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■都道府県ごとの目標:介護保険事業支援計画

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 (スライド1)もう1つの都道府県ごとに作成す る目標は,介護保険事業支援計画です。

〈現状と課題〉

 この目玉は何かというと,療養病床の削減にどう 対処するかということで,受け皿の課題です。まず,

医療上の対応として,医師,看護師の配置をどうす るか。また,介護保険施設,特定施設(有料老人ホ ームは居宅に分類,一方,特別養護老人ホームは施 設になっている)に対する参酌基準があり,一定の 数以上設置してはいけないことになっています。地 域医療計画におけるベッド規制と同じものが介護保 険にもあって,当該市町村の要介護2〜5の認定患 者総数の37%が参酌基準としての病床規制の対象 で,地域医療計画のベッド規制よりも厳しくなって います。

 それから転換型老健等参入に対してど う対処するか。厚生労働省は,老健,特 養というような施設種別の参酌基準の上 限を撤廃することにしましたので,老健 の枠は満たしても全体としての参酌基準 に枠があればつくることが可能になりま した。しかし総量としての抑制はまだ続 いています。

 受け皿が必要な患者は増加しており,

DPC対象病院の拡大で入院期間は短縮し ています。急性期病院から退院する虚弱 高齢患者,急性期後のケア(post-acute  care),リハが必要な患者が増えていま す。また介護体制が整備されていないと 事態は一層困難となります。したがって

日本病院会雑誌 《2008年1月号》65(65)

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スライド17

医療と介護の連携がますます重要になります。

〈諸外国の状況〉

●日本のほうが優れている点

 (スライド1)諸外国と比べて日本が優れ ていると思うのは,ともかく介護保険の受け 皿があるという点です。日本では1割負担で 訪問看護・介護,リハ,通所を受けることが できます。北欧,ドイツ以外では高齢者ケア の制度は未整備です。フランスでは所得に応 じた現金給付です。つまり要介護度が5であ っても,所得が高ければ何の給付もありませ ん。日本の民主党が言っている年金みたいな ものですね。イギリスでは介護は措置制度 なので,日本のかつての措置よりももっと厳 しく,持ち家があれば基本的に措置の対象に ならないので,家を売る,あるいは家を担保 にしない限りサービスを受けられません。と いうのは,看護師はNHSで 無料 ですが,ヘル

パーは全額自費だからです。このような状況 と比べると日本は優れていると思います。

 1次医療と2次医療が渾然一体となってい ることは,先ほど機能分化が進んでない面と して取りあげましたが,一方で,特に中小病 院では必要に応じて入院,外来,在宅ケアを 提供し,また医療も介護も提供しているとい う優れた面があると思います。イギリスでは 病院もGPも,切れ目のないケアを提供する インセンティブは必ずしも高くありません。

北欧でも同様で,複合体がない状況では,それぞれ 境界領域における患者への対応が十分なされていま せん。

 また,急性期病院における平均在院日数は,日本 は欧米ほど短くありません。一般病床からの退院の 圧力が高まったとはいえ,欧米ほど高くはありませ ん。スライド1は老年科の私の友人から送られて きたもので,退院の圧力が高まったノルウェーの病 院のマンガです。こうやって患者は入院してきて,

患者があふれて,そしてうまく拾われた地域連携ク リティカルパスの患者はいいですが,ほかの患者は 受け皿がなく落ちて,またこの最初の行列に戻ると いうことが起きています。

●日本にとって参考になる点

 (スライド2)諸外国の状況で日本にとって参考

になるのは,病院が急性期入院に特化している点で す。かつてはヨーロッパのほとんどの国では,病院 での長期療養を提供していました。しかし今,提供 しているのは,私が見た範囲ではフランスだけです。

 スウェーデンではナーシングホームの「施設」と いう言葉自体を全廃しました。そして「施設」を

「住居」と呼び替えることによって,居住費を全額 徴収し,ケアサービスは公費で提供するように変え ました。居住費を負担できない利用者には生活保護 からの支給があります。

 私は先月デンマークのナーシングホームを見てき ましたが,アパートと全く変わりません。入所者の 記録も各部屋に保管されて,薬も部屋ごとに保管さ れています。もちろん鍵がかかるようになっていま す。

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スライド18

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スライド19

 一方,ドイツでは,ナーシングホーム に入所した場合,介護保険では居住費を 給付しないので,子どもに一定の収入・

資産があれば子どもから強制徴収し,な ければ生活保護より支給します。ドイツ は何事も徹底していて,夏季休暇のため の貯金は認めるとか,資産については車 も含めてここまではカウントするという ようにこまかく決めて,子どもに一定の 資産・収入があれば子どもから居住費負 担を徴収します。払わない場合にはどう なるかというと,税金を払わなかった場 合に差し押さえに来るのと同じ仕掛け で,払うようにさせています。北欧では 子どもにこのような義務は課しておらず,

本人に財産がある限り払い,子どもに対 しては払うことを求めません。しかしド イツではこのような対応がなされていま す。

 こういうことをお話しするのはなぜか というと,医療,介護,住居の分離とい うことで,国の保障するべき範囲がそれ ぞれ異なるからです。医療が平等になる ように国は保障するべきですが,介護は 一定水準まで,住居は最低水準です。も ともと憲法25条では,健康で文化的な最 低限度の生活を保障しておりますが,そ れが医療においては全国民に平等,介護

においては一定水準,住居に関しては最低水準で妥 当と考えられています。しかし,日本における住宅 政策が貧困なために,今まで病院が長期療養を提供 せざるをえなかった背景があります。

●介護保険施設における給付の現状と改革私案  (スライド2)こうした保障が日本では現在どう なっているかというと,介護保険の枠のなかで一体 的に提供しています。その中身を見ると,医学的管 理,投薬,検査などの医療サービスは9割給付して います。看護,介護,機能訓練などの介護サービス は給付限度額の9割まで給付しています。一方,居 住費,食費,光熱費,管理費などの住居部分は,お おまかにいって5割給付しています(本人の所得や 個室の有無などによって異なりますが,平均すると 5割です)。最も所得が低い人には補足給付という かたちで全額支給されます。

 これに対して私の提示する改革案は,各制度から それぞれの基準に従って給付・支給することです。

医療保険は外来と同じ基準で給付する。介護保険は 在宅と同じ基準で給付する。居住費は全額を自費で,

払えない場合は生活保護を支給する。このように対 応することによって,先に示した,医療は平等,介 護は一定水準,住居は最低水準という基準で適用で きると思います。

 なぜこのような対応ができないか,その理由を簡 単に説明します。今,国は社会保障給付費を抑制し ようとしています。生活保護費として支給する金額 の4分の3は国の財源から出ています。一方,医療 保険と介護保険は4分の1だけです。そうなると,

生活保護費を1,000億円増やすことは,医療費・介 護費を3,000億円増やすのと同じ効果があるわけで す。したがって国は財政的理由から生活保護費を最

日本病院会雑誌 《2008年1月号》67(67)

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スライド21

も抑制したい。そのために生活保護を申請しても門 前払いになるということがあり,北九州市の事例も そういった背景があるのではないかと考えています。

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