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平成30 年度 独創的研究助成費 実績報告書

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Academic year: 2025

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別記様式第4号

平成 30 年度 独創的研究助成費 実績報告書

平成 31 年 3 月 10 日 報 告 者 学科名 看護学科 職 名 教授 氏 名 高橋 徹

研 究 課 題 手術場の安全な看護方法確立を目指して~手術中の安全な体位の取り方に関する研究~

研 究 組 織

氏 名 所 属 ・ 職 専 門 分 野 役 割 分 担

代 表 高橋 徹

岡山県立大学・保健 福祉学部・看護学科・

教授

急性期看護学 研究の総括・遂行

分 担 者

水野 樹 順天堂大学医学部附 属順天堂医院・麻酔 科学・ペインクリニ ック講座・教授

周手術期管理 学

研究遂行のアドバイス・論 文の共同執筆

研究実績 の概要

1.緒 言

手術時には,手術操作のしやすさを考慮して様々な体位がとられる。全身麻酔下では, 同じ体位を続けても痛みを感じないため,術後,重篤な末梢神経障害や組織傷害が発生す ることがある。その 1 例として手術中の体位の一つである砕石位においては,術後コンパ ートメント症候群がまれではあるが発生する。臨床では,頭部を 10~30 度低くした砕石 位をとることが多いため、水平砕石位と 20 度頭部を下垂した頭部低位において,腓腹筋 領域にかかる力学的パラメーターと下腿の平均血圧とを比較検討した。

2.方 法

1)対象者 A 大学の学生の健康成人(男性 15 名,女性 15 名)

2)実験場所

A 大学保健福祉学部棟 成人・老年実習室 3)体位作成手順

手術台に下腿足型支脚器を装着し,被験者を仰臥させ,水平位で角度計を用いて低位砕 石位をとった。さらに,この状態から三角比を用いて頭部を 20 度下垂した頭部低位をと り、それぞれの体位で下腿血圧を測定した。

4)体圧分布の測定方法

体圧分布測定シートを下腿足型支脚器の膝下から下腿にかけて敷き,(1)体圧シートを 敷いた下腿支脚器に下腿を載せ,何もしない状態,(2)下腿支脚器上端部の下腿を外側・

内側からシートの上から押さえた状態,(3)腓骨外側・脛骨内側からできるだけ上下幅を 広くとってシートの上から押さえた状態,(4)内果・外果をシートの上から押さえた状態 で撮影した。尚,この測定は左足のみで実施した。

5)分析方法

腓腹筋領域にかかる力学的パラメーターについて,腓腹筋領域をフレームで囲み,フレ ーム内の荷重値,接触圧力,接触ピーク圧力をそれぞれ分析し,2 群間の比較は対応のある スチューデントの t 検定で,解析した。なお,有意水準は 5%未満とした。

※ 次ページに続く

(2)

研究実績 の概要

3.結 果・考 察

水平位では,腓腹筋領域にかかる荷重値は 3.8±1.0kg,接触圧力は 15.7±3.3mmHg,接触 ピーク圧力は 40.1±15.4mmHg であった。20 度頭部低位では,腓腹筋領域にかかる荷重値 は 4.9±1.1kg,接触圧力は 19.2±4.6mmHg,接触ピーク圧力は 50.3±17.6mmHg であった。

水平位と 20 度頭部低位の比較では荷重値,接触圧力,接触ピーク圧力,全ての力学的パラ メーターにおいて 20 度頭部低位が水平位に比べて,有意に大きかった。水平位では下腿の 平均血圧は 90.4±12.0mmHg であった。20 度頭部低位では下腿の平均血圧は 67.3±

10.1mmHg であった。下腿の平均血圧は水平位に比べて 20 度頭部低位が有意に小さかっ た。以上より,下腿にかかる荷重や圧力,すなわち,コンパートメント内圧は,頭部低位の方 が水平位より大きいことが分かった。一方,水平位と頭部低位での下腿の平均血圧に着目 すると,下腿の平均血圧は,水平位に比べて頭部低位時に有意に低い値が得られた。以上よ り,下腿にかかる荷重・圧力の上昇と下腿の動脈還流圧の低下は共にコンパートメント症 候群の危険因子となるため,頭部低位の方が血流が阻害されて虚血になりやすく,コンパ ートメント症候群のリスクが高いと考えられる。

また,実験を行ううちに,体格差によって腓腹筋領域における力学的パラメーターの数 値に差があるのではないかと感じ,20度頭部低位における腓腹筋領域にかかる力学的パラ メーターと下腿血圧の数値を男女別で比較した。頭部低位での男性の荷重値は 5.5±1.2

㎏,女性の荷重値は 4.3±0.6 ㎏であった。男性の接触圧力は 22.0±4.4mmHg,女性の接触 圧力は 16.3±3.0mmHg であった。男性の接触ピーク圧力は 61.5±17.0mmHg,女性の接触ピ ーク圧力は 39.1±10.5mmHg,男性の下腿血圧は 74.2±8.5mmHg,女性の下腿血圧は 60.3±

6.4mmHg であった。荷重値,接触圧力,接触ピーク圧力,下腿血圧はすべて女性に比べ,男性 が有意に大きい値となった。男性は,下腿にかかる外からの圧力が大きいが,動脈還流圧も 高く,血流は著しく低下しないと考えられ,女性は,下腿にかかる外圧は小さいが,動脈還 流圧も低くなっていることが分かる。以上より,コンパートメント症候群のリスク要因と して,男女差は関与しないと示唆される。

4.結 論

水平位に比べて頭部低位の方がコンパートメント内圧が高い点,下腿の平均血圧が低い 点の両方からコンパートメント症候群のリスクが高いことが明らかになった。したがっ て,砕石位の看護に際しては、下腿にかかる圧力と下腿の平均血圧とを関連付けて管理し ていく必要があることが分かった。

参照

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