一方で,本来地方の税収入とすべきであるが ,団体間の財源の不均衡を調整し,すべて の地方団体が 一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から,国税として国が 代わ って徴収し,一定の合理的な基準によって再配分する,いわば「国が 地方に代わって 徴収 する地方税」(固有財源)という性格 3 を持つ地方交付税については,2004(平成 16)~ 2006(平成 18)年に行われた改革において,地方財政計画の歳出見直し,地方交付税算 定の簡素化,行政改革努力に応じた算定の導入等により,地方交付税総額の抑制が なされ た.しかし,その財源保障機能については,地方自治体の地方交付税への依存が モラルハ ザードを助長して ,地方自治体の財政運営を非効率化して いるという指摘 4 が ある. 本稿では,行政評価,特に事務事業評価について,行政内部の評価(内部評価)及び外 部有識者等による評価(外部評価)が 自治体財政に与える影響,また,評価結果の公表や 自治体ベンチマーキング型評価の実施が 自治体財政に与える影響について,地方交付税に よるモラルハザードも踏まえ,3 つの推定モデルによる実証分析で効果を明らかにする. 結論を先に述べると,外部評価の実施は普通会計決算額を抑制し,自治体財政の効率化 を促進して いること,また,内部評価の実施は普通会計決算額の抑制に効果が ないことが 示された.この場合においても,地方交付税という財源調整機能が あるため,地方自治体 の自主的な取組である外部評価の効果を抑制して しまって いることが 示された.この結果 を踏まえ,外部評価の積極的な導入や,地方交付税制度のあり方の検討等を提言した. 本稿の構成は次のとおりである.第 2 章では,行政評価の導入の背景と導入状況につい て 述べる.第 3 章では,行政評価の実施が 果たす経済学的役割と,地方交付税制度が もた
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