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景観のまちづくり方針
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浦安市は、三方を海と河川に囲まれ、広い空と海 を望むことができ、四季の変化に富んだ街路樹や庭 木が育ち、デザインされた建物や道路もあり、美し い景観を体感することができます。そして、私たち の日々の暮らしに息づいた街並みを見ることができ ます。
元町地域には、漁師町の歴史や文化に根ざした雰 囲気や建物が所々に残されています。中町地域や新 町地域には戸建と中高層住宅の整然とした住宅地が 形成されてきました。アーバンリゾートゾーンでは、 昭和
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年に東京ディズニーランド®が、平成13
年には舞浜駅前の大型商業施設の開業と東京ディズ ニーシー®が開園し、周辺のホテル群とともに他に
類のない浦安の新しい景観が創出されました。 一方、市街地の多くが埋立てにより形成され、経 済性や効率性、機能性を重視したため、美しさへの 配慮を欠いた雑然とした景観、無個性・画一的な景 観などが見られます。まちの美しさは心のありさま とも深く結びついており、公共的空間でのごみの投
棄など、市民のモラルを問われる事例も見られます。 また、東日本大震災の影響により、これまでの景観 が損なわれたところも見られます。
本市では、シンボルロード整備・境川改修・新浦 安駅などの駅周辺整備、新町地域での景観ガイドラ インに基づく景観誘導など、ハード・ソフトの両面 から景観の向上に努めてきました。また、平成
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年に景観法に基づく景観行政団体となり、平成20
年に浦安市景観条例を制定、平成21
年に浦安市景 観計画を策定し、本市の景観まちづくりを効果的・ 計画的に推進するため、必要な制度や仕組みを定め ました。また、市民のなかには、清掃活動・花植え・まち 案内のボランティア活動・水際線と親しむ活動など、 景観の改善と向上に自主的に取り組む、個人・事業 者・
NPO
などが見受けられるようになりました。1
景観の現状
景観は、多くの人々の生活に根ざしたものであり、 そのまちの歴史や文化、価値観、雰囲気、暮らしや すさなどをあらわしたものです。このような景観は、 市民共通の財産であり、より良く継承し、また改善 しながら、次世代に引き継ぐことが重要です。 このため、市民・事業者・行政が協働して、地域 の個性を活かしながら、人が集い、住み続けたくな る美しい海浜都市の風景を育て、暮らしが息づくふ るさとのまち・浦安の景観を形成します。
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分
野
別
ま
ち
づ
く
り
方
針
第
5
章
6 景観のまちづくり方針
3
整備方針
① まちの顔となる景観のまちづくり
浦安市には、多くの市民が日々利用する場所、来 訪者も含め多くの人々に親しまれている場所、本市 を象徴する場所などが多くあり、これらは本市の“顔 となる”重要な場所です。市民が共通財産として誇 れる景観となるよう、公共公益施設やその周辺の地 区が一体となった景観の形成に向けた取り組みを進 めます。
●拠点における景観のまちづくり
◦都市拠点である浦安駅・新浦安駅・舞浜駅の
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駅周辺地区は、市民の快適で便利な生活を支える 重要な役割を担っています。それぞれの地区の個 性を活かしながら、人々の交流やにぎわいを演出 するとともに、ゆとりとうるおいが感じられる浦 安市の顔にふさわしい景観を形成します。 ◦シビックセンター地区・新町地域センター地区・海辺の交歓エリアでは、それぞれの拠点の機能を 踏まえつつ、個性を活かした景観を形成します。
●道路・水際線における景観のまちづくり
◦やなぎ通り・シンボルロード、大三角線、若潮通 りなどの主な広域幹線道路・幹線道路は、地域と 地域を結び、多くの人が行き交います。交通機能 を確保しつつ、道路空間での統一感のあるみどり 豊かな美しい景観形成を推進するとともに、沿道 では周辺の建物や道路景観との調和を図るなど、 魅力的な街並みを形成します。
