はじめに
社会にとっての諸価値の権威的な配分が政治の機能だとするならば、権威を有する共通 政府が存在しない国際政治は、さしずめ「準政治」と言ったところだろうか。つまり国際 政治には、諸価値の配分への需要はあるものの、それを権威的に配分する主体が存在しな いのである。しかし、それでも国際社会は、これまでさまざまな形で価値に優先順位を付 け、一定の国際秩序を形成してきた。言うまでもなく、第2次世界大戦後、最も普及した秩 序形成の方法は、国際レジーム(international regimes)によるものであった。仮に、共通政府 が存在しない状態で、国境を越える問題もしくは超国家的な解決策を必要とする問題の解 決のためにアクターの行動を規律するルール体系を創設したり、運用したりすることがグ ローバル・ガバナンスであるとするならば(1)、その意味では、すでにグローバル・ガバナン スは実践されてきたと言えるだろう。
しかし今日、グローバル・ガバナンスの形態は大きく変わろうとしている。国際レジー ムに基づくパブリック・ガバナンスは今なお発展し続けているが、その参加主体は、もは や各国政府に限定されてはいない。企業やNGOといった非政府組織の影響力がかつてない ほど大きくなっているのである。また特定の分野では、NGOや企業が直接トランスナショ ナルなネットワークを構築し、プライベート・レジームを創設するようにもなってきてい る。なぜ、このようなプライベート・ガバナンスが今台頭してきているのか。そしてこの ような形態のガバナンスは、従来のガバナンスとどう違い、またどの程度有効だと言える のだろうか。
本稿では、このような問題意識から、まず第1節で、グローバル・ガバナンスの類型化を 試みる。そして第
2節では、プライベート・ガバナンスの台頭をもたらした要因について一
般的な考察を行ない、次の第3節では、それに基づいて森林保護を目的とするプライベー ト・ガバナンスの事例を詳細に検討する。そして結論部分では、プライベート・ガバナン スが有効に機能する条件について考察し、プライベート・ガバナンスの可能性と限界につ いて検討したい。そして最後に、プライベート・ガバナンスのパブリック化の必要性につ いて簡単に触れることにする。1
グローバル・ガバナンスの多様化近年、国境を越える問題は、さまざまな方法で解決されるようになってきている。グロ ーバル・ガバナンスを通して国際社会が実現しようとする目標が複雑化しているだけでは なく、それにかかわるアクターの種類、そして目標を実現するために利用される手段もま た多様化している(2)。したがって、貿易の自由化や為替の安定といった単一の目標を実現し ようとするものもあれば、環境保全と経済発展の両立をめざそうとする複合的なものもあ る。またガバナンスの担い手も国家に限定されず、目標の実現手段も、公権力に基づいて 一定の行動をアクターに強要する伝統的な方法以外にアクターの自発的な行動を誘発する 方法も使われるようになってきている。
では、このように多様化するグローバル・ガバナンスを、どのように類型化すれば、そ の特徴を正確につかむことができるのだろうか。つまり、どのような争点領域で、どのよ うなガバナンスのパターンがみられ、それらのパターンが相互にどのような関係にあるの かを理解するためには、どのような分析軸を用意すればよいのだろうか。本稿では、これ らの問いに答えるべく、(1)ガバナンスに参加するアクターの性質(3)、(2)ガバナンスにおけ る権威構造の性質(4)、そして(3)ガバナンスのための秩序形成メカニズムの性質(5)、という
3つの分析軸でグローバル・ガバナンスの特徴を捉えることとしたい。
まずガバナンスに参加するアクターの性質からみることにしよう。アクターは、大別す ると、政府もしくは公的機関と、非政府組織に分けられるので、グローバル・ガバナンス は、それに参加するアクターが、政府/公的機関であるパブリック・ガバナンスと、それ が非政府組織であるプラベート・ガバナンスに分けられる(6)。伝統的なグローバル・ガバナ ンスの形態は、言うまでもなく、政府による国際条約の交渉と締結を通して行なわれるパ ブリック・ガバナンスである。典型的なパブリック・ガバナンスでは、国際的に合意され る条約が国内法や国内政策措置に変換されることで、グローバルな公益の実現に向けて各 国の行動が平準化されるのである。世界貿易機関(WTO)、国際通貨基金(IMF)、あるいは 世界銀行(IBRD)といった国際経済レジームは、このようなパブリック・ガバナンスの代 表的な例である。もちろん、金融市場の監督とサーベイランスに関する情報交換をめざし て発足した金融安定化フォーラム(FSF: Financial Stability Forum)などの比較的新しいガバナ ンス・システムは、先進国にとってのベスト・プラクティスを提示するにとどまっている ため、伝統的な意味での国際レジームとは言えないかもしれない(7)。けれどもそれに参加す るアクターが各国の財務省、中央銀行および金融監督機関の代表であるという点において は、明らかにパブリック・ガバナンスの一種であると言えよう(8)。
しかし最近、このような政府を主体とするパブリック・ガバナンスに加えて、私的なア クターが参加するプラベート・ガバナンスが急増しているのも事実である。つまりNGOや 企業などの非政府組織が、グローバル・ガバナンスに主体的に参加するようになってきて いるのである。とりわけNGOは、トランスナショナルなネットワークを通して有力国の政 府や、国際組織に対して圧力をかけ、特定の国に対して人権規範の遵守を迫ったり、説得
を通じて政府や企業の行動に変化をもたらしたりしている(9)。また企業は企業で、さまざま な領域で独自のネットワークを形成し、自己規制の枠組みを構築し始めている。このほか、
