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憂え,貧しからざるを憂えない体質から 脱却する必要があります。

 もう1つの選択肢として,ドイツでは 国民が社会保険の保険者を選べるように しました。国は保険者による加入者の所 得水準,年齢構成の格差を調整していま す。公平性を維持するために,どの保険 者も基本的に同じ給付にしているので,

選択の意義は乏しくなりますが,効率の 悪い保険者は淘汰されます。国民が保険 者を選べるようにしてからドイツの保険 者の数は半減以下になりました。

■ま と め

 (スライド3)お話ししてきたことを まとめると,諸外国からシステム全体を 移入できない。参考になるパーツを選択 的に修正して移入することです。その項 目を挙げておきます。

・外来主治医の構想

・看護師の配置,待遇

・医療計画における各病院の機能の選択 と集中

・病院機能の評価と公開

・介護保険施設における居住費

・DRG-PPSを導入する際の課題

・診療報酬のオンライン請求のインパク ト

・医療政策の地方分権

 私は,脅威をチャンスとして捉えるために,諸外 国に学ぶ必要がある,と思います。以上です。ご清 聴ありがとうございました。

質疑応答         座長 池上先生,どうもありがとうございました。

日本の医療のいろいろな問題点の指摘と,それにつ いて諸外国との対比で分析することによって,日本 の優れた点と同時に,日本が参考になる点について もご指摘いただいたと思います。

 何かご質問のある方はいらっしゃいますでしょう か……。

●医療政策転換……特に指摘するとしたら?

 座長 1つだけ私のほうから。先生は医療政策の

転換がなされる時が外国に学ぶ時だとおっしゃいま した。まさに今回の参議院選挙の結果から,そうい う時期がきているのかなという気がするのですけれ ど,最後にお挙げになった点のなかで,日本の医療 を改革していくうえで特にこれだけは指摘したいと いう点はおありでしょうか。

 池上 それぞれの立場によって違うと思いますけ れど,私は慢性期の医療にかかわる割合が高いもの ですからその観点から申しますと,やはり居住費の 問題をどうするかです。それが解決されない限り在 宅に戻すようにと言ってもだめです。病院にいれば 衣食住は保険から給付されるわけです。老健から在 宅に戻ったとたんに生活保護を受けなければいけな い。ところが生活保護は絶対に増やせないか,増や さない。そういう状況ではいくら在宅を呼びかけて もだめだと思います。したがって有料老人ホームで

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も生活保護で入所できるような体制にすることが重 要であるし,北欧にならって介護保険施設と住宅と の違いというものをなくすことが大きな鍵だと私は 思います。急性期について言えば,これは国民に対 して質の担保を示すということが重要だと思います。

●DPC について

 質問(鳥取県・野島) DPCについてお尋ねしま す。10年くらい前から,日本にDRG-PPSが導入され たら大変なことになる,アメリカの医療に追随して いくことは大変危険なことである,という流れでき たように思います。ところがDPCを特定機能病院 に導入することによって,厚労省が急性期医療をま るめにしていく方向できていて,そして来年には,

医療界は慌てて,1,400くらいの病院が手を挙げて DPCを受けるということで大混乱が起きています。

 先ほど先生はDPCがDRG-PPSにすぐなりますよ とおっしゃいましたが,これがいかに大変なことで あるか。先生はこのDPCの事業に参画されてどの ように思っておられるのでしょうか。そんな簡単な ことではないと思いますけれども。

 それから私の不確実な情報では,係数は来年から やめてしまうという情報もありますが,それは本当 なのか本当ではないのか。急性期がいろいろ線引き されてしまい,最後にはとにかくこれは急性期にま るめを導入するためのことで,結局,最終的にはす べての病院がバカを見ることになるのではないかと いう感じがしますけれど,その辺について先生はど のようにお考えでしょうか。

 池上 まず誤解のないように申しあげますと,私 はDRG-PPSになると言ったわけではないのです。

何を約束したか,検討を約束したのか,廃止を約束 したのかというのは私もよくわかりません。しかし まずアメリカだけから来るのではなく,今日お話し したように,DRG-PPSの考え方は世界的な動向です。

そのうえで,日本のように病院による標準化がなさ れていない状況では,1入院当たりの支払いを導入 すると病院による入院期間の相違があまりにも大き くて難しいので1日当たりとしたわけです。その状 況は基本的には変わっていません。もう1つ,諸外 国で診療報酬上対応されている教育研修機能に対す る支払いは全く担保されていません。そういう状況 で係数がなくなるということはないですし,また,

来年なくなることはありえないと私は思っています。

ただ,3年後になくなるかどうかというのは見解が 分かれるところです。

 それから,まるめと先生はおっしゃいましたけれ ども,実は日本のDPCというのは,入院医療費のせ いぜい7割しか包括評価されていません。外科系だ ともっと出来高払い部分が大きいわけですから,入 院料,検査,薬だけが包括化されていると言っても いい包括です。ですから手術料,あるいは手術の麻 酔料,あるいは病理の組織の検査,こういった術中 行う行為についてはすべて出来高です。したがって,

DPCを導入した病院でも3割くらい出来高払い部 分は残ります。ですから,包括,まるめと言っても,

諸外国と比べると折衷的な方法です。折衷的な方法 で,かつ病院にとっては非常にメリットが大きいか らDPCに名乗りを挙げているわけで,厚労省の方針 に従いたいから雪崩を打ってDPCに行っているわ けではないのです。DPCにした場合,収益性は少な くとも短期的には改善するはずです。ですからその 点を,脅威論だけではなく,もう少し冷静にお考え いただいたほうがよろしいと思います。

 座長 では時間になりました。先生のご講演でこ れからの日本の医療のひとつの方向性が教えられた と思います。本日はどうもありがとうございました。

日本病院会雑誌 《2008年1月号》73(73)

はじめに

 近年の医療を取り巻く環境は非常に厳しく,医師不 足とりわけ地域医療を担う勤務医不足は,大きな社会 問題となっている1−3)。医師不足が顕在化した背景 には新たに開始した卒後医師研修制度による多くの医 療機関からの大学への医師引き揚げとともに,勤務医 の過重労働や疲弊感による病院からの「立ち去り」が 一因と考えられている。

 このような医療情勢をふまえて,当院では勤務医の 診療外業務軽減へ環境作りをめざし,約2年前より医 療秘書制度を開始した。ここでは当院における医療秘

書導入の経緯を紹介するとともに,医療秘書制度によ り勤務医の診療外業務の軽減策として効果をもたらす かどうか,いくつかの側面から評価検討したので若干 の考察を加えて報告する。

当院の特徴と医療秘書導入の背景

 当院は全国に82ある済生会病院の一つであり,病 床数314床(感染病床4床を含む),外来約800人/日,

7:1看護配置,12標榜診療科を有し,急性期医療 を担う病院として成長することを目標にしている。平 成9年に災害拠点病院に指定され,今年度から管理型

勤務医の診療外業務軽減への 

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