◦浦安市の貴重な自然環境である河川や海岸では、 豊かな水際線を身近に感じられるよう、水際線と 調和したみどりが連続する美しい景観を形成しま す。また、河川・海岸沿いの公園や緑地、橋りょ うなどの眺望点からの景観は市民に親しまれてお り、これらの景観が阻害されないよう維持保全に 努めます。
●浦安を象徴する場所における景観のまちづくり ◦堀江・猫実・当代島地区では、残された歴史的な
景観資源を活かし、浦安市の歴史を伝える風格と にぎわいのある景観を形成します。
◦アーバンリゾートゾーンでは、世界に誇れる東京 ディズニーリゾート®のテーマパークを中心とし
た、非日常で夢を感じられる景観を形成します。
②
身近な生活空間における景観のま
ちづくり
浦安市全体で良好な景観を形成するため、身近な 生活空間においても、地域の成り立ちのなかで育ま れてきた景観を尊重し、美しい街並みの維持保全や 周辺との調和に配慮した景観形成に取り組みます。
◦住宅や店舗などの建物や工作物などは、身近な生 活空間の景観を構成する要素として大きな割合を 占めています。市民・事業者・行政の共通認識の もと、各主体自らが良好な景観を形成することを 目指します。また、景観に与える影響の大きい一 定規模以上の建物などについては、周辺と調和す る景観を形成するよう誘導します。
◦中町地域及び新町地域の戸建住宅地では、住宅の 建替え・更新にあわせて、景観形成や環境に配慮 した魅力のある住宅地として長期にわたり良好な 住環境を維持・継承できるよう、景観計画の推進 や地区計画導入の支援などに取り組みます。 ◦日常的にみどりを感じられるよう、公園・緑地・
街路樹・宅地のみどりが連続するみどりのネット ワークの形成を促進します。
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◦高速道路・鉄道高架などの土木構造物は、都市生 活に不可欠なものですが、景観にも大きな影響を 与えます。本来の機能や安全面を考慮しつつ、関 係機関と連携しながら周辺と調和した景観の形成 を促進します。
③
景観重点区域における景観のまち
づくり
浦安市を代表する景観的な特性を備えた地区や景 観のまちづくりへの機運が高まった地区は、「景観 重点区域」に指定し、積極的・継続的に景観のまち づくりに取り組みます。
◦既に景観重点区域である「新浦安駅周辺地区」と 「新町地域」では、今後も積極的・継続的に、地 区の特性を活かした魅力ある景観の維持保全・創 出を図ります。特にシンボルロード沿いの道路と 一体となって歩行空間として利用されているセッ トバック部分では、適切な維持保全を誘導・支援 します。また、景観法に基づく景観地区の指定、 屋外広告物の規制・誘導など、さらに魅力を向上 するための取り組みを検討します。
◦まちの顔となる場所では、住民や関係機関などと 協議しながら、景観重点区域指定に向けた取り組 みを検討します。
◦住民や事業者などの景観のまちづくりへの機運が 高まりつつある地区では、景観重点区域への指定 に向けた活動などを支援します。
④
景観資源の保全・活用
浦安市の特徴であり、景観を形成する重要な要素 となる道路・河川・公園などの公共施設は、景観資 源として保全・活用を推進します。また、市内にあ る歴史的建物なども景観上重要な資源として保全・ 活用します。
◦元町地域は浦安発祥の地であり、多くの神社仏閣 や往時を偲ばせる建物や路地、文化財や埋立ての 歴史を物語る堤防跡など歴史的な資源がありま す。これらを景観資源として広く市民に周知する とともに、保全や活用について検討します。 ◦景観上重要な建物・樹木については、景観計画に
定める景観重要建造物・樹木の指定方針に基づき、 必要に応じて指定・保全を図ります。
◦まちの顔となる場所における道路・河川などの公 共施設などは、景観の骨格となるものです。今後、 関係機関などと協議しながら、景観重要公共施設 への指定、整備基準の策定などの取り組みを検討 します。
⑤ 協働による景観のまちづくり
良好な景観を形成するためには、市民・事業者・ 行政が協働で景観のまちづくりに取り組むことが不 可欠です。市民や事業者自らが行動を起こし活動で きるよう、さまざまな取り組みを段階的に進めます。
◦まちの美化や景観に配慮したまちづくりのあり方 などについて、市民や事業者の理解と意識を深め るため、啓発を行います。
◦まちの景観資源を広く周知するとともに、市民や 事業者自らが主体となった景観まちづくりを推進 するため、その支援・育成を目指します。 ◦民有地の道路境界部や庭先、窓辺、壁面などの緑
化活動など、身近な街並みづくりの誘導・支援を 図ります。
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