(スライド )最後に,認知症高齢者の経済被害 について,こだまクリニックの安田朝子先生が東京 都で調査された結果からご紹介します。
経済被害には,押し売り,わらしべ被害,次々に 連絡をとり合ってどんどん買わせるというようなも のがあります。男性で多い経済被害は,住宅改築,
布団類の購入,健康食品,床下換気扇──この順番
で70歳代男性がだまされています。女性の場合は布 団類,健康食品,浄水器,住宅改築です。
東京都では,経済被害は1件平均171万円で,ア ルツハイマー病の方の約60%が被害に遭っていま す。全国規模で見ますと現在,認知症の方が約200 万人といわれますので,その6割の方が1人当たり 170万円の被害ということで,なんと1年間に約2
兆円の被害が出ていることが推測されます。
●機会損失
そしてもう1つ,見逃してはならないのが認知症 患者の機会損失です。例えば,家族が黙ってご本人 の貯金をおろす。生命保険を解約して使 ってしまう。知らないうちに不動産を売 却してしまう。また,若年型認知症の場 合は早期の退職による不利益が出ます。
そのほか電気を点けっ放しにするなど,
すべて合わせると平均254万円の被害が 出ています。そして機会損失は約25%の 方に生じていますので,先ほどと同じよ うに計算しますと約1.27兆円。
経済被害と機会損失とを合わせると3 兆円以上が認知症に伴う被害となってお り,これはかなり大きいと言えるのでは ないかと思います。
(スライド )まとめはスライドに代 えさせていただきますが,話題提供とし て2件の症例を提示し,その物語るもの,
我々がいったい何ができるかということ を皆さんと一緒に考えられたらと思って お話しをしました。以上です。
■質疑応答
座長(松尾) ありがとうございました。
時間が迫っておりますが,ご質問はござ いませんか。
猿生活自立支援はどう行われているか。
成年後見制度は周知されているか
座長(松尾) では1つだけお答えいた だけますか。現場でご覧になっている悲 惨な状況を報告してくださいましたが,
こうした状況に対する生活自立支援など は福祉が中心にやっているのでしょうか。
また,成年後見制度などは,認知症患者
シン ポ ジウ ム 認知 症 への 取 り組 み 日本 病 院 学 会
スライド
認知症高齢者の経済被害
(こだまクリニック安田朝子)
(アルツハイマー病研究会第 回学術シンポジウム .. 症例より)
煙アルツハイマー病の方に関し東京都で調査
( )経済被害:
押し売り,次々詐欺,わらしべ被害
例) 歳代男性:住宅改築>布団類>健康食品>床下換気扇 歳代女性:布団類>健康食品>浄水器>住宅改築
( )機会損失:
家族が費消,生保の解約,早期退職による不利益,不動産 売却,光熱費の無駄など。
( )全国規模で推測すると
( )経済被害:平均 万円の被害,約 %が被害。
万人 × .× 万円=約 兆円。
( )機会損失:平均 万円の被害,約 %が被害。
万人 × . × 万円=約 . 兆円。
スライド
まとめ
【 】話題提供
( )社会的権利侵害に発展した軽度認知障害(MCI)の例 ( )家族支援がないまま身体的虐待に発展していた ADの例 ( )熊本県高齢者権利擁護推進会議実態調査より
【 】事例が物語るもの
( )一人暮らし MCI患者の増加
( )介護を担う家族の認知症理解の乏しさ ( )介護保険制度の盲点
【 】権利擁護と地域連携 ( )認知症と一般診療の連携
( )認知症疾患医療センターを核とした医療・保健・福祉連携 ( )経済被害
さんのご家族に周知され,実際に利用されているの でしょうか。
犬飼 経済被害あるいは人権侵害については,い ろいろな機会に話題になりますし,勉強会なども最 近行われているようです。成年後見制度ですが,
我々精神科医はいろいろな知的障害などに関わるの で,以前から禁治産や準禁治産ということで診断書 を書いたり,鑑定する機会があり,この制度のこと は当然知っていますが,一般の診療科の先生方はあ まりご存じないようです。やはり早め早めにこうし た手を打つことが必要ではないかと思います。ただ 一方で,成年後見制度にはいろいろ問題もあるよう です。成年後見制度が本来の姿で運用されるように,
行政,司法書士さん,弁護士さんたちも含めてレベ ルを上げていく必要があるのではないかと思います。
座長(松尾) ありがとうございました。
本日は認知症への取り組みということで,4人の 先生方にご講演をいただきました。医療,保健,福 祉,または地域社会を含めた認知症支援体制をきち んと確立し,充実させて,終の棲家といいますか,
地域で心豊かにすこやかに一生を過ごし,天寿を全 うできるような超高齢社会を築きたい,そう皆さん も思っていらっしゃるのではないでしょうか。
ご講演をいただきました先生方,ありがとうござ いました。今後ともご指導いただきますようお願い 申しあげます。先生方の今後のご健勝とご活躍を祈 念いたしまして,シンポジウムを終わらせていただ きます。ご協力ありがとうございました。
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