応用複素関数 演習問題 No. 1 ( 解答付き )
桂田 祐史
2015 年 5 月 27 日 , 7 月 23 日
講義での約束通り Cb = C∪ {∞} とする。以下の解答は実質的に講義で説明済みであったり、講 義ノートに書いてあるものが多い(そうでないものについては、そのうち解答を用意する)。
1 Cauchy の積分定理再説
凸、星型、単連結という言葉は覚えておくと良いので、問題を出してみる。
問 1. (1) ベクトル空間の部分集合が凸であるとはどういうことか、定義を述べよ。 (2) 平面内 の任意の三角形(辺と内部を含む)は凸であることを示せ。 (3) Rn の開球、すなわち a∈Rn と正 数 R によりB(a;R) = {x∈Rn| |x−a|< R} と表される集合は凸であることを示せ。
問 2. (1) ベクトル空間の部分集合が星型であるとはどういうことか、定義を述べよ。
(2) ベクトル空間の空でない凸部分集合は星型であることを示せ。 (3) 星型であるが凸でない集合 の例をあげよ。
問 3. (1) Rn の領域が単連結であるとはどういうことか、定義を述べよ。 (2) Rn の星型領域は 単連結であることを示せ。 (3) 星型でないが単連結である領域の例をあげよ。
問 4. (1) C\ {0} は単連結でないことを示せ。 (2) Cb \ {0}は単連結であることを示せ。
2 lim と ∞
問 5. 以下の定義を書け。(1) a ∈Cとする。lim
z→af(z) =∞ とはどういうことか? (2) A∈C と する。lim
z→∞f(z) =A とはどういうことか? (3) lim
z→∞f(z) =∞ とはどういうことか?
問5′. {zn}n∈N はC内の点列とする。(1) A ∈ C とするとき、lim
n→∞zn = A とはどういうことか。
(2) lim
n→∞zn=∞とはどういうことか。
問 6. (−1)· ∞=∞ と定義する (ことがある) のはなぜか?
問 7. (1) lim
z→0
1
z =∞ を示せ。 (2) lim
z→∞
1
z = 0 を示せ。 (2) lim
z→∞z =∞を示せ。
3 Riemann 球面
図形的イメージで理解すれば良いと思うが、計算できることを確認しておく。
問 8. 立体射影 φ: S →C について、z =φ(x1, x2, x3) とおくとき、z を x1, x2, x3 で具体的に表 わせ。ただし、S ={(x1, x2, x3)∈R3 |x21+x22+x23 = 1}, N = (0,0,1) として、P ∈S\ {N}に対 して直線 N P と平面 x3 = 0 との交点を (x, y,0) として、φ(x1, x2, x3) :=x+iy と定めた。
(ベクトルによる直線の方程式を用いれば簡単。次の問題に必要なので結果: z = x1 +ix2 1−x3 ) 問 9. 立体射影 φ:S →C について、z =φ(x1, x2, x3) とおくとき、以下の問に答えよ。
(1) |z|2 = 1 +x3 1−x3
を示せ。 (2) φ−1 を求めよ。すなわち x1,x2, x3 を z で表せ。
問 10. z, z′ ∈C とするとき、|φ−1(z)−φ−1(z′)|= √ 2|z−z′|
(1 +|z|2) (1 +|z′|2) を示せ。
4 ∞ のまわりの Laurent 展開と留数 , 有理関数
問 11. f(z) := 5z2−4z+ 3
(z2+ 1) (z−2) の ∞ の周りの Laurent 展開と留数 Res(f;∞)を求めよ。
(本質的には、複素関数で習った計算。) 問 12. f(z) = 3z4−5z3−7z2−z+ 25
(z−2)2(z+ 1) について以下の問に答えよ。
