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6 章 契約過程
The Contracting Process
2012/5/29 財務会計論A 106演習室 藤井研究室 修士2回生 横山 夏子
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目次
• エージェンシー理論
• Jensen and Meckling(1976)
• オーナー経営者と外部株主における契約の需要 –外部株主がいる場合、いない場合
• オーナー経営者と社債権者における契約の需要 –投資意思決定、財務意思決定
• 専門経営者と外部の資本拠出者との契約の需要
• 契約における会計の役割 –スチュワードシップ、情報仮説
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エージェンシー理論
• Jensen and Meckling(1976)
–株主(プリンシパル)とオーナー経営者(エージェン ト)の契約
–エージェンシー関係(agency relationship)
•
定義 「一人以上の人(
プリンシパル)
がほか の人(エイジェント)と、プリンシパルのために エージェントがある業務を遂行することを約定 し、それに伴いある意思決定権限がエージェ ントに移譲される契約」3
エージェンシー関係
プリンシパル(株主) 企業価値最大化
金銭を投資
エージェント(経営者) 自己利益最大化 金銭・労働を投資
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Jensen and Meckling(1976)
•
会社の株主とオーナー経営者の契約をモデ ル化•
重要な仮定–オーナー経営者の貨幣賃金は一定 –モニタリング、ボンディング活動はできない
•
外部株主の有無で場合分けして、非金銭的 便益の分析5
ボンディングとモニタリング
• ボンディングコスト(Bonding cost)
–オーナー経営者が契約に従い活動することを保証す るための経営者の費用
–説明、情報開示に要するコスト
• モニタリングコスト(Monitoring cost)
–オーナー経営者が契約に従い行動することを確認す るための外部株主の費用
–経営者行動の監視、開示情報の真偽を確認するた めのコスト
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(1) 外部株主がいない場合
•
①非金銭的便益≠職務付帯的、市場が競争的 –オーナー経営者は会社のCF現在価値最大化(Brealey and Myers(1984)) –会社のCF現在価値=
•
②非金銭的便益が職務付帯的 –会社のCF現在価値=V*( >V*) –費用F*= -V*7
(2) 外部株主がいる場合
• 無議決権株式 (1-α)
• 経営者の給料外給付に関する意思決定はどう 変化?
• ①給料外給付が職務付帯的、(1) (外部株主が いない場合)同様に給料外給付享受
–給料外給付=F*、企業価値=V*
–外部者は株式に(1‐α)V*支払う
• ②給料外給付が職務付帯的、100%所有と同じ 行動を強要されない
–給料外給付↑、F'(限界費用低下、F'>F*) –⇒企業価値下落(V'= -F')
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外部株主と価格保護
•
外部株主への価格保護 –資本市場と効率的市場仮説–投資家はオーナーの機会主義的行動を織込済 みの価格で株式購入(1-α)V′
•
オーナー経営者は機会主義的行動の損失(V*⇒V′)を全額負担
–エージェンシー費用(agency cost)
•
オーナー経営者が自分の行動規制or
株主と 契約締結→エージェンシー費用減少9
(3) 外部株主がいる場合と モニタリング支出
•
契約のモニタリング支出–罰則⇒給料外給付が相対的に少ないと市場にア ピール
•
費用の減少額>モニタリング費用–経営者の富>契約前の経営者の富(V*⇒V')
• エージェント(経営者)がモニタリング契約を結 ぶインセンティブを持つ
•
⇔プリンシパル(株主):価格保護10
(4) エージェンシー論
•
リスク中立的プリンシパル、リスク回避的エー ジェント•
問題は、プリンシパルがエージェントの行動を 観察できないことから生じる•
経営者のインセンティブ⇒エージェンシー問 題減少を目的とした制度的規約の発展⇒契 約における会計数値の利用や監査–経営者報酬、債務契約など
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オーナー経営者と社債権者における 契約の需要
• 外部株主の存在⇒オーナー経営者が給料外給 付の享受や着服のインセンティブ
• 社債の発効により、エージェンシー費用を削減で きる?
• (1)投資意思決定
• (2)財務意思決定
• 債権の希薄化(dilution)
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(1) 投資意思決定
•
投資意思決定の影響•
①CF
のばらつき–資産代替(asset substitution)
•
②社債償還–過少投資(underinvestment)
•
①②の場合、社債権者は価格保護→オー ナー経営者が損失負担→モニタリングのイン センティブ13
(2) 財務意思決定
•
オーナー経営者は、2
種類の財務活動を通じ て富の移転•
①配当•
②社債の追加発行•
社債権者への価格保護→経営者の機会主義 的行動の費用はオーナー負担→配当制限の インセンティブ14
専門経営者と外部の資本拠出者との 契約の需要
• 専門経営者が自分の行動を制限する制約を結ぶイン センティブは何か?
• ①既存の契約
• ②労働市場における競争 –会社内部の競争、会社外部の競争
• ③経営者の評判に及ぼす影響 –Fama(1980)
• 株主・社債権者への価格保護→経営者が費用負担
→経営者が給料外給付の過剰享受がないことを証明す るインセンティブ
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財産権説の示す会社の性質
• (1)なぜ会社は存在するのか
–①規模の経済②危険分散③専門化
• (2)
会社の性質–契約の束(nexus of contract)
–会社は、自己の利益を追求する個人からなる チーム
–個人が利害衝突を想定し、回避するために個人 の権利(財産権)を定めた契約書を作成
•
(3)適者生存の原理16
契約における会計の役割
•
契約をモニターする需要 –会社=契約の集合体 –契約の履行を確認する必要•
財産権説、契約理論–契約条件とそのモニタリングに会計が需要な役 割を演じている
–債務契約、経営者報酬制度、会社定款、内規、
監査
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スチュワードシップ概念
•
スチュワードシップ概念–株主が経営者の行動をモニターするために報告 の必要がある
•
情報仮説–投資家は投資と評価の意思決定おける情報源と して会計報告書を必要とする
•
スチュワードシップ概念と情報仮説は両方存 在する18
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要約
•
経営者の機会主義的行動による富の移転➡価格保護➡経営者が費用負担➡経営者行 動を制限する契約の需要
(
経営労働契約、債 務契約の需要)
•
エージェンシー費用削減のための契約に会 計数値を使用➡会計手続きがCF
と企業評価 に影響19
参考文献
• Ross L. Watts & Jerold L. Zimmerman
、 須田一幸訳(1991)
「実証理論としての会計 学」 白桃書房•
大日方隆(2007
) 「アドバンスト財務会計」中 央経済社9
章20
出張旅行の例
• 年3回出張→企業価値最大化(V ̄=$100,000)
• (1)外部株主がいない場合
• →経営者の効用最大化は年4回出張
• 4回目の出張、F*=$10,000、V*=90,000
• (2)外部株主がいる場合
• 1‐α=30%、(1‐α)V*=27,000
• 経営者は出張旅行を継続するか?
• 5回目の出張の正味現在価値=10,000
• (1)の場合、オーナー経営者のコスト=10,000
• (2)の場合、オーナー経営者のコスト=7,000
• 外部株主のコスト=3,000、V'=$80,000
• 株主は(1‐α)V'=$24,000で株式購入 21
投資意思決定の例
•
標準偏差σ(Cx)<σ(Cy)•
プロジェクトのCF>K→
社債権者がK
を受領•
プロジェクトのCF<K→社債権者はCを受領•
債務不履行確率はY(l+k)>X(k)
•
社債の市場価値はBx>By→Sx<Sy•
経営者はCFが同じなら分散が大きい投資を 選好(
異なっても選好する恐れ)
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図 1
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