企業がNGOや政府と共同で基準を設定するマルチステークホルダー・アプローチというガ バナンス形態も浸透している(10)。このようにグローバル・ガバナンスは、パブリック・ガバ ナンスからプラベート・ガバナンスへと広がりをみせているのである。
次に、ガバナンスにおける権威構造という視点に目を移すと、政府あるいは非政府組織 がガバナンスにおける権威を独占するガバナンスと、それを第三者機関に委譲するガバナ ンスとに分けることができる。後者の場合は、政府あるいは非政府組織と、第三者機関と の関係が垂直的なものになるので、ガバナンスにおける権威構造は、必然的に階層化する ことになる(11)。しかし国際政治に関する通常の理解からすれば、立法、行政および司法に関 する権限は主権国家に集中しているため、国際システムの構造的な特徴は、基本的にアナ キー(無政府状態)であるとされる(12)。けれども、実際には、国際経済領域において国家の 行動を規律する国際レジームが創設されて以降、国家による国際組織への権限の委譲は急 速に進んでいる。例えば、IMFや世界銀行は、加盟国の国内事項に干渉しないことをそれぞ れの設立協定で謳ってはいるものの、構造調整融資を通じて市場開放、民営化および規制 緩和といった国内経済に関する事項への干渉や、汚職、透明性あるいは法の支配といった 国内制度の問題への干渉を公然と行なうようになってきている。また
WTOも、規制対象を
関税障壁などの国境措置から知的財産権などの国境内措置(behind-the-border measures)へと拡 張するとともに、紛争解決プロセスにネガティブ・コンセンサス方式を導入することで紛 争解決機関(DSB)の権限を大幅に強化するに至っている(13)。このように現代の国際関係は、部分的にせよ、アナキーからヒエラルキーへと変化しつつあると言える。
第三に、秩序形成メカニズムという分析軸に沿って分類すると、指揮統制的な規制(com-
mand and control)
に依拠するタイプと、市場メカニズムに依拠するタイプとに大別できる。前者は、公的機関が公益を実現するために必要な行動基準を法令として定め、公権力に基 づいて当該アクターに遵守を強制する方法である。例えば、政府が当該アクターに対して 現存する技術のなかで最高のものを使用することを法的に義務づけることで、汚染の程度 を一定基準以下に抑えようとする環境規制などが、これに該当する(14)。後者は、公益の実現 に向けてアクター自身に目標ならびにその達成方法を設定させ、それを、市場メカニズム を通して実施させる方法のことを言う(15)。その例としては、許容できる汚染物質の総排出 量を設定し、そのうえで各アクターに排出枠を分配する排出枠取引制度を挙げることがで きる。なぜならば、他のアクターから排出枠を購入するのか、それとも自分自身で排出量 を削減するのかは、アクターが、それぞれの費用対効果を計算して、選択することになる からである。
では、以上のような3つの分析軸に即してグローバル・ガバナンスを概観した場合、昨今 のグローバル・ガバナンスには、どのような特徴がみられるのだろうか。
まず、最初に、権威構造の階層化が国際経済領域では顕著であるものの、環境や人権な どの社会領域においては進んでいないという特徴が挙げられよう。なぜならば、国際経済
領域においては、WTO協定やその紛争解決手続きに象徴されるように、拘束的で、なおか つ客観的な国際制度が形成されているのに対して、社会領域では、規範の遵守がもっぱら 各国の主観的な判断に委ねられているからである。その意味では、国際制度の法化(legal-
ization)
は不均等な形でしか進展していないと言えるのではないだろうか(16)。しかし、その反面、社会領域では、伝統的なガバナンスの担い手となってきた政府間組 織に対する私的なアクターの影響力は明らかに増大している。NGOは近年、人権や環境規 範の観点から国際経済組織に対して説明責任を果たすよう強力に求めてきた。そして
IMF
や世界銀行などは、その要求に対して情報公開やNGO
との協議を推し進めるとともに、自 らの活動に対して説明責任を果たせるような仕組みを整えてきた(17)。またWTO
も、紛争解 決プロセスにおいてNGO
に「法廷助言者」の地位を与えるようになってきている(18)。つま り一定の領域では、政府を中心とするパブリック・ガバナンスのプラベート化(privatization)が進んでいるのである。
さらに、これと並行して、政府以外のアクターがガバナンスの中心的な担い手となるトラ ンスナショナルなプライベート・ガバナンスが急増している(19)。主として、これは、NGO や企業などの私的なアクターがトランスナショナルな組織やネットワークを構築し、プラ イベート・レジームを通して企業の行動を制御するという類のものである。例えば、環境 マネージメント・システムに関するISO14001、化学物質の管理に関するレスポンシブル・
ケア(RC: Responsible Care)、森林保護に関する森林管理協議会(FSC: Forest Stewardship Council)、 アパレル企業の下請け工場における労働問題に関する
SA8000
などが、そうである(20)。これ らのプライベート・レジームは、企業が遵守すべき行動基準を規定するとともに、その遵 守を認証することで秩序形成に貢献している。なぜならば、企業は、そのような認証を得 ることで市場において有利な立場を獲得することができるため、自発的に行動基準を遵守 しようとするからである。しかしながら、なぜ社会領域において、パブリック・ガバナンスのプラベート化やプラ イベート・ガバナンスの台頭がみられるのかは、自明ではない。とくに環境の領域は、公 共財の提供という観点からみて、政府の関与が最も期待される分野であるため、その疑問 は深まるばかりである(21)。以下では、議論をプライベート・ガバナンスに限定して、それが、