(1) 留数 Res(f;−1)を求めよ。(2) 留数 Res(f; 2) を求めよ。(3) f の 2のまわりの Laurent展開の 主部を求めよ。(4) f の ∞ の周りの Laurent 展開の主部と留数 Res(f;∞) を求めよ。 (5) f(z) の 部分分数分解を求めよ。
出題の意図: 有理関数の各々の極のまわりのLaurent展開の主部を求めると、部分分数分解が得 られる、という定理を用いて、実際に部分分数分解を求めてみよう、ということ。f(z) の部分分数 分解は求めずに、(1)〜(4) を解いて下さい。
問13. ∞が複素関数f の除去可能特異点であるとき(fが∞で正則、と言っても良い)、Res(f;∞) = 0 であるかどうか述べよ。正しければ証明し、正しくなければ反例をあげよ。
問 14. ∞を孤立特異点に持つ関数f について、(∃A ∈C) lim
z→∞zf(z) =Aであれば、Res(f;∞) =
−A であることを示せ。
問 15. P(z), Q(z)∈C[z], degP(z)≥ degQ(z) + 2 であるとき、f(z) := Q(z)
P(z) で定めた有理関数 f は、Res(f;∞) = 0 を満たすことを示せ1。
1従って、十分大きなRに対して、
∫
|z|=R
f(z)dz= 0. 関数が∀x∈Rf(x)̸= 0という条件を満たす場合、ゆえに 上半平面の極における留数の和は、下半平面の極における留数の和の−1倍である。そういう関数の、実軸に沿う定積 分
∫ ∞
−∞
f(x)dxを「複素関数」で何回か計算した。状況が理解できただろうか?実軸はCb の円であり、それがf の特 異点を通らない。
5 1 次分数変換
次の問題は授業中の例題の類題である。一度くらいソラで計算してみよう。
問 16. 1, 2, 3 をそれぞれ 4, 5, 6 にうつす1次分数変換を求めよ。
1次分数変換は後でまた出て来るので、素朴な計算で出来ることをいくつか。(どれも有名なので、
載っている本は多いが、まずは複素数の計算練習として自分で取り組んでみよう。) 問 17. zz−iz+iz = 0 は円の方程式である。中心と半径を求めよ。
(ヒント: (1) 中心をc,半径を r とすると、|z−c|=r と同値になる。(2) |a|2 =aa)
直線に関して鏡像 平面内に直線があるとする。二点 P,Q がこの直線に関して互いに鏡像である とは、P と Q がこの直線に関して対称な位置にあることをいう。
円に関して鏡像 平面内に、 C を中心とする半径 R の円があるとする。二点 P, Q がこの円に関 して互いに鏡像であるとは、P と Q が C を通る共通の半直線上にあり、CP ·CQ=R2 が成り立 つことをいう。C と無限遠点は互いに鏡像であるという。
問 18. 複素平面上の点 c を中心とする半径 R の円に対して、2点 p, q が鏡像の位置にあるため には、(p−c)(q−c) =R2 が成り立つことが必要十分であることを示せ。また、そのとき q を p で 表せ。
(“cを原点とする極形式”というようなものを考えると良い。)
問 19. Cb の円に関して鏡像の位置にある2点は、任意の1次分数変換によって、像である Cb の円 に関して鏡像の位置にうつることを示せ。
(Cb の任意の円は、1次分数変換によって、bCの円に写される、という定理を思い出す。) 問 20. z0, ε∈C, |z0|<1, |ε|= 1 とするとき、
w=ε z−z0 1−z0z で定まる1次分数変換について、以下のことを示せ。
(1) |1−z0z|2− |z−z0|2 =(
1− |z0|2) (
1− |z|2) . (2) 1− |w|2 =
(1− |z0|2) (
1− |z|2)
|1−z0z|2 .
