を明らかにした。
そのために、まず地域住民・よそ者・媒介者の棚田をめ ぐる所有関係から各立場が初期段階における「総有」感覚 を把握した。地域住民の場合は、基本的に棚田に関する所 有権を持っている。その所有権は私的所有としての意識が 強く、棚田を「わたしのもの」あるいは「他人のもの」と いう認識が強いように考えられる。だから、地域内の放棄 された他人の棚田に関しては無関心の人が多かった。よそ 者の場合は、活動に関わるきっかけから棚田をめぐる「総 有」感覚を把握したが、主な参加するきっかけは農作業に 対する関心、自然が好き、安心・安全なものが食べられる など個人的なところから出発する場合が多い。媒介者の場 合は、 「総有」感覚が初期段階において最も強くようにみら れる。事務局は、地域内で放棄される棚田を他人ごとでは なく、自分ごととして考え、プロジェクトを立ち上げたの である。また、その背後には、地域住民とのつながりと地 域の棚田に働きかける経験などの要因が存在している。そ れは調査の中で媒介者である事務局のいう「私にとってこ こは最初の赴任地だったので、田んぼを継ぐ人がいないの を見ってやっぱり何とかしたいと思った」や「田んぼには 所有者は所有者でいるけど、それをずっと守ってきている 人は時代のなかで、変わっているし、わたしたちもその時 代で担う一部ではないかと思う」などの内容から読み取れ る。
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