なぜ社会領域において台頭するに至ったのかを考察することにする。
2
グローバリゼーションとプライベート・ガバナンスの台頭もちろん、プライベート・ガバナンスの実例が、これまでまったくなかったわけではな い。国際商法や海事法は、もともとプライベート・レジームとして発達したからである(22)。 公的なレジームが形成されるようになったのは、実は
19
世紀に入ってからである。欧州に おいて近代国家が形成され、国境を越える経済交流が増大し国際的な調整が必要となった ためである。しかし、パブリック・ガバナンスが本格的に始動するようになったのは、2つ の世界大戦を経て国際連合とブレトンウッズ体制が構築されてからであった。では、なぜ再び
1990
年代以降、プライベート・ガバナンスが台頭してきたのだろうか。その最も大きな原因は、財と資本が国境を越えるグローバリゼーションにあると考えられ る。なぜならば、グローバリゼーションの進展とともに、環境破壊や労働権の侵害といっ た負の外部効果が国境を越えて発生するようになったからである。生産者にとっては、そ のような外部効果を自ら内部化しないほうがグローバルな競争において有利となるため、
生産者は、当然ながら、それを内部化しようとはしない。また現地の労働者や住民も、生 産者にそれをさせるだけの政治力をもたない。国家もまた、国内で雇用を創出する外国資 本を呼び込む必要から(23)、そのような外部効果の内部化を生産者に強いるような規制を行な おうとはしない。また外部効果を「輸出」する側の国においても、多国籍化した生産者と 官僚および政治家が、グローバリゼーションを推進する強力な「鉄の三角形」を構築し、
「輸入」する側の国に対して規制緩和を迫るという利益政治のパターンができている。その 結果、受け手となる国家は、もはや国境を越えてもたらされる負の外部効果から自国民を 守るという国家に託された道義的な責任を十分に果たせなくなってきていると言える。
そして、このような状況は、経済領域において権威構造の階層化をもたらすと同時に、
社会領域においては規制緩和をもたらしていると言える(24)。なぜならば、経済領域の規制主 体を国際組織に移行させ、グローバリゼーションのプロセスを国内の反対から守ることは、
グローバルな経済競争にとって不可欠であるのに対して、社会領域において規制を強化す ることは、グローバルな経済競争にとってむしろ有害となるからである。そのため、経済 領域においてのみ法化が進むという状況が生まれるのである(25)。つまり公的なレジームに基 づく指揮統制的なガバナンスは、経済領域ではその有用性を発揮できるが、環境などの社 会領域においては経済成長の妨げになるため、敬遠されてしまうのである。その結果、多 国間主義ではグローバリゼーションの負の外部効果から市民を救済できないという認識が 醸成されることとなる(26)。
この、社会領域におけるパブリック・ガバナンスの欠如を補おうとして生まれたのが、
プライベート・ガバナンスであったと言えるのではないだろうか。つまり社会領域におい て有効なガバナンスが行なわれていないことを問題視する
NGO
などが、伝統的なパブリッ ク・ガバナンスに見切りをつけて、負の外部効果をもたらす活動を展開する企業に直接に 働きかける道を選んだと考えるのが自然であろう。そして市場における自社のブランド・イメージを重視する一部の企業を巻き込む形でトランスナショナルなプライベート・ガバ ナンスが支持を集めるようになったものと考えられる。以下では、紙幅の都合上、環境領 域におけるプライベート・ガバナンスの一例である森林管理協議会(以下、FSC)を取り上 げ、このような仮説の妥当性について考察することにしたい。
3
環境領域におけるプライベート・ガバナンスの試み森林破壊は、1980年代の中頃から初めてグローバルなイシューとして注目を集めるよう になった。その頃から、アマゾン川流域や東南アジア地域などの原始雨林の伐採が環境
NGO
によって問題視されるようになったからである。そもそも、森林は、運輸、建設ある いは軍艦建造などに利用される木材の供給源として、これまで重宝されてきた。森林資源が、多くの国々において国家の管理下に置かれてきたのは、そのためである(27)。また森林破 壊は、有害な人為的な活動が複数の国において同時並行的に行なわれることによって引き 起こされるタイプの環境問題であるため(28)、問題解決には、各国において森林管理に関す るルールを導入し、それを国際的に統一化しなければならない。多国間主義に基づく国際 社会が選択した手段は、まさにこの方法であった。すなわち、森林から伐採される木材の 国際的な取引を規制する公的なレジームを形成することで、各国の森林管理に関するルー ルの調和を図ろうとしたのである(29)。その経緯は以下のとおりである。
まず1985年に、野生動物の保護などで知られる世界自然保護基金(WWF: World Wide Fund
for Nature)
が、国際熱帯木材機関(ITTO: International Tropical Timber Organization)に加盟する木 材輸出国に対して、持続可能な森林管理を実施していない森林からの木材輸出を2000年ま でにすべて停止することを要求した。これを受けて各国が自発的に国別ガイドラインを策 定することとなったが、策定されたガイドラインのほとんどは実行されなかった。この状 況を受けて、WWFは次に、ITTOに対して、ガイドラインの遵守に関する認証制度の導入を 要求したが、ITTOはこれを受け入れなかった。この頃、時を同じくして、国際的な森林条 約の締結をめざす政府間交渉のほうもすでに活発化していた。しかし、この試みもまた、森林輸出国が難色を示したために頓挫し、
1992