(3) |z|<1⇔ |w|<1,|z|= 1 ⇔ |w|= 1, |z|>1 ⇔ |w|>1 を示せ。
(4) 単位円 |z| = 1 に関して、z0 と鏡像の位置にある点を求めよ。またその点はこの1次分数変換 でどこに写されるか。
(これは、ものすごく有名な1次分数変換で、この講義でも後で活躍するけれど、(1), (2), (4) は単 なる計算だし、今のうちに慣れておいてもらうと良い、と考えた。)
問21. z1,z2,z3,z4 をCb内の相異なる4点,φを1次分数変換とするとき、wj =φ(zj) (j = 1,2,3,4) とおくと、
(z1, z2, z3, z4) = (w1, w2, w3, w4) (非調和比が等しい) が成り立つことを示せ。
6 広義一様収束
Weierstrass の M-test で一様収束を示して、正則関数の定義が出来る、という議論をするので、
絶対値の計算が基本的である。
問 22. (1) |ez|=eRez であることを示せ (これまで何度も使った)。 (2) a ∈R とする。多くの場 合にza は多価関数であるが、どの値をとっても絶対値は|z|a (これは高校数学のベキ乗) であるこ とを示せ。 (要するに |za| = |z|a が成り立つ。) (3) n ∈ N, z ∈ C に対して、nz := exp(zlogn) (logn は高校数学の対数、あるいは主値)と定めるとき、|nz|=nRez であることを示せ。
問 23. (Riemann のゼータ関数) ζ(z) :=
∑∞ n=1
1
nz は、{z ∈C|Rez >1} で正則な関数を定めるこ とを示せ。
(ぜひともマスターしてもらいたい問題である。最初は解答を見ないで考えることを強く勧める。
そうすると、重要なテクニックが理解しやすくなる。)
問 24. 1 z +
∑∞ n=1
2z
z2−n2 は C\Z で広義一様収束することを示せ。
(講義で説明する予定だが、自力でやるには結構手強い問題である。) 問 25. (1) πtanπz の部分分数展開を求めよ。 (2) 1
cos2πz の部分分数展開を求めよ。
(これは cot, 1/sin2 の結果を知っていれば簡単。)
(工事中: 3 (2), 4 (2), 18, 19 の解答を書いていません。)
解説
この文書では、ベクトル空間 X の2点 a, b に対して、[a, b]を [a, b] :={(1−t)a+tb|t ∈[0,1]} で定義し、a と b を端点とする線分と呼ぶことにする。
問1解答
(1) X はベクトル空間、C ⊂X とするとき、C が凸であるとは、
(∀x∈C)(∀y∈C) [x, y]⊂C が成り立つことをいう。
(2) a, b,c を頂点とする三角形 ∆は、
p:=b−a, q:=c−a, P :={
(t, s)∈R2 |t≥0, s≥0, t+s≤1} とおくとき、
∆ = {a+tp+sq |(t, s)∈ P}. と表せる。
x1, x2 ∈∆とすると、∃(t1, s1),(t2, s2)∈ P s.t.
x1 =a+t1p+s1q, x2 =a+t2p+s2q.
このとき [x1, x2]⊂∆が成り立つ。実際 [x1, x2] 上の任意の点x は、ある r∈[0,1]を用いて x= (1−r)x1+rx2
と表されるので
x= (1−r)x1+rx2 = (1−r)(a+t1p+s1q) +r(a+t2p+s2q)
=a+ [(1−r)t1+rt2]p+ [(1−t)s1+rs2]
であるが、ここで ((1−r)t1+rt2,(1−t)s1+rs2)∈ P であることが次のように確かめられる。
(1−r)t1+rt2 ≥0, (1−r)s1 +rs2 ≥0,
(1−r)t1+rt2+ (1−r)s1+rs2 = (1−r)(t1+s1) +r(t2+s2)≤(1−r)·1 +r·1 = 1.
ゆえに x∈∆.
以上から ∆ は凸である。
(3) x1, x2 ∈ B(a;R) とすると、|x1−a| < R, |x2−a| < R. 任意の x ∈ [x1, x2] に対して、ある r ∈[0,1] が存在して、x= (1−r)x1+rx2. このとき
|x−a|=|(1−r)x1 +rx2−a|=|(1−r)x1+rx2−((1−r)a+ra)|
=|(1−r)(x1−a) +r(x2−a)|
≤(1−r)|x1−a|+r|x2−a|<(1−r)R+rR=R.
