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黒川河床横断面における底生藻類現存 量と環境要因の関係

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Academic year: 2024

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陸水生態学実習レポート

黒川河床横断面における底生藻類現存 量と環境要因の関係

       理学部2回生  小林  昌弘

目的

  底生藻類現存量が、河床からの距離によってしだいに変化していく日光照射量な どの環境要因によってどのように変わるかを明らかにする。

方法

• 1  黒川の川幅約12Mの所を垂直に横断するライン上に50cmごとにポイント をとる。

• 2  各ポイントごとに、流速、水深、9時から16時までの総照射量を調査する。

• 3  それらのポイントで付着藻類のサンプリングを行う。

• 4  各サンプルに付いているgrazerとfilter feederの数を目視によって数える。

• 5  各サンプルからクロロフィルを抽出し、底生藻類現存量を計算する。

• 6  計算した底生藻類現存量と、様々な環境要因との関係をグラフにして、それら の関係性をしらべる。

• 7  わかった関係性について、原因などを考察する。

測定ポイントについて

• 流速の測定結果から、河岸から100cm地点〜350cm地点まではすべて止水 状況であって、照射量も近しいため、代表地点として、100cm、150cm、

350cm地点においてのみでサンプリングを行った。

• よって合計24−3=21ポイントでの測定となった。

総照射量について

• およそ10時50分くらいから、片方の河岸から1時間に約2Mのペースで陰り始 める。

• よって15分ごとに1ポイントが日陰に飲み込まれていく。

• 総照射量の計算は1時間ごとに照射値の平均値を出して、それに秒数を掛け合わせ て日陰の値も合わせて15分刻みで足し合わせた。

(2)

• 測定日の2日ともに雨であった時間帯は前後の照射値の平均値をその時間の照射値 とした。

照射量計算例

• あるポイントが13時15分に影に飲み込まれる時

• 13時から14時までの日向の照射平均値が1000μmol/s,日陰が500μmol/sと すると

• 13時から14時までのそのポイントの照射量は1000μmol/s×900s+500 μmol/s×2700sとなる。

水生昆虫について

•   1つのサンプルに付着していた水生昆虫のうち、Grazerとfilter  feederである もののみをカウントした。

• 50cm〜400cm地点の5サンプルについては1日前に採ってしまっていたた めカウントできていないため、16サンプルでのみカウントを行った。

結果

流速の測定結果        このグラフで、450cm、700cm、850cmなどで流速が大きく上昇し750cmで

止水になっているのは、川に非常に大きい石があって、その両側を通過する水流が速くな り、その真後ろでは水流が塞き止められるためである。

河岸からの距離と流速の関係図

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

50 150 250 350 450 550 650 750 850 950 1050 1150 河岸からの距離(cm)

流速 (m / s)

(3)

各環境要因と底生藻類現存量の関係のグラフ

水深と底生藻類現存量の関係、流速と底生藻類現存量の関係

水深と底生藻類現存量の関係

0 20 40 60 80 100 120

0 5 10 15 20 25 30 35 40

水深(cm)

底生藻類現存量(mg)

流速と底生藻類現存量の関係

0 20 40 60 80 100 120

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 流速(m/s)

底生藻類現存量 (mg )

(4)

照射量と底生藻類現存量の関係

さらに、水生昆虫数と底生藻類現存量の関係

河岸からの距離と照射量の関係

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4

50 150 250 350 450 550 650 750 850 950 1050 1150 河岸からの距離(cm)

照射量 (× 10 mol )

0 20 40 60 80 100 120

底生藻類現存量 ( mg )

照射量

底生藻類現存量

水生昆虫の個体数と底生藻類現存量の関係

0 20 40 60 80 100 120

0 10 20 30 40 50 60

水生昆虫の個体数(匹)

底生藻類現存量 (mg )

(5)

考察

• 水深、流速には殆ど直接的関係性が見られなかった。

• 照射量は低すぎない限り直接関係ないと思われる。

• それらに対し、水生昆虫の数はほぼ底生藻類現存量と直接反比例の関係にあると言 える。

以上の結果から、底生藻類現存量の違いは水生昆虫数に最も大きく依存しているといえる。

これをさらに分かりやすくするために、照射量と底生藻類現存量の関係に水生昆虫数も含 めたグラフを描いた。

このグラフからも、水生昆虫数と底生藻類現存量に負の相関があることは明らかであると いえる。

河岸からの距離と照射量の関係

2

2 6

12 2 4

4 12 15

51 2

12 1 4 0 22 0

0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4

50 150 250 350 450 550 650 750 850 950 1050 1150 河岸からの距離(cm)