年の国連環境開発会議(通称「地球サミット」) では法的拘束力をもつ森林条約の締結には至らなかった(30)。その後も森林条約の締結に向 けた努力は、カナダやマレーシアなどの一部の国を中心に続けられたものの、結局実現し なかった。以上のような非生産的な状況に早い段階で見切りをつけた熱帯林行動ネットワーク
(RAN: Rainforest Action Network)などの
NGO
は、持続可能な森林管理の下に置かれていない 熱帯林から伐採された木材の輸入と使用をボイコットする運動を展開するようになってい た(31)。このような状況のなかで、1993年に、WWFの呼びかけで環境NGO、木材利用業者、
木材貿易業者、森林保有者、先住民および地域住民の代表がアメリカのワシントンDCに集 結し、FSCの創設を決めたのであった(32)。つまり伝統的なパブリック・ガバナンスでは埒が 明かなかったため、その代替策としてプライベート・ガバナンスが試行されることとなっ たのである。
ではFSCには、どのような機能が与えられたのであろうか(33)。まず
FSC
には、持続可能 な森林管理に関する基準(FM: forest management)と、木材の輸送や加工などに関する基準(CoC: chain of custody)を設定する機能が与えられた。そのため
FSCは「森林管理に関する原
則と基準(Principles and Criteria)」を制定し、法遵守、先住民の権利の尊重、社会環境影響評 価などを含む10の原則と、それらの原則を具体化する56の基準を明文化した。これらの基 準が遵守されることで初めて、持続可能な森林管理が行なわれている森林から伐採される 木材が、生産過程を経て最終的に消費者の手に渡ることが保証されることとなった(34)。第 二に、FSCは、これらの基準が遵守されていることを認証(certification)するための独立認 証機関を認可する(accredit)権限を与えられた。したがって、森林や生産施設に対してFSC
が直接認証を行なうわけではないが、認証機関をFSCが認可することとなったのである。また認証を受けることのできた森林管理者や企業は、少なくとも年に
1度の監査を認証機関
から受けることとなった(35)。第三に、FSCは、製品や生産過程がFSCの基準に適合すること
を示すラベリングを実施する権限を与えられた。生産者は、このラベリングによって初め て、環境保全や人権擁護に敏感な市場にアクセスすることができるのである(36)。その意味で は、FSCは、市場を秩序形成のメカニズムとして利用するタイプのガバナンスであると言え る。ではFSCは、持続可能な森林管理のプラクティスをどの程度普及させるのに成功してい るのだろうか。2009年
7月現在、FSC
の認証を受けている森林は、全世界で1
億ヘクタール を超え、82ヵ国以上に点在している(37)。これは、生産活動の対象となっている森林全体の5%に相当する面積である。また大手のホームセンター、家具専門店あるいは印刷会社など
を含む1万
3500
社が、現在FSC
の認定を受けていて、FSCラベルの製品の2008
年の売上高 は、200億US
ドルを超えたと想定されている。このようにFSC
の基準は急速に普及しつつ あると言えるが、その反面、FSCラベルの製品の各国の森林製品市場における浸透率は、け っして高いとは言えない(38)。これにも増して、FSCにとってより深刻なのは、FSC以外の基準が主要企業によって支持 されていることである。例えば、統一的な世界基準を推進しようとする
FSC
に対抗して、各国の森林管理基準を相互承認するという方法を推進する動きがある。欧州諸国の業界団 体と地主が母体となり1999年に設立された森林認証支援プログラム(PEFC: Programme for the
Endorsement of Forest Certification)
は、まさにそのような方法を推進しようとする組織である(39)。 現時点でPEFCは、25の国別認証制度に関して相互承認を認めているため、全世界の森林の うち約2億ヘクタールが、このシステムの下で認証されていることになる
(40)。これはFSCに
よって認証される森林面積の約2倍に相当する(41)。また企業のなかには、国際標準化機構(ISO: International Organization for Standardization)が
1996
年に環境マネージメント・システムの基準として制定したISO14000
を単に採用すると ころも多い(42)。この方式を採用する企業は、自らの裁量で森林管理に関する基準を設定し、その遵守に向けてISO14000が規定する環境マネージメントの手順を採用しさえすればよい のである。したがって
ISO14000の下では、各企業は、独立機関から基準遵守に関して認証
および監査を受けるものの、環境への配慮をどの程度推進するかは自分で決められること となる。その結果、各企業が自主的に設定する基準が、FSCの基準よりも限定的なものとな る可能性は高い(43)。そして、これと同様なことは、業界中心のPEFCの基準についても言え るので、FSCの基準が世界基準として受け入れられる蓋然性は、実際のところ、高いとは言 えないだろう。結びに代えて
本稿では、まずグローバル・ガバナンスを、それに参加するアクターの性質、ガバナン スにおける権威構造の性質、そしてガバナンスのための秩序形成メカニズムの性質という3 つの分析軸で類型化した。そこからみえてきたのは、政府を中心とするパブリック・ガバ
ナンスのプラベート化(privatization)とトランスナショナルなプライベート・ガバナンスの 台頭であった。つまり人権や環境などの社会領域では、伝統的なガバナンスの担い手とな ってきた政府間組織に対する
NGO
の影響力が近年増大の一途をたどっているとともに、NGO