ゆえに x∈B(a;R). ゆえにB(a;R) は凸である。
問2解答
(1) ベクトル空間 X の部分集合 S が星型とは、ある a∈S が存在して
(⋆) (∀x∈S) [a, x]⊂S
が成り立つことを言う。(⋆)が成り立つとき、S は a について星型であるともいう。
(2) X はベクトル空間で、C はその凸部分集合で空集合ではないとする。a ∈C を任意に取る。C は凸であるから、
(∀x∈C) [a, x]⊂C が成り立つ。ゆえに C は星型である。
(3) S :=C\(−∞,0]は星型であるが、凸ではない。実際、a= 1 とおくと、任意のz ∈S に対して、
[a, z]⊂S
が成り立つ。(証明: (i) Imz >0, (ii) Imz <0, (iii) Imz = 0かつ z >0のいずれかが成り立つ。
(i) の場合、任意のt ∈(0,1] に対してIm [(1−t)a+tz] =tImz >0. ゆえに(1−t)a+tz ∈S.
(ii) の場合は、任意の t∈ (0,1] に対して、Im [(1−t)a+tz]<0 となるので(1−t)a+tz ∈S.
(iii) の場合、[a, z]⊂(0,∞) であるから、[a, z]⊂S.) 問3解答
(1) ΩはRn の領域(連結な開集合) であるとする。Ωが単連結であるとは、Ω内の任意の閉曲線が
定数曲線に連続的に変形可能であること、すなわち、連続写像 φ: [α, β] → Ω が φ(α) = φ(β) を満たすならば、ある a∈Ωと、連続関数 Φ : [α, β]×[0,1]→Ω で、
(∀t∈[α, β]) Φ(t,0) =φ(t)∧Φ(t,1) =a
を満たすものが存在することをいう。Φのことを曲線φ を定数曲線 a につなぐホモトピー(写 像)と呼ぶ。
(2) S ⊂Rnは領域で、aについて星型であるとする。このときS 内の任意の閉曲線C: φ: [α, β]→S について、
Φ(t, s) := (1−s)φ(t) +sa (t∈[α, β], s∈[0,1])
とおく。Φ は (t, s) の連続関数である。任意の t に対して、φ(t)∈S であり、S は a について 星型であるから、Φ(t, s)∈S. Φ(t,0) =φ(t), Φ(t,1) =a であるから、Φ は閉曲線 C を定数曲 線 a につなぐホモトピーである。ゆえに S は単連結である。
(3) () 問4解答
(1) C 内の領域 Ω が単連結であれば、Ω 内の任意の区分的 C1 級閉曲線 C と、任意の正則関数 f: Ω→Cに対して、
∫
C
f(z)dz = 0 が成り立つ (単連結領域に対する Cauchyの積分定理)。と ころが C: z =eiθ (θ ∈[0,2π]) は、C\ {0}内の C1 級閉曲線であるにもかかわらず、正則関数 f(z) = 1
z に対して、
∫
C
f(z)dz = 2πi̸= 0.
ゆえに C\ {0} は単連結ではない。
(2) ()
問5解答
(1) (∀U ∈R) (∃δ >0) (∀z: |z−a|< δ) |f(z)|> U.
(2) (∀ε >0) (∃R ∈R) (∀z: |z|> R)|f(z)−A|< ε.
(3) (∀U ∈R) (∃R ∈R) (∀z: |z|> R)|f(z)|> U. これらと、lim
z→af(z) =A の条件(∀ε >0) (∃δ >0) (∀z: |z−a|< δ) |f(z)−A|< ε を並べると合点 が行くだろうか。
問6解答 lim
z→af(z) =−1, lim
z→ag(z) = ∞,とするとき、lim
z→af(z)g(z) =∞ となるから。
問7解答 関数z 7→ 1
z の定義域は Ω :=C\ {0} である。
(1) 任意の実数 U に対して、δ := 1
|U|+ 1 とおくと、δ > 0 であり、|z−0| < δ を満たす任意の z ∈Ω に対して、
1 z
= 1
|z| > 1
δ =|U|+ 1>|U| ≥U.
ゆえに lim
z→0
1 z =∞.
(2) 任意の正数 εに対して、R:= 1
ε とおくと、R∈R であり、|z|> R を満たす任意のz ∈Ω に対
して、
1 z −0
= 1
|z| < 1 R =ε.
