卒業論文
アルバイト経験と職業選択
―大学生への職業適性判断機会の提供―
平 成
16年 度 入 学
文 学 部 人 文 学 科 人 間 科 学 コ ー ス 社 会 学 ・ 地 域 福 祉 社 会 学
平 成
20年
1月 提 出
要 約
職 業 選 択 は 、人生の中でも最も重要な選択の一つである。職 業 は 、収 入 、生 活 水 準 、健 康 、自 己 評 価 、社 会 関 係 、生 活 の 質 、また、その人の子供が あ る 特 定 の 職 業 につくチャンスというものも含めて非常に重要だと考えられる。そのため、その選択は非 常に慎重に行われるべきである。筆 者 は 、この重 要 な 選 択 に 影 響 を 与 え る 要 因 の 一 つとして、「アルバイト経 験 」があるのではないかと考え、本論はそれを検証することを目 的 としたものである。
まず、第一章では現代における職業選択が行われる環境についてまとめた。2 0 0 7 年に始まった「団 塊 の 世 代 」の大量退職によって、労 働 市 場 は 大 学 生 有 利 の 「超 売 り 手 市 場 」となった。数 年 前 の 就 職 氷 河 期 か ら 脱 却 し て 有 効 求 人 倍 率も回復し、経済 的な面では職業選択がある程度できるようになったことがわかった。こ れ に 伴 い 大 学 生 は 自 分 の 将 来 の 職 業 に つ い て 選 択 可 能 な 幅 が よ り広がったと考えられる。
次 に 第 二 章 で は 、職 業 選 択 行 動 に 関 す る 先 行 研 究 に つ い て 考 察 した。職 業 選 択 に関する研究には 2 つの系譜がある。1 つ は 職 業 選 択 に 関 す る 発 達 的 変 化 を 研 究 し たものであり、もう 1 つは職業選択に影響をおよぼす要因について研究したものである。
職 業 選 択 に 関 す る 発 達 的 変 化 の 先 行 研 究 か ら、今 回 調 査 対 象 とす る大 学 生 の 時 期
(18 歳から 2 2 歳 )は個人の職業選択において重要な時期であることがわかった。また、
職 業 選 択 に 影 響 を 与 え る 要 因 の 先 行 研 究 で は 、① 家 庭 、② 学 校 、③マス・メデ ィアが 要 因 であることが論 じられていた。
① 家 庭 :親 の 期 待 や 養 育 態 度 、親 の 職 業 などの影響を受けて、子 の 職 業 (価 値 )観 や 職 業 興 味 が 形 成 されること、また、子供も親を職業を選択する際の信頼のある相談 相手であると考えている。
② 学 校 :進 路 指 導 や 職 業 指 導 を 通 し て 個 人 の 進 路 選 択 ・職 業 選 択 に つ い て 意 図 的 に働きかける機関であり、職 業 的 社 会 化 の 担 い 手 として大 きな役割を果たしている。
③マス・メデ ィア:職 業 に 対 す るイメージを形成し、それが個人の職業選択に影響を与 える。
しかし、「アルバイト経 験 」の影響について検証されたものはなかった。
学 生 の 多 くが経験するものであることがわかった。大 学 生 に とって、もはやアルバイトは 日 常 の 主 要 な 活 動 の 1 つとなっているといえるだろう。そして、「アルバイト経験」は 、社 会に進出する前に得ることのできる貴重な擬似職業体験であると推測される。そのた め、「アルバイト」も大学生の職業選択に何らかの影響を与えるのではないかと考 えた。
第 四 章 、第 五 章 ではアルバイトが職業選択に影響を与えるかどうかを検証するため のアンケート調 査 、インタビュー調査について解説している。アンケート調 査 で は 、アル バイト経 験 が あ る 大 学 生 は 、アルバイト経験がない大学生よりも「現 実 志 向 」が 強 く正 社 員 としての就業意識が高いこと、アルバイト経験が成功だと感じた場合に、アルバイ トを選 択 す る要 因 と将 来 就 きたい職業を選択する際の要因が一致する傾向にあると いうこと、職業 選 択 に 関 して自分の親から受ける影響が少なくなることなどが検証され た。そして補足のために実施したインタビュー調査から、アルバイト経 験 が 職 業 選 択 に 与 え る 具 体 的 な 影 響 としては職業に対する適性判断の機会になることがわかった。
これらの結果から、アルバイト経 験 は 大 学 生 の 職 業 選 択 に 影 響 を 与 え る 可 能 性 が あることが明らかになった 。
目 次
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第 一 章 現 代 学 生 の 就 業 状 況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 第 一 節 職 業 とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
<1> 職 業 の 歴 史
<2> 職 業 の 意 味
第 二 節 現 在 の 日 本 の 産 業 構 造 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 第 三 節 現 代 学 生 の 就 業 状 況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
第 二 章 職 業 選 択 に 関 す る 先 行 研 究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 第 一 節 職 業 選 択 に お け る 発 達 的 変 化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
<1>Ginzberg の 発 達 理 論
<2>S u p e r の職 業 的 発 達 理 論
第 二 節 職 業 選 択 に影 響 を 及 ぼ す要 因 研 究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・14
<1> 家 庭
<2> 学 校
<3>マス・メディア
第 三 章 現 代 に お け る大学生のアルバイト状 況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 第 一 節 アルバイトの定義と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
<1> アルバイト労 働 者 の 定 義
<2> アルバイトの目的と意義
<3> 大学生のアルバイト選 択 方 法
第 二 節 現代の大学生のアルバイト状 況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
第 四 章 大学生のアルバイト経 験 と職業選択に関するアンケート調 査 ・・・・・・・・・・・・ 22 第 一 節 仮 説 の 設 定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
第 三 節 調 査 結 果 の 分 析 手 法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 第 四 節 アンケート調 査 の 分 析 結 果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
<1> 小 仮 説 1(正 社 員 志 向 に 与 え る 影 響 )の 検 証
<2> 小 仮 説 2(重 要 視 す る選 択 要 因 の 影 響 )の 検 証
<3> 小 仮 説 3(親 の 職 業 の 影 響 )の 検 証
<4> 小 仮 説 4(職 種 の 影 響 )の 検 証
<5> アンケート結果分析の結論
第 五 章 大 学 生 を 対 象 としたインタビュー調 査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
<1> 調 査 の 目 的
<2> 調 査 概 要
<3> 調 査 結 果 と分析
まとめとして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42 おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
参 考 文 献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
付 録
調 査 票 ・単 純 集 計