や企業が直接トランスナショナルなネットワークを構築し、プライベート・レジーム ムを創設することで企業の行動を制御するようになってきている。プラベート・ガバナン スの特徴は、問題解決に繋がるアクターの行動基準を、政府ではなく、非政府組織が設定 し、その遵守を公権力に基づく強制を通してではなく、市場メカニズムを通して達成しよ うとする点にあると言える。まさに、このようなガバナンス形態が登場したことは、国際 政治構造の質的な変化を示唆するものとして注目に値すると言えよう。しかしながら、なぜ社会領域においてプライベート・ガバナンスが台頭したかについて は、説明が必要となった。1990年代以降、急速に進展したグローバリゼーションがその謎 を解く鍵となった。グローバリゼーションは、経済領域において権威構造の階層化をもた らす一方で、社会領域において規制緩和をもたらしたからである。その帰結として、社会 領域においてパブリック・ガバナンスが実現しなかったために、プライベート・ガバナン スがその穴を埋めることとなったのである。もちろん、それは、第3節での
FSC
の検討を通 してみたように、パブリック・ガバナンスの欠如が問題であると認識する社会的なアクタ ーが規範起業家としての役割を演じることで初めて可能となるため、パブリック・ガバナ ンスが欠如していれば、必ずプライベート・ガバナンスが台頭するということではない。つまりプライベート・ガバナンスを必要とする「世界」が当該アクターの間で間主観的に 構成されなければならないのである。
そして第3節での
FSCの検討は、この仮説を実証する結果となった。つまり、このプライ
ベート・レジームは、NGOによる認証制度の設立要求がITTOによって拒絶され、さらに法 的拘束力をもつ森林条約の締結交渉が失敗に終わったことを受けて、NGOの働きかけによ って創設されたのであった。しかし同時に、FSCの検討を通して、プライベート・ガバナン スの限界も明らかとなった。FSCは、厳格な基準を通して環境保全や人権保護に敏感な市場 へのアクセスを可能にするプライベート・ガバナンスとして設計されたのであったが、図 らずも対抗制度との競合を強いられる結果となった。つまりプライベート・ガバナンスに は、NGO主導のより急進的なプライベート・レジームと企業や業界団体主導のより保守的 なプライベート・レジームとが競合し、後者のほうに支持が流れてしまうという限界があ るのである(44)。企業にとっては、自らが主導するプライベート・レジームのほうが調整コス トを低く抑えることができるため、このような結果が生じることになる。もちろん、当該 企業が、そのコストに見合うだけの経済的な利益を得ることができれば、その限りではな いが、どちらの方向に支持が流れるのかは、ひとえに消費者の選択にかかっていると言え る。消費者が企業に対して高度に倫理的な行動を要求し、それに応えようとする企業が一 定数を下回れば、企業は大きな収益を市場から獲得することができるため、基準のラチェ ットが上向きに働き、企業は、NGOが支持する、より急進的なプライベート・レジームを 支持するようになる。しかし、何らかの理由で消費者が企業に対して高度に倫理的な行動を要求しない場合には、企業は倫理的な行動をとることで大きな収益を上げることはない ので、基準のラチェットは下向きにしか働かない。また基準のラチェットが上向きに働く 場合であっても、急進的なプライベート・レジームを支持する企業の数が増えれば増える ほど、そのような企業の市場価値は下落するため、それに伴って企業の収益も減少すると 考えられる。その結果、急進的なプライベート・レジームを支持する企業が一定数を上回 れば、それ以上そのレジームが普及することは望めない。
このようにプライベート・ガバナンスには、その有効性が常に市場の動向によって左右 されるという限界が付きまとうのである。たしかに企業の経済的な利益と倫理的な規範が 一致すれば、プライベート・ガバナンスは、これまで不均等にしか発展してこなかったパ ブリック・ガバナンスを補完するという重要な役割を演じるであろう。しかし、経済のグ ローバル化が急速に進むなかで、本当にプライベート・ガバナンスが、企業間の競争を乗 り越えて、パブリック・ガバナンスの代替手段になりうるのかについては、疑念が少なか らず残る。とくに環境や人権のように公共性の高い社会的目標を追求する場合、やはり何 らかの形でプライベート・ガバナンスのパブリック化を促進する必要があるのではないだ ろうか。もちろん、その場合でも、単にグローバルな協定を結び、その執行を各国政府に 委ねるという従来の方法に戻るのがよいということではない。むしろ倫理的な基準を満た す製品に対して安定的な需要が創出されるような政府の介入が望まれるのである。そのよ うな観点からすると、社会的なイシューに対する関心が比較的高い先進国を中心とする既 存の政府間組織(例えば、欧州連合〔EU〕や経済協力開発機構〔OECD〕)、あるいは新規の政 府間ネットワークを通して、拡散する基準の統一化を図る必要があると言えよう。もしプ ライベート・ガバナンスのパブリック化がそのような形で行なわれることになれば、異な る基準を支持するグループ間で建設的な討議が促進され、グローバリゼーションの負の外 部効果を受ける社会的弱者とグローバルな経済競争に敏感な企業との間の非対称的な権力 構造(45)もいずれ解消される方向に向かうのではないだろうか。
(1) 山本吉宣『国際レジームとガバナンス』、有斐閣、2008年、168―170ページ。グローバル・イシ ューの定義については、Mathias Koenig-Archibugi and Michael Zürn(eds.), New Modes of Governance in the Global System: Exploring Publicness, Delegation and Inclusiveness, Palgrave Macmillan, 2006, p. 4.