ゆえに lim
z→∞
1 z = 0.
(3) 任意の実数 U に対して、R :=|U| とおくと、R∈R であり、|z|> R を満たす任意のz ∈C に 対して、|z|> R=|U| ≥U. ゆえに lim
z→∞z =∞.
問8解答 N(0,0,1)と P(x1, x2, x3)を通る直線の方程式は
x y z
=
0 0 1
+t
x1−0 x2−0 x3−1
=
tx1 tx2 t(x3−1) + 1
(t∈R).
平面z = 0 との交点では、t(x3 −1) + 1 = 0 よりt= 1
1−x3. ゆえに x= x1
1−x3, y= x2 1−x3. ゆえに φ(x1, x2, x3) =x+iy= x1+ix2
1−x3 .
問9解答
(1) x21+x22+x23 = 1 であるから、|z|2 =x2+y2 = x21+x22
(1−x3)2 = 1−x23
(1−x3)2 = 1 +x3 1−x3
.
(2) これを x3 について解いて、x3 = |z|2−1
|z|2+ 1. これから 1− x3 = 2
|z|2+ 1 が導かれるので、
x1 =x(1−x3) = z+z 2 · 2
|z|2+ 1 = z+z
|z|2+ 1. 同様にx2 =y(1−x3) = z−z 2i · 2
|z|2+ 1 = −i(z−z)
|z|2+ 1 . すなわち
φ−1(z) =
( z+z
|z|2+ 1,−i(z−z)
|z|2+ 1 ,|z|2−1
|z|2+ 1 )
.
問10解答 前問から z=x+iy (x, y ∈R)とおくと、
φ−1(z) =
( 2x
x2+y2+ 1, 2y
x2+y2+ 1,x2+y2−1 x2+y2+ 1
) .
z′ =x′+iy′ (x′, y′ ∈R) とおいて、同様に求めたφ−1(z′)から計算すると φ−1(z)−φ−1(z′)2 = 4 [(x−x′)2 + (y−y′)2]
(x2+y2+ 1)(x′2+y′2+ 1) = 4|z−z′|2 (|z|2+ 1) (|z′|2 + 1).
問11解答 f は分母の零点 ±i, 2 を極に持ち、それを除いた C\ {i,−i,2} では正則である。ゆえ に円環領域 {z ∈C|2<|z|<∞} で Laurent 展開出来るが、それが f の ∞ のまわりの Laurent 展開である。
まず部分分数分解する。
f(z) = 5z2 −4z+ 3
(z2+ 1)(z−2) = 3
z−2 + 2z z2+ 1.
|z|>2のとき、|2/z|<1 であるから 3
z−2 = 3
z(1−2/z) = 3 z
∑∞ n=0
2n zn = 3
∑∞ n=1
2n−1
zn (2<|z|<∞).
|z|>1のとき、|−1/z2|<1 であるから 2z
z2+ 1 = 2z
z2 · 1
1−(−1/z2) = 2 z
∑∞ n=0
(−1)n 1 z2n = 2
∑∞ n=0
(−1)n 1
z2n+1 (1<|z|<∞).
ゆえに
f(z) = 3
∑∞ n=1
2n−1 zn + 2
∑∞ n=0
(−1)n 1
z2n+1 = 5 z + 6
z2 +10
z3 +· · · (2<|z|<∞).
これがf の ∞の周りの Laurent 展開である。主要部は(z の正の冪の項を集めたものであるから)
0 であり、留数は 1
z の係数に −1をかけたもので、
Res(f;∞) =−(
3·21−1+ 2·(−1)0)
=−5.
問12解答 (少し端折らせてもらいます。後で時間に余裕があれば清書します。) (1) Res(f;−1) = 3.
(2) Res(f; 2) = 2.
(3) 2 は f(z) の分母の2位の零点であるから、f の高々2位の極である。ゆえに f の 2の周りの Laurent 展開は
f(z) = a−2
(z−2)2 + a−1
z−2 +
∑∞ n=0
an(z−2)n の形に書ける。a−1 = Res(f; 2) = 2.
a−2 = lim
z→2(z−2)2f(z) = lim
z→2
3z4−5z3−7z2−z+ 25
z+ 1 = 3z4 −5z3−7z2−z+ 25 z+ 1
z=2
= 1.
