曖昧です。中小病 院と有床診療所の相違はどこにあるのか。

あるいは4疾患の1つの糖尿病において,糖尿病専 門医と一般医の境界をどこに設けて,どこまでが専 門医の診る糖尿病で,どこからが一般医の診る糖尿 病かということを決めないと,連携のシステムは構 築できないわけです。

 機能分化が進んでいない状況下でどう連携するか,

ここには病院の生き残りをかけての選択と集中が行 われるわけです。

●公的病院の優遇,私的病院の存在

 公的病院の優遇として,負担金・補助金の収益が ありましたけれども,三位一体の改革で削減の傾向 にあります。つまり国から来るのではなく,地方自 治体の一般財源で負担金・補助金を出さなければい けなくなった。租税公課などの費用面でも公的病院 は優遇されています。これらの病院がすべて将来は 社会医療法人に収斂し,公平になるかどうか。ここ は1つの課題です。

 一方,家業としての私的病院については,病院長 はオーナーであり,管理者であり,また主たる稼ぎ 頭である。これは欧米とは異なる病院のルーツを反 映しています。

 こういう状況下,つまり白地に絵を描くことがで きない状況のなかで,特に我が町の病院,我が病院,

我が病院の診療科という立場からして,どのように 連携をするかというのは大変難しい課題です。住民 は,できるだけ高度の病院が,できるだけ近くにあ ることを望んでいます。したがって市町村が合併し てもなかなか自治体立病院を合併することができな いという問題があちこちで起きています。これを医 療計画でどう調整するかが課題となります。

〈イギリスにおける対応〉

 (スライド1)こうした課題についてイギリスで はどう対応したでしょうか。

●病院と診療所の完全な機能分化

 まず病院と診療所の完全機能分化です。1948年 にNHSが創設された時以後,1次医療はGP診療所,

2次医療は人口30万人ごとに600床規模の中核病院 で専門外来と入院,という完全な機能分化を目指し て計画的に施設を整備しました。GP診療所という のは,当初1人診療所であったのがだんだんグルー ププラクティスになって,また病院も地域のニーズ に対応して整備することによって,2次医療に対応 してきました。

 一方,3次の医療機能は,各病院に分散して配置 しました。各病院とも基盤となる医療を提供し,例 えばA病院は核医学の分野だけが3次医療でほかの 診療科は2次医療,B病院は移植の3次機能を果た すがほかの分野では2次機能を果たすということで,

メガ・メディカルセンターをつくらない方針をとっ たわけです。

 医療施設・設備の計画的配置はすでに完成してい ますが,その効率化が課題となっています。

●各病院は GP の連合体と契約

 各病院に対する予算は,従来は国から予算が下り てきましたけれど,今はGP診療所の連合体(Prima-ry Care Trust)との契約となり,契約しないと,基 本的に,救急等を除いて病院には収入が入らない仕 組みになっています。GPは,質が高く費用の低い 病院を選別し契約する。そして契約のための情報,

日本病院会雑誌 《2008年1月号》63(63)

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