(2) 同様の観点から、山本は、ガバナンスを、狭義のレジーム、多問題領域のレジーム、国家間の協 調システム、広範囲の国家間協調システム、多様な主体によるレジーム、広範囲の多様な主体に よるレジーム、単一グローバル・ガバナンス、複合的グローバル・ガバナンスに分類している。
山本、前掲書、173―181ページ。
(3) コーニグ・アーチブギ(Koenig-Archibugi)は、グローバル・ガバナンスを権威の委譲(delega-
tion)、公共性(publicness)および包含性(inclusiveness)という3つの分析軸で分類しているが、こ
こでの分析軸は、コーニグ・アーチブギの分類で言うと、公共性(publicness)および包含性
(inclusiveness)に該当する。Koenig-Archibugi and Zürn, op. cit., pp. 5–12.
(4) この分析軸は、コーニグ・アーチブギの分類で言うと、権威の委譲(delegation)に該当する。
Ibid., pp. 13–14.
(5) 多くの論者が、秩序形成メカニズムの変化を1990年代以降のグローバル・ガバナンスにみられ
る特徴として指摘している。Ronnie D. Lipschutz with James K. Rowe, Globalization, Governmentality and Global Politics, Routledge, 2005, pp. 37–40; Christoph Knill and Duncan Liefferink, Environmental Politics in the European Union, Manchester University Press, 2007, pp. 38–41.
(6) 中央銀行などの公共機関が参加する場合は、その中間的なタイプとして理解されよう。したがっ て、スローター(Slaughter)の言う「超政府的なネットワーク」などは、この中間的なタイプに該 当すると言えよう。Anne-Marie Slaughter, A New World Order, Princeton University Press, 2004, pp. 14–15.
(7) 国際決済銀行(BIS: Bank for International Settlements)のバーゼル委員会は、銀行が倒産を回避す るために必要とされる資本準備金の額を算定する手続きを定める非公式なフォーラムとして知ら れ、FSFは、それをイメージして創設された。だが、基準遵守に関する情報を公開したり、基準遵 守を国際金融機関の財政的資源へのアクセスの前提条件としたりすることで、ある種の強制力を 行使している点では、伝統的な国際レジームに近似している。Daniel W. Drezner, All Politics Is Global: Explaining International Regulatory Regimes, Princeton University Press, 2007, pp. 136–145; Dieter Kewer, “Governing Financial Markets by International Standards,” in Koenig-Archibugi and Zürn, op. cit., p. 93.
(8) Ibid., p. 136.
(9) このようなNGOの活動は、開発、人権あるいは環境といった分野に限定されるものではなく、
最近では、重債務貧困国の債務帳消しや対人地雷の禁止などのように、伝統的に国家の専権的事 項とされてきた金融や安全保障の分野でもみられるようになっている。Margaret E. Keck and Kathryn Sikkink, Activists Beyond Borders: Advocacy Networks in International Politics, Cornell University Press, 1998;
Thomas Risse, Stephen C. Ropp, and Kathryn Sikkink(eds.), The Power of Human Rights: International Norms and Domestic Change, Cambridge University Press, 1999; 足立研幾『オタワプロセス―対人地雷禁止レ ジームの形成』、有信堂、2004年。
(10) 政府か、非政府組織のどちらが中心的な存在かによって、マルチステークホルダー型のガバナン スは、さらに準私的なガバナンス、準公的なガバナンスおよび官民混合型ガバナンスに分類され る。コリケールは、私的アクター間での集合行為問題を解決するために私的なアクターが政府か らの支援を要請する場合には、ガバナンスは準私的なものとなり、公共財の提供に必要な情報を 政府が私的アクターから収集しなければならない場合には、準公的なものになり、さらに公共財 を提供する際、私的なアクター間での利害対立の調整を必要とする場合には、公的アクターと私 的アクターが対等なパートナーシップを形成すると論じている。Alkuin Kölliker,“Conclusion I:
Governance Arrangements and Public Goods Theory: Explaining Aspects of Publicness, Inclusiveness and Delegation,” in Koenig-Archibugi and Zürn(eds.), op. cit., pp. 213–216.
(11) 立法に関しては、ルールを創設する際、多数決の原則が採用される場合のほうが全会一致の原則 が採用される場合よりも権威構造は階層化する。行政に関しては、アクター自身ではなく、アク ターから独立した組織がルールを執行する場合に、そして司法に関しては、アクターから独立し た司法機関がルールの解釈を行なう場合に権威構造は階層化する。権威構造の階層化の議論に関 しては、山田高敬「多国間制度の不均等な法化と私的権威の台頭」『国際法外交雑誌』第107巻第1 号(2008年)、48―52ページを参照されたい。
(12) Kenneth N. Waltz, Theory of International Politics, Addison-Wesley, 1979; Helen Milner, “The Assumption of Anarchy in International Relations: A Critique,” Review of International Studies, Vol. 17, No. 1, 1991, pp.
