4-2 節でも二戸一化工事について取り上げたが、仮設住宅では1 DK が特に狭く、恒久的な住宅としては使いづらいことから、二戸を 合わせて一戸にし面積を広げたのが U 村と MS 町であった。図 5-5 の二戸一化の事例では、住戸間の界壁が構造壁で、改修の自由度が なかったという意見が聞かれた。
二戸一化工事を検討したが実現しなかった自治体もあった。3K と 1DK が隣り合っている棟では、二戸一化を行うと住戸の面積が広く なりすぎ家賃が上がるため、被災者にとって住みづらくなるので行 わなかった、という意見が聞かれた。
押入 押入
和室 7) アコーディオンカーテン
5) 屋外の洗濯機置場
和室 和室 DK
2DK 1DK
キッチン
UB
トイレ UB トイレ 洗面
洗濯機 洗濯機
洗面
押入
和室 押入 和室 和室
UB DK
廊下 トイレ
洗面 洗面
押入
木製建具新設 テラス屋根新設
変更範囲 洗濯機パン新設 玄関 勝手口
ホール 玄関
玄関
押入 押入
和室 7) アコーディオンカーテン
5) 屋外の洗濯機置場
和室 和室 DK
2DK 1DK
キッチン
UB
トイレ UB トイレ 洗面
洗濯機 洗濯機
洗面
押入
和室 押入 和室 和室
UB DK
廊下 トイレ
洗面 洗面
押入
木製建具新設 テラス屋根新設
変更範囲 洗濯機パン新設 玄関 勝手口
ホール 玄関
玄関
図 5-5. 二戸一化を行った事例 図 5-4. 改修前の木造仮設住宅
写真 5-9. 二戸一化を行った事例 外観
上:改修前 下:改修後、外壁を板張りからサイディングに変更している
5-4. まとめ
本章から、改修工事について下記にまとめる。
(1)2 節は、熊本の事例では接道義務や開発許可の必要な団地が少な かったが、計画時より転用後の法規適合を見据えることで、より 効率の良い配置計画を考えることが重要である。
(2)3 節からは、排水や浄化槽の埋設など恒久化を見据えた設備計画、
二戸一化しやすいレイアウトの見直しなどが、事前に検討できる 事項として挙げられる。図 4-9 のように N 村では 1DK が固めて 配置されているが、他の市町村では単身者の孤立化を防ぐため分 散して配置されている。N 村の木造仮設は県内で最も早く竣工し ており、以降は設計が変更されたためである。被災者の孤立化対 策を踏まえた上で、1DK をまとめて配置することができれば面積 を広げすぎない二戸一化工事を考えることができる。
6-1. はじめに
1) 背景
平成 29 年九州北部豪雨により、福岡県では、朝倉市、東峰村か ら応急仮設住宅の建設要請を受け、朝倉市 85 戸、東峰村 22 戸、計 107 戸の木造による応急仮設住宅を建設した。熊本地震の事例と同 様に、東日本大震災以降、「地域特性」や「雇用創出・復興支援」等、
多様な仮設住宅の供給が求められ、福岡県では平成 28 年 6 月に県内 の建設業者と防災協定注 1)を結んだことによって、木造で応急仮設住 宅及び仮設住宅団地内の集会所を建設した。建設場所と戸数の内訳 は表 1 に示す通りであるが1)、林田団地、頓田団地、東峰村団地の3 団地では木造の集会所が建設され、その集会所について九州大学末 廣研究室で設計協力を行った。
本章では、この設計協力を通して、木造仮設住宅と集会所の建設 の過程やその後の使われ方について報告する。仮設住宅の建設経緯 については県の担当者にヒアリング調査を行った。(巻末資料3)
熊本地震の事例とは異なり、木造仮設住宅の基礎は木杭で作られ ており、集会所も含めて竣工の2年後には解体された。熊本の事例 と比較することで、災害規模による計画の違いや木造仮設住宅を転 用できる状況の違いを考察する。
注 1) 福岡県では、地震、風水害、その他の 災害等が発生した場合に、木造応急 仮設住宅の建設などを迅速かつ適正 に行うための防災協定を、以下の三 団体によって構成される福岡県建築 物災害対策協議会と締結している。
構成団体 :( 一社 ) 福岡県建設業協会、
福岡県建設業協同組合、(一社)福岡 県木造住宅協会
1) 福 岡 県: 平 成 29 年 7 月 九 州 北 部 豪 雨 による被災者のための応急仮設住宅 の 建 設 概 要 に つ い て , 2017.10.20 (http://www.pref.fukuoka.lg.jp/
contents/2017oukyuukasetu2.html)
表 6-1. 朝倉市、東峰村での各応急仮設住宅団地の戸数と集会所
市町村 朝倉市
林田団地 ( 杷木小学校運動場 ) 48 30 7 22 107
1 (60 ㎡ ) 1 (40 ㎡ ) -1 (40 ㎡ ) 3 頓田団地 ( みんなの広場 )
宮野団地 ( 朝倉ゲートボール場 ) 東峰村団地 ( 旧宝珠山小学校運動場 ) 東峰村
仮設住宅[ 戸 ] 集会所 [ 棟 ( ㎡ )]
合計 建設場所
写真 6-2. 木杭基礎 施工の様子
写真 6-3. 上棟した仮設住宅 写真 6-1. 各団地の仮設住宅
上段:林田団地
左下:宮野団地 中下:頓田団地 右下:東峰村団地
2) 集会所の設置経緯
林田団地に約 60㎡、東峰村団地と頓田団地に約 40㎡の集会所が 1 棟ずつ建設された。我々が設計協力を行ったのは、発災してから最 初に仮設住宅の建設地として決まった、林田団地と東峰村団地の二 箇所の集会所である。
災害救助法では、仮設住宅を 50 戸以上設置した場合は居住者の集 会等に利用するための施設を設置できるとしているが、「10 戸以上 50 戸未満の場合でも、内閣総理大臣との協議の上、小規模な施設を 設置できる」としている2)。今回はどの団地も 50 戸未満であったが、
福岡県では協議内容について、林田団地では、「40 戸での集会所設置 となるが (8 月 2 日時点 )、借上型仮設住宅への入居で周辺地域に離 散した住民とのコミュニティ維持のため、約 60㎡で計画した」とし、
東峰村団地では「6 つの被災地区からそれぞれ 1 〜 5 世帯が集まる 団地で、1地区から一人の世帯もあり、被災者コミュニティの創出 と被災者の孤立を防ぐため、19 戸の小規模団地であるが(8 月 2 日 時点)、約 40㎡で計画した」としている。注 2)