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概念探究過程

検証

i

情報 問い

予想

情報

予想

予想

仮説

仮説

を設定している。この問いを設定した意図について,武田氏は次のように述べ

ている。

「消費者教育において扱う中心概念は『消費者主権』である。しかし『消費 者主権』そのものについて教師が一方的に説明しても,生徒は,言葉を覚え

るのみで理解には達しない。したがって授業においては,『消費者主権』の 概念を獲得させるため,消費に関しての具体的な社会事象を示し,それを因 果関係的に把握させる必要がある。授業モデル中の『単元の中核となる問い

1』は,このような考えのもとに設定した。」63)

 この問いに対し,子どもに多様な予想を出させ,グループによる話し合いに よって,仮説に高めている。次にこれらの仮説の検証を行うが,適宜教師によ る補助発問がなされ,消費をめぐる社会的問題発生の原因を,経済的,環境的,

歴史的,政治的など様々な側面から追究できるようにしている。このような過 程を経て,「大量生産・大量消費社会の成立により,消費をめぐる様々な社会 問題が発生したが,消費者運動の展開により,徐々に消費者を守るためのルー ルが確立しつつある。また,近年の消費者の低価格志向は,流通の合理化を促 進した。」「価格メカニズム等の理論が市場に反映されることにより,消費者は 経済動向に影響を与えることができる。」という説明的知識を獲得させている

64)

B

こうして,次の価値分析過程につながる単元の中核となる問いHとして「消 費者主権を実現するためにはどのような条件が必要なのだろうか」という新た

:な問いを発見させている。この問いについて,武田氏は次のように説明してい

る。

f『単元の中核となる問い豆』は,消費者主権を実現させるための条件につ いて考えさせるものである。この問いを考える過程で,これまでの学習内容 が総合的に吟味され,『消費者主権』に関しての概念の獲得が可能となる。

またこの問いは,『単元の中核となる問い皿』を導くものである。」65)

 このように武田氏の授業モデルでは,2っの中核となる問いを概念探究過程 に設定することによって,概念的知識の習得を図るようにしている。

②価値分析過程の流れ

前時までの概念探究過程で発見させた問いである「消費者主権を実現させる

ためにはどのような条件が必要なのだろうか」を踏まえて,価値分析過程のは じめに,「消費者主権を実現させるためにも,規制緩和を実施すべきなのか」

という価値論争問題を設定している。そして,「出雲市においても,大店法に 関しての規制緩和を行うべきである」という論題を設け,意志決定を促してい る。そこで,規制緩和に関しての様々な意見,消費者や小売形態,地元商店街 への影響などといった事実についての分析的検討が行われる。この事実の分析 において獲得がめざされる説明的知識を,武田氏は次のように挙げている。

「規制緩和は,企業間の競争激化にともなう長短両面の経済的影響を発生さ せるため,賛否両論の主張がなされているが,わが国においては徐々に実施

されつつある。」⑬

 さらに,規制緩和を進めた場合とそうでない場合とに関して,未来予測がな される。その際,消費者,中小の小売店など様々な未来予測の対象を設定する とともに,それぞれについてどのように予測されるかが,これまでの概念探究 過程や,論題に関する事実の分析で獲得された下位の説明的知識を根拠に打ち

出される。

 このようにして,論題に対する最終的な意志決定が行われる。

3.特質と課題

(1)特質

 岩田氏の授業論の特質として,以下の点が挙げられる。

 ①質の高い知識獲i得の保証

 岩田氏の授業論では,社会を「知る」,社会を「わかる」という社会的見方 を育成する学習過程として,概念探究過程を設定している。この過程では,学 習対象である社会事象の構造を理解させるために,教師による問いの構造化が 行われ,主として「どのように」「どのような」という問いに基づく「知る」

学習から,「なぜ」を主とする問いに基づく「わかる」学習へと順次展開され る。こうして,子どもは,単元が遡るにつれて,記述的知識,分析的知識から より質の高い知識である説明的知識,概念的知識の獲得が保証される。

例えば,武田氏の授業モデルを見ても,知識のレベルを構造化し,それに基 づいた問いが設定されている。情報の収集・分類・比較の段階では,主として

「どのような」という問いによる記述的知識,分析的知識の獲得がなされ,次 に,学習問題の発見・把握の段階で「なぜ」という問いによる本質的因果関係 の追究によって説明的知識の獲得が保証され,単元展開を追うにしたがってよ

り高次の知識獲得がなされるようになっている。

 ②未来に向けた内容知,方法知両面の重視

 岩田氏の授業論において追究対象とする「問題」は,小原氏同様,探索型問 題である。岩田氏の授業論では,概念探究過程および価値分析過程における事 実認識をもとに,未来予測の過程を組織し,未来社会の状況を描き出させた上 で,意志決定を行わせている。

 例えば,武田氏の授業モデルの場合でも,「消費者主権が実現するためには どのような条件が必要か」という中核となる問いHを受けて,「消費者主権を 実現するためにはどのような政策が望ましいか」という問いを設定し,規制緩 和を行うべきか否かについて考えさせている。これはいわば,「一層の消費者 主権実現のためには,大店法の規制緩和を実施すべきかどうか」について問う ものであり,現状の改善に関わる探索型問題の追究である。その際,事実認識 に基づいて,出雲市の未来像について多様な視点からの予測する場面を意図的 に組み込み,意志決定の根拠にさせている。

 このように,未来予測による内容知とともに,意志決定の方法知の両面を重 視している点で,未来予測を意図的に行わず,意志決定の仕方という方法知の みを重視する小原氏の授業論を克服している。

 ③事実認識に裏づけられた価値判断

岩田氏は,価値判断について,下の図レ3−5を示しながら,次のように述べ

ている。

「価値:の対立した問題を扱うに際しては,できるだけ豊富な事実関係的知識 が必要である。価値判断を行う際に,背景にある知識が大きければ大きいほ ど,その価値は安定したものになる。この事実関係的知識が小さければ,後 に新しい情報が入ってくると,すぐに価値判断を変更しなければならないよ うな状況に追い込まれてしまう。また,豊かな事実関係的知識を,価値判断 に必要な材料に組み込む技術も必要である。」67》

 このように,価値判断に際して,事実関係的知識に基づく事実認識を重視す ることによって,単なる思いつきや好き嫌いによる意志決定を排除し,根拠を 明確にした規範的知識の合理的選択を可能にしている。また,岩田氏の授業論 の場合,価値判断にあたっては,未来予測を行い,事実分析とともに判断の根 拠としているが,ここでも事実に裏づけられたものとするために,単なる夢物

語になることを防いでいる。

D事実関係的知識

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