67–85.
(13) IMFと世銀に関しては、財を一元的に提供する性質を有することから、行政的な権限の委譲が進
展したと考えられるのに対して、WTOのほうは、加盟国の協定遵守を確保する必要から、司法的 な権限の委譲が進展したと考えられる。Ngaire Woods and Amrita Narlikar, “Governance and the Limits of Accountability: the WTO, the IMF, and the World Bank,” International Social Science Journal, Vol. 53, 2001, pp. 569–572; Köliker, op. cit., pp. 217–223.
(14) Knill and Liefferink, op. cit., p. 38 and p. 152.
(15) そのため、自己目標を実現するためのプロセスを重視するガバナンスとなる傾向が強い。Ibid., pp. 38–39 and p. 153.
(16) 山田、前掲「多国間制度の不均等な法化と私的権威の台頭」、47―58ページ。
(17) とくに世界銀行が、自己の融資活動による負の影響から現地住民を保護するためにガイドライン を策定し、その遵守に関して説明責任を果たすための査閲パネル(Inspection Panel)を設置したこ とは、よく知られている。Woods and Narlikar, op. cit., pp. 575–576; 山田高敬「共振する二つのトラン スナショナリズムと世界銀行の組織変化」『国際政治』第147号(2007年)、78―94ページ。
(18) Woods and Narlikar, op. cit., p. 580.
(19) Michael Zürn and Mathias Koenig-Archibugi, “Conclusion II: The Modes and Dynamics of Global Governance,” in Koenig-Archibugi and Zürn, op. cit., pp. 241–243.
(20) RCは、1984年にインドのボーパル市で起きたユニオン・カーバイド社の工場での爆発事故を受 けて、化学業界への信頼を取り戻すために、カナダ化学生産者協会によって創設されたプライベ ート・レジームである。このレジームは、化学物質の安全性と環境マネージメントに関する行動 基準を設定している。Bas Arts, “Non-state Actors in Global Environmental Governance: New Arrangements Beyond the State,” in Koenig-Archibugi and Zürn, op. cit., pp. 189–190; Virginia Haufler, A Public Role for the Private Sector: Industry Self-Regulation in a Global Economy, Carnegie Endowment for International Peace, 2001, pp. 32–33. SA8000は、経済優先度評議会(CEP: Council on Economic Priorities)が発起人となり 小売業界団体、アムネスティー・インターナショナル、国際繊維労働者組合(ITWU)などの協力 を得て創設されたプライベート・レジームで、児童労働、強制労働、労働者の健康と安全、結社 の自由と団体交渉権、差別、懲罰、労働時間、報酬などに関する検証可能なパフォーマンス基準 を設定している。Ibid., pp. 64–65. このほか、プライベート・レジームには、信用格付けに関するレ ジームやサイバースペースの安全に関するレジームなどがある。Dieter Kewer, “Governing Financial Markets by International Standards,” in Koenig-Archibugi and Zürn, op. cit., pp. 89–93; Volker Schneider and Dirk Hyner, “Security in Cyberspace: Governance by Transnational Policy Networks,” in Koenig-Archibugi and Zürn, op. cit., pp. 154–176.
(21) 人間活動の環境への負の外部効果は、気候変動などに典型的にみられるように、特定の社会セク ターに限定されるものではなく、セクター横断的である場合が多いため、環境に関しては、むし ろパブリック・ガバナンスが適していると言える。Köliker, op. cit., p. 210.
(22) Lipschutz with Rowe, op. cit., p. 33; A. Claire Cutler, Private Power and Global Authority: Transnational Merchant Law in the Global Political Economy, Cambridge University Press, 2003, pp. 108–140.
(23) Aseem Prakash and Jeffrey A. Hart, “Globalization and Governance: An Introduction,” in Aseem Prakash and Jeffrey A. Hart(eds.), Globalization and Governance, Routledge, 1999, pp. 12–13.
(24) Michael Zürn, “Global Governance and Legitimacy Problems,” in David Held and Mathias Koenig-Archibugi
(eds.), Global Governance and Public Accountability, Blackwell Publishing, 2005, pp. 146–151; 山田、前掲
「多国間制度の不均等な法化と私的権威の台頭」、60―62ページ。
(25) 例えば、最低賃金や結社の自由などに関する一連の国際労働機関(ILO)条約の途上国における 批准率は相対的に低い。同上論文、53―55ページ。
(26) もし多国間主義が、複数の国家が政府間協議を通して一定のルールを制定し、それを遵守するこ とで国際秩序の維持を図ろうとする考え方のことを言うのだとすれば、このことは、ルールの拘 束を受ける者が自らルールを制定するという自己立法(self-legislation)の原則を単に国家間のレベ ルで貫徹するだけでは、多国間主義の正統性を維持できなくなっていることを意味している。John G. Ruggie, “Multilateralism: The Anatomy of an Institution,” in John G. Ruggie(ed.), Multilateralism Matters:
The Theory and Praxis of an Institutional Form, Columbia University Press, 1993, p. 11. 自己立法の原則につ
いては、Christian Reus-Smit, “The Politics of International Law,” in Christian Reus-Smit(ed.), Politics of International Law, Cambridge University Press, 2004, pp. 35–36.
