これ以降はもっと広い視野での聴講を心がけ,特にポス ターセッションで反響のあったミトコンドリア外膜の分野 の勉強に充てることにした.報告者自身は,これまでは呼 吸鎖をターゲットとしていたためにミトコンドリア内膜で のテーマ意識が強かったが,現在のテーマであるカルジオ リピンの性質や機能はミトコンドリア外膜においても重要
視されていることを改めて意識するきっかけとなった.
報告者にとっては始めての欧州でもあり,そのどれもが 新鮮な体験でした.この貴重な機会をご支援頂き誠にあり がとうございました.
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て
長崎大学大学院工学研究科 郷田秀一郎
私は 12 月 15 日から 20 日までアメリカ合衆国ハワイ州 ホノルル市ハワイコンベンションセンター他で行われた 2010 環太平洋国際化学会議 (Pacifichem2010) に参加・発 表を行った (写真 1).本会議は約 5 年に 1 回,12 月に当 地で行われており,今回で 6 回目になる.主催の母体とな る学会は日本化学会・アメリカ化学会・カナダ化学会・
ニュージーランド化学会・オーストラリア王立化学会・韓 国化学会・中国化学会であり,今回はカナダ化学会がホス ト役となった.後援団体としても,わが国だけでも,応用 物理学会,日本エネルギー学会,日本分析化学会,化学工 学会,日本海水学会,日本木材学会,火薬学会,日本画像 学会,日本薬学会,環境科学会,日本環境化学会,日本油 化学会,高分子学会,日本希土類学会,光化学協会,触媒 学会,日本ゴム協会,表面技術協会,植物化学調節学会,
日本食品科学工学会,腐食防食協会,石油学会,日本生物 工学会,フラーレン・ナノチューブ学会,繊維学会,日本 セラミックス協会,有機合成化学協会,電気化学会,日本 糖質学会,日本栄養・食糧学会,日本農芸化学会と多岐に
わたっていた.
今回の学会のテーマは化学・技術&私たちの世界的環境 であった.会場にあった横断幕には,そのテーマの下に,
Promoting scientific exchange for a healthy & sustainable future とあり,これが化学分野での今回,学会を行う上で のキーフレーズとなった (写真 2).そして開催目的とし ては,本学会を通して環太平洋の化学者の交流を深めてい きたいとのことであった.今回は 13,500 もの演題が投稿 され,235 のシンポジウム,1092 の口頭およびポスター セッションが開催された.テクニカルプログラムには 69 カ国のコントリビューションがあった.
発表の分野としては分析化学・無機化学・高分子化学・
有機化学・物理化学・農芸化学・生化学・環境化学・材料
&ナノテクノロジー・代替エネルギー技術・コミュニ ティーへの化学・健康&技術・セキュリティーと広範囲に わたり,かつそれに従って会場も 3 会場に分けられてい た.私は生化学の健康と病理の糖質認識領域で発表を行っ たので,会場はハワイコンベンションセンターであった.
他の 2 会場とはバスで 20 分程度離れているため,事実上,
ハワイコンベンションセンターでの口頭発表のみを聞くこ とができ,他の 2 会場には,展示を見に 1 度だけヒルトン ハワイアンビレッジに行ったが,シェラトンワイキキには 行かずじまいであった.
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写真1 写真2
口頭発表は主に上記の発表領域及び近接した部屋で行わ れていたボツリヌス神経毒素のケミカルバイロジー,変異 と化学修飾によるタンパク質の改変,生物学における金属 タンパク質の新展開を聞いた.特に自分が発表した領域で は表題にもあるとおり,健康と病理に関する応用的な研究 成果が多く発表されているように感じた.例えば,アミロ
イドβペプチドに関するもの,毒素や病原となるものに 対する糖質との関連に関するものである.特に糖認識で も,発表で多く見られたようなアプリケーションとしての 研究が進展していることを深く知ることができ,有益で あった.一般的かつ基礎的なタンパク質科学に関する発表 も見受けられ,そのような研究内容は他の部屋での発表で も見られ,頻繁に部屋を移動しながらの聴講に努めた.私 自身はポスターセッションで発表を行い,10 名程度の方 からの質問を受けた (写真 3).
学会の全体的な印象としては,あまりにも巨大な学会で 全体としての統一性は見られなかったが,各個別のセッ ションのみでも十分なサイズとなっていて,ポスター会場 などでは分野をまたいだディスカッションには至らないよ うな感じであった.それと,会場が景勝地であるホノルル とはいえ,各会場の椅子が十分でなく,つねに多くの参加 者が会場の後ろの方で起立して聴講していた.その点は,
改善して欲しいと思った.
最後になりましたが,本学会に参加の機会を与えてくだ さり,ご援助いただきました(財)農芸化学研究奨励会に厚 く御礼申し上げます.
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(IMPI第44回マイクロ波電力シンポジウム) に参加して 京都大学大学院農学研究科 椿 俊太郎
アメリカコロラド州のデンバーにて,2010 年 7 月 14 日 から 16 日まで開催された IMPI (International Microwave Power Institute) の主催する第 44 回マイクロ波電力シン ポジウムに参加し,口頭発表およびポスター発表を行っ た.IMPI は 1966 年にマイクロ波加熱や高周波加熱の技 術に関わる研究者の情報交換のためにカナダで設立された 協会である.本シンポジウムは第 44 回を数える伝統ある 会議で,近年は食品加工が主な議題となっているが,昨今 の環境への意識の高まりから今年から新たにバイオエネル ギーのセッションが追加された.会場はデンバーのダウン タウンにある The Curtis というホテルで行われた.デン バーはアメリカ中西部のコロラド州の州都で,標高が 1600 m あることからマイルハイシティーとも呼ばれる.
ロッキー山脈のすぐ東側に位置し,近郊には陸上の長距離 選手の高地トレーニングのメッカであるボウルダーや国立 標準技術研究所 (NIST),国立再生可能エネルギー研究所 (NREL) などがある.本シンポジウムの主な参加者は大 学の研究者だけでなく,米国農務省 (USDA) や食品メー
カーなど産官学の関係者が一堂に会しており,基礎から応 用までの内容を幅広くカバーした議論が活発に行われた.
私 は 本 シ ン ポ ジ ウ ム で “Microwave-assisted Autohy- drolysis for Refinery of Local Food Processing Biomass in Japan” と題して口頭発表とポスター発表の両方を行った.
マイクロ波は 300 MHz から 300 GHz の電磁波の総称で,
通信やレーダーのほか家庭用の加熱調理器として広く用い られている.近年,特に有機合成の分野では反応時間の劇 的な短縮や生成物の選択性を高める効果が注目されてい る.バイオマス分野では 1980 年代から木質材料からバイ オエタノールを製造する酵素糖化・エタノール発酵工程の 前処理としての利用可能性が示されてきた.効率的な酵素 糖化を行うには,セルロースと酵素の接触面積を大きくす る前処理が必要とされる.これまでに熱化学処理である高 温高圧水処理や爆砕,酸・アルカリ加水分解などの方法が 取られてきた.マイクロ波加熱は被照射体を内部から直接 加熱する方法であり,こうした処理は通常の外部からの熱 伝導による加熱と比較して反応時間の短縮や,それに伴う 二次分解物の減少が達成される.
私はこうしたマイクロ波の利点を応用して,食品加工で 排出される植物系のバイオマスをマイクロ波加熱により処
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