ゆえに 2の周りの Laurent 展開の主部は a−2
(z−2)2 + a−1
z−2 = 1
(z−2)2 + 2 z−2.
(4) 3z4−5z3−7z2−z+ 25を (z−2)2(z+ 1)で割ると、商が 3z+ 4,余りが5z2−13z+ 9である から、
f(z) = 3z+ 4 + 5z2−13z+ 9 (z−2)2(z+ 1). これから f の ∞の周りの Laurent 展開の主部は 3z. 留数は Res(f;∞) = (−1)×(1
z の係数) =− lim
z→∞
(
z· 5z2−13z+ 9 (z−2)2(z+ 1)
)
.=− lim
z→∞
5−13/z+ 9/z2
(1−2/z)2(1 + 1/z) =−5.
(5) f のCb におけるすべての孤立特異点の周りのLaurent展開の主部と、∞のまわりのLaurent 展 開の定数項 (4) を合わせたものがf(z)の部分分数分解である。
f(z) = 1
(z−2)2 + 2
z−2 + 3
z+ 1 + 3z+ 4.
(あれ、続き番号にしたつもりだったけれど、間違えた。)
問13解答 ∞が f の孤立特異点であれば、十分大きな正の実数 R と {an}n∈Z が存在して (∀z ∈C:R <|z|) f(z) =
∑∞ n=0
anzn+
∑∞ n=1
a−n zn . 無限遠点における留数Res(f;∞) の定義は
Res(f;∞) =−a−1 である。ゆえに Res(f;∞) = 0 であるためには
(1) a−1 = 0
であることが必要十分である。一方、∞ が f の除去可能特異点であるとは、
g(ζ) = f (1
ζ )
で定義されるgが 0を除去可能特異点とすることをいう。
g(ζ) =
∑∞ n=0
an ζn +
∑∞ n=1
a−nζn
であるから、∞ が f の除去可能特異点であるためには、
(2) (∀n∈N) an= 0
が成り立つことが必要十分である。
(1) と (2) には、直接の関係はない。例えば
(a) f(z) =z は、Res(f;∞) = 0 であるが、∞は除去可能特異点ではない。
(b) f(z) = 1z は、Res(f;∞) = −1̸= 0 であるが、∞は除去可能特異点である。
問14の解答 f が ∞を孤立特異点に持つならば、正数 R と {an}n∈Nが存在して、
f(z) =
∑∞ n=1
anzn+a0+
∑∞ n=1
a−n
zn (R <|z|<∞).
仮定より
zf(z) =
∑∞ n=1
anzn+1+a0z+
∑∞ n=1
a−n
zn−1 =
∑∞ n=1
an−1zn+a−1+
∑∞ n=1
a−n
zn (R <|z|<∞).
zlim→∞zf(z) が存在するには、(∀n∈N: n≥2)an= 0 であることが必要十分で、そのとき a−1 = lim
z→∞zf(z) = A.
ゆえに
Res(f;∞) = −a−1 =−A.
問15 の解答 前問を使うと簡単である。zf(z) = zQ(z)
P(z) で、zP(z), Q(z) ∈ C[z], degP(z) ≥ deg(zQ(z)) + 1 であるから、
zlim→∞zf(z) = lim
z→∞
zQ(z) P(z) = 0.
ゆえに
Res(f;∞) =− lim
z→∞zf(z) = 0.
問16の解答 相異なる3点 α, β, γ ∈Cをそれぞれ1, 0, ∞ に写す分数変換 φα,β,γ は、
φα,β,γ(z) = α−γ
α−β · z−β z−γ であるから、
φ1,2,3(z) = 1−3
1−2· z−2
z−3 = 2(z−2)
z−3 = 2z−4 z−3 , φ4,5,6(z) = 4−6
4−5 · z−5
z−6 = 2(z−5)
z−6 = 2z−10 z−6 .