(27) この点で他のグローバル・コモンズである海洋や大気とは一線を画していると言えよう。
Lipschutz with Rowe, op. cit., p. 110.
(28) 山田高敬「地球環境領域における国際秩序の構築―国家の選好と知識」、石田淳ほか編『国際 政治④ 国際秩序の変動』、東京大学出版会、2004年、203―204ページ。
(29) FSCが結成されるまでの歴史的な経緯については、主にLipschutz with Rowe, op. cit., pp. 117–119を 参照。
(30) Philipp H. Pattberg, Private Institutions and Global Governance: The New Politics of Environmental Sustainability, Edward Elgar, 2007, pp. 103–104.
(31) Lipschutz with Rowe, op. cit., p. 120.
(32) この生い立ちは、FSCの組織構成に反映されている。FSCは、NGOが主要なメンバーとなる環境 議会(Environmental Chamber)と社会議会(Social Chamber)、そして企業が主要なメンバーとなる 経済議会(Economic Chamber)の3つの合議体から構成されている。また最高決定機関であるFSC の年次総会では、それぞれの議会が同等の投票権をもっている。Lipschutz with Rowe, op. cit., p. 120.
(33) Pattberg, op. cit., pp. 120–122.
(34) http://www.fsc.org/fileadmin/web-data/public/document_center/publications/fact_sheets/Forest_Stewardship_
Council-EN.pdf(2009年8月25日アクセス)。
(35) http://www.fsc.org/fileadmin/web-data/public/document_center/publications/fact_sheets/Forest_Stewardship_
Council-EN.pdf(2009年8月25日アクセス)。
(36) http://www.fsc.org/fileadmin/web-data/public/document_center/publications/fact_sheets/Forest_Stewardship_
Council-EN.pdf(2009年8月25日アクセス)。
(37) http://www.fsc.org/facts-figures.html(2009年8月26日アクセス)。
(38) Arts, op. cit., p. 195.
(39) http://www.pefc.org/internet/html/about_pefc.htm(2009年8月26日アクセス)。
(40) http://www.pefc.org/internet/html/about_pefc.htm(2009年8月26日アクセス)。
(41) 全米森林製紙協会(American Forest and Paper Association)の持続可能な森林計画(SFI: Sustainable Forestry Initiative)もPEFCによって支持される国別基準のひとつである(http://www.sfiprogram.org/
files/pdf/SFI%20key%20facts1.pdf、2009年8月26日アクセス)。
(42) 2007年12月現在、ISO14000シリーズは148ヵ国で採用されていて、全世界で15万4572の団体が その認証を受けている。ISO Survey-2007, p. 10(http://www.iso.org/iso/survey2007.pdf、2009年8月25 日アクセス)。
(43) 例えば、先住民の権利に関する基準は見当たらない。Lipschutz with Rowe, op. cit., pp. 126–127.
(44) これと同様の現象は、大型ダム建設をめぐる基準に関してもみられた。山田高敬「多国間主義か ら私的レジームへ―マルチステークホルダー・プロセスのジレンマ」、大芝亮ほか編『日本の国 際政治学2 国境なき国際政治』、有斐閣、2008年、66―72ページ。
(45) 例えば、労働問題に関して、労働者と資本家の間の構造的力関係が政治的に変更されない限り、
特定の企業や業界が受容した労働条件が他の企業や業界に波及する保証はないという問題が指摘 されている。Lipschutz with Rowe, op. cit., pp. 87–89.
■参考文献
山田高敬「地球環境領域における国際秩序の構築―国家の選好と知識」、石田淳ほか編『国際政治④ 国際秩序の変動』東京大学出版会、2004年、197―237ページ。
山田高敬「共振する二つのトランスナショナリズムと世界銀行の組織変化」『国際政治』第147号
(2007年)、78―94ページ。
山田高敬「多国間制度の不均等な法化と私的権威の台頭」『国際法外交雑誌』第107巻第1号(2008年)、
44―76ページ。
山田高敬「多国間主義から私的レジームへ―マルチステークホルダー・プロセスのジレンマ」、大芝 亮ほか編『日本の国際政治学2 国境なき国際政治』、有斐閣、2008年、57―74ページ。
山本吉宣『国際レジームとガバナンス』、有斐閣、2008年。
A. Claire Cutler, Private Power and Global Authority: Transnational Merchant Law in the Global Political Economy, Cambridge University Press, 2003.
Daniel W. Drezner, All Politics Is Global: Explaining International Regulatory Regimes, Princeton University Press, 2007.
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David Held and Mathias Koenig-Archibugi(eds.), Global Governance and Public Accountability, Blackwell Publishing, 2005.
Mathias Koenig-Archibugi and Michael Zürn(eds.), New Modes of Governance in the Global System: Exploring Publicness, Delegation and Inclusiveness, Palgrave Macmillan, 2006.
Ronnie D. Lipschutz with James K. Rowe, Globalization, Governmentality and Global Politics, Routledge, 2005.
Philipp H. Pattberg, Private Institutions and Global Governance: The New Politics of Environmental Sustainability, Edward Elgar, 2007.
Anne-Marie Slaughter, A New World Order, Princeton University Press, 2004.
やまだ・たかひろ 首都大学東京教授 http://www.tmu.ac.jp [email protected]