照射量 (× 10 mol )

0 20 40 60 80 100 120

底生藻類現存量 ( mg )

照射量

底生藻類現存量

(6)

しかし、これだけでは水深、流速、照射量が底生藻類現存量に間接的に影響を及ぼしてい る可能性を調べられていないので、底生藻類現存量と直接関係があるとわかった水生昆虫 数と水深、流速、照射量の関係を調べることで、底生藻類現存量と水深、流速、照射量が 間接的に関係しているかどうかを調べた。

水生昆虫の個体数と照射量の関係、さらに流速と水生昆虫数の関係

水生昆虫の個体数と照射量の関係

0 10 20 30 40 50 60

0 1 2 3 4

9時から16時までの総照射量(×10mol)

水生昆虫 の 個体数 ( 匹 )

流速と水生昆虫個体数の関係

0 10 20 30 40 50 60

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 流速(m/s)

水生昆虫個体数 (匹 )

(7)

水深と水生昆虫数の関係

これら3つのグラフから、水深と水生昆虫数、照射量と水生昆虫数には全く関係性が見ら れなかった。それに対し流速と水生昆虫数の間には、やや負の相関が見られた。これは、

流速があまりに速すぎると水生昆虫がその場に留まるための労力が非常に高くなったり、

水流に流されてしまうためであると考えられる。

よって、水深と水生昆虫数、照射量と水生昆虫数の間には関係がないので、水深は直接的 にも間接的にも関係なく、照射量も低すぎない限り直接的にも間接的にもあまり関係して こない。そして、流速は直接関係ないが、藻類食者を介して間接的に関係しているといえ る。

藻類食者があまりいないところでも底生藻類現存量が少ないところ があるにはなぜか

• 照射量は、そのポイント(950cm地点)よりも低いところでも多いクロロフィ ルが検出されたポイントが4つもあったため、関係ないと考えられる。

• 残る水深も流速も、底生藻類現存量とは直接関係ないので、今まで考えてきた環境 要因はすべて出尽くした。

水深と水生昆虫の個体数

0 10 20 30 40 50 60

0 10 20 30 40 50

水深(cm)

水生昆虫 の 個体数 ( 匹 )

(8)

ここで、石の性質という要素を導入する。サンプリングを行っている時から、石の性質に よって藻類がたくさん付着しているものと少ないものが決まっていると感じていた。具体 的に感じた事としては表面がザラザラして軽い砂岩で少なく、表面が滑らかで密度が高く 重い石で多かった。その多い少ないは本当に極端なものであった。おそらく先ほどの原因 はこれであると考えられる。

よって結論として、クロロフィル a 値、底生藻類現存量に直接関係 している要因は藻類食者の数、石の性質であるといえる。

そして先ほども述べたように、水深は直接的にも間接的にも関係なく、照射量も低すぎな い限り直接的にも間接的にもあまり関係してこない。流速は直接関係ないが、藻類食者を 介して間接的に関係している。

至らなかった点

• 今回、水生昆虫数をカウントする際、それほど大きさに違いのある石を選んだわけ ではないとはいえ、すべての石の大きさを測定していなかったことはデータに多少 の誤差を招いていると言える。

• 照度測定の際の影の伸びる速度をもっと厳密にポイントにつきっきりで測定しても よかった。

• 照度測定時間について、1日のうちわずか7時間しか測定していないことは測定外 の時間はすべてのポイントで同条件だからデータに影響を与えるものではないとは いえ、そこはやはり4時起きして測定にいくべきであった。

感想

この実習には今年度しか行くチャンスがないので行くしかない!と思って参加した。今回 の実習に参加していたのはみんな上回生ということで、そのようなハイレベルなものにつ いていけるか不安ではあったが、みなさんが色々と親切に指導してくださったため、不安 もなくなり非常に内容の濃い実習を享受することができて本当に感謝している。このよう な良い実習はもっともっと未来まで続けていくべきであると感じた。

参照

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