これから ( (
2 −10 1 −2
)−1
= 1
−2
(−6 10
−1 2 )
より)
φ4,5,6−1(z) = −6z+ 10
−z+ 2 = 6z−10 z−2 . 求める1次分数変換 φは、φ=φ−4,5,61 ◦φ1,2,3 である。これは行列
(
6 −10 1 −2
) ( 2 −4 1 −3
)
= (
2 6 0 2
)
に対応する1次分数変換で、
φ(z) = 2z+ 6
0·z+ 2 =z+ 3.
結果を見て驚くかもしれないが、ちょっと考えれば当り前だ!— (「先生、これ、見れば分かるφ(z) = z+ 3 でも良いんですよね?」「(おっと、問題ミスったか。)一意性があるので、それが唯一の答で す。」)
問17の解説 中心 c, 半径 r の円は |z−c|2 = r2 と表される。|z−c|2 = (z−c)(z−c) であるか ら、次と同値である。
zz−cz−zc=r2− |c|2. これと見比べると良い。
(解答)
0 =zz−iz+iz=z(z−i) +iz =z(z+i) +i(z+i) +i2 = (z+i)(z+i)−1 = |z+i|2 −1 であるから、
|z+i|2 = 1.
これは −i中心、半径 1の円を表す。
問18解答 問19解答
問20解答 単純な計算だけれど、闇雲にやると難しい。
(1)
|1−z0z|2− |z−z0|2 = (1−z0z)(1−z0z)−(z−z0)(z−z0)
= (1−z0z)(1−z0z)−(z−z0)(z−z0)
= 1−z0z−z0z+|z0|2|z|2−(
|z|2−z0z−zz0 +|z0|2)
= 1−z0z−z0z+|z0|2|z|2− |z|2+z0z+zz0− |z0|2
= 1− |z|2− |z0|2+|z0|2|z|2
=(
1− |z|2) (
1− |z0|2) .
(2) |ε|= 1 に注意すると 1− |w|2 = 1−
ε z−z0
1−z0z
2 = 1− |z−z0|2
|1−z0z|2 = |1−z0z|2− |z−z0|2
|1−z0z|2 =
(1− |z|2) (
1− |z0|2)
|1−z0z|2 .
(3) z ̸= 1
z0 ⇔ w̸=∞ に注意しておく。
• |z|<1 ならば (z ̸= 1
z0 も成り立ち)、1− |w|2 >0.
• |z|= 1 ならば (z ̸= 1
z0 も成り立ち)、1− |w|2 = 0.
• |z|>1 かつz ̸= 1
z0 ならば、1− |w|2 <0.
• z = 1
z0 ならば、w=∞. 1− |w|2 =−∞<0.
結局、|z|<1 ⇔ |w|<1,|z|= 1 ⇔ |w|= 1, |z|>1⇔ |w|>1.
(4) z0 と鏡像の位置にある点は 1
z0 . これは ∞ にうつされる。
(z0 と 1 z0
は単位円に関して互いに鏡像であるので、それらの像である 0 と ∞ も、単位円に関し て互いに鏡像の位置にあるわけです。)
問21解答 z2, z3, z4 をそれぞれ 1,0,∞ にうつす1次分数変換ψ1は ψ1(z) = (z, z2, z3, z4).
w2, w3, w4 をそれぞれ 1,0,∞ にうつす1次分数変換ψ2は ψ2(w) = (w, w2, w3, w4).
ψ2−1 ◦ψ1 は、z2, z3, z3 をそれぞれ w2, w3, w4 にうつす1次分数変換であるから、φ に一致する: φ=ψ−21◦ψ1. w1 =φ(z1) = ψ2−1 ◦ψ1(z1) よりψ2(w1) = ψ1(z1) であるので、
(w1, w2, w3, w4) = (z1, z2, z3, z4).
問22解答
(1) x:= Rez, y:= Imz とおくと、
ez =ex+iy =ex(cosy+isiny) =excosy+iexsiny.
