年齢に伴うパーソナリティの変化を検討する場合,横 断的研究,縦断的研究,コホート研究,そして複数の知 見を統合するメタ分析による研究という 4 つの手法が可 能性として挙げられるが,近年,欧米では比較的大きな サンプルサイズを用いた横断的研究が盛んに行われてい る(Donnellan & Lucas, 2008; Jackson et al., 2009; Lehm- ann, Denissen, Allemand, & Penke, 2013; McCrae et al., 1999, 2000; Soto, John, Gosling, & Potter, 2011; Srivastava, Oliver, Gosling, & Potter, 2003 )。縦断的研究やコホート 研究は,パーソナリティの発達的変化について有用な情 報をもたらす可能性のある手法である。しかし,これら の手法を遂行するためには時間と費用の負担も大きい。 我が国におけるパーソナリティの発達的変化について, 未だ十分な検討がなされていないという現状を考慮する と,横断的な研究によってある程度の発達的変化の可能 性を検討することは有用であると考えられる。 Soto et al.(2011)は,英語話者 120 万人以上の 10 歳 から 65 歳の調査協力者に対してインターネット調査を 行い,ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性の年齢差 および性差を検討した。彼らが見出した主要な結果は次 のようなものである。(1)勤勉性と協調性は青年期に低 く,それ以降では直線的に得点が高くなっていく。(2) 神経症傾向は青年期の女性が比較的高く,30 代以降は 低下していく一方で,男性は女性に比べ青年期から低 く,年齢とともにゆるやかに低下する。(3)外向性は, 青年期の期間は低下傾向にあり,その後はほぼ一定にな る。(4)開放性は,青年期前期において年齢とともに低
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