ゆえに
|ez|=
√
(excosy)2+ (exsiny)2 =√
e2x =ex =eRez. (2) z の極形式を z =reiθ (r ≥0,θ ∈R)とするとき、
logz = logr+i(θ+ 2nπ) (n ∈Z).
za =ealogz =ea(logr+i(θ+2nπ)) =ealogrei(aθ+2anπ) =raei(aθ+2anπ). ゆえに
|za|=ra. (3) z =x+iy (x, y ∈R) とするとき、
zlogn= (x+iy) logn=xlogn+iylogn,
nz = exp (zlogn) = exp (xlogn+iylogn) = exp (xlogn) exp (iylogn) = nxeiylogn であるから
|nz|=nx.
問22の解答 Ω :={z ∈C|Rez >1} とおく。
nz を nz = exp(zlogn) と定義すると、Ω 上の正則関数である。
K を C の有界閉集合で Ωに含まれるものとする。(Weierstrass の最大値定理によって) α:= min{Rez |z ∈K}
が定まり、α >1. Kα :={z ∈C|Rez≥α} とおく。
z ∈Kα とするとき、Rez ≥α であるから、
|nz|=nRez ≥nα (z ∈Kα).
ゆえに
1 nz
≤ 1
nα (z ∈Kα).
α >1であるから、
∑∞ n=1
1
nα は収束するので、Weierstrassの M-test より、
∑∞ n=1
1
nz は Kα で一様収束 する。特に K でも一様収束し、
∑∞ n=1
1
nz は、Ω で広義一様収束することになる。ゆえにΩで正則な 関数である。
問24の解答 C の任意の有界閉集合 K に対して、ある実数 R が存在して、
(∀z ∈K) |z| ≤R
が成り立つ。そこで任意の正の実数 R に対して、KR :={z ∈C| |z| ≤R} で一様収束することを 示せば、K で一様収束することが分かり、C で広義一様収束することが証明できる。
N ≥2Rとなるような N ∈N を取ると、n ≥N を満たす n∈ Nと、|z| ≤R を満たす z ∈C に
対して、 z
n ≤ R
N ≤ 1
2, 1−z n
2 ≥1− 1 22 = 3
4 であるから、
2z z2−n2
= 1
n2 · 2R
1− |z|2/n2 ≤ 1
n2 ·2R· 4
3 = 8R
3n2 (z∈KR,n ≥N).
ゆえに ∑∞
n=N
2z z2−n2 は KR で一様収束する。ゆえに
1 z +
∑∞ n=1
2z z2−n2
は KR\ {0} で一様収束する。ゆえに C\ {0} で広義一様収束する。
問25の解答
(1) 講義で πcotπz の部分分数展開を求めたのと、同様の議論で πtanπz = lim
N→∞
∑N n=1
( −1
z−(n−1/2)+ −1 z+ (n−1/2)
)
=−
∑∞ n=1
2z z2−(n−1/2)2
と求めることが出来る。あるいは、tanz = cot(π/2−z) という関係を利用して、
πtanπz=πcot(π/2−πz) = πcotπ(1/2−z) = 1 1/2−z +
∑∞ n=1
2(1/2−z) (1/2−z)2−n2 を導き、これを整理し直して求めることも出来る。
(2) (1)で求めた πtanπz の部分分数展開 πtanπz=−∑∞
n=1
( 1
z−(n−1/2) + 1 z+ (n−1/2)
)
は、各項が正則関数の、広義一様収束する級数であるから、項別微分が可能であり、その結果 も広義一様収束する級数である。
π· π cos2πz =
∑∞ n=1
( 1
(z−(n−1/2))2 + 1
(z+ (n−1/2))2 )
ゆえに
1
cos2πz = 1 π2
∑∞ n=1
( 1
(z−(n−1/2))2 + 1
(z+ (n−1/2))2 )
.
この結果は
1
cos2πz = 1 π2
∑∞ n=−∞
1
(z−(n−1/2))2 と書くことも出来る。
あるいは 1
sin2πz の部分分数展開 π2
sin2πz = 1 z2 +
∑∞ n=1
( 1
(z−n)2 + 1 (z+n)2
)
=
∑∞ n=−∞
1 (z−n)2 から、cosz = sin(π/2−z) の関係を用いても求めることが出来る。